ファースト・オブ・バレット   作:パルバール

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第76話『ハードな選択』

 

そろそろ夜の11時になる頃、1つの部屋にいた面々は疲れたように床に倒れる

 

「うぅ…疲れた…」

「たっくよぉ…子供ってのはどこから…あんな元気が出てくるんだ?」

 

パーティーの間、ずっと遊び盛りな子供達の相手をしていた緋彩&誠はやっとのこと解放され疲れを紛らわすように床を転がる

 

「こういうのは須郷の仕事じゃないのか?」

「てめぇ…確かにエンが遊びに来るが子供をあやすのが得意ってわけじゃねぇぞ?」

「まぁまぁロリコンさん落ち着いてください」

「青葉てめぇ!」

 

比較的その体格から子供が近寄らず安全圏にいた須郷とずっとNと話していた青葉は体力が有り余っており頬を抓ったり抵抗したりしており緋彩が白い目を向けながらため息を吐く

 

「ボク的には青葉がNと話しやすくなってたから別にいいんだけどね〜」

「だな…青葉、何か分かったのか?」

 

下手に行動を起こすわけにもいかない為にせめて、と子供達の相手をしていた誠と緋彩は何か情報があったかどうか聞く

 

「…まず、今回の件は私達…というよりも合流できてない柏崎さん達も含め『全員』で何かしら行動を開始しなければならないかもしれません」

「…ん?どういう事だ?」

 

深刻そうな顔の青葉に他の面々は不安そうな顔になるが、それに気づき咄嗟に笑顔になって手を振る

 

「いえいえ、そんなに大変な事になったわけでないのでご安心を」

「ならいいんだがよ…青葉、全員で行動ってのはどういう事だ?」

 

須郷が他の2人の心を代弁するように口を開き言葉が続くのを待つ、青葉は近くに置いてある冷蔵庫から瓶コーラを取り出して1口飲む

 

「ふぅ……まず、何故全員かと言うのも単純な理由として『圧倒的物量差』にあります、私は強くないですけど御三方良は一般人以上の強さを持ってます…が、フィクションの世界のように雑魚モブ達を一気に消し炭にするような魔法や攻撃がない限り通常では超人と言えど押し負けてしまうんですよ」

「前のAとの戦いの時もあの気色の悪い化物達の数が多くて押されてたな」

 

エイレーネーの工作、支援部隊達と共闘した時を思い出しながら誠は思ったことを口にする

 

「えぇ、あの時はまだ投入できる戦力があったからこそ私は戦線を無理やり押して囲いましたが…」

「今回は…無理だよね…?」

「今からでも使える超人が40人くらいいたら私もパーティーに参加せず戦いますよ…」

 

増援は期待できない、今ある戦力で恐らく自分達よりも数十倍いる敵と戦わないとならない…

 

「はっきり言ってこれがゲームなら適当にはいクソゲーと言って投げ捨てたいくらいですよ」

「なら、今からでも捨てるか?」

「まさか?私は途中から投げるのが大っ嫌いなんです」

 

手に持つ瓶コーラを飲み干し近くのゴミ箱に投げ捨てる

 

「私達が今から戦うとしても恐らくすぐに無力化されるでしょうね、だからこそ翔太郎さんに柏崎さん達の捜索に向かわせたんですが…遅いですね」

「ま、翔太郎の事だから1人で解決しちゃうかもね!翔太郎の事だから!」

「なんで嬉しそうなんだ…?こいつ…」

「知るか、緋彩の考える事なんさ誰にもわかんねぇよ」

 

何故かドヤ顔の緋彩をスルーして須郷は青葉の方を向く、難しそうな顔で

 

「…青葉、お前見てたか?途中会場に来た別の『紺色のローブ達』を」

「……いえ、私はNさんと話してたので…何か気づいたんですか?」

 

須郷の表情はお面が外されてる為よく見える、その顔は違和感があるがどうしようもできないような顔をしている

 

「あいつらの何人かは血がこびりついてやがった…まぁそれだけなら色々推測ができるが…最後に入って来たやつはボロボロの状態だったんだ」

「…どのように?」

「まるで誰かと戦ったようにな、それもかなりの激戦だったのか所々ローブが破けてた…まぁ気づいたのはこれだけだよ、もしかしたら野生動物と戦ったのかもしれぇな」

 

そう言い終わり須郷は立ち上がって冷蔵庫に向かう、コーラが飲みたくなったのだろう

 

「…野生動物ですか」

 

実際に見たわけではないがローブの人が戦ったのはもしかしたら『翔太郎』なのではないかと思ったが頭を振りその考えを振り払う

例えそうであったとしても魔術師1人に翔太郎が負けるはずがない、Aの信者達も魔術は凄かったがそこまで強くはなかった…だから大丈夫な筈だ

 

「…では話を」

 

続けましょう、そう言葉を続けるつもりで口を開きかけてた時…部屋にノック音が響く

シン…と静まり返った部屋に玄関の方から声が聞こえた

 

『朗報よ、あの時逃げた大人達がいる場所を突き止めたの!今から排除しに行くところなのだけど貴方達も来ないかしら?無理やり従わされてたのならあの大人達が憎いでしょう?一緒に復讐しましょう!』

 

 

 

 

「……………ぁ、いいですね!ですけど緋彩さんと誠さんはお疲れですので私と須郷さんでそちらに向かいますので少しお待ちを!」

『えぇ、早くね』

 

声が聞こえなくなり恐らく家から離れたのだろう…

 

「…あ、青葉…」

「どうする…?俺達も後から行くか?」

「まて誠、お前達がもし見つかったら今青葉が言った言葉が嘘になっちまうだろ」

「ならどうすんだよ!大人達ってのは柏崎達の事だろ?俺達が削りあったら意味ねぇだろ!」

 

…最悪だ、やはり世界というのはクソゲーなのかもしれない

青葉はそう思い深く息を吸う

咄嗟に緋彩と誠を残すと言ったのはもし翔太郎が戻ってきた時用だった、だが今思えば全員で行きできるだけ集まるのもいい策だったのかもしれない

だが全員で行ったとして柏崎達と遭遇した場合…戦う事になるだろう、手加減等をしNが少しでもこちらに不審に思ったら最後BADENDだ

 

「………緋彩さん、誠さん、お二人はこの町の大人の方々を探しといてください」

「え?でもそれって翔太郎が…」

「翔太郎さんは解放です、ですがお二人は『合流』してもらいます」

「…青葉、お前もしかして」

 

青葉の考えが分かり誠が声を出す、自身も大人数を動かす人間だからこそ…

 

「…物量には物量、ですよ」

 

苦笑いをしながら青葉は天を仰ぐ、あぁもっとイージーな人生を歩みたいと

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