「んー、かなり規模が大きい図書館だねー…これならありそうだ」
島にある大きな図書館に来たタヌキは周囲の目がない場所に行き、誰からも見られてないのを確認して魔術を酷使させるとタヌキの体は少しずつ見えなくなっていき完全に見えなくなる
例えるなら超人、道華翔太郎のステルスにも思えるが翔太郎はほぼノーリスクで行えるに比べ魔術だと魔力を消費する上に使ってる間常に減り続ける
「…(裏口は…ここかなー?ちょっと失礼して)」
図書館の裏口まで移動して、職員用だろう裏口を発見し魔術を酷使させ鍵を開けて中に入り鍵をかけ直す
ここまでは順調、そして中は通路になっており…十字路だ、来た道を南にするのなら真っ直ぐな道は恐らく図書館内に行けて…曲がり角から顔を出して左右を確認する
どうやら左側は職員の休憩スペースや手洗いがあり右側は頑丈な扉が設置されてるのが一つだけのようだ
「…(ん、あまりこっちには人来ないっぽいねー)」
足音を出さないようにゆっくりと歩いて進む、姿は消えてるが永遠に消せるわけではない…その上足音や息遣いは消せないので気をつけないといけない
「っ!」
あと少しという所で保管庫の扉が開いて中から誰かが出てくる、咄嗟に壁に寄って息を殺して様子を見る
中から出てきたのは
「…(亜門さん?)」
演奏団のリーダーであり、ここにいるのは不自然な男…
氷雨亜門…彼は今神社で準備をしてる筈なのだが何故か保管庫から出て扉を閉め…
突然その手を止め、タヌキの方を向いてくる
見えるはずがない…そう思っていても突然向いてきて目が合ってしまっては不安になり冷や汗が流れる
「…気のせいか」
そう言って亜門はそのままタヌキが来た道を辿るように裏口を目指して歩いていく…
タヌキは止めていた息を吐き出し鍵が閉まってない扉を開ける、掛け忘れた…と思うには上手くいき過ぎている…亜門が何者で何の目的で鍵をかけなかったのかは知らないが好都合だった
「おじゃましまーす」
中に人の気配がないのを確認して中に入る、念の為に鍵をして中の電気をつけ明かりを灯す
「…ふーん?予め用意したから何かしら手伝えって事かな」
明かりがついた部屋、その中心には大きな机と椅子が設置されており…机の上には無数の資料が広げられていた
そしてその資料は1番上のしか見えないが『祭りと島』に関する資料だった
「亜門さんは言うなれば妨害…もしくは行わさせないつもりか…それとも…」
悩んでも仕方ないと思い椅子に座って資料を読む作業に入る
かなりの量だが常に更新される情報の波よりかは簡単な事だろう
──────────────────────
資料を探してかれこれ何時間経っただろうか、分かったことは何点かある
祭りとは毎年『生贄』を海神に差し出し大量の海の幸を受け取る儀式である、また昔の神主は500年儀式を続ける事を約束してしまい毎年『海人の巫女』を生贄として差し出していた…だがいつからか、巫女ではなく『海人』になった旅行客、島民を生贄として差し出してたのが分かったと資料には載っていた
「…新海水、あれってもしかして海人を作り出してた…?」
別の資料には『生贄』を100人手に入れた海神は『上級紳』となり人族の言う所の名がある海の大部分を支配権に置く事が可能となり、今年で『100人目』である…と書かれていた
この資料を作った亜門はかなり調べてたらしい…しかし何故?
とある資料を持ち上げた際に何かが、机の上に落ちる
それは1枚の写真のようで…裏面には今から12年前の日付が書かれていた
「なんの写真かなー…?」
写真を持ち上げ裏返し表面を見る、表面を見たタヌキは最初写っていたものに何も疑問などなかった
だがある事に気がつき写真を落としてしまい…突然体が何かに圧迫されるような感覚に襲われる
「っ!『酷使せよ!』」
咄嗟に体周辺に魔力の壁を生成して圧力を跳ね除け一息つく
「一体何が…っ!今何時!?」
時計を見る、時刻は午後5時…資料を読むのに時間を忘れてたようだ…『祭りが始まる』
室内にいても香る潮の香り、苦しくなるが魔力の壁を作りながら部屋を飛び出して裏口から外に出る
「なっ…」
外に出てまず見えたのが島を覆う程の謎の『膜』、そして表に出て見えたのは町を闊歩する『魚人達』
まるで人間のように屋台で食べ物を作り、歩き、買い物をして、食べ、笑っている
「…祭りの影響…?そんな事より柏崎君は…」
周囲を見る、こんな現象の中彼が何もしてない筈がない…だがどこを探しても見当たらない、そして魚人達は敵意はないようだ…横を通っても何もしてこない
「…行くしかない…か」
恐らく元凶がある神社を見据えてタヌキは残りの魔力を測りながら…1歩を踏み出し神社へ1人で向かっていく
─────────────────────
「…ん…ん?なんだ…ここ」
暗い空間、だがあの机やテレビはない…寝っ転がってた床もなんかゴツゴツしてるし…
俺は上半身を起こしてポケットに入れてたライターを取り出す、何度かトライして僅かな炎が明かりを灯してくれる
「うわっ、眩しいな………ん?」
よく見ると俺の隣に何かいる…ライターをそちらに向けるとタコがいた
タコかぁ
「…たこ焼きか…って、なんで近づいてくるの?あれ、足が動かないっ!」
ヌメヌメしながら何故かこちらに向かってくるタコ、動けない俺…あれ、昔なんかで見たな
「ちょ、来ないで?やめて?ちょっと…!?来んなー!やめろー!!!誰かー!おとうさーん!おかあさーん!タヌキー!」
体をヌメヌメしてくるタコに弄ばれながら俺、柏崎は春画に出版されることになったのでした…~完~
柏崎×タコ、今ならなんと10円
では明日、また次の話で会いましょう