第66話『説明求む』
緑が豊かなこじんまりとした集落に近い町、人口もそこまでおらず夢見る若者は都会へ
そしてこの町に骨を埋める事を決めた者や子供達が平和に過ごす中、イタズラばかりする厄介な少年らがいた
「コラー!お前らまたうちの壁にイタズラしよってー!」
「やっべ!エドワード逃げるぞ!」
「う、うん!」
1人の大柄な少年に引っ張られエドワードと呼ばれた茶髪の少年は走り出す、娯楽が少ないこの町ではこれも日常に見られている
「おいおい、また追いかけられてるじゃないか」
「エドワード、無理しないようにね〜」
店の前でお店を開く準備をしていた夫婦が追いかけられている2人の少年らに手を振りながら息切れをしつつ膝に手をついている老人に水が入ったコップを渡す
「またあいつらが何かしたいのかい?」
「うちの壁にラクガキしてたんだ、これで14回目だぞ!?」
「はははは、そう怒んなって血圧上がってまたぶっ倒れるぞ」
そう言って背中を撫で椅子に座らせる
「いいじゃないか、若い者が元気にしてるんだから」
「ふん、元気過ぎても困りものだがな!」
「この前町長さんから聞きましたよ?お爺さんも昔はイタズラばかりして町を自分のものにするんだって」
「む、昔は昔じゃ!」
顔を真っ赤にして否定する老人に苦笑する夫婦は遠くに見える少年2人の背中を見ながら微笑む
「あの子達がどんな大人になるか楽しみだ」
「そうね」
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「危なかったなエドワード」
「そうだね…それにしてもここだったっけ?」
「あぁ、ここに来りゃ酒が飲めるってボブが言ってたんだ」
イタズラ少年達は町近くの森に入り少し開けた場所に辿り着くと近くにある切り株や岩の上に座る
どうやら飲酒を嗜むつもりらしい、彼らは見た目は14〜16程度…飲める年齢ではない
「けど酒って不味いって聞いたけど…」
「そりゃお前の親父が酒に弱いだけだよ!うちの親父は美味そうに飲んでたし美味いもんなんだよきっと」
未知の事に夢を膨らませる少年2人だが未成年は飲酒、ダメ、絶対
「…おかしいな、そろそろ来てもいいと思うんだが…」
「まだ来ないの?」
「今12時か…12時には待ってるって言ってたから早めに来たんだけど…っと来たぜ」
近くの茂みからガサガサと音がして褐色肌のボブが歩いてくるのが見えた、だがそれと同時に不可解なのが目に入る
「お、おいエドワード!ボブがガールフレンド連れてきてるぜ!?」
「し、しかも年上じゃないか…?うわぁ…す、すごいな…」
内心は動揺しまくり外に出まくってるがどうにか平常心を保とうとする
歩いてくるボブの斜め後ろには布で頭と体を隠してるが隠しきれない素足と僅かに見える女性の美しい顔を見て少年2人の心は乱れ乱れまくる
「お、おいボブ!お前抜け駆けは良くないぞ!」
「そ、そうだぞボブ!………ボブ?」
2人は仲間に詰め寄り、茶髪の少年エドワードは異変に気づく
ボブの目には光がなく、虚ろな目をしていたのだ
「…あら、君達はボブ君の友達?」
「は、はい!ボブの大親友です!」
異変に気づかない仲間、どうするか悩んでいると女性と目が合う
その目は深く飲み込まれてしまいそうな程黒く意識が体から離れていくのを体感出来そうな程だった
「初めまして、私は『N』…貴方達を迎えに来たのよ」
そう言って片手を上げる、茂みからゆらりと何かが立ち上がりこちらに歩いてくる
「お、おい…なんかおかしい…おい?」
大柄な少年に警告して逃げようと思っていた、だが
「あぁ、N様…」
仲間は突然、女性に頭を下げ涙を流しながら両手を合わせて崇め始めたのだ
「あら…貴方は耐性があったのね…けど大丈夫、すぐ助けてあげるから」
茂みから歩いてきていた何かの姿が見える位置まで移動してきた…
それは体が腐敗しており骨が見え眼球が取れかけ髪は無くなりかけの『ゾンビ』だった
「な、ゾンビ…?」
何かのドッキリかと思った、だが漂ってくる腐臭とうめき声がした瞬間エドワードは踵を返して走り出す
「ふふふ…逃げるのはいい事よ、逃げる事は悪いことじゃない…それを阻む大人が悪いの」
Nと名乗る女性は両手を広げ祈りを捧げるように両手を合わせ
『酷使せよ、蘇りの術式』
女性を中心に広大な範囲に謎の魔法陣らしき文字と円が浮かび上がり…
『夜が訪れる』
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「俺は思うわけだよ天田」
「なんすか」
「やっぱり大人になってさ、こうして仕事してると昔に戻りたいと思うわけじゃん?」
「そうっすね」
「だから俺考えました、はいホワイトボードを見ろ」
カラカラとホワイトボードを持ってきて書き込んでいく
「まず『学生』!やっぱりね、学生に戻りたいですよ」
「まぁ青春っすからね」
「そう、青春!俺も甘酸っぱい青春をやってみたかったよ…学生だった頃はそんなの気にせず遊んでたが」
休み時間に携帯触ってて先生に捕まったのはいい思い出だ
「あの仕事あるので結論からお願いするっす」
「おう、お前は生き急ぎ過ぎだぞ…まぁいい!よーく聞け…題して!『学生に戻ろう!』を支部長に提案してみる」
「馬鹿の提案っすね」
辛辣な天田、しかも視線はパソコンに向けられており一切こちらを向こうとしない…
「…もう一度学校生活したくない?俺達生きるか死ぬかをスレスレで生きてるから平和な生活したくない?」
「したいっすねー、はい終わり、働け」
「ひでぇ…」
自分の席に戻るとカクロが素早く俺の頭の上に着地して一息つく、海神の匂いが取れたのか最近は近づいても怒らないし唾も吐かない…この前無理やり行こうとしたら毛玉吐かれた
「…支部長ってバカンスとか言っときながら俺が死ぬ気で働いてたって知ってんのかな」
「まぁそりゃ…知ってるっすよ絶対」
…ムカつくなぁ
「よし、ちょっと支部長シバいてくる」
「いってらっす」
俺は部屋から出て廊下を歩く、支部長室は下の層だから地味に遠い…
「っと、すまない大丈夫か?」
ボーッとしながら歩いてると曲がり角で人にぶつかってしまった、怪我も完治はしてないので集中力が減ってるな…これは不味い…ってかぶつかった相手…支援部隊…工作部隊?全身エイレーネー日本支部の装備だが知らない部隊の奴だ…
『あ、お久しぶりです』
「あ、どうも」
『では行きましょうか』
「はいはい…ん?」
俺はその誰かよく分からない人に関節をキメられ全身を拘束され、担がれて、地上出て、車に乗り、あれやこれやでエイレーネー専用飛行機に乗せられていた
「ん?ん?????」
『ご武運を…あれ?私まだ降りてませんよ…!?ちょっと!?聞いてないですよ支部長!支部長ー!!!』
扉は無慈悲にも閉められ降りれなくなった人…多分俺の知ってる奴だ
うーん、空の旅………ふぅ…とりあえずあれだ
「説明はーーーーーー?!?!?!?!?!」
なんの説明もなく俺は飛行機に乗せられてアメリカ大陸を目指す事になり…また働かされる事になるとは…この時は思いもしなかった
どうも、3章突入私です
今回の話は前菜に過ぎず(?)明日から本題のシーンに入るかな?
では明日、また次の話で会いましょう