ファースト・オブ・バレット   作:パルバール

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第79話『銀髪の男』

「んー、多分この道を進めば大丈夫だと思う」

「ほんとかぁ…?」

 

町から離れた道を歩いている2人の影…涼風緋彩と岡薗誠だ

2人の影は月光に当てられ伸び…地面を見る、道は車が通っているのか土の道に2つの溝があり頻繁にこの道が使われていることが分かる

 

「けどよ、翔太郎ならもう行動起こしててもおかしくはないんだろ?なのに町に変化はねぇしよ、この先にいる可能性だって」

「うるさいな!いいから黙ってボクについてきてよ!君は追跡とかした事ある!?現場でもしもとか偶然を頼るのは駄目なんだよ!」

 

2人の空気は悪かった、元々1人で行動とかが苦手な部類にはいる2人が揃ってもまとめ役がいないせいで今にも崩壊してしまいそうだった

 

「…分かったよ、でもよ…なんでこの先なんだ?」

「理由は2つある、まず1つは車が往来しないといけない理由があるくらいこの道は使われていること、2つ目はあのローブの人達がパーティーから帰ってきた時…来た方向がこっち側からだったんだ」

 

誠は顎に手を当てながら思考する

 

「…つまりこの先に町人達はいて、翔太郎ならこの先にいる…ってわけか」

「そういう事、翔太郎なら必ず発見してるはずなんだ」

「信用してんだな」

 

どこかららそんな自信が出てくるのか…呆れ気味に緋彩を見ると緋彩はドヤ顔をしながら誠の方を向く

 

「当たり前じゃないか、翔太郎はボクの相棒なんだぞ!」

 

と、嬉しそうにいう緋彩を誠は苦笑しながら横を通る際に肩にポンと手を置く

 

「なら早めに翔太郎と合流しないとな」

「おー!」

 

元々仲が悪いわけではないので会話でどうにか間を持たせる

道は長い、だが遠くに薄らと見える建物を見る限り極端に遠いわけではなさそうだ

2人は道なりに歩き建物を目指す

 

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

歩いてもかなりの時間がかかった、今は何時だろうか…?

 

「ねぇ誠、今何時か分かる?」

「ん?…んー…夜中の1時とか2時じゃねぇか?」

「そっかぁ…なら寝ないと明日の朝厳しいだろうね」

「まぁ翔太郎見つけたら寝るとするか」

 

静かな建物、近くには墓地があり土が盛り上がっており何かが中から出てきたのだろうか?

建物付近には何か重い生物…が通ったのか謎の足跡が残っている

近くにゾンビがいる様子はないのが救いか

 

「…この中に…?」

 

建物はそこそこ大きい、窓や扉には木の板で打ち付けられており中から出るのは難しいだろう

 

「いたとしたら町人達か…もしくは敵のアジトかだな」

「んー…ボクが上に登ってどこか中の様子が分からないか探してくるよ」

「お、んじゃ俺は地上から探すぜ」

「大丈夫なの?」

「何言ってんだよ、俺達は超人だろ?そんじょそこらの雑魚ゾンビじゃ負けねぇよ」

 

そういう心配ではないのだが…大丈夫だろうか?

こちらの心配をよそに誠は建物を一周しようと歩き始める

 

「…ま、いいか…さて…意外と足場があるから簡単だね」

 

その場で屈んで近くの塀にジャンプ、そして塀の壁を蹴り建物の出っ張りを掴みほぼ垂直に飛ぶ

屋根に着地し落ちないように足を踏ん張り周囲を見る

 

「うーん、お?あれは…謎の色付き斜めガラス!」

 

光を入れるためだろうが何故色付きかは分からない…とりあえず近づきそっと中を覗いてみる

中は暗くよく見えない…割って中に入ろうかと思ったが下にもしも人がいた時が危険過ぎる…ここは堪えて一旦誠と合流する事を優先しようと上から誠を探す

 

