異世界はスマートフォンとともに。if   作:咲野 皐月

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皆さんこんにちは!咲野 皐月です!


今回はアニメ《第6章「引っ越し、そしてドラゴン。」》の前半パートをお届けします!このお話にもオリジナル要素が隠されているので、それが何処かは実際に見て貰うとして!

アンケートの結果報告ですが、活動報告に掲載しています。前書きはその位にして……です。


それでは第12章、スタートですよ!


第12章:爵位授与式、そして家令。

ユミナのパーティー加入から数週間が経ったこの頃、僕たちは目の前の景色に唖然としていた。……今思えば無理もない事で、最初からこっちが目的だったのでは……と思えてしまった。

 

 

「これを……爵位の代わりに貰ったの?」

 

「そうなんだよ。…色々とね」

 

「?どう言う事です?」

 

 

色とりどりの花が咲き誇る庭を歩いていると、リンゼからそんな事を聞かれる。……確認の為にユミナへ聞いて見ると、首肯が見られたので、僕は皆に話す事にした。

 

結構……今でもこれは驚いているんだよね、こんな事になろうなんて。

 

──────────────────────

【ベルファスト王国:王城 来客の間】〈数日前〉

 

「そなたには、この前の事件を解決してくれた礼として、爵位を授与したいと思う」

 

「……爵位、ですか」

 

 

何時もの様に庭先で剣を使った稽古をしていると、一通の手紙が届いたんだ。内容は『これを読んだら、早急に王宮へと来て欲しい』との事だったので、僕は準備を済ませてから向かったんだ。

 

するとそこで待っていたのは、国王陛下と公爵殿下のご兄弟で、矢次早に来客の間へと通されたんだ。

 

 

「そうだ。……受けてくれるかな?」

 

「すみません。僕の様な一冒険者に、貴族と言う大層な身分が務まるとは到底思えません。ご厚意を無下にする様で大変心苦しいのですが、お断りさせてください」

 

「いや。そう言うと思っていたよ。……ただ、国王が命の恩人に対して何も報いないと言うのも、イメージが悪いのでな。一応、『爵位を授与しようとした』と言う形が欲しいのだよ。無論、受けてくれるのであれば、それに越した事は無いのだが」

 

 

国王陛下は僕の顔を見ながら、そう答える。やっぱり……僕にはそう言う大層な身分は似合わないです。ただ国王ともなると、体裁とか体面とか色々しないといけない事があるんだなぁ〜。

 

そして爵位授与式が行なわれる、その当日。僕は先日告げた通りに謁見の間で伝える事にした。

 

 

「余の命の恩人であるそなたに爵位を授けよう」

 

「勿体なきお言葉。しかし、自分には冒険者稼業が似合っております故、辞退させて頂きたく」

 

「そうか。なら無理強いはすまい」

 

 

……僕はキチンと伝えた筈だったんだ。…伝えた筈だったのに……!

 

 

「だが、このまま帰すのは余の命の恩人に対して失礼だと思う。そこで謝礼金と、冒険の拠点となる屋敷を用意した。爵位の代わりに受け取ってくれ」

 

「ええ?」

 

 

僕が口を開いて驚くのを他所に、国王陛下の傍に居たシャルロッテさんが、僕に王金貨20枚(元の世界の貨幣価値を参考にすると……王金貨1枚は1000万円)の入った袋と、屋敷のある土地の管理などを記したであろう目録を手渡した。

 

袋の重さに少し腰を抜かしてしまったが、時すでに遅しと言った感じで、シャルロッテさんは素早く定位置に戻っていた。

 

 

「この度は大儀であった。そなたの益々の活躍を期待している」

 

 

その言葉で爵位授与式は締められた。その後にシャルロッテさんに絡まれて、リンゼに作った翻訳メガネを追加で3つ作る事になったけどね……。

 

──────────────────────

 

……んで、今に至るという訳ね。ここに引っ越しするという旨を、ミカさんを始めとしたリフレットでお世話になった人たちに伝えたら、反対する声は聞こえて来ず、代わりに『何時でも遊びにおいでねー』と言う旨の言葉だった。引っ越しの際は手を貸してくれるとの事で、感涙に咽ぶ思いだ。

