異才学園   作:kkpn

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入学式編1

 

-----才能それは一人に一つはある能力のことである-----

 

 

「おーい、あぶねぇぞー」

 

ガシャーン!!!

そんな音とともに俺の頭上に鉄骨が落ちてきた。俺は違和感はないように、驚きながら鉄骨をギリギリで避けた。

 

「お?大丈夫かー?」

 

そう声を掛けてくる俺より少し背の低い男は工事中で鉄骨を浮かせてたところを落としてしまったらしい。

文字通り"浮かせて"だ。

高いところにいた男は梯子を使いゆっくりとこちらに降りてきた。

 

「ん?見ない顔だな…あ、もしかして新入生!?…あっ…やっちまったなぁ、新入生に危ないことしたって言ったら生徒会長に怒られそうだ…」

 

酷く落ち込んだ様子の男に俺は若干同情しながらも、生徒会長は怒らせたらまずそうと頭に記憶する。

 

「別に俺が言わなきゃいいんじゃないですかね、バレなきゃ怒られることも無いだろうし」

 

そう俺がヘラヘラしながら声を掛けると男はバッ!!とこちらを見てキラキラした顔を向けてくる。

 

「お前!!良いやつだなぁ!!!あっ自己紹介してなかったな!俺はこの異才学園の生徒会で庶務をしてる真田秀俊(さなだひでとし)だ!!」

 

真田秀俊…そうつぶやきながら俺は真田秀俊という名を頭に記憶した。

 

「俺の名前は明智海斗(あけちかいと)です!よろしくおねがいします!真田先輩!!」

 

そうブンブンと手を掴み上下に振り満面の笑みで言う俺に対し真田はとても嬉しそうだ。

そして何かを思い出したかのようにこちらを見る。

 

「あっ!これも何かの縁だし、俺が案内してやるよ!!よし!入学式まで時間全然あるし!色んなとこ紹介してやる!!」

 

そう意気込んだ真田は俺の腕を掴むと意気揚々と歩き出した。

学園の工事はもういいのだろうか…。

バッとこちらを真田が振り向いた。

 

「あっ、そもそも異才学園のことは詳しく知ってるか??」

 

俺は記憶から情報を取り出す。

 

「ある程度なら知ってますよ〜。才能を伸ばす、または見つける、それに特化した学園が異才学園ですよね!!」

 

そう異才学園とは"才能"または"異能"がある生徒を育成する機関である。また能力がない生徒でもお金は積むことになるが入学はすることができる。能力がない生徒は能力を見つけるためここに入学することが多い。

 

俺の場合は前者で"才能"がありこの学園に入ることになった。

もともとここに入る気は全くなかったが。

 

「おっ!そうだな!ちなみに俺のはさっき見た通り"念力で物を浮かす"事ができる!だから鉄骨とか重いものでも軽々と上げれるんだぜ!!」

 

そう、ニカッとは笑いながら真田は俺に自分の能力を教えてくれた。じゃあ自分に能力を使って空とかも飛べるのか?

 

「じゃあ空とか…」

 

俺の言いたいことが分かったのか真田は少し悲しそうな顔をしながら、首を振った。

 

「ただ、人とか生き物は浮かせられないんだ…」

 

人を浮かべられないとしても相当強い能力なのではないだろうか、トラックとか重たいものでも飛ばすことができるのだろうし。

そう俺が思考に耽っていると真田がこちらに質問を投げかけてきた。

 

「海斗は能力持ってるのか?どんな能力なんだ??」

 

「俺のは人より少し身体能力が高い程度の能力ですよ〜!足が速いとかそんな感じです。だから早く着いちゃって…」

 

嘘ではないが、本当の事でもない能力を俺が答える。

なぜ、俺が能力を教えないのかこれには理由がある。

過去の記憶を開こうか。

 

________________俺が保育園生の頃それは突然起こった。

 

「やーい!やーい!おとこのくせにおんなみたいなの!きもーい!」

 

「きもーい!」

 

「っ…」

 

一人の、小さい女の子と言われても可笑しくないくらい可愛い茶髪の男の子に対し、周りを取り囲むようにガキ大将みないなやつを中心にした男の子たちがよってたかって髪の毛を引っ張ったりなどしていた。

 

