元々は違う部隊名だった、だが俺が第1特殊部隊の隊長になって部隊名を考える時…俺は1人だった
天田もいたが怪我の影響で前線に立てずオペレーターに転職した、1人だけの部隊…いわく付きの部隊…誰もそこに入ろうとはせず…
俺は1人でもいいと思っていた、生半可な奴が部隊に来るくらいならむしろ1人の方が気楽ではあった
ただ…
矢本が部隊に入り副隊長になって
雨宮が、雨森が、宮島が、宮本が、エンが第1特殊部隊に入ってくると何故か居心地が良くなり部隊名を決めるに至った
第1特殊部隊『バレット』
『ファースト・オブ・バレット』
最初の弾丸、守る為に…もしくは後々の奴らが倒しやすいように俺が戦う
例え死んでしまったとしても守れればそれでいい、撃った弾は強力だが帰ってくることはない…そういう意図で部隊名を『バレット』にしたのを知ってる者はいない…はず
タヌキと天田と支部長くらいにはバレてるかもしれない
さて、鉄砲玉は鉄砲玉らしく敵を倒すとしますか
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お互いの武器を構えていたが、突然Aが構えを解く
「…ん?なんだ?降参か?」
「そんな訳ないだろう?…僕は君を知ってるけど君は僕を知らないと思ってね、自己紹介をしようと思う」
そう言ってAは両手を広げ不敵に笑う
「僕はAさん、大魔術師が集う『6席会』の『6席目』であり死を司る神の宗教、ナイトウォーカーの教祖だ」
Aは俺に目線を向ける、やれってこと?しょうがないな…
「…柏崎悟、エイレーネー日本支部 第1特殊部隊『バレット』隊長、無宗教だ」
「うん、なんかそれっぽくなったね」
Aと柏崎は何故か少しワクワクしたようで体を揺らしてる
タヌキはちょっと分からなかった
「…さて…正義執行の時間だ」
ナイフを構え、液体を振るい…魔術師とエイレーネーの戦いの火蓋が切って落とされた
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タヌキの予想時間であり神降ろしの儀式完了まであと2分くらい…スピーディーにそして確実にAを倒す必要がある
「…カクロ、全力で行くぞ」
俺の問いかけに応じるようにカクロから俺の中に暖かい何かが流れてくる、そして体を包むように力が湧き体が軽く感じる
本当は調整がまだ上手くできないカクロの為に魔力を温存するのだが…時間が無い、一気に魔力を送り身体能力強化に
「へぇ、そのナイフは加護を持ってるんだね」
「言っとくがこの状態になれば俺は負けないぞ」
「言うねぇ、んじゃ始めようか」
そう言ってAは手首を動かして指を上に向けた
すると下から殺気を感じ、俺は横に回避し避けると俺が立っていた場所には玉虫色の槍が生えていた
「くそっ!詠唱は必要なかったのかよ!」
「手の内はあまり見せたくはないからね〜、ほら避けないと串刺しだよ?」
そう言ってAは手を横に振る、俺がいた場所にどんどん槍が地面から生え何度か当たる寸前のもチラホラあった
いつもの俺なら5秒とかからず串刺しだろう、だが
「俺にはこいつがいる、いくぞ!カクロ!」
『ニャッ!』
カクロから流れてくる感覚と共に走る一歩にかけられる力が増えていく、視力は遠くの物も見えそうな程高められAの動作の一つ一つが鮮明に見える
「動きが良くなったけど、逃げ場がなかったら意味ないよねっ!」
両手を広げ真ん中に向かうように手をクロスさせるように腕を上に上げた、すると俺を囲むように玉虫色の棘が飛び出て向かってくる
「ほら、避けてみろよ」
