あの後リーンからの執拗な勧誘が行なわれたが、僕は丁重にお断りさせて頂いた。……誰が好き好んで鬼の師匠にご教授頂きたいと思うのだろうか。仕舞いには「仮弟子でも良いから」と言う始末。無論、それも丁重にお断りさせて頂いた。向こうはずっとブータレてたが。
その隣に居たポーラからも「こっちに来いよ!」みたいな手招きをされるし……正直に言えば疲れた。
「あー、疲れた」
パーティーも恙無く終了し、僕らは割り当てられた部屋に戻り、柔らかいベッドで眠りに着いた。真面な寝台で寝るのは久方ぶりでなかなか寝付けなかったが、何時しか寝ていた様で、気づけば朝を迎えて居た。
さて、今日は少し試してみたい事がある。スマホで幾つかのサイトを巡り、目的に使えそうなのを片っ端から【ドローイング】で転写して行く。
「うん、これくらい有れば良いかな。あとはこれを【ストレージ】に入れれば、完璧かな」
「朝食をお届けしました」
「ありがとうございます」
僕は部屋に届けられた朝食を食べた後、転写した紙の束を持ち、琥珀を連れて宰相のグラーツさんの所へと向かった。
「ミスミドの王都へと外出したいのですが、大丈夫ですか?」
「分かった。外出を許可しよう。城門を通過する際はこのメダルを使ってくれ」
「ありがとうございます」
そう言ってメダルを目の着く所に付けると、グラーツさんから【ドローイング】での転写を頼まれた。……なんだ、グラーツさんも欲しかったんですね?
それからリオンさんの所へと行って、将棋セットを手渡して来た。次いでにリフレットの街が、将棋で町興しをしようとしている事を、オルバさんに宣伝して置くよう頼む。
「あら、お出掛けですか?」
「まあ、そんな所。少し城下町まで買い物にね。2人はどうしたの?」
「私たちは中庭に朝の散歩へ」
「そうなんだ。じゃあ、一緒に行く?」
「もちろんです」
「…私も」
城門の所でユミナとリンゼと合流し、城下町へと足を進める。その途中にエルゼと八重も誘おうかと考えたのだが、リンゼの話によると今日は二人ともミスミドの戦士長たちとあの闘技場で合同訓練をするのだとか。……まさか獣王陛下まで参加してたりはしてないだろうか。
3人と1匹で連れ立って、城門を潜り抜けて城下町へと向かう。さて、まずは……金属からかな。
「金属って何処で売ってるの?」
「金属、ですか?」
「うん、鉄とか銅とか黄銅とかそう言ったモノ。インゴットで売ってると有難いんだけど……」
「インゴットが何かよく分かりませんが、鍛冶屋に行けば譲って貰えるのでは?」
なるほど。スマホのマップアプリで『鍛冶屋』と検索して探すと……対象が何軒か見つかった。取り敢えず、此処から一番近い鍛冶屋に入ろうかな。
東の通りを真っ直ぐ進むと、十字路の隅に鍛冶屋を見つける事が出来た。カーン、カーンと槌を打つ音が店の奥から聞こえて来る。入って来る僕たちに気付いたのか、店の前に居た有角人の店員が声を掛けて来た。
「へい、らっしゃい。研ぎかい?打ち直しかい?」
「すみませんが、金属を譲って頂けないかと思いまして……」
「おう、良いぜ。何がご希望だ?」
その有角人の店員さんに交渉すると、快く譲ってくれると言うので……鉄、黄銅、鉛を文庫本二冊ほどの板状で売って貰った。その真向かいにあった道具屋で、小さな木材と靴底に使うゴム板も買っておく。
「さて、後は火薬だけど……」
一応念の為に『火薬』で検索して見ると、あっさりヒットした。魔法道具取扱店……。まあ、魔法の道具とも言えなくは無いよねそう言うのって。
何はともあれ、そこで火薬を中瓶三つ分買った。一応だけど、これで材料は揃ったかな?
