高評価がついて正直ビクってなった作者です。滅茶苦茶驚きました改めまして高評価してくださった方々ありがとうございます……それでは2話目です。
あの後、一応熱が下がっているかどうか確認するために体温計を彼女に渡し熱を図ってもらう。そして体温計に表記された数値は36.4分。熱は下がっているようだ。
「……熱は下がってるみたいだな……まぁ、あんなに食べれたら当然だよなぁ」
「何だよ……悪かったな」
「……いや、悪くねぇよ。むしろあんなに美味しそうに食べてくれたことのほうが嬉しいわ」
「そ、そうか……」
そう言うと彼女……雪音クリスはそっぽを向いた。照れ隠しか……?
「……まぁ、取り敢えず雪音さんに聞きたいことあるんだけど?」
「……何だよ……?」
「……あそこで寝てた理由は……?」
「…話したくないって言ったら?」
「……まぁ、そこは君の自由だ。聞いた身だけど答えたくないなら答えなくていいよ」
「……本当に変わったやつだな?」
「当たり前だ。中学時代の友人がクラスの女子に聞いたクラスの男子の印象はって質問で俺のこと皆変人って言ったらしいからな」
「誇れる事かよ!?」
「……え?むしろ誇れることじゃない?満場一致で変人はある意味すごいぞ?」
「ポジティブすぎんだろ……まぁ、アタシもアンタに聞きたいことがある」
「……何が聞きたい?ちなみにカードにかけた金額とFGOとデレステに課金した金額は覚えてないから答えられないぞ?」
「ちげぇよ!!誰がそんなこと聞きたいんだ……たく……お前……特機部二の関係者か……?」
と、神妙そうな顔をして聞いてきた。しかし……
「突起物……?何それ?要はあれ?突き出たもののこと?俺はある意味浮いてるから当てはまるかもな〜」
そう、答えた。すると……
「……あぁ、よーくわかった。連中と全く関係ないことがな。っていうかまじでただの一般人かよ」
「せやぞ。ただのオタッキーな一般人やぞ?」
「あ〜警戒して損した。一瞬アタシをここに連れてきたのは後にそいつ等に引き渡すんじゃないかって思ってたけどそれはねぇな。アンタ、嘘つくの下手くそだもんな〜」
「……それはそれで地味に傷つくけどな……ハァ……」
「いや、最後のはいい意味で言ったんだって……本当にアンタ変わってんな……」
と、そう言いながらソファーに持たれこむ雪音さん。
「……まぁいいさ……それより雪音さん、俺ちょっと買い物に行かなくちゃいけなくなったから留守番よろしく」
「……なんでアタシが……」
「服乾いてねぇし、出られないだろ?そんなダボダボな格好じゃ……君のジャージとあと今晩の晩御飯の食材買ってこないと行けないからさ」
「……それもそうか……」
「んじゃま、1時間後くらいに帰ってくると思うからよろしく。あと、インターホン鳴っても基本的に出ないでくれると助かる。そこのカメラ見て宅配便は出て受け取ってくれるとありがたいけどそれ以外は出なくていいか。んじゃ」
と言ってオレは外に出ていった。さてと……最初に向かうのはホームセンターかな?
「……何なんだあの男は……」
あたし事雪音クリスは戸惑いを隠せなかった……中村圭人と名乗ったここの住人。フィーネに追われ、友達になろうって手を差し出してくれた少女からも逃げ出したアタシを……行き倒れていたアタシをなんの気まぐれか自分の家に連れ込み料理を振る舞ってくれた存在。だが、それよりも
(……なんでアタシのことを構ってくれるんだ?)
