「仕方ない……作るか」
「「「作る??」」」
僕は『何言ってんだこいつ』と言う四天王の眼を無視して、【ストレージ】から自転車を作る際に余った鋼を取り出した。
そして武器の作り間違い等(心配して無いけど)が無い様に、リクエストを聞く事にした。
「槍が良いですか?それとも、何かリクエストはありますか?」
「あ?ああ、儂はそれで良いが、内藤は短剣二つ、山県のヤツは大剣があると有難いが……」
「分かりました」
【モデリング】で鋼を変形させ、リクエスト通りの武器にして行く。先ずは簡単な短剣二つ、その次に大剣……最後に槍を作った。
三人は僕から受け取った武器を振り回して、手にした武器の馴染みやすさ等を見ていた。
「あっという間にこんな物を作ってしまうとは……。凄いですね、颯樹さんは」
「柄の部分まで鋼じゃ重いだろうと思ったが……思ったより軽いな、この槍。バランスがちょっとおかしいがな」
そりゃあ軽くする為に、柄の部分を中空にしてあるからね。持ってて負担が無い様にしてるし、熟練した者なら一回使っただけで手足の様に扱えるからね。まあ、その槍一つだけで一つの鉄の塊だから、耐久性はあると思うけど……斬れ味は保証しないよ?
「じゃあ……破壊するけど、準備は出来てる?」
僕の最後の確認に、全員が小さく頷いた。腰からニューモデルアーミーを引き抜いて、ウエストポーチから【エクスプロージョン(小)】の付与された、弾丸を銃にリロードし、目の前にある地蔵に銃口を向ける。……何か罰当たりな気もするけど……そこは勘弁ね!
そんな事を考えながら、銃の引き金を引くと……目の前の地蔵は木っ端微塵に吹き飛んだ。そして地蔵の破壊を済ませた僕は、スマホのマップ画面で鬼面兵を検索した。
「よし……検索できる。じゃあそのまま、ターゲットロックオン!」
「お、おい、なんだありゃあ……!?」
夜空一面に浮かぶ【マルチプル】による白い魔法陣に、山県さん達が目を見張る。それを見たリーンが、その光景を視界に入れたまま僕に尋ねて来る。
「またアレをやるの?」
「当然。邪魔な奴は完全に殲滅する。転移してから囲まれたら嫌だしね」
空に手を翳して魔力を集中させ、空に浮かんでいる【マルチプル】の魔法陣全てを発動させる。今は夜で辺りも暗いから……これはきっと映えるよ〜♪
「【光よ穿て、輝く聖槍、シャイニングジャベリン】!」
空に浮かんだ【マルチプル】の魔法陣から、無数の光の雨が館中に降り注ぐ。闇夜に映えて美しく……まるで流星群であるかの様にそれは飛来し続ける。しかし、落ちる現場に居ると、物凄い衝撃音と振動があるんだね〜。それは予想できなかった……。
「……あの、颯樹さん…?」
「何?ユミナ」
「あの今撃ち放った【シャイニングジャベリン】ですけど、建物の屋根まで突っ切ってますよ?」
「……やべ、そこら辺まで考えて無かった」
衝撃音に驚いたユミナからの諌言を受け、僕はハッと我に返った。……そうじゃん。ここはツツジガサキの館だから、建物が近くにあったんじゃん!ヤバっ!そこら辺を気にして無かったよ〜((((;゚Д゚))))!
