ファースト・オブ・バレット   作:パルバール

72 / 122
無駄話4回目『海の生き物』

 

太陽が上目指して上がっていくのを眺めながら俺は荷物の中に入れてあるタバコを手に取り口に咥える

エイレーネー日本支部の開発部部長の田村さんが作ってくれた特別なもので、主に精神安定を通常より格段に向上うんたらかんたら…

まぁ今使う必要があるかと聞かれると特に意味は無い、けど咥えないと落ち着かないのでライターを探しつつ上下に動かす

 

「あー!みせいねんがタバコ吸っちゃダメなんだよー!」

「だよー!」

「…少年達よ、見た目で判断するのは愚かな者がする事で俺は25歳だ…まぁ確かに健康に悪いとか吸うより出ている煙吸う方が体に悪いと聞くが俺は1人待たされてるストレスを解放したいので、君達は離れるように…以上」

 

おっ、ライター見っけ

百円ライターを取り出して何度か火をつけるのを試みて火をタバコの先に付けようとすると、隣から水の壁が迫ってきており俺の全身とタバコは水に濡れ近くに置いて箱の中身も濡れてしまった

 

「めー!」

「めっ!」

「年上のお姉さんっぽく言えば許されると思ったかこのガキぃ!」

 

俺は素早く2人の少年を小脇に抱えて全身を使って回転し始める…人力遊具化!代償として酔いやすい

 

「わー!」

「わわわ!楽しいー!」

「くそったれぇ!田村さんに5000円払って1箱だったんだぞぉ!!!」

 

涙が零れてしまいそうだよ…

ここは海水浴、現在時刻午前10時…俺は女性陣2人の着替えを待ちながら荷物番をしていたのだが無邪気な少年達に俺は弄ばれていた…若い子は元気だね…

 

「ばいばーい!」

「ばーい!」

「二度と来んなー!」

 

くそぉ…俺は5000円のタバコの箱の中身を全て出してまだ使えそうなのを並べる…全滅してやがる、どんな水の入り方したんだよ…

使えないのを砂の山のてっぺんに突き刺して遊んでると遠くから騒がしい声が聞こえる

振り返って見ると誰かがド定番なのか凄いチャラチャラした男達…仮にチャラ男と呼称しよう、チャラ男が誰かに絡んでいた

 

「…まさかな」

 

嫌な予感がして立ち上がり騒いでいる集団に近づくと何を話してるのか聞こえてくる

 

「だからよぉ、もっといい水着があるからそっちにした方がいいって」

「そうそう、その格好じゃ誤解されるからさぁ…一緒に来なよ」

「そう言われましても…」

「困ったねー」

 

やはり香織とタヌキの声だ、少し小走りに走ってすぐ側まで辿り着く…香織とタヌキは男達が邪魔で見えないがタヌキがいるから無事だろう

 

「おいお前ら、俺の連れに何か用か?」

 

あまり騒ぎにはしたくない、できるなら穏便に済ませてこの場から離れたいが…無理なら強硬手段をとる

 

「あぁん?誰だあんた」

「今こっちは忙しいんだよ」

「子供は家に帰って温かい風呂に入って寝な」

 

逆に俺が囲まれてしまった…こいつらよく見たら凄い鍛えてるじゃん…こわっ…そして最後の奴は何言ってんだ

 

「あ、柏崎さん」

「柏崎君グットタイミングだよー、この人達どうにかしてー」

 

俺の目の前に立ってる男の向こうから香織とタヌキの声が聞こえる、男達はお互いの顔を見合い俺を見る

 

「知り合いみてぇだな…」

「そうだな、逆に好都合だぜ…へへへ」

「言ってやりましょうぜ」

 

…脅しか、あまり暴力で解決したくないが…

男達に気づかれない範囲で体の重心をズラして攻撃する準備をして相手の行動を待つ

 

「こいつらどうにかなんねぇか?」

 

そう言って男達は何故か左右に別れ奥にいた香織とタヌキの姿が見える…香織とタヌキは布面積が水着の標準?のギリギリを攻める水着を着ていた

 

「…お前ら何してんの?」

「た、タヌキさんがこれを着ないと………と…」

 

後半よく聞こえなかったがタヌキに脅されたらしい…可哀想に…

 

「そんでタヌキ?お前何してんの?」

「あはははー…社長の趣味らしいよー…タヌキさんだけ着るのは釈然としないから香織ちゃんにも着てもらったのだ」

 

あぁ…お前…純粋な心を持つ香織にお前みたいな心が薄汚れたのがいると汚れちゃいそうで怖いわ…

 

「まぁあれだ、俺達としては流石に青少年らの教育に悪いと思って着替えるよう言ったんだが聞いてくれなくてな…」

「なんかすみません、うちの者が…」

 

チャラ男とか言ってすみませんでした…ってあれ?

