俺は腹の傷口を見る…あまりいい状態ではない、このまま放置したら長くは生きられないだろう
「まったく…こんな傷を受けるのはらしくないんじゃないか?龍」
「いやはや…なーに、ただへそが1つ増えただけだ」
と、言って葉巻を咥える
「何があったんだ?」
俺は龍に尋ねる、この傷はどう見ても銃弾による傷口で貫通はしてないが酷い傷には変わりない
「一言で言うなら…迷いによる失敗…とでも言おうか」
「迷い?」
葉巻を深く吸い吐き出す、傷口が痛むのか僅かに苦痛の表情を見せるが俺の方を向き口を開く
「あぁ…あんたは誠を見たか?」
「誠か、ここに来る前に見たぞ…かなり雰囲気の違ったが」
最初見た時は正義感溢れる青年だったが…いやメンチ切ってきたから普通の不良だったわ
そして俺とタヌキを襲うように言ってたのも誠だ
「今思い返せばあいつは少しおかしかった、あいつは俺に銃向ける事はない…が俺に向け発砲した…この意味が分かるか?」
「まぁそれだけ聞くなら誰かにそそのかされてやったようにも思えるな」
龍は歯ぎしりをし、悔しそうな表情をする
「俺の息子に、俺を殺せと強制した奴がいるって事だ!」
近くにあった缶詰を壁に投げる、壁に強くぶつかった缶詰は中身を撒き散らし地面に転がる
「俺は生き延びた後、そいつを探す為に情報集めをしててな…そして1つの場所を見つけた」
そう言ってポケットから何かを取り出す、それはこの街の地図である1箇所に丸印が付けられていた
「…ここからそんなに遠くもなく近くもなく…」
「あんたが来る前に行く準備をしててな、つまり丁度だったわけだ」
立ち上がり俺の方を見る龍
「ついてきてくれねぇか?俺一人じゃキツい」
「それはいいんだけどよ、何があるんだ?ここに」
ここ、つまり丸印の箇所を指す
「実は前から余所者がかなり集まる場所が報告されてたのを思い出してなぁ…見に行ってみたら案の定『ローブ姿』の男が建物に入っていくのを見てよ」
「ローブだと?」
ローブ姿の男…もしかして
「そいつ茶髪でそこそこ身長高くなかったか?」
「ん?んー…どうだったか…あぁ、確かそうだったなぁ」
違う可能性もあるが…奴が絡んでる可能性が高い
『A』が
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『それ』はどこにでもいる、近くにいたり、遠くにいたり
ただ分かるのは『それ』はかなり巨大で醜く
そして無限の力を持っている
──────────────────────
「ぐっ…」
「おい龍大丈夫か?」
痛みで膝をつく龍を立ち上がらせる
「無理なら戻った方が…」
「うるせぇ、俺が決めたことに口を挟むんじゃねぇ…エイレーネーの」
ニカッと笑う龍に溜息を吐く、大丈夫なのだろうか
「それよりも…誰もいねぇな」
「あぁ、見張りくらい1人立ってたっていいはずなんだが」
今俺達は件の建物に来ていた、構造はビルと同じらしくかなりわかりやすい
窓ガラスにガムテープを貼って叩き割り侵入する…龍には泥棒の手口とか言われた…
「さて、龍?援護任せたぞ」
「誤射っちまったら許してくれよぉ?」
「HAHAHA、その時は化けてお前の首筋を切ってやる」
笑えないジョークを言う龍を黙らせ、1つずつ扉を開けていく
中は特に何かあるわけでもなく…ある1つの扉に鍵がかかっている事ぐらいか
3階の真ん中の部屋の扉、耳を当てると中から一人分の息遣い…俺は後ろにいる龍に手で来るように伝える、気づいた龍は扉の前に来て俺の顔を見てくる
「(やるか?)」
「(やるっきゃないだろぉ?)」
龍は扉の鍵穴に拳銃を向け、発砲
その次に俺が素早く扉を蹴破り中に入って周囲警戒をする
中は埃っぽく長く使われた形跡はない…そして暗がりの向こうに1人の人影が横に倒れていた
「…龍」
「任せなぁ」
龍にいつでも発砲するよう頼み懐中電灯を向ける、照らされる明かりはゆっくりと人影に移動し…1人の青年が倒れているのがはっきりと分かった
「誠!」
龍は倒れてるのが誠だと分かった瞬間傷を負ってるとは思えない程の走りを見せ倒れてる誠の横に膝をつく
「おい、誠!」
誠の上半身を持ち上げ頬を叩く龍、だが誠は目覚める様子はない
「龍、生きてそうか?」
「勝手に殺すんじゃねぇ!…生きてる、だが何でこんな所に」
「さぁな、とりあえず聞きたいことは山ほどあったし今はそいつを連れて帰ろう」
「あぁ…」
龍は誠を背負って立ち上がる時苦痛の表情になる
「大丈夫か?なんなら代わってやるが」
