異世界はスマートフォンとともに。if   作:咲野 皐月

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第35章:玄武、そして古代遺跡。

「ん〜、とりまこんな感じか?」

 

 

古代遺跡を調査する日になり、僕たち(僕とユミナとエルゼにリンゼ、リーンにポーラと琥珀)は、海岸を望む崖の近くにいた。事前に一日掛けて調査する事が分かっている為、僕の方でお昼を用意している(それは出発前に【ストレージ】へと収納済み)。

 

そして今は琥珀に聞いた事を試す為、召喚魔法に使う魔法陣を描いていた。勿論、使ってるのは白の魔石のチョークである。

 

 

「召喚魔法は普通、特定の相手を呼び出す事なんて出来ないのよ?」

 

『主の魔力に私の霊力を混ぜます。その状態で呼びかければ、奴らは必ず反応し、呼び出しに応じるでしょう』

 

「ん……?琥珀、さっきから《玄帝》の事を『奴ら』って言ってるけど、琥珀みたいに一匹じゃないの?」

 

 

リーンから発せられたボヤきに、琥珀が態度を変えずにそう答えた。その時に僕は、思った事を琥珀に伝えて見た。それに対する琥珀からの答えとしては『《玄帝》は二体で一匹の神獣である』との事で。

 

気性の荒い奴では無いが、少々変わった性格の持ち主なんだとか。まあそれは呼び出して見ないと、分からないんだよね〜何にしてもさ。

 

 

「にしても《玄帝》を呼び出すって……。その子が《白帝》ってだけでも驚いたけど、更にもう一匹とか有り得ないわよ」

 

「まあまあ、颯樹殿のそう言う所を気にしたら、負けでござるよ」

 

 

まだブツブツ言っているリーンを、八重が宥めて落ち着かせる。それを見たのを確認した僕は、魔法陣の前に立って闇属性の魔力を集中させて行く。

 

魔法陣の中心に黒い霧が漂い始め、やがてその黒い霧が更に色濃くなって行った。そこへ傍らに居た琥珀が、自分の霊力を僕の魔力に混ぜて行く。よし……、じゃあ後は詠唱だけだね。

 

 

冬と水、北方と高山を司る者よ。我が声に応えよ。我の求めに応じ、その姿を現せ!

 

 

充満していた黒い霧から、突如莫大な霊力が生まれる。琥珀と初めて出会った時の様な……、ピリピリとした例えようの無い力を感じる。

 

黒い霧が晴れると、そこには一体の亀が居た。それも四メートルの大きさを誇る巨大な陸亀である。ちゃんと足は四本揃っている。生憎と牙は無かったけどね。そしてその亀に巻き付いている黒い蛇も、なかなかの大きさだった。アナコンダくらいは有るだろうか……。黒真珠の様に輝く鱗と、黄金の瞳が特徴として現れている様だ。

 

目の前の光景に茫然としていると、黒い蛇の黄金の瞳が此方に向けられた。

 

 

『あっらぁ?やっぱり白帝じゃないのよぅ。久しぶりぃ、元気にしてた?』

 

『久しぶりだな、玄帝』

 

『ん、もう、「玄ちゃん」で良いって言ってるのにぃ、い・け・ず』

 

 

うわぁ……、何かすっごく軽い会話〜。話し方から察するに、この蛇はオネエなのか?声質がすっごく野太いんですが。それにかなり砕けた口調だなぁ全く。

 

 

『それで其方のお兄さんはぁ?』

 

『我が主、盛谷颯樹様だ』

 

『主じゃと?』

 

 

ギョロッと亀の方が此方を見た。その向けられた視線は、まるで僕の事を値踏みをするかの様だ……。その容貌から厳つい男性の声を想像してたけど、意外にも聞こえて来たのは、先程の蛇よりも更に女性的な声だった(若干キツめの印象だけどね)。

 

 

『このような人間が主とはな……落ちたものだな、白帝よ』

 

『何とでも言うがいい。じき、お前たちの主にもなられるお方だ』

 

『戯れ言を!』

 

 

琥珀は涼しい顔をして、亀からの挑発を受け流す。それを見た亀は怒りを浮かべ、蛇に至っては好奇の眼で此方を見ている。

 

ん〜、僕の世界には《人は見かけによらない》って言葉があるんだけど……それをどうこう言った所で、通じる相手じゃないっか。

 

