どうも、ふぁもにかです。ちょっと本格的にシリアスブレイカーモノが書きたくなったのでちょっと書いてみました。主にアホの子トリスと地の文が全力でふざけてますので、そういったタイプの文章に耐性のない方は読むのを避けることをお勧めします。あと、ホントに気晴らしで書いたので更新は割と絶望的だったりします。
昔々、というほど昔ではない頃。リィンバウムという世界にて。蒼の派閥という召喚士育成施設に所属している一人の召喚士見習いの女の子がいました。
彼女の名はトリス。少々頭のよろしくない女の子です。……正直に言いましょう。トリスはアホの子です。アホ真っ盛りです。思考回路が未だ幼児並みなまま成長していないために空気を読まない言動を繰り返すことに定評がある女の子です。頭のネジが抜けすぎててもはや手の施しようがないレベルにまで達しています。
さて。そんなトリスですが、どうやら一人前の召喚士になるための試験の会場となる蒼の派閥の本部へとたどり着いたようです。
「召喚士見習いトリス、ただいま参上!」
「ほほっ、待っておったぞトリスよ」
両手を腰に当ててエッヘンと胸を張るトリス。そんなトリスをまるで孫を見るような微笑ましい目で見つめるのはラウル師範。アホの子なトリスを何かと気にかけてくれる優しい白髪の男性です。
「時間ギリギリか。てっきり試験を受けるのが怖くて逃げたかと思ったぞ」
「ん? ごめん、今なんか言った? とりあえずワンモアプリーズ」
「……フン。大した自信ではないか。どこの馬の骨とも知れぬ『成り上がり』の分際で。ぜひその実力を見たいものだな」
壮年のフリップくん(属性:おっさん)が嘲笑の笑みとともに皮肉を言ってきます。彼はトリスが成り上がりであることが嫌で嫌で仕方ないようです。
しかし、アホの子なトリスに皮肉なんてものが通じるわけがありません。トリスを精神的に傷つけたいのならトリス相手に面と向かって直球かつ大きな声ではきはきと悪口をぶつけるしかないのです。それでもトリスに100%通じるとは限りませんが。
「え、何? そんなに楽しみにしてくれてたの? ありがとー、おじさん! 期待にはちゃんと応えるからよろしくねー! イェイ!」
「……」
案の定、トリスはフリップくんの皮肉を激励の言葉と勘違いしてニンマリと笑みを返しました。その後、手をブンブンと振った後にピースサインを向けました。その悪意の欠片もない純粋な言動に彼は思わず押し黙ります。頬が赤くなっているのはおそらく気のせいでしょう。惚れっぽい体質なのでしょうか。それともロリコ……いえ、何でもありません。
「ゴホン。では、試験を開始する。目の前のサモナイト石を用いてお前の助けとなる下僕を召喚してみせよ」
「あいあいさー! えーっと、古き英知の術と我が…我が……あれ? 何だっけ? まぁいいや。とりあえず私の友達カムヒア! ヒャーウィーゴー! ヒェア!」
自分の気持ちをごまかすように咳払いをするフリップくん。彼にビシッと敬礼をしたトリスは紫のサモナイト石を片手に詠唱を始めます。だけど、アホの子なトリスは詠唱の文言を忘れてしまいました。そのため、詠唱方法を忘れたトリスはノリと勢いでこの場を乗り切ることにしました。何日もかけて詠唱方法をアホの子トリスの脳みそに叩きこんだネスティの努力が水の泡となった瞬間です。
トリスがノリと勢いで頑張った結果。
「フハハハハハ。どうやら低級の悪魔を召喚したらしいな。まぁ、あんなテキトーな詠唱で召喚したんだ。むしろ召喚できてよかったではないか」
「いやー、ホントだよ! 一時はどうなるかと思ったけど何とかなるもんだね!」
「……さて。お前とともに試験を受けることとなる下僕は確かに召喚された。トリス、お前の召喚した下僕ともにこれより始まる戦いに勝利せよ!」
「ん! りょーかい! ……で、誰と戦うの? おじさんと?」
「違う。フリップお兄さんだ」
「え、でもおじさ――」
「――フリップお兄さんと呼びなさい。上目遣いで」
これはどうしたことでしょう。フリップくん改めフリップお兄さんが突然謎の暴走を始めました。トリスの可愛らしさを前に長年心の奥深くに潜めていたロリコン魂がうっかり覚醒してしまったのでしょうか。一方、隣のラウル師範はゴミを見るような目つきでフリップお兄さんを見つめています。
「ん。で、これから私はフリップお兄さんと戦えばいいの? 2対1で大丈夫? Fエイドいる?」
「違う。トリスがこれから戦うのはこの者たちだ」
『ウヴォォォォオオオオオオオオオオ!!』
「何だ、フリップお兄さんとじゃないのか。まぁいいけど」
フリップお兄さんの言葉を受けて気色悪い雄叫びを上げるブルーゼリーとダークジェルの軍勢。全部で10匹います。
これが普通の召喚士見習いに対する試験だとしたら明らかに過剰戦力です。試験に合格させる気がないことを態度で示しているようなものです。しかし。ここのアホの子トリスは決して普通ではないので心配ありません。
「おいニンゲン。お前……名前、何てんだ?」
と、今まで黙りこくっていた悪魔がトリスに話しかけてきました。このままでは自分が空気になってしまうと危機感を感じたのでしょうか?
