異世界はスマートフォンとともに。if   作:咲野 皐月

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第21章:剣銃、そして白仮面。

「【モデリング】」

 

 

二人に渡す銃を作った後、更に切り分けた竜の角を変形させ、再び銃の形に変形させて行く。ただし、先程との違いは、この銃の形が異型な物であるという事だ。

 

銃口の下部とトリガーガードの前面から伸びる刃。グリップは緩やかにカーブを描き、全体的に直線に近いフォルムを作り出していた。全体的には《銃》と言うよりも《短剣》に近い。

 

銃とナイフの融合体。単純にナイフと言っても、刃渡り30cm近くあってかなり分厚い。そして厚く作ったのにはある理由がある。

 

 

「【プログラム開始/発動条件:所有者の「ブレードモード」「ガンモード」の発言/発動内容:「モデリング」による刀身部分の短剣から長剣、長剣から短剣への高速変形/プログラム終了】」

 

 

一通りの流れを【プログラム】した後、今までのと同じようにリロード機能も【プログラム】して置く。弾をリロードし、武器を構えて引き金を引く。銃声と共に弾丸が木の枝を難無く破壊する。……よし、銃の方は問題無さそうだね。

 

 

「ブレードモード」

 

 

僕の言葉に反応し、一瞬にして刃渡り30cmのナイフから、80cmの剣へと変形する。分厚い刀身が三分の二程に薄くなり、その分だけ伸びたという事だ。

 

長剣状態になった事を確認した僕は、縦→横→斜めと素振りをして見る。

 

 

「……よし、こっちも問題無し。ガンモード」

 

 

僕のその言葉で、再び刀身が分厚い状態へと戻る。よし、変形機能も問題無く作動するようだ。

 

 

「凄いですね、銃にも剣にもなるんですか?」

 

「完全前衛の八重やエルゼ、完全後衛の君たちと違って、僕は前衛後衛どっちもできた方が良いからね。この前の獣王陛下との戦いでそう思ったのさ」

 

 

ユミナからの問いに、前から考えていた事を話す。それに獣王陛下との戦いで、魔法が使えない時の対処ができないといけないと思ったのが、この武器を作る理由である。

 

 

「…それで、この武器の名称は何と?」

 

「取り敢えず……《ブリュンヒルド》とかにしておこうかな」

 

 

リンゼの疑問に苦笑いしながら答える。見た目が黒いのに《ブリュンヒルド》って、少々ネーミングセンスの悪さを疑うが、名前の善し悪しで武器の性能が変わる訳でも無いので、それは気にせずに置いておく。

 

新しく手に入れた武器、ブリュンヒルドを眺めながら、僕は自分が漸く「異世界に来たのだなぁ」と思いつつ、改めて自分の人生の波乱さを感じていた。

 

──────────────────────

 

あの後一通りの試し打ちとその他諸々を終え、僕たち3人は再び城下町へと降りて来ていた。途中のお店で小さめの革鞘を三つと、大きめの革鞘を一つ購入した。そしてそれを【モデリング】で変形させ、銃を収納するホルスターを作った。……剥き出しで持つのは目立つし、何より危ないからね。

 

それと弾丸を収納する為のウエストポーチを三つ購入した。取り敢えず二人には街中だし、魔獣に襲われる心配も無さそうなので【パラライズ】を付与したゴム弾だけを与えている。……しかし、僕の方はそのゴム弾の他にも実弾も入ってる。もしもの話だけど、僕の近くに2人が居たら実弾がリロードされる事もある訳で……。その時になって気づいては遅いので、僕は三つの銃に望む弾丸をリロードできるように【プログラム】を施す。

 

 

「折角城下町へと来たんだから、何か食べて行こうか?話のネタにもなるし」

 

「良いですね、この国の郷土料理を食べてみたいです」

 

「…確か《カラエ》と言う料理が有名、です」

 

 

《カラエ》か。八重とエルゼに話すネタになるかもだし、食べて行こうかな。近くにある屋台で売られているらしく、僕たちはその屋台を訪れた。立看板に「ビーフカラエ」「チキンカラエ」「カツカラエ」と色々な種類のメニューが並んでいる。……あれ?これってもしかして……。