やがて光の槍による雨が止むと、今度は敵の襲来を告げる兵士たちの叫び声が聞こえて来た。そこはさっきの要領で《敵対する武田兵》と検索して【パラライズ】をお見舞すると、パッタリと静かになった。
「よし、じゃあ……行きますか!」
「おい……今の全部お前の仕業か?」
ゆっくりと首を回して、目をシパシパさせながら馬場さんが口を開いた。他の二人も開いた口が塞がらない様だったが、やがて何とか声を絞り出した。
「こりゃまた……とんでもないですね……」
「オイオイ、こりゃ完助もやっちまったんじゃねぇのか?」
一応《敵対する武田兵》と纏めた検索の中には、標的の完助も入って居るから、その可能性は大いにある。しかし僕は、恐らく無事だろうと見ていた。護符で【パラライズ】が無効化出来る様に、元々の魔力が高い者には【パラライズ】の効果が薄いのだ。
「完助はたぶん無事でしょうね。さあ、決着を付けに行きましょう」
中曲輪に居る完助の元へと、僕たちは【ゲート】を使って転移する。大きな屋敷の広い庭の前に、隻眼の肌黒い男が立っていた。その周りには、倒れたまま微動だにしない武田兵が転がっている。
辺りは篝火で照らされていて、その揺らめく影の中から眼帯をした隻眼の男は、突然現れた僕たちを真っ直ぐに見据えていた。
「なるほど、誰の仕業かと思えば四天王の皆さんでしたか。いや、これは驚いた。一体どうやったんです?」
「テメェに教える義理はねぇよ。さっさとくたばりな!」
大剣を大きく構えて、いきなり山県さんが完助向けて突撃し出した!……あんの脳筋は!!見たまんまの猪突猛進バカって事!?
山県さんの大剣による一撃は、完助の首を難なく斬り撥ねたかに思えたが……その一撃は横から割って入った鎧武者によって防がれてしまった。
「……おいおいおいおいおい、嘘だろ」
赤い鎧に身を包んだその人は、獅嚙の兜から伸びる真白い毛を振り乱し、受け止めた山県さんの大剣を力任せに払い除ける。
顔には先程殲滅した鬼面兵達と同じように、赤い鬼の面が付いている。二メートル近い背丈に、はち切れんばかりの隆々な筋肉。……冗談だろ、まさかこの鎧武者の正体って……。
「御屋形様……」
馬場さんが発した絞り出す様な声を聞いた僕は、再び視線を鎧武者の方へと向けた。
アレが武田真玄……かつての武田領頭領であり、今は山本完助の操り人形か。
「完助、テメェ!御屋形様を盾にする気か!」
「盾などと滅相も無い。御屋形様が私をお護り下されただけの事。しかし……御屋形様の手を煩わせるのは申し訳ありませんね。代わりの者を呼びましょう」
完助の周りに魔力が集まり、庭の中央に大きな紫の魔法陣が浮かび上がった。闇属性の魔法……召喚魔法か!
「【闇よ来たれ、我が求むは骸骨の戦士、スケルトンウォーリアー】」
完助がそう詠唱すると、魔法陣から右手に湾曲した剣を携え、左手に丸いラウンドシールドを装備した骸骨の戦士が現れる。とことんアンデッドに特化したヤツだな!
「……もう良い。カッ消す!」
「?」
あー!もうイライラして来る!真玄は無理にしても、館中に居るバカ共を一掃する!そう思った僕は魔力を解き放ち、その効果範囲を庭全体まで及ぶようにした。これで一気に雑兵共を……カッ消す!