「大丈夫だ…こいつもでかくなりやがって」
「今ちょっと俺が小さいってディスらなかった?」
俺が先頭を歩き進みその後に龍が続く、龍は誠が心配なのかしきりに誠の顔を見ようと顔を向ける
「まったく、お前の腹に穴開けたのそいつだぞ?」
「お前さんは分かってねぇな、子がやった事は寛容に受け止めて間違ってたら叱ってやるのが親の仕事ってもんだよ」
「ちなみにその判定だと誠は?」
「カミナリ親父みてぇにブチ切れよぉ」
と、カカカッと笑う…さっきまでの切羽詰まってた顔から一変して安心しきった顔だ
「…ん…ここは…」
話してると誠が目覚めたのか龍の背中で顔を上げる
「よ、元気にしてたか?誠ぼっちゃんよ」
「てめぇは…!」
と、俺を睨んだが自分が背負わられてるのに気づいたらしく顔を下に向ける
「龍さん…?」
「気づくの遅くねぇか?誠」
「龍さんなんでここに…?」
「いやなに、ちょっと今回の元凶を見つけてとっちめようとな」
と、笑顔で言う龍…だが誠はそんな龍に恐怖と顔を向けていた
そして無理や龍の背から降りて距離をとる
「誠…?」
龍は困惑した顔をする
「今までの事を隠してたのがやっぱり許せなかったのか…?…すまない…だがこれはお前をこちら側に来させるのはまだ早いと…」
頭を下げ言葉を並べていく龍、しかし誠は頭を抱えて苦しそうに呻いている
「誠!どこか痛いのか?帰ろう、医者に見せれば…」
「…せいだ…」
ボソッと呟く誠
「俺の…せいだ、俺があいつに出会わなければ、俺がもっと強ければ…!」
「誠…?」
「お、おい龍?どうにかして静かにさせろ、敵がいたら気づかれるぞ」
とにかく龍に頼み俺は周囲警戒をする、龍は色々な言葉を使い誠に言うが…
「俺がいけなかったんだ…俺が…なれないものになろうとしたから…皆…俺のせいなんだ!」
「誠!お前は悪くない!お前に強制させた奴が…」
「俺が全部やったんだ…俺が…」
そう言い膝をついて泣き崩れる誠…そして俺は気づいた事がある、まず誠から紫色のオーラのようなのが出てる事…そしてそれは龍、俺を通り抜け続いていた
何気なく振り向くと
『それ』は当たり前のようにそこに鎮座していた、泥を上からかけたような若干三角形の形で丸みがあり玉虫色の『それ』は1つの大きな目で俺達を見ていた
そして誠から出ていた紫色のオーラは『それ』に吸収されるように消えていき…大きくなる、もう天井スレスレだ
「…龍、ヤバいかもしれない」
「なんだエイレーネーの!こっちは今大変なん…だ…」
龍もこっちを振り向き気づいたのか声が途切れる
「…なんだこりゃ…」
「逃げるぞ、できるだけ刺激しないように」
龍と俺は誠の近くまで移動しようとした…しかし『それ』は突然震え…その全身…?から何かがこぼれ落ちる
それは小さな…眼球に手足が生えたような…そんな姿だった
玉虫色の『それ』は増えていき10体程だろうか
『俺達の方を向いて歓喜するように上下に割れ歯が見える』
「龍!誠を立たせて逃げるぞ!」
俺は危険を感じ体を180度回転させ走り出す、それと同時に眼球のようなそれは一斉に俺達に向かってくる
「くそっ!誠、立てるか!?」
龍は誠を立たせようとするが誠はフラフラと立ち上がればしたが歩くのが精一杯だろう
「龍、こうなったらやるしかない!弾は何発ある!?」
「今中に入ってるのも入れて15発だ!」
と、言いながら眼球の1体に発砲する
当たった瞬間眼球は爆散して消えた…が奥からまた数体生まれ俺達の方に向かってくる
「そらよ!」
接近してきた5体を切り裂く、5体全部爆散するが…キリがない気がしてきた
「…エイレーネーの、あんたは誠と先に行きな」
「お前はどうするんだよ」
「俺はできるだけここで耐える」
龍は発砲して眼球達を牽制する、あぁ…そうか…こいつ…
「んじゃ、またな」
「あぁ、またな」
俺は嫌がる誠を引っ張り階段を下りていく
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「行ったか…はぁ、たっくよぉ…長生きするのは良くねぇな…こんな敵と戦わないとならないってよぉ…」
葉巻を吸いながら発砲、1体倒すがまだ奥からやってくる
「…貸りを返すぜ、優人さんよ」
龍は拳銃を構え発砲をする
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「離せ!離せよ!」
「黙ってついてこい!」
嫌がる誠を引っ張り下を目指す、このまま外に逃げてエイレーネー日本支部に行って…対策を
