異世界はスマートフォンとともに。if   作:咲野 皐月

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第10章:新機能、そして魔法の意味。

スライムキャッスルにて行われた、思い出すのもオゾマシイ出来事から3日経った頃。僕は琥珀を抱き上げて、王都アレフィスの城下町を歩いていた。

 

琥珀は僕と契約している為、お互いの思いを念話にて伝える事が出来る。もし之を知らずして、普通に会話をしてよう物なら、周りの人に白い眼で観られるのが関の山だったな。……怖ぇ。

 

 

〈賑わってますね〜〉

 

〈そりゃあ、ベルファスト王国の首都だからね。人も沢山居るさ〉

 

 

そう言いながら、僕と琥珀は城下町を歩いて行く。実はこの散歩はと言うと、ユミナの初クエスト成功日に召喚され、僕と主従の契約をするや否や、モフモフ地獄を味合わされた琥珀をリフレッシュさせる為という側面を持っている。

 

……しかし実際はと言えば、琥珀を『珍しい』と感じた街の人(主に女性や女の子たち)に、更なるモフモフを受けてしまった。……もう少し考えるべきだったか?そう思いながら歩いて居たその時。

 

 

〈?主。彼処に居るのは八重殿では?〉

 

〈八重?〉

 

 

琥珀から伝えられた言葉に、耳を傾けた僕は、八重の居る方を確認する。そこには確かに、琥珀の言う様に八重が居た。状況を見る限りだと、八重は泣いている女の子の傍に寄り添っているみたいだ。

 

僕は琥珀を頭の上に乗せてから、八重の元へと駆け足で向かう。少しして八重が僕と琥珀に気付く。その顔には一安心と言った顔を浮かべている事から、相当焦っていた事がわかる。

 

 

「あ、颯樹殿。琥珀も一緒でござったか」

 

「こんな所で会えるなんてね、八重。……それでなんだけど、この子は?」

 

「その事なんでござるが、どうやら迷子になってるでござるよ……。ずっと泣いているので、どうしたら良い物かと」

 

 

泣いている女の子の対応をしていた八重に、現在までの大まかな情報を聞いた僕は、頭の上に乗っている琥珀を前に抱き直し、対応しようと試みる。

 

 

「こんにちは。僕はそこに居るお姉ちゃんのお友達なんだけど、何かあったの?」

 

「……」

 

「どうしたの〜」

 

「……」

 

「うーん、ダメだこりゃ」

 

 

八重の代わりに僕が尋ねてみるも、その女の子は口を開く動作を見せなかった。……参ったな、話が聞けないとこの子の親を探せない……と思ったその時、何を思ったのか琥珀が女の子に話し掛けたのだった!

 

 

『少女よ、お前の名前を聞かせてくれぬか?』

 

「……え?」

 

『お主の名を聞きたいのだ。我が主はお前を取って喰う様な野蛮な者ではない、お主を助けたいのだ』

 

「り、リム……」

 

 

魔法を発動させる為、僕は琥珀を『リム』と名乗った少女に一旦預ける事にした。この子の親か〜、普通に【サーチ】で探しても良いんだけど、特徴が分かんないとなぁ……。

 

 

『リムよ、お主の母上の特徴はあったりするか?我が主が探してくれるみたいだ』

 

「えっと……緑の服を着てた」

 

〈それだけ分かれば、あとは何とかなりそうだ。琥珀、ありがと〉

 

〈いえいえ、お易い御用です〉

 

 

……ナイス!琥珀!

 

僕は女の子からの情報を元に、捜索活動を開始する。折角ならスマートフォンも使いたいし……そうだ!スマホの地図アプリを開くと、画面に右手を翳して魔法を詠唱する。

 

 

「【エンチャント:サーチ】!そして、後は……っと。【サーチ:リムのお母さん】」

 

 

これで捜索範囲を拡げて探せる。……スマートフォンの利便性って、こういう所に隠れてたりするんだよね〜実は。……と思いながら、探していると……。

 

 

「!見つけたよ!」

 

「ほ、本当でござるか!」

 

「さあ、リムちゃん。お母さんの所に行こっか」

 

 

そう言って僕は、リムちゃんの左手を握って共に歩き出す。暫く歩いて交番の前に着くと、先程のリムちゃんが言っていた特徴の女性が辺りをキョロキョロしていた。あの人で間違いなさそうだ。

 

その女性はリムちゃんを見つけると、思いっきりリムちゃんを抱き締めていた。……再会できて良かったね、本当に。その後は八重のお兄さんの事を『パレント』で聞きながら、昼食を共に頂くのだった。……相変わらず、よく食べる事。

 

──────────────────────

 

八重と『銀月』に戻ってきたその頃、僕はスマートフォンのアプリを開きながら、ある事を試行錯誤していた。先程の八重との一件では、地図アプリに【サーチ】を【エンチャント】して捜索した。