 

『良かろう、颯樹とやら。お前が我らと契約するに値するか、試させて貰う』

 

「OK。内容はどの様に?」

 

『我らと戦え。日没までお前が五体満足で立っていられたのなら、力を認め契約しようではないか。しかし、魔法陣から出たり、気を失ったり、我らを攻撃する事が出来なくなれば契約は無しじゃ』

 

 

倒したら僕の勝ち、とは言わないのな。琥珀に聞いた話では『《玄帝》は防御に優れた神獣』と言ってたから、余程の自信があるのか。日没まで立っていられたら良いから、やり用は幾らでも思い付く。

 

しかしだな……『戦え』って言われて、逃げるのも何だかなぁ……後味悪過ぎる。

 

 

『自信が無いなら逃げても良いぞ?日没まで体力が持てば、の話だが』

 

「ヌルすぎるぜ、そんなルール」

 

『ん?』

 

 

あっるぇ〜?何だろうなぁ、今の言葉にすっごくムカついて来たんですけど。馬鹿にした様な嗤いを浮かべて、亀がそう返す。これはもう……手加減とか容赦に情けは、要らないよね?よね?

 

 

「俺がアンタの戦意を丸ごと削いでやるよ。安心しろ、死なせはしない」

 

『貴様っ!我らに勝てると思うたか!たかが人間の分際で!』

 

「ああ、やってやるよ。アンタこそ……人間をバカにするとどうなるか、その身を以て思い知るが良いさ」

 

 

僕の言葉が余計に癪に触ったのか、亀の方が更に怒りだした。それを見た5人と一匹は震え上がっており、僕と琥珀は涼しい顔をしてその場に立っている。

 

 

「さ、颯樹さん、大丈夫なんですか……?」

 

「ああ、心配するな。俺なら大丈夫だ。少しだけ待って居てくれ」

 

 

ユミナが僕の事を心配して、不安そうに声を出して僕を見上げた。僕はユミナを安心させる様に、抱き締めてから金色の頭を撫でた。一頻り抱きしめた後にユミナを解放し、僕は魔法陣の中へと入って行く。

 

 

『意外と落ち着いているのねぇ』

 

『その度胸だけは褒めてやろうかの。では……参るぞ!』

 

 

亀が戦いの開始を告げる様に、大きな咆哮を一つ上げる。戦うんじゃない……勝つんだ!

 

──────────────────────

 

『うおう……うおええう……まわ、回ってるわぁ、世界が回ってるわぁ……』

 

『ゆる、許して下さいぃ……もお転ぶの嫌あぁ……滑りたくないよぉ……』

 

 

あれから暫く経った頃、戦いを仕掛けて来た《玄帝》から降参の意志が聞こえた為、僕はやむ無しと思いながら魔法を解いた。あの二体に掛けていたのは、最初は【スリップ】の魔法で、その後には弾丸に【スリップ】を【エンチャント】して、僕自身の解除命令が無いと延々と転び続ける様にして居た。

 

最初は何かの笑いのツボに入っていた、琥珀とポーラだったが、次第にユミナ達と同じく引き攣った笑みを浮かべていた。これに居た堪れなくなった僕が、二体に掛けた魔法を解いたという訳だ。

 

 

「あー、何かごめんなさい。ちょっとやり過ぎた。謝るから……許してね?」

 

 

背後から突き刺さる皆の視線が、正直に言えば痛すぎて仕方ない。一応負けを認めて契約してくれるとの事だったので、スリップを解いたのだが……その後は宥めるのに一苦労した。

 

だってその時……蛇は目をぐるんぐるんに回していて、亀に至ってはずーっと泣きっぱなしだったんだもん。そりゃあ《やり過ぎた》と思うよ。

 

 

『あぁ、酷い目にあったわぁ……。白帝が主と認めたってのも納得ねぇ……』

 

 

そう呟いてはいるけど、蛇は未だに頭をフラフラと回していた。亀の方は漸く泣き止んで、じっと僕の方に視線を向けた。その亀の頭を撫でて、更に一つ謝る。亀が目を伏せて身を低くする。

 

 

『盛谷颯樹様。我が主に相応しきお方よ。どうか我らと主従の契約を』

 

「了解♪名前をつけるんだったよね?」

 