「周囲を回ってるなら…何処だ…?」

 

誠が回ってる方向から反対側に見ていく

そして、やっと見つける事ができた…地面に倒れている姿を

 

「っ!誠!」

 

屋根から飛び降りて地面に着地する、普通なら両膝がハイブリッドな変形をしてしまうが気にせず誠の近くに行き膝をついて体を揺する

 

「誠!おい!…一体何が…」

 

落ち着いて周囲を見る、地面を見るがどうにも戦闘が起きた様子はない…変身した誠を倒すのは容易じゃない、すると変身してない時を一瞬で意識を刈り取ったという事…

 

「…とりあえず安全な場所に運ばなきゃ…っ!?」

 

誠の体を持ち上げようとしてた所に背後から殺気を感じ咄嗟に横に避ける、空気を切り裂くような強烈な拳が目の端に一瞬見えあれが当たればひとたまりもないだろう

少し離れた場所に立ち拳を構える、目の前に立っていたのはあのローブの1人だった

 

「…っ、なるほどね…誠を囮にしてボクをおびき寄せようとしてたのか…」

『…………』

 

ローブの人…男だろうか?ローブの男は拳を構えている、それも『須郷流』の構えを

 

「雅弘の武術を使うのか…!?…厄介極まりない」

 

そう言えば須郷流って雅弘使えただろうか?弟子がいたとは聞いたことはないが…

 

『……お前…』

「っ!」

 

突然ローブの男は声を出しこちらをじっと見てくる、ローブを頭に深く被っている為表情等は見えないが…

 

『…そうか、お前はここにいたんだな…』

「な、何を言ってるんだ…?」

 

突拍子のない男の言葉に動揺して構えが緩んでしまう

 

戦闘が始まるというのに

 

 

 

男は素早く動き間合いを詰める、通常なら相手の間合いに入らないように後方に一気に跳躍して牽制するが動揺した事により反応か遅れてしまう

 

「しまっ…!」

 

ローブの男の拳は確実に腹を捉え、衝撃で体がくの字になる

男の追撃は続き回し蹴りで蹴り飛ばされ地上を何度も跳ねながら塀の壁にぶつかって止まる

肺の空気を全て吐き出したのではないかというほど口から空気が出ていき背中はミシミシと嫌な音を出す、頭を咄嗟に守った為どうにか気絶はしなかったが痛みにより体が思うように動かない

 

「(ゆ、油断した…!まさか…こんなパワーがあるなんて…これじゃまるで…)」

 

脳裏に1人の男が思い浮かぶ、あの男の破壊的なパワーを思わせるような一撃だ

 

『くっくっくっ…まさかここにいるなんてなぁ?』

 

動けない自分の近くに来て髪を乱暴に掴み顔の向きを変える、ローブの男は楽しそうに肩を震わせながら笑う

 

『大人しく日本のどっかにいりゃ良かったのによぉ?なぁ?おい!』

 

言葉を切ると同時に地面に顔を叩きつけられ鼻から鈍い音がした、痛みに叫びそうになったがぐっと堪える

 

「…っ…お前はどこの誰なのかな?ボクは…お前みたいなクズは知らないけど」

『うるせぇな、失敗作は失敗作らしく野垂れ死ね!』

 

鈍い音が響き時間が過ぎていく、しばらくしてローブの男は緋彩と誠の足を掴み引っ張っていく

 

『めんどくせぇが今の主様に明日見せなきゃならねぇしな…さっさと消せりゃ楽なのによぉ…』

 

舌打ちと共に建物の扉を強引に開け2人を中に放り投げる

そして扉を閉めまた強引に扉を封鎖する

 

『あー…寝みぃ…時差ボケいつになったら終わるんだ?』

 

