一般人と雪の音の少女   作:FKIN

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はじめまして。それではよろしくお願いします。


本編
大学生、女の子を拾う


 「大変お待たせしました。ありがとうございます。またお越しくださいませ」

 

 今日もTATSUYA……前世では文字の順番が逆だった有名なレンタルショップでバイトをしている。

 

 俺の名前は中村圭人。前世では近畿の市立の大学で歴史関連の勉強をしていたただの大学生だった。カードゲームを趣味とし、サークルの人間関係で失敗し、辞めればよかったのに管理職についていたため引退までは辞めることも出来ないと、ずっと努め、引退直後に心労で弱りきっていたところで車にひかれ、享年20歳。そしてなんの因果か……前世と同じ両親のもとに生まれ、同じ名前、同じ見た目、そして前世と同じ徳島の田舎に生まれ前世とほとんど同じ生活を送っている。

 

 前世の違いがあるといえば……

 

 理数系と英語が苦手だったためそれらを中心に勉強したこと

 

 近畿圏の大学に行かず、東京の有名私大に通っていること

 

 そして……

 

 ノイズ(・・・)と呼ばれし、人類共通の脅威とされ、人類を脅かす認定特異災害がいるということだ。

 

 とは言っても徳島にいたときは大して警報など出ず、むしろ東京に出てきたことによってその脅威を体験している毎日である。ただ、ノイズと呼ばれる単語……

 

 「……なーんか聞き覚えあるんだよなぁ……気のせいか……」

 

 そうひとりごちながら仕事をしていると、

 

 「中村くん、今日何時まで?」

 

 「ん?23時までだからあと10分したら終礼に行く形になると思いますよ、石田さん」

 

 そう、俺が石田さん……バイトリーダーに声を描けられたのでそう返すと、

 

 「え?ラスト(26時)までじゃないの?」

 

 「……いっつも言いますね……明日授業あるからラストまでいるの割ときついんですけど……」

 

 「ハハハ、別に問題ないでしょ〜」

 

 「いや、結構危うい授業なのできついんですよね〜というわけであとちょっとで上がるんで……ていうか石田さん、気をつけてくださいよ?アンタがノイズに襲われて炭になったらただでさえ熟練の人が卒業で一気に抜けた穴カバーしきれないんですから」

 

 「大丈夫だって。君初めてのバイトなのに覚え良かったし君が僕の代わりになれば問題ないよ〜」

 

 そう言いながら石田さんはCDを30枚抱えて売り場に戻しに向かった。

 

 「……無理っすよ……貴方の代わりになるのは……それにもう、管理職になるのはコリゴリだ……」

 

 そう言った俺の独り言は虚しく俺しかいないレジに響いた……誰も聞いたものはいないが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「お疲れ様でした〜」

 

 俺は社員さんに挨拶をし、下宿先に向かう。とは言っても徒歩5分圏内だし、そこまで遠くはない。そして街灯で財布を開け中身を確認する。

 

 「……財布の中身は3万ちょっと……給料日まであと少しなのと、仕送りが入ってくるからそのぶん考えると……もう2枚ニノ買っても問題ないかな……?」

 

 そんなことを口にしながら家に向かう。独り暮らしをしていると独り言が多くなる。それは寂しさを紛らわす為と言われたりするが実際どうなのかはわからない。

 

 「……って、そういえば卵切らしてたな……こんな時間じゃ薬局は空いてるかもしれないけど反対方向だし……めんどくさいから明日でいいか……」

 

 そして1人虚しく夜道を帰る。いつも見慣れた光景……たった一つ違ったものがあるとすれば……路地裏で寝ている女の子が見えたくらい……

 

 「……なんか変なものが見えたような?」

 

 俺は今目にうつった変なものを確認すべく通り過ぎた路地裏の入り口の前に戻り確認する。するとそこには、やはり女の子が眠っていた。

 

 「……酔っ払いか?いや、酒の匂いがしない……」

 

 俺は近くにより女の子の様子を確認する。女の子は銀髪を後ろで結んだ少女だった。ただ、酒の匂いは全くせず、代わりに顔は少し赤く熱があるようだった……

 

 「……救急車呼ぶか……?……いや、この時間にこんなところで寝てるのは割と訳ありだろ?……こういうのは関わらないほうが一番か……」

 

 そう、言いつつ少し考え……そして……

 

 「……悪いな……見つけたのが俺みたいなろくでなしで……夜の街は危険がいっぱいだけど……次に見つけてくれるやつがまともなやつだといいな……」

 

 そう言い、俺はその場から立ち去ろうとした……が、

 

 『圭人、人に良い事をしたらね自分に返ってくるのさ。悪いことをしたときも同じだ。だからな……困っている人を見つけたら助けれるようなら助けてあげな』

 