「離せって言ってるだろ!」
誠は俺の手を無理やり振りほどき立ち止まる
「なんで龍さんを置いていったんだ!戻って龍さんを助けないと…」
そんな事を言う誠の顔面を俺は殴り服の襟を掴み壁に叩きつける、誠は痛かったのか苦しそうに呻く
「な、何しやが…」
「龍の覚悟を踏みにじるな」
できるだけ高圧に、誠に分からせるように言う
その効果もあって誠は静かになる
「龍はな、お前と俺を生かすためにわざわざ『囮』になったんだぞ?」
「な、なんでだよ…お前強いんだろ?龍さんも強いし皆で力を合わせれば…」
「それが出来てたら苦労はない」
俺は今持ってるナイフが1本、龍は拳銃の弾があと15発で誠は戦えない…そして『あれ』は恐らく地球上の生物じゃない
眼球には攻撃が効いてもあの本体をどうにかしない限り倒せやしない
「俺のナイフは元々あんなのを相手するように作られてない、多少魔力が宿ってるが気休め程度だ」
カクロならどうにかなったが…今のナイフでは数回切るだけで折れるだろう、ましてや倒せるとは限らない
「だから龍は俺達を『逃がして』くれたんだ」
「…」
黙り込む誠、俺は力を緩める
「だから俺達は逃げなければ…」
『があああああああああああ!!!!』
誠に言ってる途中で、何処からか男の苦痛の叫び声が聞こえる
「やばい…龍がもう…逃げるぞ誠…!?」
突然の衝撃と浮遊感、そして地面に倒れてしまう
「あ、この!誠!」
俺の目線の先には誠が上を目指して走り出していた
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失いたくなかった、もうこんなのは嫌だった
いったところで何も出来ない、むしろ邪魔にしかならないかもしれない…だが
「それでも、じっとしてれない!」
誰かに頼るのは嫌いだった、例え無力だったとしても
階段を上がり廊下に出る、そこには倒れてる龍と
『龍を捕食してる眼球達が群がっていた』
「あ…あぁ…ああああああ!!!」
必死に近づき、眼球を蹴り殴り引き離す
だが群がっていた眼球達は誠にも群がり初めて
『捕食される』
「がぁ!この!くそ!」
殴り蹴り引き離し…だが減る事はない
「馬鹿野郎!」
そんな声が聞こえて群がる眼球達はどんどん弾け消えていく
「誠!龍を頼むぞ!」
群がっていた眼球達を全て倒し本体に攻撃していく柏崎、誠は痛む噛み傷を抑えながら龍に近づく
「龍さん」
誠は倒れてる龍の横で膝立ちになり話しかける、龍はうっすらと目を開け誠を見る
「ぉ…おう…お前なんで…逃げなかったんだ…」
「龍さんを見捨てて逃げれるかよ!今までは守ってくれてたけどよ!今度は俺が守るぜ!」
「はは…そうか…そりゃ…頼りがいが…あるな」
「だろ?」
そんな血は繋がってないがよく似ている親子の会話が弾む
「俺実は龍さんに隠してたんだけどよ!トレーニングしてたんだ!だから昔の俺とは違うぜ!」
「そうか…そうか…」
「あぁ!構成員達は全員倒せるんだ!すげぇだろ!」
「…お前は…最後まで親父とは…呼んでくれないんだな…」
誠はピタッと喋るのをやめる
「…あぁ、何度でも言ってやるよ…だから…立ってくれよ…親父」
龍の体は片腕が無く腹が破かれ内蔵はひとつも残っておらず生きるのは不可能だった
「…誠、お前は優しくて強い男だ…お前が今後の未来を切り開いていくんだ…」
「………」
「お前は自慢の…………」
龍の言葉はそこで途切れ、喋らなくなる
「…俺は…」
「俺は…岡薗誠、岡薗組『組長』で『ヒーロー』だ」
言い終わると同時に誠の体は淡く輝き…
─────────────────────
「くそ、何体出てくるんだ!?」
群がってくる眼球を切り裂き進もうとするが止めどなく生まれてくるので上手く勧めない
「このまま…じゃ…?」
俺の横を何が高速で横切り眼球達を倒していった、その姿は全身を装甲で守られその姿はまるで…
「ヒーロー?」
子供の時思い描いたヒーロー像、それが眼球達を倒していき
『唸れ!この1発に全てを!』
そう叫び天井まで大きくなった『それ』に拳を突き出す
『それ』はバラバラに弾け飛び眼球と本体は消える
「…誰?」
そんな疑問が残るが、まぁ助かったので良しとしよう
───────────────────────
今日この日、世界に新たな『超人』が誕生した瞬間だった
どうも、今回は長めのわたしです
ちょっと筆が乗って…載って?まぁいいか(適当)
では明日、また次の話で会いましょう