ファースト・オブ・バレット   作:パルバール

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第26話『相棒』

あのグラサン最近人使い荒くてブラックだと思う、ちょっとは残業代出せって思う、あとクソ支部長のサングラスはダサい、たまに加齢臭もするしあとグラサンもダサい

 

『送信、エイレーネー日本支部愚痴投稿』

「送信先、エイレーネー日本支部:支部長」

 

エイレーネー日本支部第1特殊部隊 K

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

送る所間違ってるよ

あと柏崎君は後で支部長室に来るように

 

『返信、エイレーネーの1番偉い人』

 

───────────────────

 

化物は1階の広い場所を陣取って食事中だった

…あまり見てて気持ちのいいことじゃないな…涼風の方を見ると少し顔が青くなっている、まぁ超人と言えど死体に慣れてるわけないか…しかもそれを貪ってるやつが目の前にいるし…平気でいる俺はもう普通には戻れないかもな…

 

「大丈夫か?なんならお前は後からでも構わないぞ?」

「ば、バカ言うなよ…それに君一人じゃあの化物はきついだろう?」

「ごもっとも…さーて…」

 

ナイフに手を添え、涼風も体を低くしていつでも走り出せる準備をする

 

「いくぞ!」

 

物陰から飛び出た俺と涼風は出来るだけ離れて戦う事になった、何故なら俺と涼風は息を合わせる事は難しく必然的に一体一のような事をしないとならないからだ

 

化物は足音に気づいたのかゆっくりと振り向く…その小さな顔のさらに小さな口の周囲を血でべっとりと濡らし、俺達を見た瞬間楽しそうに、嬉しそうに笑った

 

「笑ってられるのも今のうちだっ!」

 

ナイフを抜き接近する、化物はその大きな腕を振り攻撃をしかけてくるが横に避けて攻撃を回避する…って地面が粉々じゃねぇか…当たったら即死じゃん…

 

「そらよ!」

 

すぐ側まで接近してナイフを化物の足に一筋の切り込みを入れる…やはりか

ナイフを見る、ナイフは紫色の…オーラ?的なのを出しながら淡く発光している、このナイフは田村さんが1晩で作り上げた魔力が込められたナイフだ…田村さん過労死しそうだったがこれで化物に攻撃が通る…が

 

「くっそ…やっぱり作ったものじゃこれが限界か」

 

確かに切れていた…ほんの1cm程度、しかもナイフにはもう刃こぼれが…確かに耐久値は下がるがそれでも基本くらいの耐久値は期待できてた筈…

 

「まさか」

「とりゃー!」

 

俺がある事を気づいた時、丁度いいタイミングで涼風が攻撃を仕掛ける

化物は咄嗟にその大きな腕でガードし…轟音と軽い突風のような波動だけで終わった

化物はピクリとも動かずその攻撃を耐え切ったのた

 

「なっ!?」

 

そしてそのまま足を掴まれ投げ飛ばされ、空中でどうにか体勢を持ち直し着地する

 

「やっぱりか…」

 

この化物…『硬くなってる』

それもこの短時間で急速に進化するように

 

「涼風!出来るだけ絶え間なく攻撃を続けるぞ!」

「う、うん分かったけど…どうしたんだい!?」

「こいつ戦闘をする度に強くなってやがる!しかも尋常じゃない速さだ、悠長に戦ってたらジリ貧になる!」

 

言い過ぎとしても間違ってはない筈だ…さぁ…勝てるか…?

 

 

────────────────────

 

 

あれから20分程、休憩もなく戦い続けている

どうにか化物の攻撃を避け攻撃を繰り返すがやはり時間が経つにつれてどんどんダメージが通らなくなってきている

だがまだ柔らかい脇下や股下、関節等はどうにかダメージが通るが…そこを重点的に守り始めてからはどうしようもなくなってきてしまった

 

「はぁ…はぁ…涼風!まだやれるか!?」

「も、もうキツいかも…」

 

化物との生死を賭けた戦い、またノンストップの戦闘が精神的にも肉体的にも疲労が積み重なっていく

 

「くそぉ!」

 

これ以上は撤退も視野に入れないと俺か緋彩が死ぬ…だから俺は

 

「涼風逃げろ!」

 

俺は化物に接近して大きな腕による攻撃をジャンプや回避で避けやながら攻撃を続ける、時間くらいは稼いでやるさ

 

「なっ、無理に決まってるだろ!」

「無理とか、んなの知らねぇよ!俺だけなら逃げれるんだ、お前が邪魔で逃げれねぇんだよ!」

 

涼風は一瞬ビックリした顔をして、そして泣きそうな顔になった…どうせあの野郎の言葉でも思い出したんだろ

 

「……ごめん」

 

そう言って涼風は走って戦闘を離脱した…これでいい

 

「っと!」

 

俺は化物の攻撃を避け…いや、軽く当たったらしい

少し吹っ飛びそこら辺に落ちていた廃材の山にぶつかって止まる

 

「っくー…」

 

体も武器もボロボロ、に対して化物は傷だらけだがピンピンている…涼風に言った言葉は嘘だった、俺は逃げれる手段もなければ能力は逃げる時に便利なもんでもない

だが

 

「ぺっ!…こいよ化物、俺は生き恥晒してもお前に一泡吹かせてやるぜ?」

 

血が混じった唾を吐き俺はナイフを構える、ガキの前くらいかっこつけさせて欲しいもんだ

 

──────────────────

 

 

ボクは夜道を走っている、柏崎さんから言われたから…という言い訳を使ってボクは逃げたんだ、怖かった…ただただあの化物が…怖かった

 

雅弘やエイレーネーの人を呼んで…戻らなければ、早くしなければあの人が死んでしまう

 