その事が頭をぐるぐると回っていた。アタシは大人の事を信用できない。地球の裏側で両親を殺され、さらに現地の武装組織に捕まり、両手を縛られ、トラックで運ばれた挙句に逃げられないよう両手を鎖で繋がれ、虐待を受けた日々。泣き叫んでも許しを請うても大人の気が済むまで終わることのなかった地獄の日々。更にはたった一人理解してくれると思ったフィーネにも道具のように扱われ、まともに相手をしてもらえなかった……故にあの男もそこら辺の大人と同じようにアタシに何かするために連れ込んだのかと最初は警戒していたのだが……
(あれで考えてるってなったらよっぽどすげぇ役者だよ……あんなに抜けまくってるヤツが変なことを考えるとは思えねぇ……)
そう感じていた。中村圭人という男に対する認識がたった数時間話しただけで大きく変わっていた。最初は警戒するべき対象だったものが今では
(……でも、あの馬鹿もあたしのことを聞いたらどうするのだろうか……追われてる身と分かれば冷たく接してくるのだろうか……)
そんなことを考えていた。なんでだろうあの馬鹿といると心の底から笑ってた気がする……あんなに笑ったのはいつぶりだろうか……
(でも、考えててもしょうがねぇ……服が乾けばここともおさらば……アイツともおさらばだ……もう二度と会う事もないだろうが……)
と、そんなことを考えながらソファーのすぐ近くにあるテーブルの上に漫画がおいてあった。近くにはメモ書きがあり、
《暇だったらこれ読んで時間を潰していてください。続きが気になるならそこの本棚に入っています》
と、律儀に書いてあった。
「……まぁ、やることもないし……暇つぶしに読むか……」
そう独りごちながら中村圭人の置土産……《NARUTO》のコミックスを読み始めるのだった
「……思った以上に時間がかかったな……」
そう言いながら俺は帰り道を自転車で走る。本当なら既に家に帰って晩御飯の支度を始めている時間なのだが……
原因は2時間前に遡る。
あるものを作るためにホームセンターへ向かい、近くにあるショッピングモールでジャージを買い、そしてそのままそこのショッピングモール内で買い物を済ませて帰る……予定だった……
「あれ?雪成君じゃん」
そう、中村圭人に声をかけてくる人物像がいた。
「ん?あっ!!にゃんこさんじゃないですか!!」
「こんな時間に会うのは奇遇だね〜」
そう言いながら中村圭人の肩を叩く男性。そう雪成というのは中村圭人のカードゲームをするときのハンドルネームである。そして彼の目の前にいる男性もカードゲーマーである。賢明な読者諸君はもうこの後の展開が予測できるだろう。
「今ちょうどここの2階にあるホ○ステで対戦相手いるか探そうと思ってたんやけど数戦どう?僕の最新作のカムイ(女)デッキが黒翼を羽ばたかせるぜ」
「なら俺のデッキで相手しますよ……この良さ味マルスデッキでな!!ドラゴンステーキにしてやる!!」
と、悪乗りした結果、買い物をしに来たことを忘れ4戦ほどファイアーエムブレムサイファのカードゲームをしていたのが原因である。デッキなんで持ってるかって?デュエリストならデッキを持ち歩いてるのは基本だよなぁ(違うゲームです)?なお、対戦結果は2-2と互いに引き分けだったらしい。
と、まぁ家に人がいることを忘れてひたすらカードゲームをしていた馬鹿が卵を買ったあとに急いで家に帰っている最中である。
「……もしかしたらもう家出てるかもしれねぇな……本当にやらかした……いつもならともかく今日人おるんやで……何やってるん?」
そんなことを一人言いながら下宿先の駐輪場に自転車を留め、買ったものを取り出し玄関の鍵を開けて中に入る。そしてリビングに大急ぎで向かい扉を開ける。
「ただいま!!ごめん、遅くなった!!いや、これには深い訳が……」
と、言うが何も反応がない……もしかしてもう出ていったあとか?そう思っているとソファーの方で……
「……」
NARUTOの53巻を読んでいるクリスを発見した。涙を流しながら……
「……その巻泣けるよな……」
そう言いながら彼女の隣に座る。
「っ!?いつからそこに!?」
「たった今……だな……ただいまって言っても反応なかったから心配したけど……その巻を読んでたんじゃ話は別だな……どこまで読んだの?」
「……もう終盤だな……」
「そうか……」
「……この主人公……苦労してたんだな……」
「苦労してたし、それよりも……寂しかったのさ……でも、自分が生まれたときにたっぷりの愛情をもらった事を……化物が入るより前に愛情が入ってるってわかったから幸せだと……分かったんだ。この作品で好きな話ってナルトの家族の話が多いんだけど……まじで泣いた巻……かな……」
そう答えると、雪音さんはさっきよりも泣いていた……