 

ユミナはビーフカラエ、リンゼはチキンカラエ、そして僕はカツカラエを注文する。何故か琥珀には食べるのを拒否されたんだが、そこまで変な物があるのだろうか?そんな事を思いながらも、屋台横のテーブルに着くと、直ぐにその料理は運ばれて来た。

 

 

「へぇ、これが《カラエ》なんだね?」

 

「いい匂いですね〜」

 

「…早速食べましょう」

 

 

リンゼの言葉に僕とユミナは頷き、一口目を食べ始める。ご飯が無いから少し物足りない気がするけど、これってどう見ても《カレー》っぽいんだよね。……そして少しだけ、ほんの少しだけ辛味が来て……って、これ!

 

 

「「「ッッ!?」」」

 

 

なんじゃこりゃ!めちゃくちゃ辛い!食べ慣れてる僕でさえ、かなり辛いと感じる程なんだから、これが他の2人ともなると……。そう思って首を横に振ると、涙目になりながら水挿しからコップに水を注ぎ、一気に飲み干す二人の姿があった。初体験の二人にはかなりの衝撃だろうな。

 

 

「しゅごい味でしゅた……」

 

「みゃだ、舌がぴりぴりしまふ……」

 

 

呂律が回らなくなるほど辛かったですか……。カラエ料理の屋台を後にした僕らは、口直しに別の屋台で売られていた果実ジュースを飲んでいた。

 

 

「慣れるとそれほど辛くは無いんだけどね」

 

「颯樹しゃんは食べた事があったんでしゅか、カラエ?」

 

「うーん、似たような物ならね」

 

 

まだ呂律の怪しいユミナに曖昧に答える。リンゼもジュースに入っていた氷を口に含み、口の中でコロコロさせている。そう言えば、この世界に来て辛い食べ物ってあんまり無かった気がする。ベルファストとかでは、甘い物が中心だったような……?…ん?

 

 

《琥珀、これってラングレーの街で感じたのと同じ視線だよね》

 

《はい》

 

《何処に居るか分かる?少し挨拶して来る》

 

《主から見て右手、一番高い建物の上です》

 

 

その言葉を念話で聞いた僕は、ブリュンヒルドに【パラライズ】の付与されたゴム弾をリロードする。……んー確かに居るね、建物の上から此方を見る何者かが。数は二人か。

 

 

「颯樹さん?」

 

「ごめん、琥珀を連れて先に戻ってて。琥珀、ユミナとリンゼを頼むよ」

 

《御意》

 

 

突然リロードした僕に、ユミナが不思議そうな視線で尋ねてくる。僕は琥珀にユミナとリンゼを護衛する様に伝えると、身体強化の魔法である【ブースト】を使って建物の上へと飛び移る。

 

その後に屋根から屋根へと突き進み、謎の監視者が居る建物の上へと辿り着く。

 

 

「こんにちは」

 

「「!」」

 

 

軽く挨拶を交わした僕の声に、黒いローブを付けた二人は驚いた、ような表情でこちらを見る。二人とも黒いローブを付けていて、顔を覆うように白い仮面を付けているのは同じなのだが、仮面の上部には奇妙な紋様が記されていた。一人は六角形の形で、もう一人は楕円形の形をしていた。

 

 

「先ずは君たちの正体を聞かせて欲しいんだ。此方としては手荒な真似はしたくないんだけ…ど……?」

 

 

僕が聞きたい事を言うや否や、六角形の方が試験官のような物を突如投げ付けてきた。……くそっ、目くらましか!眩しい閃光が僕を襲い、少しの間だけ視界を惑わせた。

 

少しして視界が完全に戻った僕は、先程逃げ出した二人を追い掛ける。スマホで「仮面の不審者」と調べて見ると、北の裏路地を逃げているみたいだ。

 

 

「【アクセルブースト】!」

 

 

僕は加速魔法と身体強化の魔法を詠唱すると、超加速されたスピードで屋根の上を駆け抜ける。物凄いスピードで景色が後ろへ流れ、あっという間に裏路地を逃げて行く二人の姿を捕捉した。

 

それを見た僕は回り込んで、二人の前に立つ。

 

 

「「!?」」

 

「もう逃げられないよ」

 

 

僕はそう言って二人に近寄る。それを見た六角形の方はと言うと、懐から何かを取り出すような動作をし始めた。……なるほど、さっきの奴をやる気か。悪いけど同じ手は2度は食わんってね!

