暗い洞窟、横穴から出てきた人物…
「…亜門…?」
足音の主は着物を着て腰に青い瓶を下げている氷雨亜門だった
「柏崎さん、起きましたね…よかった」
「寝起きがこのタコとかいう最悪な展開だよ」
手に持ってるタコをブンブン振り回しながら溜息を吐く
亜門は近づき近くの岩の上に座って一息ついた
「柏崎さんが海に落ちてきて気を失ってたと聞いた時は驚きましたよ…」
「聞いた?」
「…それは後ほど説明するとして今の状況を説明をします」
そう言っている亜門の顔には少し焦りが見えた、だが俺は現状知りたい事を聞かないとならない
「…そうだ、亜門…お前何か知ってるんだろ?…あの魚人とこの島について」
意味ありげに出てきた亜門、そして少なからず『敵ではない』とだけ確信は出来る
「…そうですね、時間は少しだけしかないので簡潔に教えましょう」
亜門は少し考えるような顔をして俺の方を向く
「簡潔に言えばこの島は『下級神』が『海神様』の名を語って生贄を得ている…つまりは使い勝手のいい島にされています」
「下級神?」
「はい、この海には様々な神がいましたが今はその下級神と海神様だけです」
亜門の言い方だと海神は位が高い神で、下級神はその海神の名前を使って好き勝手やってる位が低い神って事か?
「けどそんなの海神は許すのか?」
「…海神様は去年まで睡眠状態で会話をすることは出来ましたが何もできない状態でした」
去年?つい最近レベルだな…会話…会話…あっ
「もしかして、新海水って海神と会話する為って言ってたが」
「…効果が変わり今は違いますが海神様に近づき対話をする為の道具です、今は海人を作るものになってますが…」
何となく見えてきたようなこなかったような
「元々海神様は生贄を要求せず、信仰を望んでおり下級神達に後は任せ眠りについたのですが…」
「目を離した隙に色々やられちゃったと」
信仰が増えれば神となり、信仰がもっと増えればその力は爆発的に増えていく…余談だが生贄は信仰の表れとして神の存在を上げる行いだ
「…俺が見た魚人は?」
島で襲ってきて海に落としてきた魚人、そして海の中にいた魚人の群れ…恐らく関係がある
「魚人…あれは元々は海神様の眷属で今は大部分が下級神の支配下に置かれてます」
「大部分?」
「はい…皆さん!こっちへ!」
亜門が何か合図を送ると横穴からさらに足跡が聞こえその姿を現す
「…魚…人…か?にしては俺が見たやつとは…」
目の前に現れたのは6人の魚人、ただ俺が見た上半身が完全に魚の状態ではなく鱗とエラや水かきが付いてる程度で見た目は完全に人間だ
「海神様は人間が大好きらしく…眷属は人間に近い姿になるようです」
「人間が好きって珍しいな…まだそんな神が残ってたのか」
神はあまり人間に興味がない、猫神とかもそこまで人間が好きではない為に信仰が無くなっていっても何もせず金郎とかしか残ってない…
「はは…彼らが言うには海神様は人間になりたいと…」
「絶対襲う気だよな!?」
危ねぇ神だった、見つけ次第燃やそう
「まぁ海神様も柏崎さんと仲良くなれて嬉しそうですから…さらに人間になりたいと言いそうですけどね」
「ん?あれ、海神いた?」
周囲を見てもいるのは俺と亜門と魚人達とタコだけだ
…タコ?
『やぁ』
俺の手によって掴まれてるタコを見ると触手の1つを上げて挨拶してくる
「あ、どうも」
『私は人間好きだし柏崎?も気に入ったからこの無礼は許してやろう』
頭にガンガン語りかけてくるなこいつ…声的には雌か…?