「……俺さ……この作品のお陰で親って大切なんだなってすごく思ったんだ……カカシ先生がナルトに言っていただろ?『父親ってのは息子に色々言いたがるもんだろ』って?俺の親父もな……遠く離れてるのに常に心配なのか……よく電話くれるんだよ……まじでそのとおりだなっ……て」
「だったら……」
そう言うと雪音さんは漫画をテーブルに勢い良く置いたあとに俺の胸ぐらを掴み
「だったらパパもママもいないアタシは何だ!!何だってんだよ!!地球の裏側でパパもママも殺された!!戦地で難民救済?歌で平和にする?ふざけんな!!いい大人が夢を見て、アタシを独りぼっちにして、地獄を味あわせた。それのどこが子供の為を思ってる……だ?ふざけんな!!だったら……」
そう言いながら俺の胸を叩きながら……
「……苦しいときに側にいてくれよ……助けてくれよぉ……」
泣き出した……
「……俺はさ……君の過去もろくに知らないし、なんなら君の素性も全く知らないけど……さ……一つだけ、なんとなくだけど分かることがある」
「……」
「……君の両親はそんなつもりでそこに君を連れて行ったんじゃないよ……むしろ見せたかったんじゃないのか……君に?」
「……え?」
「……夢を叶えるところを、歌で世界平和にできるってことを……その瞬間を君に見せたかったんだよ……たぶんね……」
「なんで……そんなことを……」
「なんで?そんなの決まってるだろ?君を愛してるからこそ君に見せたかったんだよ。自分たちの夢が叶う瞬間を、自分たちの夢を自分たちの子供に託す。これこそ親からの贈り物じゃないかな……それに……」
そう言いながら俺は彼女を抱きしめ
「……子供ってのは親の背中を見て育つものさ。それに……」
「……」
「君の両親は思いだけ託したと思う?」
「……?」
「……君が幼い時に両親から何かもらったんじゃないの?夢を託されるよりも前……この作品の主人公……とまでは言わないけど……君は何か大切なものをもらってると思う」
そう言いながら彼女の頭を撫でる。すると……
「……そうか……そうだったんだな……」
「ん?」
「……アタシにも……大切なもの……愛情って注がれてたんだな……」
「……だと思うよ……」
そう答えると彼女は俺の胸のうちで更に泣き出した……
「今はここで泣いておきなさい……俺しか見てる人もいないから……だから安心しろ……」
そう撫でながら彼女を抱きしめる。俺は彼女の過去を何も知らない……でも、でも……どれほど辛い過去を抱えていようとも……幸せになってほしい……幸せでいてほしい……そう思っていた……故に今は胸をかそう。気が済むまで泣いていればいい。俺のはそれくらいしかできないから……
数分後……
「……すまねぇ……濡らしちまった……」
「いや、気にすることじゃないよ。これくらいどうってことないって」
そう言いながら雪音さんに言葉を返す。
「……でもっ!!」
「良いからって……それよか渡したいものがあるんだ」
「渡したいもの?」
「あぁ……大事なものだから無くさないでくれよ?」
そう言いながら俺はポケットから雪の結晶のついたキーホルダーのついた鍵を出した。
「……
「あぁ、ここの鍵。無くさずに持っていってくれ」
「……ずっとここに居座る気はねぇぞ……」
「あぁ、それで構わないよ。好きなときに好きなタイミングでこい。いつでもいるわけじゃないけど雨風しのげるし冷蔵庫には作り置きもあったりするからな……それに……」
「それに……?」
「鍵を預けるってことは
そう言うと雪音さんはポカーンとした顔をした。
「……良いのか?」
「ん?」
「……何か悪いことに使うかもしんねぇぞ?」
「君なら大丈夫。俺の目は節穴だらけだけど何故かこれだけは自信を持って言えるわ」
「……何か都合の悪いことが起きるかもしれないぞ?」
「……まぁ、都合の悪いことの度合いにもよるけど君を守るよ。家族の一員なんだから」
「……ここにいても……いいのか?」
「良いよ。好きなときに出ていってもいいし好きなときに戻ってきてくれても構わない。家主がそう望んでるんだ。問題はないよ」
そう言いながら俺は彼女の手に鍵を握らす。
「……もう返さねぇぞ?」
「良いよ。むしろそれを望んでるからね……」
そう答えると彼女は俺に抱きつきまた泣き出した。
「あらあら……泣き虫な白猫さんなこと……まぁ、こんな生活もありなのかもな……」
彼女の頭をポンポンとしながらそう独りごちるのであった……
実はこの話書いてるときにNARUTO疾風伝のナルトの生まれた日を見ながら書いてました……好きな話であるし、またクリスとナルトってそういうところ似てるかな?って勝手にシンパシーを覚えたのも今回の要因です。ちなみにこの時はお話モードで全く気にしてないのですが後で自室に戻った圭人君は
「あれ?俺もしかして生まれて初めて家族以外の人に抱きつかれた&抱きしめた?マジ?」
と、あとで思い出して何やってんだ俺ぇぇぇって言ってるのは内緒です。