俺も周りの奴らと一緒で、傍観していた。助けてあげたいが、こういうのに関わると碌なことが無い。と、保育園生でこんな思考回路に陥る俺はその時からもう才能はあったのかもしれない。

 

しばらくすると、その茶髪の男の子が、ゆっくりと口を開いた。

 

「誰か助けて…!」

 

その瞬間俺は体の自由がきかなくなり、読んでいた本を置き、勝手に体が男の子の方へと、歩きだしていた。

 

そして握りこぶしをつくると同時に床に向かって振りかざした。

 

床に拳が当たった瞬間床が波打ったように崩壊していき虐めていた男の子たちを弾き飛ばしていく。

 

呆然とする茶髪の男の子と俺。

 

先生は何事かと、こちらに向かって走ってきた。

 

「ど、どうしたの…これ、もしかして海斗くんがやったのかな…?」

 

そう呟いた先生の後ろにいたガキ大将は俺に向かって

 

「化物…」

 

そう呟いた。

 

俺は素早く頭を回転させたがどう考えても俺がやったようにしか思えない。

 

「体が勝手に動いて…その子が助けてって言ってたから…」

 

俺はぼんやりとした顔で先生に呟いた。

先生はハッとした顔で茶髪の男の子の方を見る

 

「和葉くん、もしかして能力を使ったの…?」

 

「…ごめんなさい」

 

怒ったような形相で聞く先生に対し茶髪の男の子は酷く落ち込んだ様子で応えた。

それを見た先生は頭を抱えこちらを振り返った。

 

「ごめんね、海斗くん。この子は"自分の発した言葉で人を動かすことができる"子なの。力を増幅させるなんて聞いたことは無かったけど、彼が強く願ったことで"強化"されたのかもしれないわ。」

 

先生はそう呟くとはぁ…とため息をつき茶髪の少年を別室に連れて行った。

 

先生は"強化"と言っていたが、やった俺には分かる。違う。これは"俺の能力"だと。

 

家に帰った俺は父が新しく買い直すと言っていた古いダンベルを片手で持ち上げた。

保育園児が大人用のダンベルを片手で持ち上げる図の完成だ。

そもそもそこで可笑しい。

そして、俺は持ち上げたダンベルを右手で握りつぶすように掴む。すると、

 

グシャ…バリッ…

 

粉々に砕けた。

 

もしかしてと思い家の壁から反対の壁に向かってジャンプすると凄い跳躍力で"壁に着地"した。

そのまま維持することは不可能だったが、壁まで飛べるって言うのはどういうことだろうか。

人間のもともとある能力が俺は"超人並に強くなってしまった"らしい。

 

人よりも頭が良く記憶力が良かったのも、料理を作ってる母のメニューを匂いだけで言い当てるのも、飛んでいる虫を捕まえるのが得意だったのも、遠くで話していることが聞き取れたのも全部全部、"俺の能力"だったらしい。

 

取り敢えず粉々にしたダンベルは見られると困るのでゴミ箱に袋に入れバレないように捨てた。父はダンベルは母が捨ててくれたと思ったようだ。

 

その後はいつも通り過ごした。

そして次の日、

 

「かいちゃーん?保育園のお友達が遊びに来たわよ〜」

 

母の声だ。俺には保育園で遊びに来るほどの友達はいなかったはず…。

恐る恐る階段を降りると見知った顔があった。

 

「か、かいとくん!きのうはごめんなさい!ぼくあやまりたくて!」

 

茶髪の少年は涙目になりながら僕に訴えかけた。

母は何かを察したのだろう。どうぞ上がってっと言いながら彼を俺の部屋に案内した。

 

カラン…と母の入れてくれたジュースの氷の音が鳴る。

 

 

「あ、のきのうはご、ごめんね。」

 

ビクビクしながら話す彼に少し可哀想な目に合わせたかもと思う。まず、ガキ大将たちを弾き飛ばしたのは俺の能力なわけだし。

 

「別に気にしてない。」

 

俺は淡々と答える。

すると茶髪の少年は俯きながら話し始めた。

 

「あ、あの僕の能力ね、人を操る能力なんだって…だからパパもママも使っちゃいけないよっていうんだ。先生も僕が能力使うとよくおこるし…」

 

そりゃ怒るだろうな、無闇に使われたら人類滅亡しかねないだろ、その能力。

 

