ファースト・オブ・バレット   作:パルバール

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第34話『遅れるのは定番』

 

気づかなくていい、このまま何も気づかず全てが終わればいい…知ったとしても良い事ばかりではない、無知は罪だが知る事もまた罪な事もある

 

知らない方が救われるのだ

 

─────────────────────

 

「翔太郎さん、そのまま化物の体勢を崩してください!そのまま緋彩さんは右関節に攻撃を!須郷さんは白い化物を押さえ込んで!」

 

轟音が響く戦場に青葉の指示が飛ぶ、化物の攻撃を避けるタイミングや攻撃を仕掛けるタイミング…何処が1番効果の高いダメージを与えられるか、全てを観察し相手の仕草や重心のかけ方等を瞬時に理解してる青葉にとっては造作もない事だった

 

「緋彩さん攻め過ぎです!一旦下がって翔太郎と交代してください!翔太郎さんはカバーを!」

 

戦闘なんて出来ない青葉、だが今は超人という人類の化物達が3人も揃っていて信頼関係が築けている

負けるはずが無い…が

 

「あぁー!もう!ゴム蹴ってる気分だよ!」

 

緋彩が一旦後退してきて青葉の隣に立ち化物との戦闘の感想を伝える

 

「…(やはりもう『進化』が始まってましたか…恐らく雅弘さんと緋彩さんの攻撃に耐える為だろうですが…このままじゃ…)」

「青葉、どうする?このままじゃジリ貧だよ」

 

緋彩が青葉が考えていた言葉を口にする、そう最初は確実にダメージを与えていたが今では多少の威力なら耐えるようになっていたのだ、明らかな成長、明らかな進化

 

「…化物が2体いるのが問題ですね、片方どちらかだけなら雅弘さんと緋彩さんと翔太郎さんが一気に攻撃をすれば」

「そう言っても…化物達お互いが一定距離遠くに離れると何がなんでも合流するからね」

 

白と黒の化物は緋彩の言う通りお互いが離れていると戦闘中でも、攻撃を食らっても近くまで行き合流するのだ

これにより一体を集中狙い…という事が出来ないでいた

 

「…ならこうしましょう、まず緋彩さんと翔太郎さんでどちらかの化物に攻撃を仕掛け緋彩さんが化物の頭を攻撃して強く揺らしてください」

「強く揺らす?」

「えぇ、見た所化物にも脳があるようなので顎か、こめかみを強く攻撃してください…脳震盪になれば多少有利になる筈です」

 

緋彩の攻撃ならかすっても重い一撃の筈…

 

「OK、やってみるよ」

 

そう言って緋彩は翔太郎の近くに行き戦闘しつつ会話を始める、翔太郎は直ぐに理解したらしく能力を使用する

かなり能力を使った為か息が上がってステルスになるのも時間がかかっている

 

「…早く終わらせなければ」

 

須郷の方を見る、黒い化物相手にタイマンを張っており殴り殴られるを繰り返していた

未だに成長を続ける化物と超人として覚醒した須郷のタフネス…お互いに引かず殴る時の轟音と振動がこっちにまで響いてくる

 

「…緋彩さん、翔太郎さん!今です!」

 

合図を送り翔太郎がまず化物の視界を途切らせる為に手に持ってた砂を化物の目に投げる、化物は咄嗟に目を閉じ…

 

「とりゃーー!」

 

緋彩の蹴りが下から上に突き上げるように化物の顎に叩き上げる、化物はクラクラと体を揺らし酔いどれのようにフラフラとバランスが保てなくなっている

 

「よし!このまま!」

 

一気に片をつける為に化物に近づく、ここで一体でも減らせれば勝ちが見えてくる

 

「とりゃーー!…あ?」

 

目が合う、化物と…濁った目をしていた化物…だが今は確実に生きてる目をしている

 

「…え?…あれ…?」

 

思わず蹴る寸前で立ち止まり…立ち止まってしまった

 

『ぁ…あぁ…死にたくない…死にたくない…やめてくれ…助けて…誰か…誰か…殺さないで…痛いの嫌だ…痛い…痛い…怖い…痛い…たすけて…』

 

化物の口から、そんな声が聞こえてきた

助けを求める声が聞こえる、その声に偽りも感じさせない心の底からのSOS

 

「その、え?」

「緋彩さん!」

 

緋彩は左から強い衝撃としばしの浮遊感を味わう、そして地面に落ち地面を滑りながら壁に当たって止まる

 

「緋彩!くっ!」

 

突然の相棒の脱落に翔太郎は白い化物の攻撃を避けきれず近くの柱に叩きつけられてしまう

 