『そうよぉ。素敵な名前を下さいな、ご主人様』

 

『コヤツらなど「蛇」と「亀」で充分です』

 

「琥珀!そんな事を言わない!」

 

 

折角《玄帝》の方も負けを認めて、僕と主従の契約を結んでくれると言うのに……!そんな言い方は無いでしょ琥珀!僕は琥珀を諌めた後、玄帝へと頭を下げる。

 

そして少し思考に耽ける。確か琥珀の名前を付けた時は、漢字の読み方の他にも《琥珀》と言う宝石があると言うのを知ってたからなんだよね。とするなら。

 

 

「決めた。蛇の方は《黒曜》で、亀の方は《珊瑚》ってどうかな?」

 

『コクヨウ?』

 

『サンゴ?』

 

 

琥珀の名前も宝石にあるし、《黒曜》と《珊瑚》だったら似通ってて良いでしょ♪『玄武』と聞いて黒とか水を想像するしね。

 

 

「どう?」

 

『喜んで「黒曜」の名を頂きますわぁ』

 

『では妾もこれからは「珊瑚」と名乗らせて頂きます。よしなに』

 

 

良かった〜、気に入って貰えて。名前を付けた召喚獣は、魔法陣の外に出る事が出来る。のっそりと珊瑚は魔法陣の結界から出て来た。

 

 

『ちょっと待て、玄帝……いや珊瑚か。我らは主の魔力にて常に顕現する事が出来る。だがその姿では主に迷惑がかかるのだ。姿を変えろ』

 

『……そう、なのか?』

 

『白帝……琥珀ちゃんみたいに、小さくなれば良いのかしらん?それなら直ぐに……ねっ!』

 

 

ポンッ、と黒曜と珊瑚は一瞬にして、姿を小さく変化させていた。体長30cmくらいの黒い甲羅の亀に、普通サイズの黒蛇が巻き付いている。それだけなら普通(?)に見えるのだが、小さくなった珊瑚と黒曜は、フワフワと宙に浮いていた。

 

 

「宙に浮けるの?」

 

『この大きさなら、何とか。速く動けないのが難点ですがね……』

 

 

珊瑚がすいーっ、すいーっと空中を泳ぐ。確かにそんなに遅くなさそうだね。だいたい……歩くスピードと同じくらいか。しかし、陸亀が泳いでる姿もシュールだな。まあ、この大きさなら連れて歩けるし大丈夫か。

 

 

「よろしくね♪黒曜、珊瑚」

 

『この珊瑚、お役に立って見せましょう』

 

『アタシもお役に立つわよぉ〜』

 

 

僕の肩に手を掛けて乗っかる、珊瑚と黒曜の頭を指先で撫でる。そうしたら二人からそんな声が聞こえて来たので、僕は早速二匹に頼んでみる事にした。早速で悪いけど……役に立って貰おうかな♪

 

──────────────────────

 

『海に入っても呼吸が出来る様にすれば良いのですね?』

 

「うん、頼めるかな?」

 

『楽勝よぅ。守りに関してはアタシ達に並ぶ者は居ないんだからぁ』

 

 

とは言うけど、まだ見えない危険が潜んでるやもしれない。取り敢えず僕の方で遺跡の中を確認して、確実に安全である事を確認してから、皆を連れて来る方が得策だろう。

 

エルゼ達の心配を背に受けながら、僕は黒曜と珊瑚を肩に乗せて海の中へと入って行く。これは確かに、完璧に守られているみたいだ。水の中でも正常に息ができてる事から、黒曜&珊瑚のお陰だと言う事が分かる。

 

 

「おっ?見えて来た」

 

 

そして目の前に見えて来た巨石群を通り抜け、ストーンサークルの間を抜けて、遺跡の中央にある階段をから中に入って、光魔法の【ライト】を使って、暗い地下へと下って行く。

 

その暗い階段を抜けると、大きな広間へと出た。そこには魔法陣がドンと真ん中に置いてあり、その対角線上に6つの魔石台が鎮座していた。

 

 

「これは……色々な色の魔石があるね」

 

『ご主人様ぁ、これってそれぞれの魔石に魔力を流せば……何とかなるんじゃあ無いのぉ?』

 

「ちょっとやって見ようか」

 

 

ふと言われた黒曜からの提案に、僕は承諾の意を示して魔法陣の上に乗る。そしてすぐに目に付いた魔石に、自分の魔力を流してみる。そうすると、その魔石は緑色の反応を見せた。これは……風属性の魔力かな?

