ファースト・オブ・バレット   作:パルバール

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第63話『ラストダンス』

誰かの為に戦い

親友の為に自分を殺し

 

血反吐を吐くような訓練を耐え

血反吐を吐くような呪文を繰り返し

 

その末に辿り着いたのがここなら

その末に辿り着いてしまったのがここなら

 

天国のような場所なのかもしれない…

地獄だ

 

──────────────────────

 

「あれ?もうおしまいかい?やっぱり魔力量が少ないと持って15分か」

「…何言ってるのかなー?タヌキさんはまだ負けてはないよー?」

 

膝をつき肩の傷口を手で圧迫させ止血する、全身ボロボロで視界も掠れて見えるがまだ『戦える』…タヌキは鈍っていく思考を回転させこの状況を打開させる作戦を考える

 

「今君の周りには眷属を配置させてる、僕の合図1つで君は串刺しになるって事は理解できるかな?」

「さっぱりだねー、まだ負ける要素にはなりきれてないよー?」

 

残り時間は5分程度…残り5分で『地獄』が始まる、柏崎は戻ってこない…向こうではまだ戦闘が続いており誰も来るはずがない

万事休す…と諦めるのは嫌いだった、だから負けを認める事はできない

 

「はぁ…諦めが悪い…それに僕を倒した所でこの現象は終わらないよ?」

「っ!?」

 

タヌキがずっと戦っていた理由、格上の敵に勝てないと分かっていても戦闘を続けていたのは魔力切れを狙っていたのだ

元々『神降ろしの儀式』は膨大な魔力を必要として1人でやろうとしても無理で普通は大人数で集中しなければならない

 

が、目の前の男は1人で行っていた

つまり膨大な魔力を保持して尚且つ儀式に魔力を供給してるのなら魔力切れを起こさせる…これがタヌキの狙いだった

 

「君は僕が1人でやってると思ったかい?残念ながら準備は柏崎君が詐欺組織を壊滅させた時から既に始まってたのさ」

 

詐欺組織、街にやって来て騒ぎを起こしエイレーネーに消された…

 

「人が亡くなればそこには僕の神様の眷属が生み出される、そしてその眷属は街を囲むように配置され…あとは僕が様々な方法でかき乱すだけだ」

 

そう言ってAは人差し指を立てる

 

「まずは超人に恨みがある連中を操り超人と衝突させ、眷属を作り、そして街を攻撃する」

 

2本目の指を立てる

 

「そして大手宝石店の主催された展示会で暴れさせ、街の人々に不安を植え付ける」

 

3本目の指を立てる

 

「最後は超人に覚醒する前の可哀想な少年に夢と希望を与える、そして僕は堂々と『儀式』の準備をする」

「…それだけではその魔力量は説明がつかないなー?」

「まぁ落ち着けよ、どうせ後…4分程度かな?そんな命だ」

 

そう言って4本目を立てる

 

「『儀式』には大量の魔力を使用する…僕でもそこまで多くはないから『街の人々』から貰ったのさ」

 

最後に5本目を立てる

 

「人々の『恐怖、不安、悲しみ、嫉妬、苦しみ…罪悪感』それは僕の神様にとっては『魔力』になりうるのさ、皆は許されたい、僕は魔力が欲しい…だから僕が『許されるように』してあげて『魔力』を貰ってたんだ」

 

街の人口は軽く都市部以上いる、その全員から少しずつ貰ったとしても軽く数百人分の魔力量になる

 

「悲しいよね、僕もここまで魔力が集まる事に気づいた時は驚いたよ…皆我慢して辛い思いして生きてるのが丸分かり…だから僕が『楽にしてやろう』」

 

そう言ってAは時計を見る、時刻は20時57分…神降ろしの儀式完了まであと3分

 

「…さぁ君はどうする?このままここに居ても…」

 

タヌキに笑顔を向け話しかけたAの足を地面に広がってた玉虫色の液体から出てきた『手』が掴む

驚きながらも何かを確信したようなAはその手を掴み引っ張る

 

「……ぷはぁ!うぷっ…」

 

玉虫色の液体から出てきたのは柏崎悟だった、口と鼻から玉虫色の液体を吐き出しむせている

 

「柏崎君!」

「あぁ…柏崎くん…君が戻って来たって事は…思い出したんだね…」

 

Aはむせている柏崎の顔を見るように両膝をついて背中に手を置いてさすってあげる

 

「…あぁ、久しぶりだな…」

「柏崎くん…!」

 

Aは嬉しそうに顔を明るくして柏崎に抱きつく

 

「嬉しいよ…また遊ぼう、最近いい本を見つけたんだ…君ならきっと気に入ってくれるよ、あと僕の友達がいるんだ!君が僕を忘れてた時ずっと一緒にいてくれて僕を助けてくれたんだ、君にも合わせたいんだ!僕達が揃えばきっと…」

「あぁ…それは楽しそうだな…けど」

 

柏崎は言葉を止める

 

「けど?」

 

Aは不思議そうに柏崎の顔を見ようと顔を下げる

 

「けどな…それは先の話だよっ!」

 

柏崎の渾身の右ストレートがAの頬にクリーンヒットしてAは1m程吹き飛んでいく

 

「お前が誰か知らねーし!まず敵だわ!アホ!お前をぶっ倒してこの儀式終わらせてその後じっくり拷問部屋で聞いてやるよ!」

 

倒れているAに指をさして怒りの表情で言う

 

「あとこの玉虫色の液体の味凄く不味いんだけど!」

 

味が悪いから機嫌が悪いらしい

 

「…あぁ…君は僕を『忘れたままなんだね』」

 

玉虫色の液体がAの体を持ち上げ全身に纏われる

 

「柏崎君!もう時間が無いよー?!」

「あぁ!けどやるっきゃ…っと!」

 

突然何かが飛んできて柏崎が咄嗟にとる、それは黒い刀身が光る柏崎の愛用してるナイフと形が瓜二つの存在

 

「…タイミングバッチリだなカクロ、お前ちょっと待ってたろ」

『ニャッ!』

 

どうやら図星らしい、刀身から冷や汗がポタボタ垂れている

 

「んじゃ、なんか新しい能力あるらしいし…さっさと終わらせるか」

「…君は変わらないね…柏崎くん…さようなら」

 

Aは全身の液体を、柏崎はナイフを構え最後の戦いを始める

 

残り時間、約3分




どうも、今日の後書きはおやすみです

明日、また会いましょう
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