ファースト・オブ・バレット   作:パルバール

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第98話『崩れていく絆』

 

 

靴の音が響く、先頭を歩くのは胡散臭い笑顔を浮かべてる男。

超人達が警戒するほどの強さを秘めているその名はA、鼻歌交じりに階段を下りている。

その後を青葉達は降りていた。

 

「Kが関与してる」

「……はい?」

「僕がここに来た理由さ」

 

Aは指を上に向けクルクル回しながら話を続ける。

 

「『6席会』4席目で魔術師で少ない接近戦ができるピエロ野郎さ」

「なぁ」

「何かな須郷くん」

「6席会ってなんだ?」

 

須郷は度々耳にする6席会なるものが何なのか分からず、素で質問する。

 

「いいかい?6席会ってのは聞いた限りじゃ椅子取りゲームの会みたいに聞こえるかもしれないけど、中身は様々な魔術師が集まるサークルみたいなものさ」

「なる…なるほどなのかなぁ」

「理解できたのか…」

「いや分かんねぇよ」

 

頭上に電球が出てきたかのような閃き顔になった緋彩に男二人は頭を抱える。

 

「つまりKという方はそのメンバーだと」

「そだよ、ちなみに僕は元6席目」

「『元』ですか」

「今はフリーの魔術師、そんでとある理由で色々な場所に行ってるんだけど…目的の一つであるのがKと政府さんと関与してる事が分かってね」

「…なるほど、ちなみに聞いても?」

「Kの動きは昔から詳しくなかったけど、Kは何かの研究をしてる…っと、話が脱線したが6席会は魔術師の宗教だと思って」

「そうか…」

 

あまりにも長く感じる階段を下りていく。

その最中、エンが立ち止まってしまい全員が止まる。

 

「おいエン?疲れたのならおんぶするぜ」

「ち、違うのすごう…ダメなの」

「ダメ…?エンさん、ダメとは」

 

寒さをやらわげるように小刻みに震えてるエンに青葉は肩に手を置く。

 

「な、何か分からない…けどこれ以上下には…行きたくない」

「……Aさん」

「あぁ、多分だけど下に何かがいる…僕も肌に刺さるくらいの殺気といえばいいのか…けど行くしかなくない?」

「緋彩さんは今は落ち着いてますがいつまた体調が悪くなるか分かりませんですしね」

「ま、まって!エンちゃんも顔色悪いしボクは…」

「駄目だ!!!」

 

緋彩がへらへらしながら言うが突然声を荒げるのが少ない翔太郎が大声を出す。

自身も驚いたのか、言葉が途切れるがさらに口を開く。

 

「…青葉、緋彩、エンを連れて上に戻るんだ」

「し、翔太郎?」

「………」

「おい翔太郎」

「雅弘は黙っててくれ」

 

突然のことで全員が思わず黙るが、沈黙を最初に破ったのは青葉だった。

 

「分かりました!では緋彩さん行きましょう!」

「え、で、でも青葉」

「まぁまぁ!」

「ちょ、ちょっと!もう、翔太郎!早く戻ってくるんだよ!」

 

なぁなぁで、だが緋彩もエンが心配だったのかエンを抱きかかえ、上へと向かう。

 

☆★☆★☆★

 

階段を上がり始めた3人は青葉の扇動のもと景気よく登っていく。

 

「いやぁ!男子の考えることというのは分かりませんね!やはり本やテレビの言う通りだと思春期何ですかね!」

「うん」

「私は思春期なるものになったことないんで分かりませんが大人になるって事なんでしょうか?」

「うん」

「はっ!もしやエンさんも大きくなれば…?!私とても気になり…」

「ねぇ、青葉」

 

しゃべり倒してた青葉だったが、緋彩の言葉でよく滑る口も錆びついた機械のように止まってしまう。

 

「……ボクは足手まといなのかなぁ…」

「……」

「ひいろ…?」

 

緋彩の背中でぐったりしていたエンが異変に気付く。

 

「ボク…翔太郎の邪魔だったかなぁ…」

「そ…」

 

そんなことはない、言うのは簡単だが果たして今の彼女に必要なのはその言葉なのか。

青葉は言葉に詰まる。

 

「もっと強くて元気だったら良かったのになぁ…」

 

