私の名前は氷雨亜門、27歳…生まれは島だが育ちは本州だ。
初めて彼女と出会ったのは12年前、15になった私は仕事が忙しく海外出張に行く親の元を離れ生まれた地…この島にやって来た
丁度祭りもあるとの事で、まだイタズラ小僧の私は今回の祭りの始まりと終わりの舞を踊る巫女にイタズラしようと考え神社まで向かいました、今思えば親が海外に行き寂しくなった当時の私なりのSOSだったのではないかと今になって思えます。
神社に向かい境内に入り舞台を通り過ぎようとすると足に何かが当たる、何かと思い下を向くとそれは深海を思わせるような青色の簪でした
気になって手で拾い上げ眺めてみる、その色はとても綺麗で眺めていると背後から声をかけられました
『あ、簪…そこにあったんですね』
突然の事で心臓が飛び出てしまうかと思いました、恐る恐る振り返ると私は危うく簪を落としてしまうところでした
夜空を思わせる黒髪に流れていくような長髪、彼女を見て簪の時の余韻はなくなり私は言葉を失いました
美しい、と
『えっと、その…これは…貴方のですか?』
『はい、儀式に必要だったんですけど無くしてしまいまして…舞台の近くに落としちゃってたなんて私ドジですね』
と、困った顔をする
『そんな事は…』
『香織、そろそろ時間だよ…と、そこの少年は?』
私が否定しようとしてると香織様が来た方角から源次郎様がやって来ました
『父さん、彼は深海様の簪を見つけてくださった方なんです』
『そうなのか?それはすまないね、ありがとう』
源次郎様の顔は怖く当時の私は怖くて仕方なく、香織様の美しさと源次郎様の厳つさに板挟み状態でした
『い、いえ!お気になさらずに!』
私は恥ずかしくなり簪を香織様に渡して階段を転げ落ちるように駆け下りて町に戻りました
祭りが始まり、私はもう一度見に行ってみるが悩みました
挨拶も名も名乗らず逃げ相手にとても失礼だと言う事に今になって思い出し後悔したからです
ですが今は恐らく舞の途中…行くとしても明日になりそうですね…
潮の香りがしたのは本当に突然でした、海の近くの町なのだからそりゃ潮の香りはするだろうと思えるでしょうが…通常では考えられない程の潮の香り…その香りを吸うと頭が痛くなり視界がボヤけていき、体に力が入らなくなり地面に膝をつく
『な…にが…』
薄れる視界の中、最後に見えたのは神社までの道を行進している魚のような人間…そして巨大な…………
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『おや、私の眠りを妨げるのは誰かな…ふむ…人間の子供か…あぁ慌てないで、大丈夫大丈夫…私は君に何かするつもりはないよ…そう…分かってくれたかな?』
『君はどうやら私が人間に渡した簪に手をつけて私と繋がりを持てたようだね、新海水もちゃんと飲んでて偉いじゃないか…ん?私が誰かって?私は海神、君達からは海神様と呼ばれているよ』
『あの現象は何かって?…なんの事かな?私は今まで眠ってたから何を言ってるか分からないのだが…ちょっと君の記憶を見させてもらうよ、大丈夫…そんな深くは見ないよ』
『ふーむ、どうやら下級神のひとつが上級神になろうとしてるらしいね…それにしてもなんて神力だ…ふむ…ん?あぁこっちの話だから気にしないで、君はもう帰る時間だ…ゆっくりおやすみ』
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目が覚めると私は屋台の前に立っていました、時刻はもう夜になっており潮の香りや頭痛がせず…まるで何事もなかったような感覚になりました
『…あれは一体………っ!確か神社に!』
頭が働き眠っていた思考を回転させ倒れる前に見た光景を思い出す
『急がなければ…』
足を動かし神社へ急ぐ、それにしても…あの夢に出てきた巨大なタコはいったい…?
