イナズマイレブン ~吉良ヒロトに双子の弟がいたら~ 作:深き森のペンギン
よく晴れた空の下、この永世学園のグラウンドでは、サッカー部の生徒達が練習をしていた。
灰色髪の少年がドリブルをしながら、ディフェンダーの少女と対峙する。
「行かせない」
少女、こと倉掛クララがボールを奪おうと足を伸ばすが、灰色髪の少年ことこの物語の主人公、吉良カズトがクララを股抜きで軽やかにかわしていく。
「もらったよ、クララ」
カズトはそのままクララを置き去りにしてゴールに向かっていく。
「来い、カズト!ゴールは割らせん!」
シュート体勢に入ったカズトと対峙するのは、永世学園のゴールキーパー、砂木沼治だ。
「そう簡単に止めさせませんよ、砂木沼さん!うぉぉぉ!」
カズトの強烈なシュートが、正確なコースでゴールに迫っていく。
砂木沼は必死に飛び付いたが、少し届かず、ゴールに入った。
「クッ、もう一回だ!カズト!」
「今日はもう終わりですよ、砂木沼さん」
カズトにゴールを決められ、ヒートアップした砂木沼を宥めたのは、永世学園のキャプテンである基山タツヤだ。
「そうそう。なんたって明日はあの星章学園との練習試合なんだからね」
タツヤの言葉に賛同したのは永世学園のミッドフィルダーで、タツヤの親友の緑川リュウジだ。
「そうだな。カズト、次の練習では決めさせないからな!」
「受けてたちますよ、毎日でも。そして、次も決めて見せます!まあ、その前に明日の試合、絶対勝ちましょうね!砂木沼さん、皆」
「「「おー!」」」
そして、本日の練習は終了し、皆帰宅することとなった。
お日さま園に帰った皆と別れて、カズトは自宅に帰った。
~カズトside~
今日も練習を終えて、僕は自宅に帰ってきた。
僕には双子の兄がいるのだが、いつからだろうか。
兄は変わってしまった。
遅くまで帰ってこなかったり、学校に来なかったりしている。
でも、僕は知っている。
兄の本質は全く変わっていない事を。
なんたって兄さんは、僕にとって最強のライバルで、最高の相棒で、最高にカッコいい兄さんなんだから。
僕は家に着いてすぐ、シャワーを浴びて部屋に向かった。
すると、兄さんが帰っていた。
「おかえりなさい、兄さん!」
「ただいま、カズト。今日も練習か?」
「うん。明日は星章学園との練習試合なんだ。兄さんも来てくれる?」
「カズトがそう言うなら、考えとくよ。気が向いたら行くかもな」
「本当に?」
「気が向いたらな」
「ご飯もう出来てるみたいだしさ、一緒に行こ!」
「ちょ、カズト!?」
僕は兄さんの手を引いて食卓に向かった。
翌日、永世学園グラウンドにて、永世学園対星章学園の試合が始まろうとしていた。
グラウンドには、観客で一杯になっている。
この試合は練習試合だが、フットボールフロンティアがすぐ近くに控えていることや、その優勝候補どうしの対戦であることから、サッカーファンからはかなりの注目を浴びている。
さらには、今大会最高のミッドフィルダーと名高い、『ピッチの絶対指導者』こと鬼道有人と『パーフェクトミッドフィルダー』こと吉良カズトの直接対決でもある。
このことも、注目の大きい原因だろう。
試合前、永世ベンチでは、カズトの姉であり、監督の吉良瞳子が、本日のプランについて説明している。
「今日の試合、もっとも警戒すべきはフォワードの灰崎君よ。彼の動き次第で、試合の行方はかなり左右されるわ。そこをしっかり警戒しておくこと。それと、今回のフォーメーションよ」
FW 南雲 タツヤ 涼野 熱波
MF 玲名 カズト 緑川
DF 蟹目 クララ 本場
GK 砂木沼
鬼道は、永世ベンチにやって来てカズトの方へ歩いてきた。
「お前が吉良カズトか。お前と戦うことを心待ちにしていた。今日はいい試合にしよう」
鬼道は笑みを浮かべながら、カズトに握手を求めた。
それにカズトは、満面の笑みで応えた。
「はい、鬼道さん。こちらこそ。いい試合にしましょう」
今ここに、戦いの火蓋がきって落とされた。