 

「…緋彩!」

 

ボクを呼ぶ声が聞こえた、下を向いて走ってたせいか誰かの横を横切っていたらしい

 

「…えっ…翔太郎…?」

 

そう、街灯が灯ってる場所に立っていたのは翔太郎だった

 

「お前こんな所で何を…ボロボロじゃねぇか!」

「翔太郎…そうだ、翔太郎!お願い力を貸して!」

 

翔太郎は強い…ボクよりも強い、だから今翔太郎と戻ったら確実に助けられる

ボクはそう思ってた

 

「…分かった、だが緋彩…お前は逃げろ、お前じゃ危険だ」

 

その言葉にボクは時の流れが止まったような感覚がした

 

「…翔太郎」

「まず雅弘のところ行け、あいつは今悪党の所にいるがそれでも安全な筈だ」

「翔太郎…」

「そして青葉には気をつけろ、あいつは何かおかしい…絶対に近寄るな」

「翔太郎…!」

「あと…」

 

「翔太郎!!!」

 

ボクはいつの間にか大声を出して翔太郎の胸ぐらを掴み塀に叩きつけていた、やったボクも驚いたが…それ以上に頭に血が上っていたらしい

 

「…なんだよ」

 

苦しそうに咳き込みながら翔太郎はボクを睨む…

 

「…ボクと師匠を重ねるな!」

 

この男は…ボクと師匠を重ねて、ボクを死なせないように過保護になっていた

 

「ボクも師匠も弱くない!信じろよ!何で自分の中で完結して決めつけてるんだよ!」

 

ボクはずっと心の中で思ってた事を、吐き出した

 

「翔太郎…」

「………」

 

翔太郎は、何も言わない、その顔はハット帽で隠して

 

「翔太郎は…ボクが信用ならないのか…?」

 

あの頃のボクと翔太郎が揃えば最強だって…相棒だって言ってたじゃないか…

 

「翔太郎にとってボクは…弱いボクなのか…?」

 

ボクの中で何かが溢れ…そして何も思わなくなった

翔太郎を離して数歩後ずさる…翔太郎は腰が抜けたように地面に腰を下ろす

 

「…ごめんよ翔太郎…ボクは君にとっていらない存在なんだね…」

「…………」

 

翔太郎は何も言わない…そうかい…

 

「…ボクは戻るよ、君は…自由にしてくれ」

 

柏崎さんを死なせるわけにはいかない…だからボクは戻る

ボクは後ろを振り返らず、元きた道を戻る

 

───────────────────

 

俺は…何をしたかったのだろうか

 

誰も信用出来ず、師匠も信用出来ず、緋彩も…

 

「俺は…馬鹿野郎だ…」

 

どうすれば良かったのか、どう選択すれば最善の手を取れたのか

…消えたかった、こんな俺が憎く嫌いで…誰にも見られたくなかった

 

「………消えろ…消えろ…消えろ…」

 

何度も願った、そして手に入れた能力は使えもしない一時的なものだった

 

「…消えろ…」

 

誰も救えない、誰も信用出来なかった、こんな俺は

 

「…消えたい」

 

…パサりと何かが落ちる

顔を上げると、ハット帽が落ちていた、師匠の形見だ

 

「師匠…」

 

守れ…か…師匠ならどうしただろうか

 

「いや…俺は」

 

俺は、師匠じゃない、もう師匠はいない

誰も俺を導く人はいない、だが信用出来る奴はいる

今ならやり直せるか?いや、やり直せるか否かじゃない

 

「俺は…」

 

 

───────────────────

 

 

「ぐっ!」

 

俺は吹き飛び壁に叩きつけられる、これで何度目だろうか

涼風を逃がして俺は化物と何度も戦闘をして攻撃をくらった、どうにか受け流して凌いでたが…

 

「これまでか…」

 

ダメージが蓄積し過ぎて骨折しそうだ、もう動くのも苦痛だ…まだだ…まだ能力は使えない

 

「とりゃー!」

「は…?」

 

マヌケな声と共に涼風が飛び蹴りをしてるのが見えた…

なんで

 

「なんで戻ってきた!」

「見捨てられない!ボクは誰も見捨てない!」

「ワガママ言うんじゃねぇ!」

「黙ってくれ!」

 

くそ!誤算だった、このままじゃ…

 

「せりゃー!」

 

威力が下がった蹴り、それを化物は軽くガードして

 

「…あ…」

 

その大きな拳を涼風に合わせ

 

爆風と砂埃が撒き散らされる、涼風が居た場所から

 

「涼風!」

 

砂埃から化物がのっそりと現れる…涼風は…

 

 

 

 

「緋彩、俺は…実は後悔してた」

 

声が聞こえた、何処からだ?

…俺の真後ろじゃねーか…

 

「俺はお前すら信用出来ないでいた、何故か…それは俺が自分に自信が持てなかったからだ」

 

「俺は…足りない、何もかもが足りない…だから緋彩…俺の相棒にまたなってくれねぇか」

 

涼風緋彩は翔太郎に小脇で抱えられており驚きと泣きそうな顔をしている、それは俺の時に見せた顔ではなく

 

「…緋彩、俺とお前は2人で1人だ…どっちも欠けちゃ意味ねぇ」

「…うん、分かるよ…翔太郎」

 

そして翔太郎と涼風緋彩は俺の前に立つ

 

「さぁ、いくぞ緋彩」

「あぁ、いこう翔太郎」

 

「「さぁ、お前の罪を数えろ」」

 

 

 

…なんともまぁ…頼もしくて最強な2人だな




今日は雰囲気的に後書きはおやすみさせていただきます
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