「………」

 

恐れていた事が起きてしまった、まさかここで…

 

『ああぁ!やめろ!やめろ!いやだ!だれかとめてくれ!たすけて!ころしたくない!』

 

白い化物はそう言いながらゆっくりと緋彩の元に歩いて行く、その顔には涙を流していた

 

『こんなつもりじゃないんだ!こんなののぞんじゃいない…ゆるしてくれ…』

 

恐れていた事…それは『化物が人間の自我がある』という事だった

 

 

─────────────────────

 

「くはははは!素晴らしい…まさか自分達の敵である化物がまさか人間で喋るとは思ってなかったかー…」

 

特等席で戦闘を眺めていたAは高笑いをしつつ頬杖をつく

 

「やっぱり超人と言ってもまだ子供だねぇ…その化物は裏社会の人間…犯罪者だよ?殺したって誰も気づかないさ…ま、そう割り切れてたら躊躇しないもんねー」

 

その顔はいやらしく笑い邪悪な顔だった

 

「君達は人殺しをしてヒーローになれるかな?」

 

─────────────────────

 

「緋彩、翔太郎!くそっ!」

 

戦闘不能になった緋彩と重傷を負った翔太郎を見て直ぐに駆けつけるつもりが黒い化物が行く先を阻む様に立ちふさがる

 

「てめぇは後だ!どきやがれ!」

 

渾身の一撃を化物の腹に叩き込むが、黒い化物は少し後ろにズレただけで何食わぬ顔で須郷を見る

 

『ケハハハハハハァ…』

「くそがああああああああぁぁぁ!」

 

化物に連続で攻撃を当てるも耐えられ、横を通り過ぎようとしても須郷のスピードでは化物の横を通るの至難の業だった

 

 

白い化物はブツブツと何かを言いながら緋彩に近づいてくる、緋彩は掠れてる意識を気合いで繋ぎ止めながら化物の方を見ると

 

「おっと、この先は行かせまんよ?」

「…お前の相手は…俺達だ…」

 

カメラを片手に緋彩と化物の間に立つ青葉と血を流しながらも重い体に鞭を打ってやって来る翔太郎

 

「ダメ…だよ2人…とも…逃げない…と…」

 

体の節々が軋むそんな状態の緋彩は2人に言う『逃げろ』と

 

「おや?この私に逃げろとは無理な質問ですよ、ねぇ?翔太郎さん」

「俺に聞くな…でもよ緋彩、俺はお前を見捨てねぇよ」

 

化物はゆっくりとやって来る、その顔は後悔と悲しみの顔に歪んでいてそう時間もかからずともここまで来てしまう

 

「バカ…ヤローだよ…二人とも」

「ふふ、確かにそうですね…どうしようもない馬鹿ですね…私以外」

「おい青葉お前…何自分だけ外してんだよ」

 

もう誰も失いたくない翔太郎と仲間を助けたい青葉は動かない

 

「お前ら…!くそっ!邪魔だあぁぁぁぁ!」

 

須郷が遠くで黒い化物を倒そうとするが少しずつ進化してる化物はもはや須郷の攻撃を避ける必要がないのだろう…

 

「…そう言えば翔太郎さんあれ行きました?この前駅前にオシャレなカフェが出来たんですよ、あそこのコーヒーは美味しいとのタレコミが」

「へー…1回は行ってみてぇな!」

「ボクも…行きたいね…あ、ボクは…砂糖8個…」

「流石に入れ過ぎでは?」

「糖尿病になるぞ」

 

数年ぶりの雑談に花を咲かせる、化物はもう目の前まで来ておりその大きな腕を振り上げる

 

「最後くらい生き恥晒しても抵抗しますよ?」

「同感だ」

 

緋彩の前に立ってる2人は何処と無く満足気な顔だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少しの浮遊感、そしてゴムのような着地場所

 

「おっと、真上から失礼」

 

一閃、化物の首にナイフを当てて思い切り突き刺し横に切り裂く

まるで熱されたバターナイフで斬ったかのような切れ味に満足してガスマスクを付けていた男は化物から降りる、化物はゆっくりと地面に倒れ絶命する

 

「…なん…」

 

翔太郎は突然、化物が倒れたのに驚きを隠せなかった

 

「やっぱり奇襲だと切れやすいな」

 

ガスマスクを装着していた男はガスマスクを取り外す

 

「よっ、手伝いに来たぞ」

 

エイレーネー日本支部、第1特殊部隊隊長 柏崎悟

魔術師達と戦闘をしてる筈の男が超人と化物がいる戦場に現れたのだった




後書きはおやすみです

Byバール
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