 

その様な事を思いながらも、他の魔石にも魔力を流して行く。最後に闇属性の魔力を流して、6つの魔石のある台に光が甦った。それを感知したのか、中央にある魔法陣が静かに輝き始めた。

 

 

「……これって、魔法陣と言うよりもさ、転送陣?なのかな」

 

『さぁ、妾にはわかりませぬ……』

 

「取り敢えず、最後の魔力を流して見ようか。魔石の色は白だから、無属性の魔力だね」

 

 

僕は転送陣?の中央にあった魔石に、無属性の魔力を流した。そして少しした後、爆発的な光が僕と黒曜&珊瑚を包み込んで、何処かへと飛ばされた。

 

ホントにこれって……転送陣だった訳!?だとしたら、一体何処に送られんのさーーーー!




今回はここまでです!如何でしたか?


次回は颯樹くんが転送された後から、お届けしようと思います!この後の展開は、原作既読者ならば容易に想像出来ますよね……?

それではまた次回!次回の投稿は12月27日(金)午前0時の予定です!今回も感想を是非!

──────────────────────

今回のお話で、一部のPartで颯樹くんの言い方が変わってますが、これは【幕間劇1】で、颯樹くんが見せた物とほぼ同等です。このパターンは、人を馬鹿にする様な発言をした人に出て来ますので、こんがらがらないように気を付けて下さい。


さて最後に……。私は今回「異世界はスマートフォンとともに。⑲」を買ってから、自室にて読み耽っておりました。気が付けば午後8時17分(読了現在時刻)……人間好きな事には集中出来る生き物だと実感できます。そしてドラマCDの方はまだ聴けておらず、それについてはボチボチと言った形になるかもです。週末や年末年始とかを使って聴きたいですが、私は未だに自身のパソコンとかを立ち上げられて居らず……、そちらの方の感想はまた追追と言った感じですかね〜(^_^;)

ドラマCDの方は、書籍版16巻が最初(第1弾)と言う事で……書籍版19巻(最新巻)が第2弾となっています。アニメでお馴染みの冬夜くんや、ユミナを初めとしたメンツから、今回からは新キャラとして、ルーとヒルダに桜が登場しています!

その三人の新キャラの声を務めている声優さんはと言いますと……ルーが《ソードアート・オンライン》シリーズ(主にゲーム)に出て来る、レインでお馴染みの高木美佑さん!ヒルダは《プリパラ》に出てくる、南みれぃちゃんでお馴染みの芹澤優さん!そして桜が《ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS》など、今後はアニメ化も決まっている……虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のキャラである、朝香果林ちゃんでお馴染みの久保田未夢さんです!凄い豪華ですよね〜♪


とりま、このままだと雑話だけでとても長くなりそうな後書きですので……ここらで一区切りと。

皆様、このお話って……アニメ一期ではどの辺か知ってます?《第10章:海、そしてバカンス。》の後半のお話なんですよ?その後の展開も考えると、とてもじゃないですが……当初予定していた時期からは、大分遅くなってしまいます(ó﹏ò。)申し訳ないです。

原作はもう500話以上もありますので、かなりこのお話は長く続きます。更にオリキャラも組み込むので、ヘタしたら完結までに結構長くかかるかも……。ですが、それだけあるなら描きごたえも、充・分・に!あると見てますので、ぜひ!私の織り成す『イセスマ』ワールドを楽しんで貰えたら嬉しいです!


本当に長くなったよ……。それではここで本・当・に!一区切りと。皆様、何時ものように高評価にお気に入り登録お待ちしております!そして感想も!それが私のモチベーション増加に繋がります!初絡みだと、モチベーションが急上昇するかも!?(作者は豆腐メンタルですので、あんまりド直球で(アンチコメですねこの場合)来られるとガチ凹みします)

そして本当に最後です。ジャズさんの投稿小説である「ソードアート・オンライン 〜二人の黒の剣士〜」が前回より次なるお話《ホロウ・フラグメント編》へと突入しました!《アインクラッド編》の延長線上のお話ですが、とても面白いですよ♪SAOが好きな方は、是非一度ご覧になってみては?以上……、お知らせでした。
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