現状確認
こちら側の戦力、俺…柏崎と須郷、戦闘不能3名
対してあちら側、化物…完成された眷属一体
頭数ならこちらが有利だ、頭数だけなら…だが
「おい柏崎…」
「なんだよ須郷、ビビったか?」
横に来た須郷が俺に何か言いたそうにしていた、まぁ何を言いたいのかは分からなくはないが…
「…須郷、俺達は負けれない…分かるか?俺達の後ろには3人、そのさらに後ろには数多くの関係の無い人達がいるんだ…負けられないんだ」
負ける事は許されない、ここで倒さなければさらに進化を繰り返し手のつけようがなくなってしまう
「やるぞ、須郷」
「…あぁ」
再度化物を見る、6m程の大きさになった化物は周囲のコンクリートの壁などを破壊して自分が動きやすいように改装していた、俺達を警戒すらしないとは舐められてるよな
「先に行くからな」
攻撃の隙を伺っていた須郷より先に攻撃を仕掛ける、スピードが遅い須郷より俺が行った方がやりすやいだろう
コンクリートの壁を破壊してる化物、その姿は隙だらけとも見えるが…
「まずは一撃!」
化物のふくらはぎに一撃ナイフを切りつける…が
「…は?」
ナイフは1mmも化物の肉体に切り傷すら付けられなかった
「なんで…だ?」
「柏崎!」
須郷の俺を呼ぶ声、咄嗟に反応出来ず化物の振り回した腕が俺の側面に迫ってるのに気づかなかった
ミシミシという鈍い骨が軋む音と地面に落ちた時の何かが折れる音…左腕が逝ったらしい
「がっ…ぁ…っ…」
立ち上がらなければ、このままでは格好の的だ…だが…
上手く力が入らない…頭がクラクラする、何処からか出血してるのか血が足りない…目の前が赤い…頭蓋骨が割れたのか…?
動けない変わりに思考がグルグルと頭の中でループする
掠れる視界の中、遠くから化物がこちらに歩いてくる
死ぬのか…
「おい化物」
声が聞こえる、どうやら俺の前に誰かが立ってるようだ
「須郷…逃げろ…」
「うるせぇ、お前もちょっと休んどけ…俺がこの化物を殺す」
そう言って須郷は化物に向かって歩いて行く…死ぬぞ…
しかし…まさか化物の格が上がったからって魔力が宿ったナイフが通らないとはな…
急いで立ち上がって…手伝わない…と…
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俺じゃ勝てねぇくらい分かってる、俺達は超人って言われてはいるが…言ってしまえば『人間止まり』だ、眷属だか何だか知らねぇが…んなのに勝つのは無理な話だ、なんなら柏崎を見捨てて逃げるのもいい…
「だがよ…俺達は1度は救われた、だから恩返しはさせてもらうぞ…柏崎」
そう言って壊れかかっている兎のお面を外し優しく近くの瓦礫の上に置く、似合わねぇと自分でも思ってるが大事なもんだ
「青葉、翔太郎!柏崎と緋彩頼んだぜ」
「…雅弘さんは?」
「俺は…」
ゆっくりと化物を見る、ニタニタと俺達を見てやがる…嫌な性格をしてやがって
「…こいつを殺す」
化物は俺を見て嬉しそうに笑ってやがる、その笑みがいつまで続く楽しみだ
「さぁ来いよ化物よぉ!俺は超人、須郷雅弘だぜ!」
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暗い空間、ただ言えるのはそれだけだ
俺はそんな空間の…何処だろうか?まぁどこかに立っている、何も無い…何も聞こえない、何も見えない
そんな空間
「……そう言えば…何か忘れてるな…」
ふと何かを思い出しそうになるが何だったか…忘れるという事は大した事ない事なのだろう、昔そんな話を聞いた事がある
「…寂しいな」
本当に何も無く、遠くまで真っ暗な空間
そんな空間に突然テレビが現れた…昔のブラウン管テレビだった、昔はこれに家庭用ゲーム機の3本の配線刺したっけ…だがなんで今更こんなのが…
そう思いとりあえずななめ45°!これやればテレビが何かなるってばぁちゃんが言ってた
『ちょ、ストップストップ!叩くなー!』
テレビからそんな声が聞こえ画面を覗くと小さな子供がテレビに映っている
「…これは教育テレビだった…?」
『うーん、違うんだけどなー…』
小さな子供…いや、よく見ると小さな子供っぽい体型の黒い人型の何かだ、マネキンのみたいなのっぺらぼう
「うわっ…俺疲れてるのかな…」
『過労死必須だね』
「何言ってんだお前」
とりあえず話を合わせてみる、しかしなんかこう頭の側頭部が痛くなる
「んで、お前は誰だ?」
『僕は君で君は僕さ』
「うん、わからん」
このガキぃ…
『…なんで能力使わないのかな?』
「…何のことかな?」
『君、やっぱり臆病だね…あっちはもう覚悟は出来てるのに君はその覚悟に応えてやれないなんて僕は悲しいよ』
「………お前は、何者だ」
俺の心を見透かしてくるような、そんな物言いのガキ
『だから僕は君で君は僕なんだよ、君が臆病者だから…ほら』
と、横に避けるように移動して画面の中心を空ける
すると中心に何かの映像が流れ…
