一般人と雪の音の少女   作:FKIN

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投稿です。お気に入りの欄見る度にいつも驚かされます……評価つけてくださってる方々、また感想をつけてくれる方々ありがとうございますm(_ _)m


少女、ケリをつける

 朝 5時

 

 俺は目をさました。本来なら休日なのでまだまだ寝ていたい時間なのだが日課のランニングをこなすために俺は早起きをした。

 

 「……ファァ……前世だったら絶対この時間に起きれてないだろうな……いや、起きてた時期も確かにあったな……まぁ、ストレスに支配されてる時期だったから仕方ないや」

 

 そう1人呟きながら外に出る為にベッドから降りようとする……が……

 

 「Zzz……」

 

 ベッドのすぐ下には布団を敷いて寝ているクリスがいた……

 

 「……そういえばベッドの隣に布団敷いて寝てたな……」

 

 と、独りごちながらクリスの寝顔を見る。年相応のいい顔をしながら寝ている姿はこちらが何故か幸せになりそうな気がした……

 

 (……と、こんなことしてる場合じゃねぇな……時間はいくらあっても足りないんだ……早く行くか)

 

 と、そう思った俺はクリスを踏まないように、また起こさないようにしながら部屋をこっそりと出て玄関から外に出た。さて軽く10km走るかね〜

 

 

 

 「……朝……か……」

 

 アタシは目をさました。ここ最近良く見る光景。壁に貼られているここの家主の圭人の好きなキャラのポスターを目にしながら体を起こす。

 

 「……圭人は……いないのか……」

 

 ふと隣を見ると圭人のベッドに人影はなかった。既に起きて朝食の支度をしているか、彼の日課であるランニングに出てるかのどちらかだとクリスは理解した……しかし、

 

 「……いつも早起きだよな……こいつ……」

 

 そう1人呟きながらアタシはベッドの上に寝転がった。そして圭人の使っていた毛布にくるまった。

 

 「……あたしの帰る場所……か……」

 

 あたしはそしてつい数日前のことを思い出していた。

 

 『たとえ訳有であっても関係ない。彼女は……家の鍵を預けた大切な家族だ』

 

 『……この家を引き払ってなかったらな。ただ、俺がクリスの帰ってくる場所くらいにはなってやるよ』

 

 そう宣言したこの男。その事がアタシにとってはとても嬉しくて……温かった……

 

 (……いつも人に裏切られてきた……何度泣いても止めてくれなかった大人……自分のことを道具のように扱ったフィーネ……でも……圭人は違った……)

 

 ここ数日彼と過ごしてよくわかった。

 

 料理好きなこと。

 

 歴史や漫画等好きな事にはすぐにのめり込むこと。

 

 おっちょこちょいなこと。

 

 割とカードゲームが強いこと。

 

 割と寂しがりやなこと。

 

 そして……嘘がつけないくせに、何かを隠し、それを引き摺っていること……

 

 (……何か言えないことを抱えてるのはわかる……けれど……いつかその苦しみを取ってやりたい……)

 

 自分に温かさをくれた。

 

 自分に居場所をくれた。

 

 こんな自分の帰ってくる場所になってくれると言ってくれた……

 

 故に彼に恩返しがしたい……いつか、彼の抱えてる何かを取り除いてやりたい……

 

 そう思うようになった……しかし……

 

 (……ただ、それをするためにはあたしの決着をつけるために一歩踏み出さないといけない……)

 

 今まではただフィーネの言う事を信じて従ってきた。でも、それは間違いだった。裏切られて傷ついた。

 

 (もう隠れるのも逃げるのもやめだ……フィーネと決着をつける)

 

 そう思いながら枕に顔を埋める。

 

 「……そして、帰ってくるんだ……ここへ……」

 

 そう独りごちると

 

 ガチャ

 

 と、玄関の鍵が開く音がした。どうやらランニングの方だったらしい。アタシは圭人のベッドにのっていたことがバレないように即座にベッドから飛び降り、今起きたかのように部屋から出る。

 

 「……おはよう」

 

 そして、声をかけると、ここの家主……圭人は汗だくになりながら

 

 「おはよう、クリス。朝食は少し待ってて。シャワー浴びてから作るから」

 

 と、言ってきた。

 

 「……あぁ、わかった。リビングで待ってる」

 

 「うん、そうしてて」

 

 と、笑顔を浮かべ風呂場に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シャワーを浴びてから俺は朝ごはんの支度をすませクリスと共に食べる。今日のメニューはご飯とお味噌汁、そして目玉焼きとウィンナーである。そして朝食をとっていたときだった……

 

 「なぁ、圭人……」

 

