ファースト・オブ・バレット   作:パルバール

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第77話『曖昧』

第77話『』

 

まずい

 

「いやー、それにしてもよくあっちの動向が分かりましたね」

 

厳しい

 

「えぇ、操ってる中に何体か視覚を共有してるのがいるの…それでそのうちの1体が明かりを見つけたのよ」

「なるほどなるほど!私実は記者をしておりまして…その力は羨ましい限りです!」

 

今はそんなのないと思いたかった

 

「ふふ…貴方魔術師の才能あるから一瞬で覚えちゃうかもしれないわね」

「いやいやいや!私みたいな凡人ではNさんみたいな魔術師さんにはなれませんよ!」

 

次の一手を、全員が助かる選択を

 

「さ、あと少しよ」

「はい!」

 

どうしてこうなったのか…思い返していく

ここは森の中、Nと私と雅弘は3人でNが見たという明かりを目指し歩いてる最中である

明かり…恐らくそれは柏崎達のでこちらが向かってるのを気づいていない

 

「しかし、今回はゾンビ達は連れていかないので?」

「後から沢山来る予定よ」

 

それと大量のゾンビが向かってきてる事も気づいてはないだろう

 

「…(どうしたものか…今はNが1人、雅弘さんと協力すればいける…か?)」

 

相手の実力は未知数、死者蘇生の中遠距離型なのは分かったがまだ他の力があるのかもしれないと思うと下手に攻撃を仕掛けられない

雅弘を見る、彼はお面を付けてるため表情は分からないが…恐らく私が何をしても手伝ってくれるだろう、例えそれが

愚策だったとしても

 

「…(まったく、どうして雅弘さんや緋彩さんや誠さんはこうも私に信頼を置くのか…)」

 

嬉しい事ではあるが私の全てが正しいわけではない、それを思うと信用し過ぎとも言える…

 

「…(その信用に応えるしかないじゃないですか)」

 

最悪『あれ』を使用してでも彼らを助けなければならない、例えそれが『あいつらから』裏切りだと思われても優先順位というのがある以上はどうしようもない

 

「…見える?あの洞窟がそうよ」

 

到着してしまった、そう思いながら顔をNが言う洞窟の方角に向ける

あと50mと言った所だろうか?先にはそこそこ大きな洞窟の入口があり、奥から僅かに明かりが見える…柏崎達だろう

 

「どうします?今攻め入って捕まえますか?私達狭い場所では存分に戦えませんが…」

 

嘘ではない、元々戦闘向きではない自分と圧倒的破壊力のある雅弘ではあの洞窟が崩壊する恐れもある

 

「私だけで行くわ、私は『死なないから』」

 

死なない、事実かどうかはともかくそんな情報は聞いてない…と言いたそうに雅弘が自分を見てくるのを背中に感じながら内心焦りで混乱しそうになる

 

「…(喋り過ぎだ、やはり耐性がある相手には効果は薄い…か…ならもう一度)」

 

後ろからと前から見えないようにポケットの中に手を入れる

外から分からない、だが確実に手には『紫色のオーラ』が集まりつつある

 

「なるほどなるほど!ですが心配なので私も同行を!おっと、貴方を弱いとか思ってるわけではなく単に友人として心配してるんですよ?『Nさん?』」

 

────────────────────────

 

いつの間にか自分は椅子に座っている事に気がついた、手にはキンキンに冷えた水が入ったコップがあり少し飲んだのか僅かに減っている

 

「…ん…俺なんでここにいんだ…?」

 

確かNって奴と青葉で柏崎達がいる場所に向かってた筈だ

そう思い周囲を見る、誠や緋彩の姿は見えない…恐らくもう出てしまったのだろう

 

「おや?お目覚めですか?雅弘さん」

 

扉が開く音と知り合いの声が聞こえ音の方角を見る、が一瞬で違う方向を見ながら赤面する…

扉から入ってきたのは青葉だったがその姿は風呂上がりなのか手で首元をうちわを扇ぐようにパタパタと動かし、服装はTシャツ1枚という直視するにはどこに視線を向けるか悩む姿をしていた

 

「お、お前!なんて格好してんだ!服着ろ!」

「おやぁ?私は服を着てるのに服を着ろとは摩訶不思議な事を聞くのですね雅弘さん?」

「ちげぇよ!ちゃんと服着ろって事だよ!」

「しょうがないじゃないですか、替えの服なんて手元にないですし私の服は乾かしてる途中ですし…それによそ様の服って落ち着かないからこれで妥協してるのですよ?」

 

手をピラピラと揺らしながら冷蔵庫の中にあるコーラを取り出し一気に飲む

 

「くぅー…夜中にお風呂上がりコーラ…こんな最強な組み合わせが今までありましたかね?」

「知らねぇよ…」

 

天井の一角を見ながら自分も風呂に入ろうか悩んでいると1つの疑問が頭に浮かぶ

 

「なぁ、青葉」

「なんでしょう?あ、お触り禁止ですよ?」

「誰がするか!!!……俺達あの後どうなったんだ?」

 

思い出せない、洞窟を見つけNが入っていくという発言の後の行動が

 

「お疲れで忘れたのですか?あの後中に入って結局誰もいなかったではないですか、そして結局町に戻って明日の朝またってNさんと別れたばかりですよ?」

「…そう…だったか…?」

 

思い出せないが…疲れて忘れてしまったのだろうか?だがそれにしては………そう言えば…炭酸飲料は元々この家にあっただろうか?不思議に思わず自分も飲んだ記憶があるが…曖昧になっている記憶では考えが纏まらない…

 

「ま、私達のできることは以上でしょう…後は早朝6時の為に休息をとるだけです、最大戦力なんですから早めに寝てくださいね?では私はこれで」

 

ウィンクを飛ばしながら寝床がある部屋に向かっていった青葉を見ながら頭の中にあるごちゃごちゃとした考えを一旦放り捨てて自分も風呂場に向かう

 

「…考えても分かんねぇ…なら今できる事をする…か…」

 

 

────────────────────────

 

暗い洞窟の中に高笑いが聞こえる、その声は洞窟内を反響して恐ろしい悪魔が笑ってるようにも聞こえなくはない…

洞窟の奥は明かりが見えその光源の元には4人と1匹の影が

 

「見よっ!カクロと俺の合わせ技!ジャパニーズ舞!」

「ニャッ!」

「はははははは!!はぁ…はぁ…!ごほっ!ごほっ!」

「え、エドワード君笑いすぎでは…」

「ありゃ変なツボに入ったね…」

 

俺が手を左右に振り体もそれに合わせ、カクロも俺に合わせるように頭の上で上手くバランスをとりながら踊っている

エド少年がこれでもかと爆笑するので何故か嬉しくなり踊り続けている俺とカクロを芦川がため息を吐きながら俺達を見る

 

「柏崎さん、ここ敵地で今私達は身を潜めてるんですよ?なのにこんなに騒いでは本末転倒では…?」

「いや、まぁ確かにそうなんだけど…まさかこんなにウケるとは…次の忘年会のネタにしようかな」

 

いやぁ、いいネタ思いついたな…そう思いながら踊りをやめて地面に座る

エド少年はまだ僅かに笑ってる…というか過呼吸になってない?大丈夫?

 

「ふぅ…日本人って面白いんですね」

「あの人が変なだけよ」

「一理ある!」

「一理も二理もねぇよ」

 

時間が過ぎていく、各々自覚できない疲れを癒しながら

 

 

爆撃まで後7時間




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