道中のトラップを解除したり破壊したり…俺とタヌキは屋上を目指す、ここまで来たらガスマスクは外してもいいだろう…俺はガスマスクを外しヘルメットも取る
「おやおやー?装備を外して大丈夫なのかなー?」
「いいんだよ、お前知ってるだろ?俺は素早く動けないと意味がないんだ」
超人のように超次元的な身体能力がある訳でもなく、他の隊員達のように便利な能力でもなく…ナイフの技術が少し高いだけの俺があいつらと肩を並べる為にはナイフの技術を磨き長所を生かすべきだ
「…それより、タヌキはよかったのか?」
「何がだーい?」
タヌキは歩きながら俺の方を向く
「お前は情報屋だ…俺と一緒に来なくても」
情報屋のタヌキは戦闘は得意ではない、魔術師ではあるがそこまで強くもなく…ついてくるメリットは無いはずだ
「んー、借りかなー」
「はぁ?」
おちょくるように指で俺の側頭部を突いてくる
「タヌキさんはタヌキさんなりの借りが柏崎君にあるんだなー」
「借りって…お前会ってから特に借りを作るような事は無いはずだが…」
頭の中で記憶を掘り返してみる、だが特にタヌキには…あ、400円貸したな
「…無理して来なくてもいいんだぞ?」
「タヌキさんが勝手についてきてるだけ、嫌なら追い返せばいいんじゃないかなー?」
ごもっとも、だが今は戦力は多ければ多い程いい…しかも敵が魔術師となると…
「…いや、一緒に来てくれ」
「よろしいー、タヌキさんは素直な子が好きだな」
と、ウィンクしてくるタヌキにイラッとしたが反応すると面白がるので何か反撃せなならん
「あー、そうだなぁ…タヌキさんに好かれて嬉しいなぁ…今度海にデート行かない?…なんつって」
言ってたら恥ずかしくなったぞ?あれ?おかしいな…もっとこう…すらっと言うはずが最後に冗談にしようとしてるぞ…
流石に馬鹿にされるか…そう思いタヌキの方を向くと
顔を真っ赤にしてあわあわと慌ててるタヌキ…俺の視線に気づいて両手で顔を隠す
「ち、違うんだよ柏崎君!タヌキさんはね!その…べ、別にあれだよ!?夏だからって男の人と海とか…そんなの別に憧れてたとかそんなのじゃないんだよー?!」
と、かなり大振りの拳が飛んでくる
「危な!?わ、分かったからタヌキ落ち着け!今はこんな事してる場合じゃないだろ!」
「こんな事とはなんだー!タヌキさんにとっては大事な事なんだぞー!」
と、聞く耳を持たないのでトラップに引っかからないように誘導しながらタヌキの拳を避けながら上を目指す、大丈夫なのだろうか…
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「えっと、柏崎君…ごめんね?」
「次は怒るからな」
屋上に繋がる階段の踊り場で俺は頬をさする、避け損ねて顔面に一発いいのをもらったのだ
「け、けど柏崎君がいけないんだぞー!次あんな冗談言ったら柏崎君のあんな情報やこんな情報横流しにするからなー!」
「…冗談じゃなかったんだがな…」
聞こえないように呟き俺は装備の確認をする
「それよりタヌキ…いると思うか?」
「…いるねー、隠れる気はゼロ…そしてどうやら戦う気は十分らしいねー」
「そうか…」
俺は…あいつを何処かで会った気がする…A…あの眼鏡を拾ってから俺の記憶にまるで思い出せと言うように問い掛けてくるような…
「柏崎君?」
「ん、あぁ…ちょっと考え事だ」
顔を覗き込んでくるタヌキに気づかれないように気持ちを切り替える
「…行くぞ」
「いつでも〜」
踊り場から階段を一段ずつ上がっていき屋上に出る扉のドアノブに手をかける…鍵は当たり前だが掛かってないようだ
ゆっくりとドアノブを回し押し開ける