「…何か作るんですか?」
「武器をね、作って見ようかと」
「武器?」
疑問を浮かべたリンゼの問いに、僕はそう答える。首を傾げる二人を連れて、路地裏に入って【ゲート】を使い、ミスミド王都に来る際に通った、近くの森の中に出た。
「取り敢えず、ここなら人目も無いし大丈夫でしょ。えっと……これを彼処に置くか」
「何をするつもりでしょうか……」
未だにユミナとリンゼは、僕の様子に首を傾げているご様子だ。近くにあった切り株の上に紙の束を置いて、風で飛ばない様にインゴットをその上に置く。
「よし、じゃあこの竜の角を……。リンゼ」
「な、何ですか?」
「突然で申し訳ないんだけど、ここからここまでを魔法で斬る事ってできない?」
「分かりました!……【水よ来たれ、清冽なる刀刃、アクアカッター】!」
角の先端からここまでと範囲を示し、リンゼに頼む。リンゼは快く答え、水属性の魔法【アクアカッター】で竜の角を切断する。……ほんと、リンゼが居てくれて助かったよ…。
その後に転写した紙の束と睨めっこしながら、パーツ一つ一つを丁寧に記憶して行く。失敗しても後で微調整すれば良いんだけど、折角だし一発で決めたいよね♪……よし、始めますか!
「【モデリング】!」
角の形をゆっくりと変形させて行く。バレル、シリンダー、ハンマー、トリガーと言ったパーツを作り出し、同時に木材でグリップを作り、それも含めて組み上げて行く。10分後、僕の手中には黒光りする一丁の回転式拳銃、リボルバーがあった。
一応、レミントン・ニューモデルアーミーと言う銃を参考にしてはいるが、若干寸詰まりになってしまった感が否めないな……。まあ、大して変わらないから良いんだけどさ。速射性が欲しかったんで、普通はシングルアクションの所をダブルに変えてみたり、シリンダーの部分とかいじってたりするからね。中身は全く別物だけど、デザインがカッコよかったから参考にしたまでだ。
「ん〜……握り心地は悪くないね。まあ、少し軽い気がするけどOKOK。さて、次は弾丸かな」
インゴットと火薬を使って、何種類かの弾丸を50発ずつ作る。取り敢えずはこんな感じで良いかな。回転式の弾倉に6発弾を込める。……おっと、その前に。
「【エンチャント:アポーツ】」
銃本体に【アポーツ】の魔法付与をする。更に【プログラム】で弾丸が自動的に装填される様にする。まあ、いちいち装填するのが面倒臭いならオートマチックを作れよという話になるのだが、そこら辺は趣味だ。リボルバーの方が断然格好は良いからね。
空いている弾倉に弾を込め、目の前の木に向けて一発試しに撃ってみる。大きな爆発音と共に、弾丸が発射される。……な、なかなか衝撃が来ますなぁ。それに、さっきの音でユミナとリンゼが耳を塞いじゃったし。……弾は外れたか。
「弾が外れた……何か足りない気がする……って、あっ。あれを作ってないじゃん」
何か足りない事に気が付いた僕は、その足りない物を作る。ライフリングと呼ばれるそれは、銃身の中にある螺旋状の溝の事で、ジャイロ効果を用いて弾に回転を付与し、真っ直ぐ跳ぶようにさせるという代物だ。
ライフリングを【モデリング】で作った所で、残り5発を発射してしまう。全て正確な位置に飛び、撃たれた木の幹には6つの穴が空いていた。……今度は再装填の確認だね。
「リロード」
僕の言葉と同時に空薬莢が高速で排出され、近くの地面に落ちて行く。そして切り株の上に置いてあった弾丸6発が消え、シリンダーに再装填される。そして引き金を引いて弾丸を発射する。
「……よし、完成だ」
「何ですか?それは」
「これは《銃》って言ってね?遠距離攻撃の武器なんだ。片手で扱えて弓矢よりも強力」
「…凄いですね。大砲の小型化ですか……」
リンゼが僕の手に握られた銃を眺めながら、小さく呟いた。大雑把な大砲はこの世界にもあるらしいが、早い話【エクスプロージョン】を使える魔法使いが一人居れば事足りるみたいで、さほど活用はされてないみたいだ。
「銃はこれで完成だけど、もう少し試してみたい事があるんだよね」
僕はそう言ってシリンダーにある弾丸全てを抜き取り、一発だけ手に取った。
「【エンチャント:エクスプロージョン】、【プログラム開始/発動条件:銃口から発射された弾頭が着弾した時/発動内容:弾丸を中心に「エクスプロージョン」を発動/プログラム終了】」
魔法が付与された弾丸をシリンダーに装填し、先程の試発で穴だらけになった木へと発射する。着弾したと同時に爆音が響き渡り、撃った木が木っ端微塵に吹き飛んでいる。弾丸に込められた【エクスプロージョン】が発動しているのだ。
