異世界はスマートフォンとともに。if   作:咲野 皐月

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第11章:ガントレット、そして勉強。

……どうしようかしら。これって、完全に買い治さないと行けない感じよね……。

 

私が悩んでいるのは、クエストの時に必ず付けているガントレットの事。この前のクエストの時に、石の悪魔と戦ったんだけど……その時に、やってしまったのよ。

 

 

「はぁ……どうしよう」

 

「?エルゼ、どうしたの?」

 

 

そんな私の状況を察したのか、颯樹が心配してくれる。こんな私の為に心配してくれるなんて……あんた、相当なお人好しよ全く。

 

実際はと言えば、私は颯樹に助けられる事も屡々。ユミナとの事では少し呆れもしたけど。それを差し引いたとしても、あなたに私は助けられてるのよ?……話が逸れたわね。私は颯樹に、起こったそのままを伝える事にした。

 

 

「……なるほどね。エルゼはどうしたいの?僕の一存ではとても決められないよ」

 

「そろそろ買い換えようかと思ってるわ。今のガントレットの修復は、とても難しそうだし」

 

「そう。……分かった。何処に買いに行こうか」

 

 

颯樹は私の意見を聞くと、転移魔法である【ゲート】を開いて、出発する態勢を取った。……ここは高いけど、上質なガントレットが欲しいから…。私が颯樹に場所を伝えると、嫌な顔を一つも見せずに、その場所へ連れて行ってくれた。

 

ホント、優しすぎよ……あなたは。

 

──────────────────────

【王都アレフィス:武器屋『ベルクト』】

 

「ガントレットですか?」

 

「はい。横にいる彼女に合う物が有りますか?」

 

 

颯樹の作ってくれた【ゲート】で、王都に来た私たちは真っ先に武器屋へと向かったわ。棚に並んでいる武器を見ても、品質がとても良い物ばかりだったわ。

 

……そんな事を考えている間に、颯樹と店員さんの話が済んだみたい。見つかったのかしら?

 

 

「ん〜。あっ、これなんてエルゼにピッタリだと思うよ?これは『剛力の籠手』って言うんだけど、確か《筋力増加》の魔法付与がされてるって」

 

「何それ!気になる!」

 

「すみません、この籠手ってあります?」

 

「申し訳ございません。その商品でしたら、既に売れてしまっていて……」

 

 

颯樹が店員さんの答えを聞き、落胆に昏れる。……はぁ、なかなかお目当ての物は見つからないわね…。リフレットの武器屋では、同じタイプの物は5日後にしか入らないって言ってたし……。

 

と思ったその時、何を思ったのか店員さんが私たちに質問をして来た。

 

 

「手甲をお探しでいらっしゃいますか?」

 

「はい。戦闘打撃用のガントレットを探しているのですが……」

 

「打撃用のガントレットですか。魔法効果が付与された物が、何点か御座います」

 

 

店員さんのその言葉に、私は颯樹に見てみるように奨める。……だって気になるじゃない!もしかしたら良いのがあるかもだし!

 

颯樹が店員さんに了解の意を示すと、お店の奥のコーナーに連れて行ってくれた。颯樹の今着ているコートも、ここに販売されていたのだとか。

 

 

「此方です。其方の男性が着用されているコートも、ここで販売されていました」

 

「へぇー、すごい品揃え……」

 

 

私がそのコーナーに並んでいた商品に、唖然としていると、店員のお姉さんが私たちに2つのガントレットを見せて来た。一つはメタリックグリーンのカラーリングが施された、流れる様な流線型のフォルムが美しいガントレット。

 

もう一つはと言うと、金と赤のカラーリングが施されている、鋭角的なデザインのガントレットだったわ。店員のお姉さんは、緑のガントレットを手に取って説明を始めた。

 

──────────────────────

【王都アレフィス:街中】〈暫くした頃〉

 

「さっすが王都ね!良いのが揃ってるわー。その分高かったけど」

 