 クリスが神妙そうな顔をしながら話しかけてきた。

 

 「あん?」

 

 「……前に……言ってくれたよな……?あたしの帰ってくる場所になってくれるって……」

 

 「……あぁ、そのつもりだけど……どうした?急に?」

 

 「……なら、安心できる」

 

 そう言うとクリスは意を決したように

 

 「……あたし、過去にケリを付けてくる」

 

 「……過去に?」

 

 「あぁ……」

 

 「……俺もついて行ったほうがいい?」

 

 「イヤ、圭人はここで待っててくれ……いや、違うな……ここで待っていてほしいんだ……」

 

 そう言うと彼女はとてもいい笑顔を浮かべ……

 

 「……圭人は……あたしにとって温かい……何だろうな……陽だまりなんだ……」

 

 「……」

 

 「だから……安心して過去に立ちむかいにいけるんだ……お前があたしの帰る場所……道標になってくれる……」

 

 「……帰ってくる……んだよな?勿論?」

 

 「当然だ。あたしを誰だと思ってるんだ?」

 

 「ひねくれ者のあたし様?」

 

 「オイっ!?」

 

 「ハハハ、冗談だよ……戻ってきてくれるのなら別に問題ない」 

 

 そう答え、俺は彼女を真っ直ぐに見たあとに、

 

 「……何時たつの?」

 

 「……この朝食を食べ終わったらすぐに……かな?」

 

 「……そうか……少し待ってろ」

 

 そう言って俺は席を立つ。

 

 「……圭人?」

 

 「お弁当……すぐに作るから食べてなさい。まぁ、お弁当って言ってもおむすび3つくらいだけどな」

 

 「……いいのか?」

 

 「いいのかって……それくらいさせてくれよ……それに腹が減っては戦はできぬっていうくらいだからな」

 

 と、炊飯器からご飯を取り出し、ラップに包みおむすびを作っていく。

 

 「味付けは……いま梅干しとかないから塩しかないけど堪忍な」

 

 「……別に気にしない。むしろお前の作った料理にケチつけたことあるか?」

 

 「……ないな」

 

 そう言いながらおむすびを作り上げる……言われてみて気づいたが確かにクリスに料理をケチつけられたことはなかったな……

 

 「……さて、できた」

 

 「……ありがとな」

 

 「いえいえ……それよか予定あるなら急がねぇとな」

 

 「あぁ」

 

 そう答えると彼女はご飯をかきこみはじめた。

 

 「……ただ、急ぐのはいいけど喉つまらせんなよ?」

 

 「フォウ(おぉ)」

 

 「お前は何処のマーリン死すべしフォーウってなく使い魔だ!!口の中のもの飲み込んでからへんじなさい!!たく……」

 

 心配だな……

 

 数分後

 

 玄関先にて……

 

 「弁当持ったか?歯磨きしたか?忘れ物ない?連絡手段ないから忘れ物あったとしても取りに帰ってきてもらうぞ?」

 

 「お前は母親か!!」

 

 「うるせぇ!!送り出す身にもなってみろや!!」

 

 「そうかよ……」

 

 というとクリスは靴を履き扉をあけて外に出ようとする。

 

 「ちょっと待ってくれ」

 

 「あ?どうかしたか?忘れ物の確認はあんなにさせられたからぜってぇないぞ?」

 

 そう言いながら首を傾げこちらに体を向けるクリス。

 

 「いや、言わせてもらいたい事がある」

 

 「?なんだよ?」

 

 「……俺は確かにお前の帰る場所になるって言った……けど、俺は本当はお前を行かせたくない……変なことをいうが……嫌な予感がする……」

 

 「あぁ、でも……」

 

 「分かってるさ。おまえの決めたことを俺が口出しする権利はないさ。でも、これは俺の願望だ。覚えてくれてなくてもいい。俺が言えるのはこの一言だけだ」

 

 そう言って目の前の少女を抱きしめる。

 

 「……何があっても……例えどんなことがあっても……絶対に生きて帰ってこい!!」

 

 「……」

 

 「……お前が帰ってくる場所は守り抜いてやるから……な……俺は弱い……お前を守る事はできねぇけど……な」

 

 「……ハッ……何だよ……そういえばお前、寂しがりやだったな……わかった……絶対帰ってくる……この場所に……寂しがりやのおまえを残すことが心配だからな」

 

 「あぁ、それでいい。じゃあ、クリス……」

 

 そう言って俺は彼女を腕の中から開放し……

 

 「いってらっしゃい」

 

 と、見送りの挨拶をする。すると

 

 「いってくる。ただいまって言えるこの家にちゃんと戻ってくるから!!」

 