「ん? 私はトリ、トリ……えっと何だっけ? トリトン?」
「おい! 自分の名前忘れてんじゃねぇよ!? つーか俺に聞くな! お前の名前なんか知ってるわけないだろ!?」
「あ! そうだ、思い出した。私はトリス。君は?」
「……バルレルだ」
護衛獣の名前を知ったトリスは「バルレルバルレルバルレルバルルンバルルン……」と何度も口ずさみます。そうしないとトリスの柔い脳みそでは名前を覚えられないのです。既に名前を間違っているように感じるのはきっと気のせいでしょう。
「OK、バファリン。これからよろしく!」
グッと親指を突き出してニコッと笑うトリス。早速バルレルをバファリン呼ばわりしています。さっきの名前を覚える努力が全然実っていません。さすがはアホの子、揺るぎませんね。
「バファリンじゃねぇよ! バルレルだ! 『バ』しか合ってねぇじゃねぇか!? ふざけんな!」
「え? だからバファリンでしょ? てか、なんでさっきから怒ってるの? 意味わかんないんだけど。ちゃんと牛乳飲んでる?」
「だぁーかぁーらぁー! ……ハァ、もういいや。止めだ止め、めんどいし」
バルレル改めバファリンは早々に説得を諦めました。賢明な判断です。アホの子にはいくら言い聞かせても無駄だということをバファリンはこの短時間で学んだようです。
「で、一つ聞きてぇんだが……さっきからあそこでグダグダ喋ってる奴。何だァ、あの舐めた態度とってるうざい野郎は?」
「フリップお兄さんだよ」
「いや、お兄さんって見た目じゃないだろ、あれ。どう見てもおっさんだろ……っと、そうだ。お前、よくもこの俺を召喚してくれたなぁ? 高くつくぜェ、この借りはよォ」
バファリンはトリスに対して喧嘩腰です。きっとトリスの可愛らしさを前についイタズラしたくなっちゃうお年頃なのでしょうね。
「ん。じゃあ、これからの試験で頑張ったら毟っていいよ、フリップお兄さんの髪」
「ファッ!?」
「……へぇ、あいつのか。いいなそれ。いい悲鳴が聞けそうだ」
「ファウ!?」
トリスがフリップお兄さんの髪を指差し、それを見たバファリンがニタァと凶悪な笑みを浮かべます。フリップお兄さんの毛髪がマッハでヤバいです。フリップお兄さん逃げて、超逃げて。
「え、ちょっ、ちょっと待って。それは待って。これ最近大金かけて植毛したばっかりだから――」
「で、その試験ってのはさっきからこっちに喧嘩うってきてるあのうざってぇ連中をぶっ殺すことか?」
「そそ。そんな感じ。てなわけで、いっちょ派手にやっちゃおうか、バファリン!」
「ハッ、足手纏いになんじゃねぇぞ。ニンゲン……!」
フリップお兄さんの声を華麗にスルーしたトリスとバファリンがブルーゼリー&ダークジェルの軍勢へと躊躇なく駆けていきます。そして、一方的な惨劇が幕を上げました。
バファリンの繰り出す槍の一撃で容赦なく絶命するブルーゼリーたち。トリスの的確に急所をえぐりこむようなパンチを受けて吹っ飛んでいくダークジェルたち。その内の一匹がフリップお兄さんの顔面に激突し、派手に破裂したことをここに記しておきます。トリスちゃん強い。超強い。
かくして。召喚士見習いのトリスは無事に試験に合格し、正式に蒼の派閥の召喚士へとクラスチェンジしましたとさ。ちゃんちゃん。
~アホの子トリスと愉快な仲間たちリスト~
トリス→チートなアホの子。原作トリスよりも2,3歳ほど見た目が幼い印象を持ってくれるとありがたい。
【使用した技一覧:的確に急所をえぐりこむようなパンチ】
バファリン→バルレルのこと。悪ノリ大好きな性格になってる。アホの子特有のオーラに感化されたのか、初期の時点でトリスとそれなりに相性がいい……のか?
フリップ「やあ皆! 皆大好き、フリップお兄さんだよ!(キリッ)」
というわけで、原作における第0話部分が終了しました。それにしてもアホの子トリスちゃん書くの超楽しい。シリアスが行方不明な展開を考えるのって凄くいいストレス発散になりますね。