ファースト・オブ・バレット   作:パルバール

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第51話『溢れ出る狂気』

 

「走れタヌキ!捕まっても良い事はなさそうだ!」

「分かってるよー!けどタヌキさん最近運動してないから…つらい!」

 

できる限り人気のない場所を目指す、俺達のかなり後方だが人々が追いかけて来ており少しずつその数が増えてるのような気がしなくもない

 

「柏崎君ー!これどこ向かってるのー?!」

「ちょっとな…くそっ!これじゃ行くに行けない…タヌキ!一瞬でもいいからあれ止めれないか!?」

 

と、俺は走りながら後ろの人々を指さす

 

「一瞬だけな…らっ!」

 

タヌキは近くのゴミ箱に手のひらを向け

 

『酷使せよ、万物の兵士』

 

そう唱えるとゴミ箱は意思のあるように他のゴミと連結して人の形になり群衆の前に立ちはだかる

 

「よし、タヌキこっちだ!」

 

タヌキの手を掴み小道の方に向かう

 

 

突然のゴミ箱に阻まれた群衆だが数の暴力でゴミ箱を破壊、そして小道に入る…がそこには誰もおらず電柱やマンホールしかない道が続いていた

人々はさらに奥に進んだのだろうと思い足並みを揃えてさらに進む

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

「…行ったかなー?」

「…恐らく…な」

 

俺はマンホールの蓋がちゃんと閉まってるか確認して下に降りる、ここは昔のエイレーネー日本支部特殊部隊の面々が作った秘密の通路で何ヶ所か入口があるが行き先は菊野がある山付近に出る予定だ…てかあの老人達が若い頃に作ったやつだ

 

「はぁー…疲れちゃったよー…」

 

そう言って壁にもたれて座り込むタヌキ、いつもなら笑い飛ばして先を急ぐように促すのだが…肩で息をしており顔も少し青白い

 

「…魔力がもうないのか?」

 

俺がタヌキの隣に座り尋ねる、横目で見てはにかむタヌキは溜息を吐いて冗談を言うように両手を上に向ける

 

「柏崎君止める時に大体使い切ってたからさー、もうすっからかん…それにタヌキさんそこまで魔力量は多くないのだー」

「…無茶させたな」

「無茶もしょうちのすけ!あれで使わなくても結局使ったろうし」

 

そう言って俺の肩を強めに叩き笑顔を向けてくる…地味に痛い

 

「それで、この後はどうするのかなー?」

「うーん…最優先事項は支部に帰還、もしくは…」

 

俺はあの顔を思い出す

 

「今回の重要人物…岡薗誠の捜索と確保だな」

「そうだねー…けどタヌキさんもう戦えないし走れないからついていけないやー」

 

タヌキは俺の方に倒れてきて頭の上に頭を乗っけてきた…肩ではない、何故か…

 

「タヌキさんがいないからって寂しがるなよー?」

「うるせぇ、このまま通路進めばエイレーネー支部近くだから援軍呼んどいてくれ」

「あいあいさー」

 

個人的には超人達がいいが…居場所が分からないし無理か

 

「んじゃ、そういう事で…気をつけろよ」

「そっちこそー」

 

俺とタヌキは立ち上がり、タヌキは通路を…俺は梯子を上りマンホールから外に出て探索を続ける

とりあえずは…情報集めからだな

 

───────────────────────

 

理性が戻り、感情が正常になり、罪悪感が芽生え…そして意識が朦朧になる

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

何回目の事だろうか、同じ事を繰り返し繰り返し…そしてまた繰り返す

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

「…ここは…」

 

男…岡薗誠は街中に立ち尽くしていた、周囲には人々が忙しそうに走り何かに追われてるように必死さを感じる

 

「ママぁ!ママぁ!」

 

何処からか子供の泣き声が聞こえる…誠は声がした方を向き走り出す

人混みに紛れ小さな女の子が泣いていた、その手にはクマのぬいぐるみを大事そうに握りしている

 

「おい、大丈夫か?お母さんは?お父さんは?」

 

できるだけ、目線を合わせるように怖がらせないように

気をつけながら誠は小さな女の子を宥めるように話しかける

 

「ママが…ママがどこかいっちゃって…」

「そうかそうか…よし!お兄さんに任せろ!」

 

そう言って誠は立ち上がり女の子を肩車する

 

「わぁ!」

「これで見えやすくなっただろ?お母さん見えるか?」

「えっと…あ!ママ!」

 

と、女の子が指を向けた先には焦った顔の女性が必死に何かを探してるようだった

 