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空は未だに玉虫色の空によって月明かりが遮られ淡い光が地上を照らす、そして街のある方角から破壊音と銃声と悲鳴が聞こえてくる…どうやらあそこで戦闘が起きてるようだ
この街に俺達以外いないような感覚になるが…どうやら街の人々はちゃんといて、無事なようだ
俺は屋上を歩き進む、タヌキも俺に続くようについてきており…俺達の視線はある場所に向いていた
「…見てごらんよ柏崎くん、人が生きる為に頑張って戦ってるのを見ると命とはなんて素敵なんだと思えないかい?」
「…それを見る為に『神』を呼ぼうとは思えないな」
「あれ?共感できなかった?まぁしょうがないよね、僕と君は同じではなく違う人同士なんだからね」
そう言って屋上の金網の上に立ち街を眺めていた男…Aは俺達の方を向く
茶髪の茶目、かなり身長は高く黙ってればイケメンの分類に入るだろう
「よっと、僕としては君と僕なら分かり合えると思ってたんだ…本当だよ?」
金網の上から降りて笑顔で俺の方を見るAの顔は仮面のような感情の無さを感じた…まるで笑顔という仮面を付けてるような
「お前の目的はなんだ?何のために俺達…エイレーネーと超人…街を狙った?」
「簡単な話だ…」
そう言ってAはゆっくりとこっちに近づいてくる
「君と話したかったんだ」
「…は?」
「ん?分からなかったかな?君と会ってゆっくりと話したかったんだ」
近づく早さを変えずに笑いながらやってくるAを俺はずっと見ていた
「僕はね、君にずっと会いたかったんだ…数十年も…ずっとずっと…君と話して君と笑って君と日常的な時間を体験したかったのさ」
距離が縮まる、敵に近づかれてるのに俺はピクリとも動かない…まるで第三者目線から見てるような…
「今までは許されなかった…けどもう僕は自由だ!だから柏崎くん」
Aは俺の目の前に来て上半身を折り俺の耳元に顔を近づける
「『助けて、柏崎くん』」
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「柏崎君!起きろ!」
「ぐっ…」
思いっきり頬を殴られよろめく…なんだ…?
「さっき殴っといて正解だったよ…痛みが継続してるからタヌキさんの殴りでも引き戻せた」
拳をさすってるタヌキと降り立った場所から動いていないA…
「何が…」
「君は幻覚を見せられてたんだよ…どうにかタヌキさんが目覚めさせたけど」
俺が幻覚…?Aを見ると笑顔をこちらに向けている
「あちゃー、そこの女性は魔術師だったのか…魔力が少なすぎて気づかなかったよ」
「残念ながらタヌキさんはそちらの幻覚は効かないよー?その類は抵抗できるようにしてるのだ」
タヌキは俺の前に立ち右手をAに向ける
「これ以上柏崎君に小細工するならタヌキさんが相手するよー?」
「おぉ、怖い怖い…そうだね、おしゃべりより戦った方がいい気がしてきたよ…君がとても邪魔だからね」
そう言ってローブをはためかせ両手を広げるA
『酷使せよ』
Aの全身を包むように地面から玉虫色の液体が溢れ出てきてAの顔はドクロの仮面のような形になった玉虫色の液体によって見えなくなる
『さぁ始めよう、悪と悪の戦いだ』
滴る玉虫色の液体を操りジリジリと距離を詰めてくるA
「柏崎君、いけるかな?」
「あ、あぁ…」
俺は曖昧な返答しか出来ずにいた、頭の中でずっと響くあの言葉
『助けて、柏崎くん』
その言葉が何故か、心を苦しめる
いったい誰の…言葉だ…?
どうも、今回の件を続けて書こうか悩んだ私です
今回は明日の為に少し短め、明日はとうとうAの実力がいかなものか判明します。お楽しみに
では明日、また次の話で会いましょう