ファースト・オブ・バレット   作:パルバール

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無駄話15回目『守護者として』

 

お互いが攻撃をし、攻撃で相殺し、その衝撃波でその周辺は誰も近づけない場所になっていた

海刀を振り斬撃を飛ばし時には直接切りかかる源次郎、そしてその攻撃を子供をあやすか如く受け流し逆に神力をぶつけ相殺するウツボの下級神

 

『ふむ、まぁまぁだな…やはり人間ではそれが限界か』

 

下級神の言葉が源次郎の耳には届かなかった、というよりも届かないほど源次郎は集中していた

今集中を解くと神力を保つのが難しくなり隙を見せる事になる…この神に隙を見せるという事はつまり死に直結すると言っても過言ではない

 

「があああああああ!」

 

脳が焼けるように熱くなってるように思える程、思考が働かず目の前の敵を倒す事だけを考える

何のために戦ってるのか、それだけを頼りに海刀を振るう

 

『飽きた、しかし格が上がる前でもこれほどまでの力を出せるとは…』

 

下級神が何かを言っているが源次郎は気にせず首を切断しようと海刀を振り上げる

 

『ふん、我を忘れた攻撃など避けるに足らず』

 

周囲に漂っている高濃度な神力がひとつに集まる

それはレーザーとでも言うのだろうか、黄金色の神力の集合体は一直線の光となり海刀を握ってる源次郎の両手を切断させ海刀とそれを掴んでいる源次郎の両手が宙を舞う

 

「ぁ…腕…が…」

『これで貴様も用済みだ、消えろ』

 

10以上はある神力の塊が源次郎を囲むように着弾していき、砂埃が源次郎の姿を隠す

 

『………なに…?』

 

砂埃が収まった場所には源次郎はおらず、陥没した地面だけが残っていた

周囲を見る、戦ってる眷属達と対抗してる海神の眷属…そして

 

「よし…ギリ間に合った!タヌキ、源次郎任せたぞ!」

「がってん!」

 

両手を失い呆然としている源次郎を後ろにいた人間に渡して人間の武器を手にする1人の小さな人間…

 

「よ、待った?」

『…誰だ貴様は』

「名乗るべきか?俺は…エイレーネー日本支部 第1特殊部隊『バレット』隊長 柏崎悟だ」

 

ナイフを片手に片目を閉じる人間を下級神は理解できなかった、見た目はただの人間だ

だが『中』にはとんでもない化物が住み着いているのだ

 

『…さっさと消えてもらおう、時間がかかりすぎだ』

「そうかい、ならあと少し俺と踊ってもらおうか…『一旦保留』」

 

今までの戦闘で傷を負っていた、が…その傷は全て消え傷一つない人間がそこに立っていた

 

「始めよう」

 

───────────────────────

 

「お父さん!」

 

香織がタヌキに肩を借りていた源次郎が来ると同時に駆けつけ体を支え舞台近くで横に寝かせる

腕は両手無くなり全身が文字通りボロボロで今にも砕けてしまいそうだ

 

『やぁ源次郎、君のおかげで…この島は守れそうだよ』

「海神…様…あぁ…本物の…海神様だ…私が…全てを…香織は…被害者…」

『分かってる、分かってるから無理に話さないように…』

 

1度は人間を夢見た海神は死にゆく人間を何度も見ていた事を後悔した、何故か?