「【光よ来たれ、輝きの追放、バニッシュ】!」
僕がそう詠唱し終えると、館中に居た全てのスケルトン達が霧散して行く。……初めてだけど、上手く出来て良かった〜。
「くっ、光の浄化魔法ですか……。やりますね、ですが」
まるで完助を護るかのように、赤い鎧武者が僕たちの前に立ちはだかった。その鎧武者は目の前に居た山県さんに刀を向けて、僕たちに『それ以上来れば斬る』と牽制をしていた。
「御屋形様!退いてくれ!」
「フフフ、無駄ですよ。御屋形様は私を護って下さる。貴方たちが大恩ある御屋形様に、刃を向けられないのは分かってるんですよ。つまり私には」
「【光よ来たれ、輝きの連弾、ライトアロー】」
「……はっ!」
完助が最後まで言い終わる前に、バキィン!と仮面が音を立てて崩れ落ちる。するとそこには矢を放った状態のユミナと、左手を完助の方に向けたリーンが居た。……もう色々と面倒だったので、僕たちの方で処理しました。
糸が切れたかの様に、赤い鎧武者はその場に倒れる。やっぱりこれも顔の仮面を壊せば、活動が完全に止まるんだね。ユミナは矢を放った後だからか、一息吐いて落ち着けていた。その後に僕がユミナから弓を受け取って、収納魔法である【ストレージ】へと直し込む。
「い、嫌……アンタら……」
「そう?私たちはただやる事をやっただけよ?」
馬場さんの驚きの言葉に、ドコ吹く風と言った感じでリーンがそう答える。が、一方で完助の方はと言うと……まだ諦めていないらしい。左眼に付いている眼帯を外そうとしていた。
「フ、フフフ、なかなかやるじゃ無いですか。しかし、私にはまだこれがある!」
「……」
「この《不死の宝玉》がある限り、私が死ぬ事は無い!例え首を撥ねられたとしても、瞬く間に」
「【アポーツ】」
……もう長ったらしい言葉は聞き飽きたわホント。そう思いながら僕は【アポーツ】で《不死の宝玉》を手元に引き寄せる。それから少しすると、自分の左眼に何かが無い事に気付き、慌てて探し始める完助。バカなんじゃないの?
「な!?貴様、何時の間に!?」
「手癖が悪いのね。それも無属性魔法?」
「その通り。これは【アポーツ】って言って、小物を引き寄せる事ができるんだよ。こういう時は便利だよねホント」
リーンが僕の手元にある宝玉を覗き込んで、ヒョイとつまみ上げるとそれを目を細めて見つめた。……今更だけどさ、それってあのぶよぶよした所に入ってたんでしょ?……気持ち悪。
「ふん、ダメねこれは。周りの負のエネルギーを取り込んで、持ち主の心を濁らせる呪いが掛かってるわ。何処かで呪いを掛けられたみたいね。ソイツがおかしくなったのもこれが原因でしょうよ。アンデッドを操るには澄んだ心が邪魔だから、合理的と言えば合理的だけど」
「さっすが、妖精族の長。凄い観察眼♪」
「妖精族の眼を舐めないでよね?」
ふふん、とリーンは自慢気に薄い胸を張る。さすがは妖精族の長と言った所だね。たまぁに忘れそうになるけどね。
「アーティファクトは古代文明の魔法具。とても貴重なモノだけど、これは長い間悪意を吸って災いを呼ぶ類のモノに変化しているわ。破壊した方が良いわね」
そう言うと彼女は、宝玉を握った右手を壁に向けて、そのまま大きく振りかぶった。……確かにね。こんな危険なモノを放っておけば、新たな被害者が出ないとも限らないからね。折角なんで、粉々にぶっ壊しますか♪
「何をする!?やめろ!?」
「嫌よ」
必死になって声を挙げる完助を横目に、リーンは人の悪い笑みを浮かべながら、完助へと否定の言葉を掛けた。改めて思うけどさ、リーンって本当に人の嫌がる事をするのが好きだよなぁ……。
リーンによって力一杯投げられた宝玉が壁にぶつかり、ガシャン!と言う衝撃音と共に、それは粉々に砕け散った。
「うがぁあぁあああぁああッ!!!」
血を吐くほどの絶叫を挙げながら、完助がその場に崩れ落ちる。暫く激痛に悶え苦しんで居たが、やがて動かなくなり、倒れたその身体がミイラの様に徐々に乾涸びて行く。
最後には掠れた声で御礼を言った後、風に吹かれて塵となって闇夜に消えて行った。
「こりゃあ……どう言う事だ?」
「元々、山本完助と言う人間は死んで居たと言う事ですよ。魔力や気力に体力などを、塵一つ残らずあの宝玉に吸い上げられていたんです。そのせいで彼は理性を失い、仕えるべき主も忘れ、アンデッドとなっていたんですよ」
「……やっぱり、弟子に欲しいわねこの子」
完助が消えて、その場に残された服を見た山県さんの呟きに、僕はそう答える。恐らくだけど、リーンによって宝玉が壊された事によって、宝玉の力で維持していた完助の身体が存在できなくなったんだろうね。
そしてまーた、リーンは何か言ってるよ。恐らく「僕を弟子にしたい」と言う事だろうけど、弟子になる気は無いからね?