360°全ての方角から飛んでくる棘の集合体、ナイフを構え1番生き残れる選択を考え当たる寸前に回転するように棘を切る1番近い棘を切り次に近いのを切り…これはカクロの身体能力強化が無ければ不可能だった、だが今なら出来る
「舐めんなぁぁぁぁあ!」
棘が密集してない場所を見つけそこに攻撃を集中させ外に飛び出る…が、飛び出た先にはAが立っており腕をこちらに向け笑っていた
『酷使せよ、死者の手』
地面から大量の手が生え空中にいた俺の足を掴み、俺は地面に叩きつけられ持ち上げられまた叩きつけられる
視界がチカチカし始めて鼻が折れた感触と鼻血が垂れ歯が折れ頭蓋骨に鈍い音がした
「ほらほら!どうしたんだい柏崎くん?さっきまでの威勢が台無しじゃないか!」
そう言ってさらに玉虫色の液体を出現させ追撃をしようとしているのを視界の端で確認して俺は足を掴んでいる手を切り地面に着地する
「あれ?あぁ、それ魔力も宿ってるのね…まぁいいさ、どうせいつか捕まる」
玉虫色の液体を操り俺の逃げ道を潰すつもりか左右に壁を作るように玉虫色の液体を配置する
「はい、これでチェックメイトだね…さっさと諦めてくれると僕は君を苦しませる事はしないと約束するよ」
勝利を確信した顔、油断した顔…絶対的な自信の表れであり『その時を待っていた』
俺は地面を思いっきり蹴り前に前進する、カクロから強化を貰ってはない…だがそれ以上の速度でAまでの距離を埋める
超人緋彩程ではないがそれに迫る瞬発力で近づきナイフを振るう
「っ!」
Aは咄嗟に体に纏わせている液体をナイフの当たる場所の脇腹に集めるが…カクロは玉虫色の液体をも切り刻む
ナイフは根元まで深く刺さりAは吐血する、このチャンスは逃せない…Aの顔を殴りナイフが刺さった場所を蹴り最後にそのヘラヘラした顔に頭突きをして後方に下がる
「…へっ、どうだ?カクロは凄いだろ?お前の自慢の玉虫色の液体は意味を無くしたぜ?」
顔を抑えてふらついているAに俺は話しかける、体にかかる負荷が酷い…これが魔力を使い過ぎた状態のようだ…気をつけなければ
「…柏崎くん、君は頭蓋骨が割れた筈だ…何故『血が止まってる?』」
俺は服の袖で頭の血を拭うと生まれたての赤ん坊のよう…とは言わないが傷一つない綺麗な状態の額が見えることだろう
あの黒いガキが俺に押し付けた能力が生きるとは…
「…君の能力は確か押し付けるだったかな…つまり誰かに押し付けたって訳か」
「いや、俺は誰にも押し付けてない」
新しくなった能力…それはダメージ等を『一旦保留』できる
という能力のようだ、ま…それだけではないらしい
「ほら、避けないと死ぬぞ!」
一気に加速してAを翻弄するように移動する
Aは玉虫色の液体を自分の周囲に集め棘を作り周りに飛ばす
俺の体に何本も刺さる棘…それら全部『抜け落ち』俺の体の傷は無くなって『さらに加速する』
「っ!さらに身体能力強化系か!」
Aは槍を作り出し俺に向け飛ばすが今の速度の俺に当てるのは至難の業だろう
ダメージを負う度に俺の体は『加速』していく、これを使う為には痛みが伴うが…今はそんな事を気にしてる暇はない
「くっ!『酷使せよ、障壁!』」
飛び掛りナイフを振るう俺とAの間を壁のようなものに阻まれる、これは壊す場合当てないと無理だな…障壁を利用して蹴って後方に飛んで地面にナイフを刺す
「…よく分かったね」
「動きが単調になってるぞ、目線でバレバレだ」
ナイフを抜きしばらくすると刺した穴から玉虫色の液体が溢れてくる、俺を殺す為に配置してたのだろう
「諦めろA、お前はもうおしまいだ」
今の俺なら時間をかければAを倒すのは容易だ…だが時間がもうない
「…そうかい…大丈夫…僕は負けないよ…」
突然Aが下を向き1人言をし始めてる、その顔がよく見えないが…笑ってる…?