 

今回はカメラアプリを開いている。ベッドにある枕にカメラの光を浴びせている状態だ。

 

 

「【エンチャント:ロングセンス】」

 

 

そう詠唱をして、僕はスマホの画面を見る。するとそこには、リフレットの街並みが2階からだが、ハッキリと映し出されていた。遠方5mを五感を通して見る事が出来る【ロングセンス】を、スマホのカメラアプリに付与したのだ。

 

……何だろうな。今まで犯罪クサイ無属性魔法しか使ってない気がしないでも無いぞコレ。

 

 

コンコンッ

 

「?はい」

 

『颯樹さん、リンゼ、です。少し、良いですか?』

 

「別に構わないよ?」

 

 

突然ドアのノック音が聞こえ、僕はそれに応じた。そして中に入って来たのは、リンゼだ。手に持っているのは羊の皮表紙の本みたいで、勉強熱心な彼女らしいと言える。

 

そして顔を見てみると、少し難しそうな顔をしている事から、何かあったんだろうか……。

 

 

「あの……颯樹さん。少し、手伝って貰いたい事が、あるんですけど……」

 

「OK。で、僕は何をすれば?」

 

「この本にある文字なんですけど、最初の方は何とか読めたんですけど……その後が、どうしても読めなくて」

 

 

僕はリンゼから本を受け取り、本に書かれている内容に軽く目を通す。……何これ。僕もよくわかんないんですけど。それを見たリンゼは、自分も最初の方しか読めない事を曝露する。

 

……僕の部屋にはグラスが一本。そして、ポーチの中には銀貨がある……これを使ってやって見るか。

 

 

「【モデリング】」

 

「何ですか?これは?」

 

「眼鏡だよ。後はまあ、少し外見と内容にアレンジを加えて……」

 

 

そう言って僕は、リンゼに作ってる内容を伝える。枠と弦には水属性の魔力を流し、少しアレンジを足して…そしてオプションとしては……【エンチャント:リーディング/古代魔法言語】かな?

 

後はこれと色違いの眼鏡をもう一個作れば……これでOKかな。

 

 

「これでその本は軽く読める筈だよ。……先ずは、試しに使ってみるね?」

 

「分かりました」

 

「……なるほどね。古代魔法の名前と詳細が事細かに記されてる…」

 

 

僕はリンゼから本を借り、サラサラっと内容に目を通した。それを見たリンゼは、感嘆の域を漏らしていた。僕の眼鏡は、リンゼと同じ言語翻訳の【エンチャント】は同様なのだが、外見は風属性の魔力を流してアレンジを加えている。……その代償として銀貨3枚を消費したけどね。

 

 

「この魔法は……リンゼが覚えた方が良いかも」

 

「え?なんで、ですか?」

 

「全ての属性魔法を使える、とは言っても……その属性の適応者にはあまり及ばないからね。それに、リンゼがこれを見つけたんなら、リンゼが覚えるのが定石だと思うよ。あっ、一応……魔法習得のサポートはさせてもらうけど」

 

「分かりました!」

 

「その魔法の正式名称は【バブルボム】。水属性の攻撃魔法だよ」

 

「水属性、ですね。了解です」

 

 

僕は彼女に魔法の名称を教えると、習得の為に場所を移動することにした。まずは【ゲート】で東の森に移り、そこで詠唱の口上を伝えると言う工程で覚える形だ。

 

僕とリンゼは【ゲート】で東の森に移り、開けた場所へと出る事が出来た。もちろん、魔法の練習の為……リンゼは手に銀のロッドを持っている。

 

 

「先ずは詠唱の口上だ。【バブルボム】の魔法は【水よ来たれ、衝撃の泡沫、バブルボム】だよ。そこのイメージを確実な物にしないと、この魔法は習得できない。この意味がわかるね?」

 

「はい!」

 

「次に僕が試しにやって見るから、そこで見てて?……あっ、魔法の影響を考えて少しスペースは開けて欲しいかも」

 

 

僕はリンゼにそう言うと、練習の為のスペースを取らせる。……【バブルボム】。直訳は《泡の爆弾》……イメージとしては、最初はシャボン玉台の大きさにして、そこで大きな爆発を生み出す!

 

 

「【水よ来たれ、衝撃の泡沫、バブルボム】!」

 

 

そう詠唱を済ませると、僕の掌に水の球体が現れた。そしてその水の球体に少し力を加え、前へと進ませる。フヨフヨと移動して行った球体は、一本の木へとぶつかると爆発した。その衝撃で、一本の木は薙ぎ倒されてしまったが。

 

……とまあ、こんな感じかな?