 と、近畿圏に住んでいる祖母の言葉が脳裏によぎった……祖母は自分よりも他人を体現したような人だ。人助け……とまではいかないだろうけど……

 

 (……ノイズもいるこんな厳しい世の中だ……こんなところでのたれ死ぬか、変なやつに見つかって悲惨な目にあったってなると目覚めが悪いな……)

 

 そんなことを思いいつの間にか先程の路地裏に戻り、少女をおんぶした。

 

 「……頼むから人に見つかるなよ……こんな男が女の子背負ってるだけで結構アウトな光景だからな……あと起きて暴れられたらそくゲームオーバーかもな……」

 

 そんな事を、言いながら下宿先へと向かっていった……

 

 

 

 

 

 

 

 「……あたしは一体……それにここは……?」

 

 目が覚めると見知らぬ天井が目の前に広がっていた。確かあたしは路地裏で寝ていたはず……そんなことを考えながら辺りを確認する。部屋の中央には机があり、そこの上にはカードがちらばっている。本棚には《○○の歴史》と書かれた歴史関連の本や小説、そして壁には赤い革ジャンを着物の上に着た女性と全身真っ黒な青年のポスターが貼ってあった。そうやってあたりを観察していると目の前にある扉が開いた。

 

 「おっ?目が覚めたか。良かった〜熱は大丈夫か?一応冷えピタをオデコに貼らせてもらったけど……」

 

 と、そう言いながら男が水の入ったコップと薬をお盆にのせて部屋に入ってきた。

 

 「ッ!?勝手な事を!!」

 

 「待て、待てって!?とりあえず落ち着け!!こんな不審者に連れ込まれて焦ってるのは分かるけど取り敢えずこれ飲んで着替えてくれ!!」

 

 「ハァ!?あんたがあそこから自分の部屋に連れ込んだだぁ?」

 

 「あぁ、その説明は後でするから取り敢えずまじで落ち着けって!!あぁ、なんでこんなことしてるんだろ……」

 

 そんな事を言いながらお盆をおいて部屋の済にあるタンスからジャージ一式を取り出してきて近くに置く。

 

 「と、取り敢えず、それ飲んで着替えたらリビングに来てくれると助かる。そこで事情を話す。リビングはここの扉を出て左側の奥にあるから」

 

 そう言って男は部屋から出ていった……

 

 「っタク……信用できるかっての……まぁ、ありがたくもらっておくけどよ……」

 

 そう言いながらアタシはその男がおいていった水を飲み干し、言われたとおりにリビングに向かう。すると……そこには……

 

 「コーヒー入れねぇとなぁ……豆豆っと……味噌汁は昨日のやつ温めればいいし……ご飯と何か用意すればいいか?」

 

 なんて言いながら忙しそうにキッチンで色々と作業をしている男の姿があった……

 

 「おい……」

 

 「ん?もう着替え終わったの……って着替えてないやん。早く着替えてきなさいって」

 

 「余計なお世話だ!!っていうか!!あの薬、やばい薬じゃないのか!?」

 

 「馬鹿!!そんなものただの大学生が、持ってるわけねぇだろうが!!ただの風邪薬だよ。いいから着替えてこい!!風邪を悪化させるわけにはいかねぇだろ。それとご飯の支度してるから少し待ってなさい!!」

 

 そう言いながら一旦リビングから追い出され着替えてくるように言われる。なお脱いだ服は後で洗濯するらしく籠に入れておけとのこと。

 

 「……たく、なんでいきなりあたしを連れ込んだ男の言う事聞かないといけないんだ……」

 

 なんて言いながらあたしは先程の部屋に戻りジャージに袖を通した。ただ、男物ということと、175cmある男の服なんてあたしにとってはダボダボでしかなかった。

 

 「……サイズあってねぇじゃねぇか……まぁ、仕方ないか……」

 

 そして、ジャージを羽織ったあと言われたとおりに洗面所にある籠に服を入れ、先程のリビングに戻る。すると、

 

 「今度はちゃんと服を着てきたみたいだな……好きなところに座ってくれ。あと少しで料理できるから」

 

 そう言って目の前の男は座る事を促してきた。

 

 「あっ、あぁ……」

 

 「とは言っても昨日の残りを温めなおしたりしてるだけなんだけどな……いやぁ卵切らしてなかったら卵焼き作ろうかと思ってたんだけどなぁ……牛乳とお茶どっちがいい?」

 

 「……牛乳で……」

 

 「はいよ」

 

 そう言いながら男は目の前にコップと牛乳パックを置き、そのまま出来たものを机の上に置いていく。ちなみにメニューは味噌汁と白米、そして豚肉の生姜焼きとサラダだった。

 