 

「お前らもしかして須郷とこの…」

「アニキを知ってるのか?」

「知ってるってか知り合い」

 

死線を乗り越えた事もあるよ

 

「いやぁ、なんかアニキがバカンスにでも行ってくれば良いんじゃないって言ってくださってよー!俺達夏休み入ったし祭りもあるらしいしな!」

 

超人、須郷雅弘…その舎弟を名乗ってる元不良集団で今はボランティアなど慈悲活動をしてるらしい…とエンが言ってた

 

「あー、んじゃちょっとこの馬鹿タヌキと香織を連行するぞ」

「おう、よーし!お前ら壁になれ!確か海の家で水着が売られてた筈だ!」

 

香織をガッツリと囲み周囲の目から逃れるようにしてやる紳士達、けど見た目がチャラ男なのであまり紳士には見えないだろうな…

 

さて、魔術を使って人目を避けて俺の隣まで来たタヌキが手渡してきた紙を受け取り俺は集団を見送って元いた場所に戻る

実はこの海水浴に来る前にタヌキにはあらかた知ってる情報を紙に書いて渡してもらう事になっていた、今回の件…あまり関わりたくないが自衛をするなら知っておくべきだと判断してタヌキに頼み込んだのだ、まぁかなりの情報料をとられたが…

紙を広げて中を見る、文字がびっしりと書かれているが…最後にこう書かれている

 

『情報が無い』

 

情報屋として膨大な表と裏の情報を保有してる筈のタヌキが島の…尚且つ宗教であろう海神と海人について全く情報がない、という事だろう

祭りに関しても祭り中の事の情報が無いらしい、これは体験しないと無理か…

 

「どうしたものか…ん?」

 

恐らく紙が足りなくなったのだろう、小さく書かれていた文字に目がいく

 

『島の森に何かがいる…と思う、朝何かが光ってるのを見たから』

 

「…森…」

 

島全体としては山を中心に南側に港と海水浴、そして真っ直ぐな道に町があり山の中腹には神社がある

そして異様な事に綺麗に神社が境界線のように町と森が別れている…森か…

 

「…確か香織が準備に行くのがお昼の12時…タヌキについて行くつもりだったが予定を変更しよう」

 

紙は折り畳んでライターの火で燃やす、誰が味方か分からないのではタヌキ以外に見られる訳にはいかない

 

その後俺は帰ってきたタヌキによって砂の中に埋められたり香織の水着が流されそうになったり須郷の好みがバレたりなどあったが割愛!あと水着が流されそうになってる香織をガン見してたらタヌキに殺されそうになったよ!なんで?!

 

──────────────────────

 

「それでは柏崎さんタヌキさん、私行ってきますね!必ず見に来てくださいよ?約束ですからね」

「あー…」

「いー…」

 

元気な香織は砂の上で死んでる俺とタヌキに手を振って神社に向かっていった、若いって羨ましいね…

 

「うー…」

「えー…タヌキ、お前この後どうするんだ?」

「おー…まず図書館かなー…多分表に出てないやつなら昔の事や祭りの事の記録が残されてる…といいなぁ…」

「希望論かよ…」

 

タヌキは起き上がり着替えが入った荷物を持ち上げる

 

「柏崎君はー?」

「俺は森だな…光ってたんだろ?一応調べて何も無かったら図書館に合流する」

「遅れたら置いていくからねー」

「少しは待てよ…はぁ…お互い気をつけよう」

 

起き上がってタヌキに拳を向け互いの拳をぶつけ合う

さて、鬼が出るか蛇が出るか…

 

──────────────────────

 

ナイフを装備して水着にパーカーを羽織る状態で森に辿り着く、最悪海に飛び込んで逃げる事を考えると服は厳しい

 

「んじゃ…ってカクロじゃないんだった…」

 

いつもの様に魔力を流して身体強化しようとしたが今思い出せば今持ってるのは昔からの愛用してるナイフでカクロじゃない…

 

「慣れって怖いな、たまには普通のナイフで戦うようにしないとな…」

 

いざカクロがいない状態で敵と戦って同じような動きをしてやられては目も当てられない…

町から森に入るとまず分かるのは潮の香りがすごい事だ

海に近い場所だからか?それにしたって…

潮の香りを我慢しながら進む

 

 

大体、島の北西くらいか?かなり歩いた気がするがまだ海が見えない…ずっと真っ直ぐ歩けば港の反対側の海に出るはずなんだが…

 

「…?…っ!しまった!」

 

ある事に気づいて踵を返す、潮の香りに思考が乱されてたらしい…こんな初歩的な事を忘れてたなんて…『地面を見ないなんて』

 

目の前に何かが刺さる、それは細い棒状の…槍…?いや!銛だ!

咄嗟に近くの木に身を隠して地面を見る、あんなに分かりやすく『人間ではない足跡』があるのに…俺は何してんだっ!

今すぐここから離れる為に立ち上がって走り出す

 

「っ!」

 

どこからか飛んできた銛をナイフで軌道をズラす、ナイフが少し欠けたか!?

 

「こんの…っ!?」

 

強い衝撃と共に俺の体は浮いて目の前の風景が横にズレていく、顔をどうにか衝撃がきた方に向ける

 

「ぎ、魚人…?」

 

びっしりと覆われた鱗、人間のような手足…だが顔はよく見る魚の顔をしており毛はなく頭部から背中にかけて人間のような凹凸はなくツルリとした鱗で覆われている

 

「こん…のっ!」

 

ナイフの柄を両手で掴み思いっきり魚人に突き刺す

 

『ギィ!』

 

俺を掴む魚人の手が緩んでいく、どうやら鱗はこのナイフでも多少攻撃が通る!

…が、緩んだのは痛みだけではなかったらしい

 

「えっ?」

 

投げ出された俺は遠ざかっていく魚人の姿を見ながら下へと落下していく

 

水面に叩きつけられ目がチカチカし始めた、そして…

 

『水中には魚人が数十体いた』

 

指先すら動かない…息ができない…苦しくなってきた

薄れていく意識の中俺は水中を漂いナイフが手から離れていく…そして目の前が真っ暗になり、意識が飛んでいく




どうも、最近文数がちょっと増えた私です

次回!柏崎死す

では明日、また次の話で会いましょう
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。