 

街の人の暖かな想いを受けつつ、国王陛下から受け取った屋敷へ来た訳。今回は下見の為に訪れている、という訳だ。

 

 

「もしかしたら、爵位よりも……こっちが目的だったのでは、と思ってしまいますね」

 

「ホントだよ……しかも追加で王金貨20枚って。これで家具とかを買い揃えてくれ、って事だろうし」

 

「王様も太っ腹よね〜」

 

 

僕とエルゼにリンゼは、目の前の屋敷を見てそう話をしていた。その傍らではユミナが、この屋敷をなかなか良さそうだと見ていた。……やっぱりこういう所は、お姫様育ちなんだな〜と実感する訳で。

 

屋敷のドアを開けると、中央からは階段が伸びており、両サイドにはキッチンやベランダに通じる廊下、その他諸々が拡がっていた。

 

 

「……え?こんなに広いの、ここ。……ここに5人で住んでも、有り余る広さだぞ?それに掃除をするとなったら、丸一日使わないと出来ないぞ……」

 

『……』

 

「さ、颯樹……」

 

 

僕は入って見た感想を直に言ってのける。するとユミナを除いた女性陣が全員固まり、此方にキョトンとした表情で目を向けている。……あれ?なんか、不味った?

 

 

「拙者たちも、ここに……住んで良いんでござるか?」

 

「何、当たり前の事を……。良いに決まってる」

 

「後で出て行け、とか……言わない、ですか?」

 

 

八重からの問いに、僕は『何を今更』と言った表情で答える。そして矢次早に発せられた、リンゼからの質問に対しては、一つ溜め息を吐いた後に答える。

 

 

「さっき八重にも言ったけど、何当たり前の事を言わせてるの?僕たちは仲間、でしょ?同じパーティーなんだから」

 

「で、でも、この屋敷は王様からの贈り物であって……ユミナと住む為の家じゃないの?」

 

「……好きな人同士が住む為の家なら、私たちがここにいる必要はないはず……」

 

 

僕がリンゼにそう答えると、エルゼとリンゼから更なる意見を突き付けられる。……さっきの言葉で分かんなかったかな〜。僕は声を張って3人に告げる。

 

 

「あのさぁ3人とも?何か勘違いしてるみたいだけど、僕は3人を邪険にする気は無いよ。それどころか、家族みたいな存在だと思ってる。ユミナと同じくらい、3人の事も好きなんだからさ」

 

 

僕は思った事を3人に告げる。するとリンゼを始めとした3人の顔が、湯気が出そうな位に紅くなっていた。やべ、褒め過ぎた。

 

その言葉の後に、エルゼは2階へ、リンゼは屋根裏部屋へ、八重はキッチンへと向かって行った。……思った事を言っただけなんだがな。

 

 

「……なるほど、3人とも同じくらい大好き、ですか。颯樹さん、ここは私に任せてください」

 

「了解」

 

 

その場から走り去った3人をユミナに任せ、僕は琥珀と共に女性陣とは別ルートで探索を開始した。見て見た感想はと言うと、何もかもが今までとは違い過ぎていた為に、驚きの連続だったのはお察しの通りだ。

 

暫く周り終わった僕は、庭園へと出ていた。勿論、その傍には琥珀が寝そべっている。

 

 

『気持ちイイですね〜』

 

「だね。こんな立派な屋敷をくれた、国王陛下に感謝感謝だね」

 

「颯樹さん」

 

 

庭園の芝生に腰掛けていると、ユミナから声を掛けられる。するとそこには、先程走り去って行った3人が一緒に居り、説得は済んだのだと理解できた。

 

僕は先程まで座っていた芝生から立ち上がり、4人の女性陣と向かい合う。

 

 

「あ、あの…颯樹?本当に、私たちも此処に住んで良いの?」

 

「もちろん」

 

「…あとで出て行けとか、絶対に、無いですよ、ね?」

 

「言う訳無い」

 

「ユミナ殿と、その…一緒の扱いをしてくれるのでござるか?」

 