『があああああ!』
灰色の化物に足の骨を折られてる大男が映っていた
化物は楽しそうに足の骨を、腕の骨をゆっくりと折っている
「…は?」
『君が能力を使わないからこうなっている、君が臆病者だから彼はゆっくりと殺される…分かるかい?これを見ている2人はどうする事も出来ずただ仲間が殺されていくのを見てるんだよ』
そう言って何かを映すように指を回すと今度は立ち上がろうとする銀髪の少女と押し留めているピンク髪の少女、上手く立ち上がれず悔しそうな顔で地面を睨んでいる
そして…
「お、俺…?」
その近くに俺が倒れていた、虚ろな目に頭からは止血してるが少しずつ血が流れていた
『君が臆病者だから…君が躊躇するから、こうなった』
そう言って子供は映像を消し俺の方を向く
そうだ…俺は眷属と戦ってて…
「……俺は…」
考えが纏まらない、俺は…
「俺は…どうしたらいいんだ…」
『そんなの自分でどうにかしなよ、君の人生なんだよ自分で解決しろよ、誰かに責任を押し付けるな』
子供からなんともまぁ…言われ放題だ
『君は僕だ、そして僕は君だ、君が死ねば僕も死ぬ…だから君には生きてもらわないと困るんだよ』
「んな事言われてもな…」
そう言えば、あの映像の中に何か見えた気がした…あれを使えば
「…いや…やるしかないのか…」
『そうそう、よく言ったね』
「あぁ、そうだなっ!」
起き上がる瞬間にテレビを蹴り倒す
『あ、ちょっとー!』
「んじゃな、二度とここに呼ぶなよ」
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「離せ青葉!ボクはこんなの見てられない!」
「貴方のその体では無理です!犬死ですよ!」
「うるさい!雅弘が死んじゃうぞ!このままじゃ!」
ボロボロの状態で立ち上がろうとする緋彩を青葉は必死に押し留めていた、この状態で行かせたとしても死に行かせるようなものだった…だから止めるしかない
「…青葉…どうにかなんねぇか」
「翔太郎さん…いえ…お二人は瀕死…私も戦闘は無理なのでどうしようもないです」
翔太郎は悔しそうに目の前の現実を見る、血まみれで折れた足からは白い骨が見え隠れして倒れている須郷がいる
『ケハハハハ…』
須郷の体を指先で突き生きてるか確認する、だがピクリとも動かない須郷に飽きたのか化物は立ち上がりゆっくりと青葉達を見る
「…来るぞ、俺達とあいつの玩具に大変身ってか?」
「笑えないよ翔太郎…」
「笑えませんね……ん?」
ふと、目の端に映っていた柏崎の体が見えなくなっているのを青葉は気づいた
あの死にかけの状態で動けるわけでは無いだが実際にその場には柏崎はいなかった
「柏崎…さん…?」
血の跡を追って目を動かすと、化物の前に柏崎が立っていた…血だらけの体に金色の髪も血が付着して少し赤い
『ケハ?』
「…よぉ、化物…お前を殺しに来たぜ」
柏崎はナイフを取り出し一気に化物の距離を縮める、化物は軽く腕を振ると柏崎の足にぶつかり柏崎の足はくの字にへし折れる
そして柏崎は『走って』化物の懐まで近づきナイフを片手に登り始める
『ケハ!?』
体には無数の腕が生えており掴むには苦労はしない…化物は体を思いっきり壁に柏崎を間に挟み…背中からブチッという何かが潰れる音が聞こえた
柏崎は『未だ登り』化物の肩にまで来る
『ケハ?』
そして化物の右目にナイフを思いっきり突き立てる
『アアアアアアアァ!!!』
化物は見える片目を使い柏崎を捕まえ腕に力を込める
柏崎は抵抗するが少しずつ潰れ最後には下半身と上半身が千切れてしまう
化物はニタァ…と笑う…そして柏崎も『笑う』
素早く『立ち上がり』化物の肩に刺さっていたナイフを抜き
「これで最後だよ、化物」
もう片方の目にナイフを思いっきり突き立て、そのまま力を込める
『アアアアア!アアア!アアアアアアア!!!』
化物は柏崎の体を叩き、握り、壁に叩きつける
その度に柏崎の骨は折れ、潰れ、粉々になるが
『柏崎は死なない』
『アア…アアア…ア…』
そして少しの軽い感触と共にナイフは奥深くまで突き刺さって化物は動きを止めて、地面に倒れる
「化物が…倒れた…?」
青葉の一言で翔太郎と緋彩は我に返り戦場を見る、柏崎はゆっくりと立ち上がり青葉の方を見て片手を上げる…この日柏崎と超人達は『完成された眷属』を倒したとしてゲームは幕を閉じる
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新規情報
エイレーネー日本支部第1特殊部隊 隊長柏崎悟
能力
『他者にダメージを押し付ける能力』
どうも!ちょっと手直ししてたら普通に時間が過ぎてた、私です!
遅れてすみませんでしたああぁああああ!ちょっと…手直しが楽しくて…
さて!今回にて、第1章『超人編』は終了でございます!明日には後日談を投稿し、明後日には新章となります!
では明日、また次の話で会いましょう