「あ、御屋形様が……!」
椿さんの小さな声に振り返ると、真玄や他の鬼面兵たちの身体も、完助と同じ様に塵へと変化して、風に吹かれて夜空へと消える所だった。これで成仏出来たら良いけど……。
四天王と椿さんが、手を合わせて死者に祈りを捧げる。日本人だからか、僕も同じ様に自然と手を合わせていた。……安らかに眠って下さいね。
今回はここまでです!如何でしたか?
戦闘描写の所に関しましては、原作の内容を少し変更しています。原作の内容を確り覚えている人は、何処がどう違うかよく分かると思いますよ?ちょっとだけネタ要素も入れたので、余力がある人は探して見て下さいね?
実は真玄の顔に付いていた仮面を破壊する所は、今回の話に合うようにオリジナル要素を出しました。せっかく今回はユミナも居るし、どうせなら!と思って出しましたので、ちょっとそこら辺の反応が気になる所ではあるのですが。
2nd seasonに入っての最初のオリジナル話の内容が、大まかにですが決定しました!今はSayuki9284さんにご提案を頂いた内容を、こちらで肉付けの作業に入っています。時間を掛けてじっくり考えて下さったので、これは実現させる方が確実だなと思えました♪
提案頂いた内容は、今後の執筆活動の参考にさせて頂きながら……それを鑑みて一番良かった物や、私の中でしっくり来たのをオリジナル話にしようかな〜と考えてますので、ぜひ「『異世界はスマートフォンとともに。if』オリジナル話の内容募集!」の活動報告までよろしくお願いします!
次回はいよいよ……深夜アニメの王道とも言える《水着回》です!今のこの時期にやる内容で無いのは、重々承知致しておりますが、普通に原作通り進んでますので……致し方無しと割り切って下さいな。
次回の投稿は12月16日(月)午前0時です!今の感じだと結構テンポ良く進んでますので、もう少しペースを上げて行こうかな〜と考えてはいますが、あまり無理をしないペースで頑張りたいと思います。
最後にお知らせです。別原作にはなりますが…、最近私がTwitterで絡んでいる、この小説の愛読者である〘ジャズ〙さんの二次創作小説「ソードアート・オンライン 〜二人の黒の剣士〜」がハーメルンにて絶賛連載中です!
物語は「ソードアート・オンライン ホロウ・リアリゼーション」のダークヒーロー《ジェネシス》と、ヒロインの《ティア》がもしSAOの世界に居たら?と言うお話です!現在は《朝露の少女》の内容まで進んでおりまして、原作ファンには堪らない作品となっています!是非一度閲覧頂きますよう、お願い申し上げます!
今回も感想をお待ちしております!もしよろしければで良いので、ジャズさんの方にも感想を送ってあげて下さいね♪向こうの作品も面白いですよ(≧▽≦)
最後に一点だけ。颯樹くんの容姿イメージは《ソードアート・オンライン アリシゼーション編》のキリトです。第一期と第二期のキリトだと、少し背が低めかな〜と思えてしまったので、アリシゼーション編の方でイメージをお願いします。
基本一般的な日本人の容姿は、だいたいキリトがベースかな〜と思えるこの頃です。黒髪に黒眼と言うのは、どの世間一般の日本人でも当てはまる所なので。