「で、でもね、この能力、相手もいっしょじゃないとつかえないはずなんだ。」

 

一緒とはなんだろうか。

 

「一緒?」

 

「うん。僕が助けてって思ったように、相手も助けたいって思わないと使えないの」

 

それは…もしや…

 

「だから…かいとくんが僕のこと助けたいって少しでも思ってくれたってことだよね!!!」

 

と嬉しそうな顔でこっちに身を出しながら言ってくる少年に俺は「傍観しようとしてました」なんて言えるはずもなく、頷くしかできなかった。

 

しかし、同意を得なければ使えないということは相手が拒否していれば全く使えないということか。確かに本当の意味で人を操る能力だったら普通に保育園で生活なんてさせないか。

今回の場合、俺の身体能力が異常だったせいで、床が破壊なんてことになったが、普通の保育園生だったらただの掴み合いで済んだのだろう。

 

俺が静かになったせいで怖がっていると勘違いしたのか彼は涙目になった。

 

「ご、ごめんね、こんなのこわいよね、だ、大丈夫もう近づかないようにするから…」

 

「いいんじゃないか?お前がボスの悪の組織でも作れそうで、面白いじゃん。」 

 

悪の組織ってなんだ。自分で言っといてこれはない。

 

しかし、きょとんとした彼はその後キラキラした顔で

 

「あくのそしき…!じゃあ!!僕がもし作ったらかいとくんも入ってくれる????」

 

そうつぶやく彼に俺は罪悪感で「うん…」と答えたのだった。

 

その後彼は床破壊事件がきっかけで引っ越して行き、その後二度と会うことは無かったが元気にしているだろうか…。

 

_________________________________

 

「海斗〜付いたぞここが体育館だ!」

 

食堂や中庭など色々案内してくれたがそろそろ入学式の予行練習始まるとのことで真田に連れられて体育館きた。

 

まだ早いようで、新入生はまだおらず、異才学園の先輩方が準備や予行練習を行っているようだ。

 

「海斗すまん!俺も準備参加しなきゃいけないの忘れてて!案内途中になっちまった…!」

 

そう頭を下げる真田に大丈夫ですよと俺は慌てて答える。

生徒会なのに準備とか参加しなくて良いのかとは思っていたが、彼は忘れていたらしい。

 

「真田、入学式の看板作成は終わったのか?じゃあこっちも手伝ってくれるかな??」

 

メガネを掛けた、いかにも生真面目そうな生徒が真田に向かって声をかけてきた。

真田はその人に声をかけられるとビシッと固まり、

 

「やべえ!忘れてた!!」

と叫びながらダッシュで戻っていった。

 

朝の工事はそれだったのかと思いつつ、置いてけぼりを食らった俺は呆然と目の前の生真面目そうな人を見る。彼もこっちも見ていたようだ。俺も何か注意されるのだろうか。

 

「新入生ですか?僕は生徒会で会計をしている篠崎悠(しのざきゆう)です。真田は金髪だし一見不良みたいな見た目ですが、悪いやつではないんです。仲良くしてあげてくださいね。」

 

前言撤回優しい人だこの人。

 

「君もピアスやネックレスをつけているようですが、風紀に目を付けられないように気をつけてくださいね?ここの風紀は、身だしなみにうるさいので。」

 

風紀の話をするときは凄く嫌そうな顔をしている。

生徒会と風紀は仲が悪いのかもしれない…記憶しておこう。

 

それと、俺の格好だが、俺も真田に負けないぐらい不良の様な見た目だ。

黒髪だが前髪や襟足は長めだし、シルバーのピアスやネックレス。制服もだらしなく着ている。

自分でもこんなやつ不良だと思う。

 

それに、話し方もヘラヘラしながら話したりしているため言動も不良のそれだろう。

 

篠崎の言うとおり風紀には気をつけたほうが良さそうだ…。

 

「もし、良かったらですが入学式まで時間があるので近くにある準備室で休んでいきますか??」

 

ここで立っているのもなんだし、ついていくか。俺は頷き篠崎に付いていった。

 

「ここが体育館準備室です。疲れてるでしょうしベットもあるので良かったら寝てても大丈夫ですよ。」

 

「おっ、ありがとうございます!」

 

俺は笑顔でそう答え篠崎が立ち去った後、ベットをありがたく利用させてもらうことにした。

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