「な……!」
「はわわ…」
先程の光景を見たユミナとリンゼが、揃って腰を抜かしている。よし、これなら攻撃魔法を無詠唱で使えるね。先程は【エクスプロージョン】を弾丸に付与して、標的を爆発させたが、これを【パラライズ】にすると、殺さずに相手を戦闘不能にできる。……ま、毎回毎回弾丸に【エンチャント】しないといけないのは、かなり大変だけどね。
例えばの話をするが、火属性の適性がないユミナであっても、この弾丸に【エクスプロージョン】の付与をして置けば、適性に関係なく使う事が出来るのだ。
「颯樹さん、その銃って私にも頂けないでしょうか?」
「…私も、欲しいです」
「え?」
ユミナとリンゼの突然の申し出に、僕はうーんと考え込んでしまう。後衛専門の2人がこれを欲しがる理由は察しが付くけど、危険すぎかな〜と思えてしまう。
いや、でもユミナは僕と同じように弓矢等の危険物を扱えるし、リンゼなんてドラゴンの翼を切り落とすこともできるし……今更かもね。取り敢えずは【パラライズ】を付与したゴム弾を渡して置きますか。
「分かった。じゃあ、取り敢えずこの中から好きなデザインを選んで」
画像検索で呼び出した色んな銃を【ドローイング】で浮かび上がらせる。二人とも食い入る様に眺めた後、ユミナはコルトM180アーミーを、リンゼはスナブノーズと呼ばれるバレル部分が短いタイプのS&WM36という銃を選んだ。
リンゼはそれで良いかもだけど、ユミナのは少し持ち手が大きくは無いかな……と思ったけど、デザインだけだし何とかなるでしょ。
「【水よ来たれ、清冽なる刀刃、アクアカッター】、そして【モデリング】」
『おおー』
「……よし、出来た。はい、ユミナがこっちで、リンゼがこれね」
二人の銃を更に切り出した竜の角で作り、手渡す。一応だけど本人以外がトリガーを引けない様に、念入りに【プログラム】をして置く。何も付与していないゴム弾を100発ほど作って半分ずつ二人に手渡す。
「これで先ずは試し打ちしてみて。百発あるから、半分の50発ね」
「ありがとうございます」
「分かりました」
僕が手渡した弾丸を使って、二人は早速試し打ちを始めた。少しずつ撃つうちに感触を掴み始め、銃の扱いにも慣れて来たみたいだ。竜の角で出来ているからか、普通の銃よりも軽く、女の子でも扱い易いみたいだ。
……さて、ここからが本番。銃を作ったのはあくまで僕のメイン武器を生み出す土台に過ぎないんだよな〜。
今回はここまでです!如何でしたか?
次回はキチンとお待たせする事無く、執筆して行こうかな〜と考えてます!今回のお話では銃の制作まで行きましたので、次のお話ではいよいよ颯樹くんのメイン武器が登場しますよ〜!……ネタバレかな、これって。
今日から11月ですね〜。一年も残りわずかとなって来ましたが、皆さんは健康第一で過ごされてますか?私の周りではインフルエンザが流行り出し、被害を受けてる人もチラホラ居るとか……。イベントやお仕事に勉強と目白押しではありますが、体調管理は確り行なって下さいね♪
実は私……今ちょこっと考えてる事が有りまして、そのネタをSayuki9284さんと相談中です。あの人は私がこの小説を書くキッカケになった存在ですので、少し内容は相談を重ねながら作って行こうかと考えてます。まあ、アニメストーリーが終わるまでは、私の方で文章構成とかその他諸々を調節して行くので何ら問題は無いんですけどね。
私の小説を何時も読んでいらっしゃる方は、是非ともこの機会に「異世界はスマートフォンとともに 改」を読んでみては如何でしょうか?此方とは違って変更点が多いですが、読み応えは抜群なので、とても面白いですよ♪宜しければそちらの方にも感想を送ってあげてくださいね、送って貰えたら私もSayukiさんも喜びますので。
長くなりましたが……それではまた次回!なんか、2日に1回ペースでこの小説描いてる気がするな。ま、楽しいから良いんだけど!
最後にですが……少しだけ魔法の詠唱の口上の所で描き方を変えています。これから魔法の詠唱の口上を描く時は、その属性に対応した色を使う様にしたいと思います。
赤→火属性
青→水属性
緑→風属性
茶→土属性
黄色→光属性
紫→闇属性
黒(今までと同じ)→無属性
とまぁ、こんな感じですね。ここに描いたのは、大雑把にしか纏めてはいないので、お話中の中で表して行こうかな〜と考えてます。