「当然」

 

 

何を今更言わせてるんだろ。この世界に僕の家族こそ居ないけど、僕はみんなを家族同然だと思っている。それは変えようの無い事で、真実なんだから。

 

……確かに、こんな立派で大きな家を貰って、気後れする気持ちはよく分かるんだけど……貰ったのは紛れも無い僕自身だし、遠慮なんて無粋だと思うが。

 

 

「では皆さん、ここに一緒に住むという事で。急ぐ事は無いので、さっきの話は気持ちが固まってから、という事にしましょう」

 

「ええ」

 

「はい」

 

「分かったでござる」

 

 

ユミナが一連の会話を締める。……さっきの話?ユミナを含めた4人の中で、何か別の事柄が進んでいたって事か?……無理に首を突っ込んじゃ、多分だけど負けな気がする。何の勝負をしてんのかって?……察しろ。

 

5人で此処に住むという事が決まり、やらなくちゃ行けない事が出て来たぞ〜。先ずは使用可能状態にまで清掃作業をしなければ。

 

 

「ユミナ……先ずは掃除からだと思ってるんだけど、ここを僕ら5人で隅々まで出来ると思う?」

 

「無理でしょうね」

 

「……だと思った」

 

 

僕がふと告げた言葉に、キッパリと否定の言葉を返すユミナ。……だと思った。そうだよね。普段の僕たちはギルドからの仕事があるし、そうなると庭先の手入れがどうしても疎かになってしまう……。

 

そう思ったその時、ユミナがある言葉を口に出す。僕にとっては蜘蛛の糸の様に頼りになる言葉だった!

 

──────────────────────

 

新居の下見を終えて3日の月日が過ぎた頃、僕たちの目の前には一人の老紳士が立っていた。……え、引っ越しは今朝方に終わったはずだが…?どうやら、隣に立つユミナの表情を見る限りでは、そう言う関係では無さそうだ。

 

目の前の老紳士は僕を見ると、目上の立場の者にする様な礼をしだした。少し感覚を開けて、自分の身分を明かす様に自己紹介を始めた。

 

 

「お初にお目にかかります、旦那様。私、ライムと申します。以後お見知り置きを」

 

「よろしくお願いします、盛谷 颯樹と言います。して、今回はどのような御用件で?」

 

 

ライムと名乗った老紳士の言葉を聞いた後、僕は此処へは何用で来たのかを問い掛ける。するとライムさんは、最初にユミナに目を移してから、僕の方へと目線を戻した。……なるほど、ユミナが。

 

 

「この度、御役を息子に譲りまして。残りの人生、弟の命の恩人に仕えるのも悪くない、と思いまして」

 

「え?……お、弟…って?」

 

「レイムと申します。オルトリンデ公爵家に仕えております」

 

 

ライムさんの言い放った一言に、僕は『納得!』と言った表情を浮べる。……なるほど、ライムさんはレイムさんのお兄さんなんだ!……ん?待て。と言うことは、ライムさんって、国王陛下に仕えていたって事か!

 

 

「じいやはお父様の世話係を、長年勤めてきたんですよ?家令としては申し分ないと思います」

 

「ユミナの薦める人だったら♪……ライムさん、不束者ですがどうぞよろしくお願いします」

 

「此方こそ。早速ですが旦那様、何人か雇用したい人材が居るのですが、連れて来ても構いませんでしょうか」

 

 

へぇ〜、仕事がどんどんと速く済んで行くね……。確かにユミナの言う様に、有能な執事が居てくれると、こうも助かる物なんだね。僕自身、人を雇うのが初めてだから、どういう風に見たら良いかはよくわかんないけど。

 

 

「分かりました。その人たちに会わせて下さい。これからお世話になる人たちですので、顔合わせをして置きたいと思います」

 

「ではこちらにお連れ致します。少しの間で構いません、リビングでお待ちになられて下さい」

 

「はい」

 

 

少しの間待ってて欲しい事を伝えられたので、僕はユミナと共にリビングで待つ事にした。……どんな人たちが来るんだろ、楽しみだ♪

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