「まさか……エルゼ、金貨1枚を持ち合わせて無かったなんて」

 

 

そう……あの後私と颯樹は、説明を受けたガントレットを2セット購入したの。その合計金額はと言うと、颯樹の見立てでは『310万』という事らしいの。私にその価値を説明されても、よくわかんないわよ……。

 

代金を払う時は、颯樹にも持ってもらった。私の方は金貨を30枚持っていたんだけど……予想よりも1枚多くなってしまい、颯樹が1枚出してくれたという訳。

 

 

「僕の見立てでは、ガントレットに魔法付与がされてるから、もっと高いかと思ってた。大体ねー、金貨60枚くらい?」

 

「は、ハアっ!?掛かり過ぎよそれ!」

 

「怒んないで……。ま、まあ……実際は金貨31枚で済んだ訳だし、良い買い物が出来たと思うよ?」

 

 

颯樹が苦し紛れに言った言葉で、私の頭に昇っていた血もなんとか収まる。やっぱりその手のガントレットを2セット買うとなると、金額もそれなりにするわよね。

 

……あっ♪良いの見つけちゃった♪

 

 

「ガントレット、意外と重いな……。エルゼ、直ぐ近くの路地に入ってリフレットへ……。エルゼ?」

 

 

私は颯樹の直ぐ後ろにある服屋で、ガラス越しにドレスを見ていた。黒のリボンタイに白のスカートフリル、色は全般的に赤が占めており、とても私には似合わなさそうな服だった。……これって、リンゼに似合うかも!

 

……でも、この服は可愛いわね。うん、間違いないわ。と思っていたら、後ろから颯樹が声を掛けて来た。

 

 

「エルゼ〜、どうかした?…って、おおー」

 

「……はぁ///」

 

「……ねっ、これ欲しいの?」

 

「んなっ!ンなわけないでしょ!私にあんな可愛い服、似合う訳……リンゼ、リンゼなら似合うと思うわ!」

 

 

私は颯樹の言葉に真っ先に反論する。私に似合うわけが無いわよ……うん!絶対にそうよ!絶対にそう!……と思ったその時、何を思ったのか、颯樹は私の手を掴んでそのお店へと入って行った。…ちょっ、私の意思は!?

 

そして私の知らない所で、颯樹と店員さんの間で話が交わされてその服を手渡される。……似合うわけが無いのに……。ええい!こうなったら、なるようになれよ!

 

──────────────────────

〈10分後〉【服屋:試着室】

 

「へ、変な所は無いわよね……///」

 

 

私は颯樹に渡された服に手を通した。……自分の姿を改めて見ると、やっぱり似合わないわよね。多少の文句ぐらいは聞いてくれるでしょ、アイツなら。

 

私はそう思って試着室のカーテンを開ける。するとそこには目を大きく見開いた颯樹が居た。改めてマジマジと見られると、物凄く恥ずかしいわね……。

 

 

「……」

 

「ど、どう?やっぱり、似合わない?」

 

「……ハッ!ううん!予想以上だよ!ここまで似合うとは思わなかった!すっごく可愛いよ、エルゼ!」

 

「とても良くお似合いですよ、お客様」

 

 

罵詈雑言を浴びる事を覚悟した私を迎えたのは、満面の笑みを浮かべて私を見る颯樹と、花咲く様な笑顔を浮かべた店員さんだった。……そ、そう…かしら?

 

この服は颯樹からのプレゼントととして、銀貨3枚で奢って貰った。聞けば「何時もお世話になってるし、助けられてるから」という事らしい。……ふふっ、そんな事を言われると、嬉しくなるじゃない!