言葉の最後までしっかりと喋れていなかった、自身の体調の変化にしっかりと考え、普通の事ではないと薄々気づいてるてるのかもしれない。

 

「緋彩さん、貴方は今ちょっと疲れてるんですよ…上で休みましょう?私たちがいますから」

「ひいろ、大丈夫?」

「うん…うん…」

 

今は、休むのが大事だ。

青葉はそういう事に、した。

 

★☆★☆★

 

「ちょーーっと強引だったんじゃないかな?」

「お前は黙ってろ」

「ひゃー!超人が怒ったー!」

「……」

「気にすんな翔太郎、構ってると疲れるぞ」

 

A、須郷、翔太郎は階段を降りていた。

 

「しっかしよぉ、長すぎやしねぇか?」

「体感を長くさせられてるんだよ、実際は1分もかからないと思うよ」

「なんだそりゃ…お、終わりっぽいぞ」

 

下を見ると、扉と小さな蛍光灯が扉周辺を照らしていた。

 

「…なんか、ヒシヒシと感じんな」

「隠す気はないっぽい、ビビった?」

「俺の拳がお前の顔面に叩き込めれば安心するぜ」

「あー僕が不安になったなー!」

 

拳をゆっくりとAに近づけながら須郷は小さくため息を吐いて翔太郎の方を見る。

見た感じは普通、だが内心はどうなのかは分からない。

 

「(てめぇが焦っても緋彩が助かるわけじゃねぇ…落ち着けよ…)」

 

自分が一番で分かってるであるだろうから、あえて言わない。

 

「それじゃ、いこっか」

「パパっと回収して戻ろうぜ」

「……あぁ」

 

Aがドアノブに手を置き、一気に開ける…扉の先は真っ暗ではないが薄暗くパッと見える範囲で言えることは。

 

「…でかい空間だな?」

「でかい空間作って研究所と寮とスーパーとか娯楽施設…おいおいこんな職場僕なら嫌だけど君は?」

「ほぼほぼ、ここで缶詰じゃねぇか嫌だわ」

 

周囲には多くの建物、建物の奥に僅かに見える大きな建物。

 

「あれか、A…エンが感じてた何かは」

「入った瞬間消えた、逃げたかな」

「んなわけないだろ、おい翔太郎お前は…」

 

流石に鈍くはないが殺気などそれら以外は何も分からず仲間を頼ろうと振り向く。

 

 

 

その場にはもう翔太郎は居なかった。

 

「な…に…」

「須郷くん構えた方がいいよ!何か来る!」

 

動揺しいている頭にAの言葉が響く。

 

「A!翔太郎が居ねぇ!」

「嘘でしょ…?」

「ま、まさかやられたのか…?」

「それはあり得ない、僕はともかく君に気づかれる事無く暗殺は無理だろう……自分の意思で消えたんだ」

「翔太郎…あいつ…!」

「そんなことより今はこっちだ、僕と君とでもやばいかもしれない」

「…くそッ!A!今だけは信じるぞ!」

「流石の僕も背中刺すなら場合を選ぶさ!」

 

液体を身体に纏わせ、拳と型の構えを取り須郷が分かる程の存在に備え…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『それ』はいつの間にかそこに立っていた当たり前のように、当然のように。

 

「…須郷くん」

「…なんだ」

「…作戦、言ってなかったね」

「……」

「作戦は『死ぬ気で逃げる』だ、最悪だ…ここがそんなに重要なのか…始末しに来たのか」

「…あれが何か知ってんのか?」

「知ってるも何も」

 

 

Aはゆっくりとそれを見る、忍者のような恰好に特徴が無さそうな顔に顔半分隠している青年。

 

 

 

 

 

 

 

「あれは『使徒』だ、善神の忠実な奴隷の化物さ」

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

 

 

 

 

大きな建物、恐らく研究所であろう場所に向かって走る1人の男。

 

 

翔太郎は息を切らしながら、だが全力で走っていた。

 

 

「もう、もう…家族を死なせてたまるか…!」

 

焦っていた、目の前しか見えていなかった、無警戒だった。

 

 

 

 

 

翔太郎を追うように超人的な身体能力の人影の集団に追われとぃる事に気づかず。

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