ローブを掴み顔を出す、蒸し暑かったのだろう…頭をガジガジと痒い所をかいて伸びをする

銀色の髪の毛を揺らしながら

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

1つの個室にて医者であろう男性と、看護師であろう女性が2人の若者を治療していた

部屋の外では人々が大丈夫だろうかと話しており突然出入口から投げ込まれた若者を心配する

 

医者は一息ついて額の汗を拭う、看護師も同じように汗を拭いながら患者の治療が完璧にできたことに安堵する

 

「しかし、あのローブの化物に襲われて死んでないとは…幸運な若者達だ」

「けど何処の子かしら…町の子じゃ…ないわよね?」

「あぁ…それにアジア系の顔立ちだな、中国人か?」

 

医者と看護師は2人の若者が誰なのか分からず話し合っていると銀髪の少女がカバッ!と起き上がりキョロキョロと周囲を見る

驚きながらも医者は安堵し少女に話しかける

 

「良かった、目を覚ましたのか…私は医者だ…安心して欲しい」

「お医者さん…?」

 

知らない人がいたからか驚きベットから立ち上がろうとするが傷が痛むのか動きが止まる

 

「…ここは…どこ?」

「ここは教会の一室だ、君達を治療する為に無理言って空けてもらったんだ…頭を強く打ってたから混乱するだろう、君の名前は?どこ出身?何故この州に?」

 

どことなく安心感がある医者の言葉に少女は落ち着きを取り戻し質問に答える

 

「緋彩…涼風緋彩」

「ヒイロ、君はどこ出身なんだい?」

「日本…」

「ニッポンか、私も生きてる内に1回は行ってみたいと思ってたんだ…何故この州に…いや、この場所に来た?」

「…ボク達は…町を助けるために………ここに町の人達は…?」

 

ぼんやりとした目だったヒイロと名乗る少女、少しずつ目の光が戻り真剣な顔でこちらを向く

 

「あ、あぁ…全員この教会にいるよ、住むには狭すぎるけど」

「…そうか、やっぱりここだったんだ…」

 

少女は下を向き微笑む、医者は頭がおかしくなったのではないかと不安になったが顔を上げた少女の顔はキリッとしており…そしてまた周囲を見る

 

「翔太郎!いるんだろ?」

 

人の名を呼ぶ少女、すると少女が寝ているベットの横にいつの間にかハット帽を被った青年が立っていた

 

「なっ!?だ、誰だ!?」

 

驚く医者と看護師を無視し少女と青年はお互いを見る

 

 

 

 

 

 

「よく辿り着いたな、緋彩」

「君の相棒であるボクが、君がいる場所が分からないわけないだろう?」

「ふん…しかし、綺麗な顔がボロボロになっちまったな」

「お世辞かい?」

「本心だが?」

「………」

 

緋彩はため息を吐きながら服の下からくしゃくしゃの紙切れを取り出す

 

「これ、青葉から」

「青葉か?…あいつどこまで考えてんだ?」

 

紙を広げ中を読む、読んでる途中ふと思った事を聞いてみる

 

「そう言えば、よくあいつの攻撃くらって死ななかったな」

「いや、かなりのダメージだったし…てか翔太郎はあれと戦ったのか?」

「まぁな、と言っても構えた瞬間能力使いまくって逃げたけどな」

 

話しながら紙の内容を読み終え緋彩に紙を返す

 

「朝の6時には動く、ので町の人達と何がなんでも協力よろしく、はーと、だってよ」

「…青葉も無茶言うなぁ…」

「まぁ、誠がいるから大丈夫だろ」

「そっかー…まぁ誠なら大丈夫でしょ」

「な、なぁ…君達は一体…?」

 

恐る恐る声を出し2人を見る医者、何もないところから人が突然現れたらそうなるだろう

 

「ん?ボク達かい?ボク達は…」

 

緋彩がベットから立ち上がり翔太郎の隣に立つ

 

「「超人だ」」

 

2人の超人は声を揃え、町の人達に希望の光を指し示す




一日ズレは様式美
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