「柏崎君!上!」
避難してたタヌキの声に俺は空を見る、玉虫色の空…そしてここのすぐ真上の色が七色に変色し始める
「くそっ!」
まだ間に合う筈だ、俺は地面を蹴りAに接近する
「大丈夫…僕は…君の信者だから」
目の前まで接近出来た俺はナイフを振るいAの喉を狙う
だが、Aはそれを予測してたように俺の腕を掴んで止める
「くっ!」
「はい、捕まえた…諦めなよ柏崎くん、君は僕に勝てない…君がどんなに頑張っても僕は強い、君では僕に勝つ事なんて不可能だよ」
その肉体では考えられない程の力で動きを封じられ動けない
掴んだ腕を持ち上げ目線を合わせてくる
「…あぁ、俺だけじゃ勝てないな…けどな、お前とは違うところがあるんだよ…A…俺にはな」
そう言って掴まれてない腕でAの襟を掴む
「俺は1人じゃない」
次の瞬間、Aの体を有刺鉄線が絡まっていく
ある方向を向くと魔力をギリギリまで使った影響か右手をこちらに向け左手で支え体を肩で息をしてるタヌキの姿が
「カクロ!」
カクロは俺の右手から離れて子猫の姿に戻り俺の左手でナイフの姿になる
「え…」
「耐えろよ?」
Aの顎を蹴り上げ、右肘を切り、胸を靴底で蹴って宙返りして地面に着地する
接近して腹を殴り纏っている玉虫色の液体を切り顔を1発殴る
倒れそうになってるAの襟を飛びかかって掴みその勢いのまま地面に倒してナイフを首に添える
「ぁ…がっ…」
「A、儀式を止めろ…今すぐにな」
ナイフを少しだけ喉を切りつけ脅す
「はは…痛いなぁ…柏崎くん…君はやっぱり凄いよ…」
そう言ってAはナイフを掴む、手から血が溢れナイフを押し返してきたのだ
「…じゃあな」
手を切り喉を切り裂く…
「そこまで」
俺の手を掴む女性の手…顔を上げると白と黒の髪が入り交じり気だるそうな目で見てくる…その『存在』はあまりにも神々しく…そして見てるだけで
『思考が支配されそうになる』
「シャー!」
「カクロ…」
端から黒く塗りつぶされていく視界の中、カクロがナイフから子猫の形態に戻り『神』に対して威嚇をする
すると思考が、視界がクリアになっていき頭の中がすっきりしたような感覚になる
「…神になりきれてない子供か…A、立てる?」
「あぁ、立てるとも…やっと戻ってこれたね」
「まさか神になった瞬間にこの世界から弾かれるとは思わなかったわ」
俺達を無視して全身傷だらけのボロボロなAは立ち上がり『神』と話す
「…会いたかった」
「そう、それで?本当にやるの?」
『神』は俺の方に手を向ける、するとその背後に大きな門が現れゆっくりと開く…中から大量の玉虫色の手が出てきてまるで俺達をその中に引きずり込もうとしてるようだ
「や…やらせない…よ…」
足を引きずりながらタヌキが俺の前に立ち両手を広げる、そして薄い障壁を作り上げるが少し殴っただけで壊れそうだ
「タヌキ、下がれ」
「柏崎…君」
フラフラなタヌキを座らせ『神』とAの方に近寄る
カクロは俺の足から登って俺の肩の上でナイフに変化する
「…何をするかは知らないが…止める」
勝つのは不可能、本能的にも逃げろと告げているが…逃げれない…いや、逃げたとしても逃げ切れない
「A、どうするの」
「…え、あぁ…そうだね」
Aは今更ながら疑問に思った、『神』が柏崎の記憶を戻せなかった…?有り得ない…だが目の前にいる柏崎は覚えてない
「…A」
「わ、分かってる…分かってるよ…やってくれ」
促され、急かされ思わずそう言う…最初の計画通りに
本当にそれでいいのか?親友が殺されるのを見る事ができるのか?