 「取り敢えず何か食べてから話そうか。ほら腹が減っては戦はできぬって言うし?」

 

 「……何か入ってたりしないよな?」

 

 「心配症だな……まぁ、そら見知らぬ男に自分の部屋に連れ込まれた挙句にご飯提供されたりしてるんだ。警戒しないほうが不思議だよな。何?毒味したほうがいい?」

 

 「い、いや……別にいい……」

 

 「そう……なら早く食べたほうがいいよ。冷めちゃうからね」

 

 そう言いながら味噌汁をすする男。それをみてアタシも目の前のお椀に入っている味噌汁を口に含む

 

  

 

 

 

 

 「……」

 

 俺が味噌汁を飲み始めたのを見たため変なものな入ってないと思ったのか……ただ単にお腹が空きすぎて我慢できなくなったのか……少女はお味噌汁を口にした……

 

 「どう?美味しい?ここ最近のものに比べると大分美味しくできたかなぁとか思ってるんだけど」

 

 そう聞いてみた。だけど、帰ってきたのは予想外の言葉だった。

 

 「……あったけぇなぁ……」

 

 噛み締めるような、悲しい笑顔を浮かべ彼女はそう言った。そして出された食事をがっつくかのように食べ始めた。俺は絶句した……路地裏で寝ていた彼女を見つけたときに俺は家出か何かをした少女だと勝手に思い込んでいた……しかし、

 

 (勝手に思い込んじゃだめだな……こりゃよっぽど重たい過去背負ってるぞ……)

 

 と、何かを悟ってしまったのだ……そして、固まっていると目の前にお茶碗を出された。

 

 「……ん?」

 

 「……おかわり……」

 

 「あっ、あぁ……わかった……」

 

 そして、お茶碗に白米を注ぎ渡すと勢い良く食べ始めた。

 

 (まぁ、食べてくれるくらい元気になってるなら良かった……取り敢えず……米足りるかな……?今日はもしものために多めに炊いてあるけど足りなくなる可能性普通にあるぞ……)

 

 そう思いながら俺もおかずを口にし始める。

 

 

 数分後。

 

 あれほどがっついたのもあってか……テーブルが汚くはなってはいるがそのかわり皿はとてもきれいになっていた。俺はそれを見て苦笑しつつも台拭きで机の上を拭き、目の前の少女にコーヒーの入ったマグカップとクッキーを出す。

 

 「……いいのか?」

 

 「食べていいよ。まだあるしね……」

 

 「……悪いな……アンタのこと疑って色々といったのに……」

 

 「……まぁ、それは仕方ないわ。むしろ君の立場だったら同じこと言ってたわ」

 

 そう答えつつコーヒーをすする。

 

 「……にしても本当に変わったやつだな……路地裏で寝てるやつ連れて帰った挙句に飯食わせるなんて……」

 

 「実は一番驚いてるのは俺自身なんだよなぁ……まぁ、服が乾くまではここに居ていいから……」

 

 そう言っていると電話がなり始める

 

 「はい、中村です。おぉ、西原どうしたんだ?え?授業?……すまねぇ……今日は行けそうにないからノート頼むわ。うん、また今度食堂で飯おごるわ。んじゃ」

 

 「……」

 

 「……ん?どうかしたか?飲んでいきなよ?」 

 

 「……いいのかよ……なんか予定あったんじゃないのか?」

 

 「ん?あぁ、別に出席点もない授業だからなんとでもなるよ。いまは君のほうが心配だしね」

 

 嘘である。出席点は出ないものの実際に授業に出て話を聞かないとマジで危うい授業である。

 

 「……アンタ、嘘つくの下手だろ?なんか顔が引き攣ってるぞ?」

 

 「……マジ?え?初対面にも嘘つくの下手だって言われないといけないの?アホすぎひん?」

 

 そうやってアタフタしてると目の前の少女はアホくさくなったのかお腹を抑えながら笑い始めた。

 

 「……君……ちょっと失礼じゃない?そこまで笑うことか?」

 

 「ヒィヒィ……いや、自分で自滅してるやつはじめて見て……つい……それに……アタシは君って名前じゃない」

 

 「ん?」

 

 「雪音クリスだ。覚えておけ」

 

 そう言ってきた。

 

 「……そういえば自己紹介してなかったな。俺の名前は中村圭人。徳島の片田舎出身のタダのしがない大学生だよ」

 

 そう言い改めて自己紹介をした。これはある変わった物語。平行世界の自分に転生してきた男が雪音クリスと出会い人生を変えられる話である。

 




あえて言いましょう。クリスまじ可愛い。好き
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