 

そう思った後の行動は、今までで一番早かったと思う。腰にある剣銃ブリュンヒルドを抜いた僕は、試験官のような物を投げつける態勢の人物に、躊躇なく【パラライズ】の付与されたゴム弾を発射した。六角形の方が倒れると、楕円形の方はどうしていいか分からずに、僕と六角形の方を見ながらおろおろとし始めた。……鎮静化、完了だね。路地裏に再び銃声が轟いた。

 

──────────────────────

 

「さてさてさーて?どうしたもんか」

 

 

未だに麻痺している二人を【モデリング】で変形させたワイヤーで縛りあげ、路地裏の壁にもたれかからせている。仮面を取って正体を知っても良いんだが、麻痺しているだけで意識は確りと持っているので、余計な行動を起こしやすいのを気をつけないと行けない。

 

 

「今から麻痺を解きますけど、大人しくしていて下さいね?暴れたりすると危険なので」

 

 

そう言って僕は、魔力を右手に集中させて行く。

 

 

「【リカバリー】」

 

 

柔らかな光が二人を包み込む。これで麻痺の効果は消えたから、少しは真面に話ができそうだね。……さてさてさーて?何か話してくれると有難いんだが。

 

 

「で、君たちは何者?何故僕たちを監視していた?誰に雇われてるの?」

 

「………………」

 

 

むむむ……黙秘権ですか。余計な事は言わないように、キツく口止めされてるのか?と思っていると、縛っているワイヤーが喰い込んで痛いのか、六角形の方が身動ぎをし始めた。いや、これは脱出しようと何かをしようとしてるのかな?

 

そう思った僕は六角形の方の懐に手を入れ、その類の道具を全て取り上げようと動き出した。……すると。

 

 

「ひゃうっ!?」

 

 

六角形の方が可愛らしい声を挙げて、抵抗する様に動き出した。……ま、まさか……僕が今触ってるのって……もしかして……。その感触が何かを理解した途端、僕の顔中から汗が滴り始めた。

 

 

「お、お、女の人でしたか!?」

 

 

六角形の方がこくん、と小さく頷く。……ヤバっ、まだあの柔らかな感触がまだ残ってるんですが……。と言うか先程の声だけど、何処かで聞き覚えが有るんですが。

 

……と思ったその時、さっき懐から手を引いた時に手が当たったのか、六角形の方の白い仮面がカランと音を立ててその場に落ちる。その下から現れた顔は、僕が知っている女性の顔だった。

 

 

「え?ラピスさん……だったんですか?」

 

 

顔を赤らめながら、ベルファストの王都の屋敷に居るはずの家のメイドさんは、また小さくこくん、と頷いた。

……どうなってる訳、これ。そう思いながらも僕は、もう一人の仮面も外して顔を確認し、拘束に使ったワイヤーを解き始めたのだった。




今回はここまでです!如何でしたか?


颯樹くんの新武器が、ついに登場しましたーーーー!イセスマには欠かせない要素ですからね、確りと描かなければ!そしてミスミド王国の郷土料理、カラエと謎の監視者のお話も組み込みました!カラエって何かに似てるよな〜って思った皆さん、間違い無いです。みなまで言わなくてもわかりますって。

次回は謎の監視者の正体と、ミスミド国王とベルファスト国王の会談のお話を描こうかと思います!少し余裕が有れば、その先の話も少しだけ描こうかな……?


次はまた金曜日に!それではまた次回!



【追記】:執筆日現在(2019年10月30日午後6時34分)なんですが、なろう版の方を見てみたら、サンドラ王国よりも先に【ミラージュ】で姿を偽る描写がありました。これ以上はネタバレかな、と思いますので……今回はここまで。因みにそのネタは私の小説の先導者さんと相談中です。
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