神社に辿り着き鼓動が早まる心臓を落ち着かせて周囲を見る
すると源次郎様、香織様が並んで歩いてるのを見つけ心の底から安堵し服装を正して2人の元に向かう
『すみません』
『はい?』
『ん?』
2人が私に気づいて顔を向けてくる、2人とも無事そうだ
話しかけたからには何か言わなければ…突然魚のような人間が来なかったと言うのは流石に無理だった、私の妄想だったりや私だけにしか見えないというのも考慮して…
『あの時簪を拾った者です、先程は突然去ってしまって申し訳ございません』
『え?』
香織様が困惑した顔になるのは仕方ない事だと思っていました、礼も聞かず走り去ってしまった者が突然またやって来たのだ…普通なら…
『えっと…どちら様でしょうか…?』
『っ!?』
頭を鈍器で殴られたかのように呆然となり思考が停止する
『お父さん、知ってる?』
『いや…最近で見た事はない…忘れただけかもしれないな…すまない、いつだったか?』
『え、あ…いや…勘違いだったかもしれません』
半笑いを浮かべながら私の頭の中はある単語が浮かぶ
『記憶が無くなっている』
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『…ん、また君か…何度も来れるというのは珍しいね、もしくは簪を触った影響かな?…ん?どうしたんだい?そんな顔をして』
『…なるほど、ごめんだけど今の神主と巫女の名は知ってるかい?…巫女名前だけ?それでも十分だよ』
『…一応神様だから最初の儀式の指名を受けた者の名は覚えてるんだけど…そうかー…いや、ちょっとね今の巫女は最初の巫女全く変わってないね…人間ってそんなに長生きだったかな?』
『どういう事かって?香織って巫女はもし同一人物なら『80年以上』生きてる、若かったかい?そりゃそうだろう…年老いてないからね…』
『私としては今すぐ降臨して止めるべきなのだろうが実はまだ眠から覚めれなくてね、あと11〜12年はかかる…うん、流石に人間の時間感覚だと長いよね…実は1度だけ人間として生活してたから分かるよ』
『…よし、君は無宗教かい?……無宗教だね、私の信者にならないかな?…なに、海神の加護と今後君の記憶が無くならないようにするのさ………うん、今回の記憶が無くならなかったのは私と対話したからだろうね』
『自分は何をすればいいかって?…準備だよ、時が来るまでのね………そう、目覚めた時の私は信仰が少なくて弱いままだろう…君は私が目覚めるまで自分達が有利になる準備をするんだ』
『最後に、君にはこれを与えよう…『海刀:守り』これは神主に与えた『海刀:破壊』の逆の物さ…ただこれは単体では弱い、元々2つでひとつの武器だったからね』
『さぁ、目覚めよ信者1号、君が頼りだ』
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その後、私は島の住人として準備を行い…神社の演奏団の1人として神社に潜り込むことができた
香織様は毎年祭りの日になり祭りが終わると私を忘れていたが…変化が訪れた、私を忘れるが演奏団の者とは覚えてたのだ
この調子で準備を続けて時を待つ…絶対に救ってみせる
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破壊音と硬いものがぶつかる音が響き渡っている神社の境内に立つ2人の影、1人は日本刀を手に持ち刀を振っていた
1人はメガネの位置を直しながら右手を様々な方角に振り何かを合図している
「…はぁ…はぁ…勝てそうかなー…?」
メガネの位置を直し源次郎を見るタヌキ、魔力はまだ余裕があるが操る『万物の兵士』の数が少しずつ減らされていく
あれからどれだけの時間がたっただろうか…?
まだ柏崎は来ない、増援の見込みはなし、魔力はあれど兵士が少なくなっていく…
「あれ、無理ゲーで……っ!」
飛んでくる神力の斬撃をギリギリで回避する、が無理な体勢で避けた為バランスを崩してしまう
「しまっ!」
目の前に迫る日本刀がゆっくりと感じられ…
金属と金属がぶつかる音と火花が散る
深海を思わせる日本刀と、明るい色…青のような色の日本刀が刃をぶつけながら拮抗していた
「…亜門」
「源次郎様…いや、海沢源次郎…貴方を止めに来ました」
『破壊』の神刀
『守り』の神刀
2つでひとつの武器をそれぞれ持った者が遭遇した瞬間であった
どうも、ニット帽買ったけど不審者と言われた私です
今回の話は9割が氷雨亜門の話でした、明日どうなるか…お楽しみに
では明日、また次の話で会いましょう