 そう言って彼女は家を出ていった……

 

 

 

 

 

 結局その日……クリスは帰ってこなかった……

 

 ただ、それだけで終わらなかった。

 

 うちの家は無事だったがノイズの襲来により街にはでかい戦いの爪痕が残っていた。特に何故か私立リディアン音楽院の校舎が全壊したらしくそのあたりは現在でも立入禁止になっている。

 

 また、クリスを含め何人かが行方不明となっていることだった……

 

 

 

 

 そして……数日後……俺が最も聞きたくなかったこと……雪音クリスの扱いが行方不明から死亡に変わったことを聞いた……

 

 「……それほんまですか……」

 

 それを伝えにわざわざ家にやってきてくれた風鳴さんにそう問いかける。本人曰く詳しいことは言えないらしいが俺はだいたい予想がついていた。あの後世間で話題になったもの……月を破壊できる兵器を日本が保有していた。そのことに近隣アジア諸国を始め野党から非難されていることを知っている。特に……ネットでは女子高生くらいの年齢の少女がノイズと戦っていたという話が上がってたりもした……昔はコイツ妄想がすごいな……なんて思ったりもしたが……詳しく言えない風鳴さんの姿を見てなんとなくだがクリスがそれに値するのではないか……と予測はたっていた。

 

 「……あぁ……すまない……」

 

 「謝らないでください……何があったか知りませんが……一般人には話せないことに関わってたんですよね……詳細を明かせないのは仕方ないですよ……」

 

 「……あぁ、だが……」

 

 「……いいんですよ……俺とアイツは数日間過ごしただけの関係……後は前と同じく独り暮らしに戻るだけですよ……」

 

 と、笑いながら言った。しかし……

 

 「……やはり君は嘘がつくのが下手だな……泣いてるぞ?」

 

 「……え?」

 

 そう言われ顔を触るとたしかにいつの間にか涙を流していた。

 

 「……強がらなくてもいいし、嘘をつかなくてもいい……君は……本当にクリス君を大切に思ってたんだろ?」

 

 「……」

 

 「……だから今くらいは思いっきり泣いてもいいんだぞ?」

 

 そう言われると、感情が抑えきれなくなってきた……

 

 「……同情とかじゃないんすよ……」

 

 「……」

 

 「……アイツの話聞く前に……飯を振る舞ったときにアイツの顔が本当に胸に刺さって……」

 

 そう、思い返されるのはあのときの顔……あれが彼女を助けたいって思ったきっかけ……

 

 「……」

 

 「……この子……人の温もりを知らないのか……って思ってしまって……」

 

 「……」

 

 「……世界は残酷だけど……それでも楽しいこともあるって教えたくて……俺だけでも……彼女の味方になってあげたくて……」

 

 「……」

 

 「……でも……守れなかった……なんで……何でなんだよォォォ!!なんで俺はこんなに無力なんだよぉぉぉ!!」

 

 「……そんな事はない……君はよくやった」

 

 「良くやった?巫山戯るな!!家族を守るって言いながら結局俺はクリスを助けられなかった。なんなら月の破片から世界を守ってくれたのはクリスだ!!命を張って!!もうこの時点でただの道化だよ!!俺は!!何が守るだ!!巫山戯んな!!守るどころか助けてもらったのは俺の方だ!!畜生……こんな事なら」

 

 死んじまったほうが良かったのかな……

 

 という言葉は続かなかった……何故なら……

 

 「……いい加減にしろ……」

 

 風鳴さんに頬を叩かれたからだ……

 

 「君が言おうとした言葉……それは死者への冒涜だぞ?」

 

 「……じゃあ何ですか?俺はどうすれば良かったんですか!!アイツを……」

 

 「クリス君は幸せだと俺に言った!!」

 

 「え?」

 

 「戦いに行く前に彼女に会う機会があってな……そのときに彼女が言っていた。『中村圭人が自分に前に進み出す決心を付けさせてくれた。中村圭人っていう自分の帰る場所を守るために戦いに行くんだ』……とな」

  

 「……そんな事を……アイツが……」

 

 「……あぁ、だから君は自分をそんなに攻めるな……君は彼女の心を救った……君という存在が彼女の心の中にいたから彼女は孤独じゃなかったのさ……もし彼女が生きて帰って来たときに守りたかった君が生きていなければ彼女がかなしむ……君は彼女を再び孤独にするつもりか!!」

 

 その言葉が胸に刺さった……そうか……俺……自分であいつとの約束……破る発言をしようとしていたのか……

 

 「……すいません……目がさめました」

 

 「なーに、別に構わんさ。そしてこちらこそすまん。君の頬を叩いて……」

 