 

 

「す、凄い……一度やっただけなのに、ここまで完璧に、できるなんて……颯樹さん、やっぱり凄いです///」

 

「誰でも練習すればできるよ。じゃあリンゼ、やって見て」

 

「分かりました!」

 

 

そう言ってリンゼは、先程まで僕が立っていた場所に立つ。最初に僕がやって見せた魔法を見て、覚えてはいたのだけど……結果としては水滴を散らす結果となってしまった。

 

その後も何度か挑戦を続けるも、魔法の習得には至っては居なかった。その拍子にリンゼの体力が、そろそろ限界に近付いていた。

 

 

「……はぁ、なかなか上手く行きません……」

 

「リンゼ、少し手を貸して?」

 

「え?良いです、けど……ふひゃぁっ///」

 

「直ぐに終わらせる。【トランスファー】」

 

 

僕はリンゼの両手を優しく包み込む。そして目を閉じて【トランスファー】と言う魔法を掛ける。この魔法は無属性魔法の一種であり、自身の魔力を相手に譲渡する事の出来る魔法だ。確か……シャルロッテさんの師匠も、この魔法を使っていたと聞いた事がある。

 

彼女の話によれば……魔法を習得するまで、その魔法を限界まで使わせ、魔力が切れたら【トランスファー】で回復、そしてまた限界まで使わせ、また切れたら回復する……と言う最悪なループを味合わされたらしい。

 

 

「い、今のは……///」

 

「僕の無属性魔法の一つ【トランスファー】。他人に自分の魔力を譲渡する事の出来る魔法だよ。ここで一旦休憩して、その後にもう一度やって見よっか」

 

「は、はい……///」

 

 

そう言って僕とリンゼは、近くにあった丸太に腰を下ろす。……何かきっかけがあれば、魔法を習得できるんだけど…。

 

 

「ねえ、リンゼ」

 

「は、はい」

 

「僕たちの使う魔法ってさ、何かしらの意味が必ずあるんだと思うんだよね」

 

「何かしらの、意味…ですか」

 

 

そう言って僕は、一例となる魔法を例に挙げてリンゼに説明をする事にした。今回はリンゼの使う火属性魔法の一種である【エクスプロージョン】を例に使った。

 

一通りの説明を終えた頃、何を思ったのかリンゼが立ち上がった。そして先程の位置へと移動する。……もしかして、何か掴めたかな?

 

 

「【水よ来たれ、衝撃の泡沫、バブルボム】!」

 

 

リンゼがそう詠唱を済ませると、銀のロッドの先に水を集めた球体が出来る。それを目の前の木へとぶつける。その球体は木へとぶつかる事で爆発し、ぶつけられた木は薙ぎ倒される。

 

その様子を見ていた僕は、魔法の成功に思わず立ち上がり、リンゼに至っては少し茫然としていた。

 

 

「で、出来ました……」

 

「凄いじゃん、リンゼ!これで【バブルボム】は習得できたよ!」

 

「そ、そうですか……?あ、ありがとう、ございます、颯樹さん////」

 

 

僕がリンゼを褒めると、少し恥ずかしかったのか……顔を紅くしながらお礼を述べていた。……これは凄く嬉しいよ!リンゼの努力が、身を結んだんだ!

 

意気揚々と『銀月』へと帰ると、リンゼから明日のお誘いを掛けられた。特に何も予定が無かった僕としては、とても好都合だった為、彼女の誘いに乗る事にした。

 

──────────────────────

【宿屋『銀月』:エルゼ&リンゼの部屋】

 

「〜♪」

 

「すっごく嬉しそうじゃない、リンゼ〜。何か良い事でもあった?」

 

 

颯樹さんの部屋から戻った私は、お姉ちゃんに先程の状況を、質問されていました。……すっごく自然に明日の予定も取り付けられたし、私としては、すっごく満足の行く一日でした♪

 

 

「その顔は……颯樹と何かあったのね?」

 

「ふひゃっ!?な、何を言ってるのかな?お姉ちゃんは〜」

 

「ふふっ、冗談よ♪さっ、夕ご飯を食べに行きましょ!時間も遅くなっちゃうわ」

 

 

そう言ってお姉ちゃんは、1階へと降りて行きました。……初めてあった時からずっとそう…。颯樹さんは、誰彼構わず、優しく接する事が出来る……。私にとって、颯樹さんは……初めて抵抗無く話せた、男の人……。

 

あれ?私、もしかして……。颯樹さんの事……。




今回はここまでです!如何でしたか?


次回はアニメ《第5章》の最終Partをお届けします!今回のお話では、リンゼの魔法習得の所までをお送りしましたが……最後は何やら更なる進展を匂わせる終わり方でしたね?

アンケートの方ですが、状況はと言えば……各キャラに一票は確実に入ってるみたいですね♪今の所ではリンゼとユミナが接戦なので、ここからの変化に期待したい所です♪


それではまた次回!
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