 

源次郎はもうすぐ死ぬと悟ったからだ

 

「源次郎様…」

「亜門…お前には無理をさせたな…」

「源次郎…様…」

 

海刀を横に起き地面に手をつく亜門から水滴が落ちる、雨でも降っただろうか?…源次郎はそう思いながら娘の顔を見る

 

「香織…お前にも辛い事をさせた…すまない…」

「お父さん、違う…私は何も辛くなかったよ…お父さんが…全部背負ってくれたから…」

「お前は良い子だ……海神様…何をするかは…分かってます…亜門、海刀を…」

 

源次郎はもう存在しない両手で掴むように海刀に手を伸ばす、だが亜門は源次郎の言う通りには行動してくれなかった

 

「亜門…大丈夫だ、お前達ならきっとこの島を救える」

「違う…違うんです…源次郎様…これをしてしまったら…源次郎様は…」

「私は生き過ぎた…何人も騙し生贄にした…そんな男の最後が人助けならば……本望だ」

 

動かない亜門の変わりにタヌキが回収した『海刀:破壊』を源次郎の近くに持っていく

 

「亜門さん、香織ちゃん、お別れってのはちゃんとしてあげないと…相手に失礼だよ」

『死というのは生命の終着点だ、それを先延ばしにしてたから…そろそろ自由にしてあげるのも救いだ』

 

タヌキが2人の肩に手を置き、海神が諭すように2人に言う

 

「……分かりました……源次郎様」

「どうした亜門…言い残しか…?」

 

茶化すように笑う源次郎の顔は少しずつ崩壊していく

 

「…お疲れ様でした」

「………あぁ、お疲れ…私はしばらく…眠るとする…」

 

その言葉を最後に亜門は

右手に『海刀:破壊』を

左手に『海刀:守り』を

 

亜門を中心に、海刀から水が溢れ出て亜門の体を包んでいく

水が全身を満たすと亜門は頭の中に数々の記憶が流れてくるのを感じる

数々の苦悩を、喜びを、悲しみを、怒りを背負った男の背中と剣術がフラッシュバックする

 

『…さぁ、目覚めよ…海人よ』

 

──────────────────────

 

『くっ…ちょこまかと』

「はっ!速さならお前に勝てるぜ?」

 

傷を受ける度に加速していく人間に下級神はその動きに翻弄されていた、まさかここまで苦戦するとは…と思い神力を溜めていると、空間が震える程の神力が集まっている事に気づく

 

『な!?くそっ!間に合わなかったか!眷属達よ!一時撤退だ!』

 

体を反転させ、眷属の魚人達に命令して下がろうとする下級神…その体に武器を刺してくる人間に邪魔をされる

 

『貴様…雑魚が!どけぇ!』

 

神力を全体的に放出して爆発を起こす、通常なら耐えれるものでは無い…だがナイフを片手に張り付いてる人間は傷1つない姿で笑っていた

 

「確かにお前にとっては雑魚だな、だがな…雑魚は雑魚なりの譲れないもんがあんだよ!」

 

置き土産と言わんばかりに武器を奥深くまで突き刺し瞬間的に離れた人間にイラつきながらも急いで撤退しようとする下級神…だが判断が遅く、邪魔が入ったせいでその行動は実行できない事と知る

 

『…まさか…う、海人…だと…?』

 

奥から歩いてくる1人の人間、その手には淡い蒼色の刀身に全身を水色の神力を纏わせ一歩一歩が下級神の恐怖心を高めるには十分だった

 

『ま、まて!私が悪かった!今までの行いは反省する!だから私を『消滅』させないで……』

 

喋ってる途中の下級神を待たずに、亜門は『海刀:守護』を振り上げ…振り下ろす

たったそれだけの動作、だがその動作では思えない程の衝撃波と斬撃が飛ぶ

縦に振り下ろされた斬撃は雲を割り、海を割り、そして下級神の『存在を消滅させる』

 

『くそがっ…こんな…事に…なるなん…て……』

 

下級神としての存在が消されたウツボは完全に消え、亜門は全身から神力が消え海刀を落とし地面に倒れる

島を覆っていた膜は消え去り満天の星空が若者達を照らす

 

「…はぁ…バカンスが…パァ…はぁ…」

 

今回の一連で落ち込んでる1名を除いて、全てが解決したという事実は喜ばしい限りだ

 




どうも、今回にて閑話、無駄話シリーズ完結になります!明日は後日談を少々

そして…次は3章に突入

では明日、また次の話で会いましょう
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