「ふんっ!」
『うぁ!?』
とりあえずタコを亜門に投げて立ち上がる、体痛いなぁ…
伸びをしてると何故か魚人達が銛を片手に俺を囲い始める
「え?何?」
「人間、海神様になんて無礼な!」
「死して詫びよ!」
「詫びよ!」
「よっ!」
「っ!」
「!…今ヒトデいなかった?」
なるほど、唯一残ったこの眷属達は海神に深い忠誠心を持ってるから最後まで海神の眷属として残ったのか…
まぁ後半3人はちょっと怪しかったけど、挨拶してたし…いるはずないヒトデ探してるし
『あぁいいよいいよ、今私は機嫌がいいから許そう』
「はっ!」
「はっ!」
「はっ!」
「っ!」
「は!」
「びっくりまーく」
やっぱり後半の3人はちょっと怪しいよ?忠誠心ある?最後もうびっくりまーくって言ってるし
「あー…流れ的に俺が落ちて気を失った所をこの魚人達が助けてくれたと」
「そうなりますね、柏崎さんには私からお願いしたい事がありましたからお願いして…」
亜門は改まって俺の前に来て姿勢を正す、その目は真剣そのものでふざける余裕はなさそうだ
「あの人今から告白するらしいよ…(コソコソ)」
「凄いね…(コソコソ)」
「聞こえてるからねー?!」
くっそ、よく見たら顔似てる双子っぽい魚人か…少女っぽいし…あ、お下げが左右に別れてるから分かりやすい
「絶対海神の仕業だろ、眷属に何教えてんだ」
『人間の神秘だね』
「あの…話を続けても…」
亜門が凄く申し訳なさそうに言ってくる、ごめんね…
「実は…」
亜門の口から出た言葉、下級神が生贄を100人を使い上級神になろうとしてる事…神主、そして香織が歳をとってない事
そして今日が100人目の日である事を教えてくれた
「ふむ、そんで?俺に頼みってのはそれを阻止しろって?」
「はい、私と魚人達だけでは厳しいので…」
「…あれ戦えるの?」
俺は魚人達を見て亜門に尋ねる
「一人一人、コンクリートの壁を破壊するくらいなら出来ますよ」
「あ、調子乗ってすみませんでした…」
調子乗っちゃっだめ、これ教訓
「ただ何で俺なんだ?もっと…外から呼ぶとか…タヌキとかいただろ?」
『それは私が説明しよう』
そう言って亜門の元から飛んで俺の頭に着地したタコこと海神が偉そうにそういう
『実際偉いよ?』
思考読むじゃねぇよ
『亜門に柏崎を仲間にするように言ったのは私なのだ』
「あんたが?」
『祭りになるとこの島は神力が混じった空気が出始め膜がその空気の逃げ道を塞ぎ魚人が活動しやすい環境にするのさ』
確か潮の香りがかなり強まってはいたが…
『そしてこの空気を吸い込んだ人間は『死ぬ』』
「!?…え?俺実は死んでたのか?」
無意識に能力を使って生き返った…?いや、でも…
『君は新海水飲んでた上に『他の神の加護』があったから無事だったのさ』
「…猫神のか」
猫神というよりカクロの…加護が俺を守ってくれてたのか
『他にも魔力なるもので防いだりできるけど、人間では長くは持たないだろうね』
「…タヌキ…」
あいつは無事な筈だ、少しアホな部分があるが賢く無茶なことはしない
『そして相手には『島の守護者』がいる』
「守護者?」
「…源次郎様です」
何となく全体が掴めそうだ
「つまりそいつと俺を戦わせたいってことか?」
『そういう事、加護持ちは大抵強いからね』
「手伝ってはもらえないでしょうか」
もらえないでしょうかって、断ったら新しい上級神が生まれて何しでかすか分からないんだろ?…はぁ…バカンス…休みたいなぁ…
「…いいよ、手伝う…ただし条件としてタヌキを見つけたら助けてやってくれ」
「それくらいなら」
バカンスがまさかいつものと変わらないとは…世の中何があるか分からないな…はぁ…憂鬱だ
どうも、わたたたし!です
今日の話はちょっと海神登場、盛大に登場させてもよかったのですが…キャラ的にこうなりました
あとTwitterにてファースト・オブ・バレットの世界観を少しだけ公開予定
では明日、また次の話で会いましょう