 

──────────────────────

【宿屋『銀月』:1階 広間】

 

「「「おおー」」」

 

「ど、どうかしら?」

 

 

私は颯樹の買ってくれた服を着て、3人の元へと姿を見せたわ。3人の口から出て来たのは、先程の颯樹とそう対して変わらない言葉だった為、何とか平然を保つ事が出来たわ。

 

……私がこの服を買った経緯を言うや否や、3人は直ぐ様に颯樹へと強請りに掛かっていたわ。……3人には悪いけど、今はちょっと優越感ね♪

 

──────────────────────

 

エルゼの新武器の買い物に付き合った次の日、僕は3人の服を服屋で見繕っていた。……エルゼが羨ましかったのかな?分からんでもないが。因みに、購入したのは昨日と同じ服屋である。

 

その作業を終えた僕は、自室に戻って魔法書の内容を読み進めていた。

 

 

「【リコール】……他人の記憶を自身に譲渡する事の出来る魔法か。因みに渡す人の記憶の中に、ハッキリと覚えている情景が無いと不成立。……これって、なかなか難しいね。他には……」

 

「難しい顔をして、どうしましたか?」

 

「いや、他にも使える魔法が無いか……と思ってね。ユミナこそどうしたのさ」

 

 

僕はついさっき部屋に戻ったユミナに声を掛ける。ユミナの今着ている服は、白い長袖のシャツに青いオフショルダーのワンピースである。清楚な彼女に似合うと思いながら、僕が見繕った洋服だ。

 

ユミナは僕の隣に腰かけ、顔を此方に覗かせて来る。未だに女の子から発せられる、とてつもないイイ匂いに慣れてないのか……自然と僕の顔が紅くなってしまう。

 

 

「勉強熱心なんですね……。終わるまで寝ますので、肩を貸して下さい♪」

 

「……か、構わないよ…?」

 

「ふふっ♪失礼しますね」

 

 

そう言ってユミナは、僕の左肩に体重をかけるように昼寝を始めた。……誰か見てたら、どうするのさ…と思ったけど、本人が幸せそうなら良いかな?

 

何処からか突き刺す様な視線を感じるけど……まっ、それはその時!今は勉強に集中!

 

──────────────────────

 

私は颯樹さんの部屋のドアの前に居ました。……一緒にクエストに行こうと思ったのですが、中から聞こえて来たユミナの声に、思わず聞き耳を立ててしまいました。

 

ユミナは初見で私たちを驚かせ、颯樹さんと同室の事もあり、颯樹さんとの仲を確実に深めて行ってました。……でも、肝心の私はと言うと、まだ何も出来てない…颯樹さんは私の事、どう思ってるんだろう…。

 

 

(……私みたいな、引っ込み思案な女の子なんて……飽きれられるよね。やっぱりユミナみたいな、お淑やかで可愛い女の子の方が良いのかな……)

 

 

私はそんな不安を心の中に秘めながら、颯樹さんの部屋の前から立ち去りました。

 

……何時か、颯樹さんにちゃんと気持ちを伝えたい、と思う私でした。




今回はここまでです!如何でしたか?


今回のお話ではアニメ《第5章『スライムキャッスル、そして新機能。』》の最終Partを前半に置き、後半は颯樹くんとリンゼのPartをお届けしました!

先程のリンゼの独白のシーンは、幕間劇や今後のお話に繋がる布石だったりするので、何処かで必ず回収させて頂こうと思います!


次の予定は《第6章『引っ越し、そしてドラゴン。』》の内容に入ろうと考えてますが、その前に幕間劇を何話か組み込もうかな〜と考えてます。アンケートも愈々刻一刻と締め切りが迫っています!まだ参加されてない人は、ぜひぜひ御協力の程をよろしくお願いします!

それではまた次回に!因みに……ハーメルンとのアンケートは、Twitterのアンケートの締め切りと同時に締め切りとさせて下さい。申し訳ないです!


このお話の投稿日は、私のオススメするイセスマ小説の投稿日ですので、其方も併せて読んでもらえると嬉しいです!「異世界はスマートフォンとともに 改」と言うタイトルで、私がイセスマ小説を描くきっかけになった作品です!

週一投稿とコンスタントに投稿してますので、其方の方もよろしくお願いします♪
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