夢を見ていた。
誰かに手を引かれながら走っている、2人は息が上がっており暗く人気ない夜道を走っていた。
街灯が点々と地面を照らし2人の姿がはっきりと見える、銀髪に赤目の子供…だが顔は影になってよく見えない。
『急げ…!捕まっちまうぞ!』
『もう…無理…足が…動かない…』
そう言い少女は足を止めてしまう、少女の足は縫い目跡がいくつもありその縫い目から血が流れ始めていた。
手術をしたのか移植をしたのか少女の足はチグハグだった。
『…くそっ!』
『私の事はいいから先に…』
『行けるわけないだろ!…っ!もう来てる…!』
少年が振り向くと遠くから何人かの足音が聞こえる、もうすぐ近くまで『奴ら』が来ている事に焦りと恐怖に震える。
『…お前はここに隠れてろ、いいか?俺が戻ってくるで絶対出てくるなよ』
近くの路地に置いてあるゴミ箱と本の山に少女を運び隠れやすくなるように物を移動させる。
『だ、駄目だよ…!見つかったら…』
『大丈夫だ…ちゃんと隠れてろよ!』
そう言って少年は路地から飛び出し走り始める、少年とは思えない速度で走り遠くへ消えていく。
何も聞こえなくなった路地近くをいつくもの足音が横切っていく。
『こちら第1部隊、ターゲットは更に奥に逃げたぞ…どーぞ』
『了解っす、それが最後らしいので確実に捕まえるっすよ…最悪殺処分も』
『分かった』
少女は隠れている物の隙間から外の様子を覗く。
そこには血が滴っているナイフを持った男が…
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「っ………!!!」
勢い良く飛び起き周囲を確認する、あまり私物が置かれてない簡素な部屋…冷や汗が酷くつけっぱなしのクーラーが音を立てて冷気を出す。
「夢…だよな…」
頭を抱え涼風緋彩は夢か現実かあやふやになりつつある見た夢を思い出そうとする、だがもうほとんど覚えてなく謎ばかりが残った。
「…小さい頃…かな?思い出せない…」
僅かに残った記憶も微妙なものばかりで不思議な夢だったなと緋彩は無理やり納得する。
ベットから起き上がり若干ふらつきながら机に手を置いてバランスを取る。
あのアメリカの事件から1週間…日に日に体の調子が悪くなっていくのが実感出来るほどにひどくなっていた。
『緋彩、起きてるか?』
「っ!?」
部屋の扉の外から声が聞こえ、それに驚き手が当たり机の上の物を床にぶちまけてしまった。
『おいおい?早朝から暴れるってのはクールじゃないな』
「ち、違うよ翔太郎!今ちょっと着替えてる途中なんだ!」
『そうか、急げよ?朝飯とコーヒーが冷めちまうからな…それとエイレーネーの奴らに呼ばれてる』
「わ…分かった」
扉の外の気配は無くなり誰もいない事を確認すると深いため息をして頬を叩き気合をいれる。
「よし!今日も頑張るぞ!」
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「おいおい、俺達全員呼ぶって何があんだ?」
エイレーネー日本支部、応接室。
そこには須郷雅弘、岡園誠、長内青葉、道華翔太郎、涼風緋彩が集まっていた。
応接室の椅子に座って対面しているのはエイレーネー日本支部第1特殊部隊隊長、柏崎悟。
「んな重要な事じゃないわ」
「おやおやおや?重要じゃないのに電話では今すぐと言われてましたよね?これはどういう事なのか…!この長内青葉による突撃インタビューが…」
「青葉お前こんなんだったか…?」
「気にするな誠、いつもの事だ」
謎にハイテンションの青葉を横目に誠と翔太郎は喋りだしたりなどカオスな状況になりかける。
「落ち着けお前ら、緋彩見習えよあいつ静かだろ?」
「……え?あ、何?」
「聞いてなかった見たいですね〜」
「…ま、まぁいいお前らを呼んだのは他でもない」
何かを合図すると応接室の扉が開き、エンが入ってくる。
「お、エンじゃねぇか」
「すごうおはよ!」
「エンさんエンさん!おはようございます!」
「ぅ…あおばおはよう」
「引かれてんじゃねーか」
エンは入ってくるなり駆け出し須郷の隣に座る。
「今回お前らには少し『東京』に滞在してもらう事になった」
「東京?」
「そう、東京だ…滞在っていうか旅行だな」
「旅行だぁ?」
柏崎はニコニコしながら資料を取り出し超人達に配る、そこには超人達のメンタルケアを〜…と長々と書いてあり須郷や誠はすぐさまダウンする。