「いや…まって…もうやめよう…君が来れたんだ…目的は達成した」
伸ばした手を掴み懇願するように言う、死を司る神はその顔を見て溜息を吐く
「…帰ろう」
「そうね」
空からポタポタと何かが落ちてくる…雨だ、柏崎が空を見ると玉虫色の空ではなく暗い雨雲が見えた
Aと死を司る神は屋上のふちギリギリまで歩いていく
「待て!A!」
思わず、そう言って止める
突然戦意を無くして向かっていくAをこのまま行かせるのは、出来なかった
「…今度はお前を助けるぞ」
何故こんな事を言ったのか、Aは驚いたような顔をして下を向く
「…は…そうかい、なら僕は君を待つとしよう!」
Aは突然神をお姫様抱っこして柏崎の方を向く
「僕はAさん!6席会の6席目にして死を司る神の宗教…ナイトウォーカーの教祖……そして柏崎悟の親友だ、また会おう柏崎くん、次会う時を楽しみにしとくよ」
そう言ってAは屋上がそのまま飛び降りていく
見に行くと扉が出現しており扉が閉まって霧散していく
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「…びっくりした、突然お姫様抱っこってロマンチック?」
「どうだろうね?僕はロマンチックってのがよく分からないからさ」
Aは近くにあった椅子に座って窓の外を眺める
「こうして地に降り立ったわけだけど…力が殆どないわね…やっぱり地上は力が使いづらい…って、A…貴方泣いてるの?」
窓の縁を掴んで震えているA、背中をさすり尋ねる
「違うんだ…これは…あれだよ」
「なによ」
「…嬉し泣きだよ」
「変わらないじゃない」
Aは目を擦り窓の外を眺める
「君は本当に凄いよ…柏崎くん」
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「あ、やばい」
「…?どうしたの?柏崎君」
降りしきる雨の中柏崎は突然屋上から降りようとして立ち止まる、街や屋上はAと神が居なくなった瞬間…まるで何事も無かったように元通りになっていた…不思議な現象だ
「…忘れてた…能力の…」
突然俺の体に激痛が走り全身から血が吹き出る、新しい能力…『一旦保留』
効果が切れて今までのダメージが『戻った』
「柏崎君!」
タヌキは両手を倒れた柏崎に向け呪文を唱える
「死なせるもんか…まだ君に返せてない借りがあるんだ!」
暗い部屋の中、ただただ生きるだけの人生に光を指してくれた人物…底をついた魔力を捻り出すが全くもって足りない
「や、やべぇ…」
押し付ける能力は突然の事でどうやって使うのか分からない…死ぬのか…?
「…どいて」
タヌキの横に誰かが歩いてくる、ガスマスクに金髪で…その姿に見覚えがある
「…マヨ…イ…?」
「…死ぬのはまだ早い」
そう言って俺の体に手を置く、すると俺の傷が全てなくなってマヨイに『移動された』
「マヨイ…お前、いつからそんな事が…」
「…悟は、まだ死ぬ運命じゃない…」
そう言ってマヨイはフラフラと立ち上がり屋上から降りていく…どうやら俺は助かったらしい…
「…生きてる」
生きてる事を実感して俺はしばらく降りしきる雨の中屋上で横になった
魔術師による神降ろしの儀式は俺と1部の人物以外には
『失敗した』と、公開され今回の事件は幕を閉じる
どうも、最近体調不良な私です
かなり投稿時間遅れましたが…
今回の第64話にて、2章『魔術師』編…完結でございます
明日は後日談とちょっとしたアンケートを
では明日、また次の話で会いましょう