「ママ!」

「ちーちゃん!」

 

女性は女の子の声に気づき近づいてくる

 

「すみませんうちの娘が…」

「いや、いいってことよ!人が多いからはぐれやすいからな!」

 

誠は女の子を降ろして女性の元に向かわせる

 

「本当にありがとうございます…ほら、ちーちゃんも」

「ありがとー!」

「おう!今度ははぐれないようにな!」

 

手を振り離れていく女の子と女性を見送る誠は自分の行いに満足する

 

 

「おやぁ?自分ではぐれる原因を作って自分で助けて…マッチポンプかな?誠くん!」

 

そんな軽い雰囲気の声が聞こえる、誠が振り向くとそこには茶髪に高身長の男…『A』が立っていた

 

「…お前…よく俺の前に現れたな」

「おやおや?おこかな?誠くんおこ?」

 

誠はそんなAの言葉を無視して懐から拳銃を取り出し構える

 

「ふざけるな!お前…俺に何をした…?あの夕方、お前に会ってからの記憶が曖昧なんだ…」

 

片手で頭を抑えるように、何かを思い出すように手を添える

 

「ぷっ、ぷははははははは!今更ぁ?君の心がもう少し強ければあと少しだけ早く気づけただろうにねー?」

 

拳銃の銃口を触り銃口を下に向ける、そして誠に近づき耳元に顔を近づける

 

「君が弱くワガママでなーんにも見えてないからこうなってるのさ、君が『強ければ』前までの日常が続いてたし君が『世界を』ちゃんと見えてればもっと良かったね」

 

誠の頭に手を置き無理やり視点を移動させる

 

「見なよ、今までは明日の為に働き誰かの為に色々な事をしてた人達は君が『ヒーロー』になる為に悪役になってくれてるよ」

 

視線の先には旅行者に『良い事』をしようとしてる人々、恐らく部下に様々な嫌がらせをしてたのだろう

スーツ姿の40代くらいの男の人が同じスーツ姿の若者達に蹴る殴るの暴行を受けていた

 

「ほら、君が止めれば『ヒーロー』になれる…僕が『君の為』用意してあげたステージだ…楽しむといい」

 

そう言って背中を押すAの顔はとてもいい笑顔をしていた、第三者から見ると『狂気を感じる笑み』だろうが…

 

「お前は…狂ってる」

「それは元々だ、人は皆狂っていてそれを表に出すか出さないかの違いでしかない」

 

誠は震える手を握りしめAに向けて殴りかかる

 

「…はぁ、君には残念だよ…親から教わらなかったかい?人の親切は受け入れましょうってね」

 

Aは避けず誠の拳を顔面に受ける…が、逆にダメージを受けたのは誠の方だった…その手は様々な刺傷を負っており痛々しい

 

「君の判断は自分の首を絞めてるようなものだ、自分のミスを反省するといい」

 

玉虫色の液体がAの顔の表面からドロっと落ち、Aは誠の体を押す

 

『酷使せよ、門よ』

 

押された誠は後ろ向きに倒れ…突如出現した扉の先に倒れていき…その扉はゆっくりと閉じる

 

「くふっ…ふふふ…さぁ…あと少しだ」

 

Aは笑いながら人混みの中に入っていき、まるで何も無かったかのように喧騒だけが響く

 

─────────────────────

 

「はぁー…どっこい」

 

近くの廃ビルの中に侵入して休憩する、何故かすれ違う人々から悪認定されるんだがこれは俺の顔が悪いんだろうか?誰が悪人顔だ

 

「たく…ん?」

 

廃ビルはもう長く使われてない…だが誰かがここにいた形跡がある、真新しい缶詰の缶が落ちていたのだ

 

「…ホームレスか…もしくは…」

 

部屋の扉を1つずつ開けていき…とある扉に鍵か掛かっていた

俺は少し後ろに下がり…思いっきり蹴破り中に侵入する、そして中にいた人影にナイフを向け相手もこちらに『拳銃』を向けてきていた

 

「…少し音が漏れてましたぜぇ?エイレーネーの」

「あんたは…」

 

暗がりから少しずつ現れるその姿…

 

「…龍?」

 

岡薗組の組長にして行方不明だった岡薗龍、腹に荒い治療した形跡があるが五体満足の男が拳銃片手に俺に苦笑いを向けてきたのだった




どうも、この時間に投稿するの何気に初めて私です

今回はちょっと進展が少ない…ぐらいです、次からはサクサクと物語が急変するかも…しないかも…いやするかな?

では明日、また次の話で会いましょう
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