「目がチカチカしそうだ…んだよこれ」
「前のアメリカの件、上の人らが言うには少し青少年達には刺激が強すぎたから少しは楽しい事をさせて使い潰すんだと」
「おい」
「冗談だって、アメリカの件ではよく頑張ってくれたから2泊3日の豪華東京の旅って事」
資料をめくると某有名レストランや某高級旅館の宿泊とドリーム的な国等などと予定等が組まれている。
「俺とはえらい違いだが大人として言葉を飲み込んで胸に秘めとくわ」
「ダダ漏れですね」
「とまぁ折角だし街と支部しか行けてないエンも連れてってあげてくれって感じ」
「よ、よろしくおねがいします!」
改まってエンは超人達に頭を下げる。
「いいですよ、むしろウェルカムです」
「あー、ちょっといいか?」
資料を見ていた誠が申し訳なさそうに手を挙げる。
「ちょっと俺無理だ、しばらく街から出れない」
「どうしたんだ?」
「最近街で事件とか増えてよ、俺それらの対応というか他の奴らまとめたりとかあってよ…ごめんだけど行けそうに…」
頭を下げ両手を合わせてすまないっ!というポーズをとる。
「残念ですが仕方ありませんね」
「次の機会に一緒に行こうよ、ね!翔太郎!」
「そうだな、別にこれで最後ってわけでもねぇ」
「すまねぇ…すまねぇ…」
超人達の会話が終わるのを待ち柏崎は声を上げる。
「それとだな…おい、入れ」
そう合図すると扉が開き…2人の男女が並び敬礼をする、方や穏やかそうな顔立ちで少し暗い金髪の女性。
方や一見普通の黒髪男性だが何故かC4爆弾を愛おしそうに撫でていた。
「…おい柏崎」
「どした兎仮面」
「なんだこの…変態と女は」
「おや?初対面の人に向かって女、ですか…あまり礼儀はなってないようですが大丈夫です…私が貴方に礼儀作法をお教えしましょう」
「…変人なのかもしれねぇ」
会って早々変態と変人扱いをされた2人だが特に反応すること無く立ったままでいる。
「こっちの変態は花村烈火(はなむら れんか)…まぁ見ての通り変態だ、爆弾処理に所属してたがちょっと色々あって機動部隊に移動した奴だ」
「……どうも…」
「そんでこっちの変人は貴寅 清星(きとら しほ)…ちょっとやかましいが実力もあるし人付き合いも良い…ちょっとやかましいけど」
「柏崎さん?ちょっとやかましいしか超人の人達に伝わってないと思いますが?」
柏崎はうるさそうに少し頭を振り超人達を見る。
「念の為こいつらがお前らの護衛をする事になってる、ちなみにこいつら芦川の部下で今日配属だったらしいけど引っこ抜きました」
「今頃芦川さん胃が痛くなってるでしょうね〜」
「初めての機動部隊の部下だって緊張してたからなぁ…」
「しみじみ話してるけど実行犯こいつだぞ」
「さ、流石にボクも酷いと思ったよね…」
咳払いをして柏崎は話を打ち切る。
「とりあえず、出発明日だから予定開けといてね」
「早いな!?」
「えー?私まだ水着選んでませんよ〜?」
「海水浴だった!?」
「ちげーだろ…ならさっさと準備するか…行くぞ緋彩」
「え!?待ってよ翔太郎!ボク水着持ってないよ!」
「…んじゃ俺らも行くか…」
「いこー!」
「行きましょう!」
「いいなぁ…事件さえなけりゃ…」
ぞろぞろと応接室から出ていく超人達、だが最後に出る途中だった青葉が突然立ち止まり部屋の隅を眺め始めた。
「どうした?」
「いえ………気の所為でした」
「なんじゃそりゃ…烈火と清星、一応お見送りしといて」
「………」
「私旅行ってそんな行ったことないから楽しみです」
「………俺達は仕事だ」
全員が出ていき、柏崎は懐から煙草を取り出し一服する。
何かを考えてるのか眉間にはシワがよっていた。
「おんやー?タバコやめたんじゃなかったっけー?」
「偶にはいいだろ…タヌキ」
部屋の隅、何も無い所が歪み目の下のクマが酷い情報屋…タヌキが現れる。
「それよりさー…あれ『気づいたよね?』」
「まだ分からん、観察眼が鋭いからな…」
「そっかー…」
「…タヌキ、俺達も準備するぞ」
「やっぱり…何かの間違いじゃないかなー?似てるだけじゃ確定なんて…」
「タヌキ」
何かを喋り出そうとするタヌキを睨み黙らせ、柏崎は煙を吐き出す。
「…いいか、今の俺達は『次は負ける』…だからやるしかない」
そして悲しい目で扉を見る。
「悪と正義…か」
ため息と共に煙を吐き出し、タバコを灰皿に捨て柏崎は旅行の資料をゴミ箱に捨