 「いえ、手痛い勉強料金だと受け取ってるので別にいいです……」

 

 そう答え苦笑いを浮かべる。すると……

 

 「……そうか……」

 

 と、向こうも苦笑いを浮かべた。

 

 「……あっ、そうだ。風鳴さんこのあと時間ありますか?」

 

 「?あぁ。今日は君のところに話をしたらその後は特に仕事はないが……」

 

 「良かったらうちで飯食っていきません?一時クリスがいたからその癖でちょっと多めに食材とか買っちゃって……」

 

 「……良いのかい?ご馳走になっても?」

 

 「えぇ……食材をだめにするのも勿体無いですし、それに大切な事思い出させてくれたお礼です。腕を振るわせてもらいますよ」

 

 「そうか……ならお言葉に甘えてご馳走になろうか!!」

 

 「はい、そうしていってください」

 

 そうして風鳴さんを食卓に招き久しぶりに人に料理を振る舞った。ちなみに中村圭人のある人直伝の麻婆豆腐がその時の食卓に並んだらしいが風鳴弦十郎は普通に完食しきったらしく圭人が感嘆したという話があるが……いずれそれは語られる事であろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして更に日は流れ……

 

 ルナアタックと呼ばれたその一連の事件から3週間が経過した。大学の方は少しの間休校扱いだったが来週から授業を再開するらしい。俺の友人連中(西原を除く)は

 

 「遊ぶ時間がァァァァ」

 

 と大きな悲鳴を上げてはいたが、俺は遊ぶ気にもならなかった。むしろ部屋にこもって学芸員の勉強やゼミの課題ばかりしていたと言っても過言ではなかった。

 

 だが、ある日を境に俺の日常も大きく変わることとなる。

 

その日も勉強し終わって晩御飯の準備をしようかと思っていた時間だった。

 

 「……さて……今日の晩御飯は何をしようか……実家からは親父の実家から送られてきた松坂牛がそのままたらい流しされて俺のところにやってきている……久しぶりに焼き肉でも……うーん、でも一人で食べてもつまらないからあいつらでも呼ぶか?」

 

 そう一人ぶつぶつと解凍しておいた松坂牛を前に悩んでいた。すると……

 

 『〜♪』

 

 インターホンがなった。

 

 「……チャイム?今6時だけどなんか頼んでたっけ?実家からの仕送りは……つい先日受け取ったからないとして……ハハーン。さては三重の爺ちゃんだな?余ったお菓子送って来たんだな……受け取りに行くか〜」

 

 と、カメラの映像を確認せずにリビングの扉を開け玄関口にむかう。だが、

 

 ガチャッ

 

 と、音がした。それはリビングを開ける音でも何でもなく……

 

 「……え?鍵が開く音?」

 

 その突然の出来事に戸惑い、玄関口にて固まっているとドアが開く。するとそこには……

 

 「……ただいま……」

 

 顔をそらしながら、銀髪の少女……死んだと言われていた雪音クリスがそこに立っていた……

 

 「……」

 

 「お、おい!!ちゃんと帰ってきたんだから出迎えの言葉くら」

 

 い……という言葉は続かない。何故なら彼女は圭人に抱きしめられたからだ。

 

 「……生きてんなら生きてるって連絡入れろ……バカ娘。こちとらお前が死んだと思って……あのとき見送った選択をどれほど悔やんだことか……」

 

 「……それは、ごめん……機密がどうとかで暫く軟禁に近い生活送ってたんだ……」

 

 そう言いながらクリスも俺を抱きしめてくる……

 

 「……知るか馬鹿……人の気も知らねぇで……」

 

 「……だから、ごめんって言ってるだろ!!……でも、約束……守っただろ……?」

 

 「……あぁ……」

 

 「……基本的にはいつもアタシがしてたんだ……だから言ってほしいな……」

 

 そう、顔を赤くしながらお願いをしてきた。

  

 「仕方ないな……お帰り、クリス」

 

 「……ただいま、圭人」

 

 こうして銀髪の少女は彼女の帰るべき場所であるおっちょこちょいで寂しがりやの青年のもとへと戻った……彼女達の物語はこれからも紡がれる。

 

 「あっ、そうそう。明日の晩御飯。お前に試練与えるから楽しみにな?」

 

 「え?」

 

 不穏な単語を残しながら……




と、言うわけで実は他の装者と会うこともなく無印は終了です。むしろこれからやっと絡む機会を与えられるって思っております……次回からは絶唱しないシリーズを少し挟んでからG編に移行します。というわけでこれからもよろしければこの大学生と銀髪の少女のやり取りを温かい目で見守ってくれると助かります。
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