あまりの眩しさに閉じた眼を開くと、そこには色とりどりの花が育てられてる庭園が広がっていた。花々が美しく咲き乱れ、小鳥は飛び回って居て、細い水路からはしっかりと水が流れている。
僕の足下には海底遺跡と同じ魔法陣があったが、それを起動させる魔石台は存在して居なかった。どうやら……向こうから此処までは一方通行だと言う事らしい。
『ご主人様ぁ……此処何処かしらぁ?』
「見た限りだと、何処かの庭園っぽいんだけど……まさか海底遺跡の転送陣から、此処に繋がってたなんて」
取り敢えず魔法陣から降りて、庭園の中へと足を踏み入れる。すると遠くから誰かが、こちらに向かって歩いて来るのが分かった。パッと見……女の子?歳はエルゼ達とそう変わらないくらいか?
だんだんとその女の子の姿が顕になるに連れ、僕は眼を思いっきり逸らした!いや、あんなのを直に見せられたら誰だってそうなるわ!
翡翠色の短く切り揃えられたサラサラの髪に、白磁のような肌に金色の双眸。何処かミステリアスな雰囲気を醸し出す少女だった。衣服はノースリーブの黒の上着に、薄桃色の大きなリボンが着いていて、白いニーソックスに黒のエナメルの靴を履いていた。
さて……僕がここで説明を途切れさせたのには、ある一つの理由があるのをお気づき頂けただろうか?問題はその後だった。
「初めましテ、私はこの「バビロンの空中庭園」を管理する端末の「フランシェスカ」と申しまス」
空中庭園!?端末!?色々と聞きたい事が山ほどあるんだけど……それよりも言及しなければ行けない事が目の前にある!
僕は覚悟を決めると、先程《フランシェスカ》と名乗った女の子に質問を投げ掛けた。
「あの……さ、ちょっと……良い?」
「はイ。何でしょウ?」
「なんで……下、穿いてない訳……?」
見たらダメだと眼を逸らすも、フッと視界に入ったその子の下半身は、スカートもズボンも穿いてない状態……とどのつまり、小さな布切れ一枚だけだったのである。
訳が分からん!どういう事だぁ!?あれ?でもさっき確かこの子、自分の事を『端末』って言ってたよな?って事はそうさせる様に仕向けたヤツが居るって事?
「なンでって言われましテも……義務?」
フランシェスカと名乗った彼女は、疑問に思う様に可愛く小首を傾げる。何な訳……?ここではスカートやズボンを穿いちゃいけないって規則でもある訳!?責任者呼んで来い!取り敢えず三時間ほど説教垂れたい。
それにこの状況は、精神衛生上非常に大変宜しくない。何とかしなければなぁ……。
「えっと、フランシェスカ……だったよね?」
「はイ。シェスカとお呼び下さイ」
「取り敢えず、何か穿いて来てくれる?そのままだと、眼のやり場に困るから……」
「ぱんつは穿いてまスが?」
……うん、それは穿いてるよね。そうじゃないのよ。そうじゃなくって……。あっ、あれは水着だと思えば良いのか。あれは水着、あれは水着、あれは水着、あれは水着……。
そう思いながら目を逸らし、目の前の現実から逃げ出そうとする。……そしてふと眼を戻す。そこに飛び込んで来たのは見まごう事なき……。
「今チラ見しましタね?」
「……」
やべ、バレてる。よく《沈黙は肯定の証》と言うけど、今の僕がまさにそんな状態じゃんか……。それにあれを水着と思うには無理がある。
「まア、そこまで言うのなら穿きまスが」
シェスカはそう言うと、何処から取り出したかも分からない、白のフリルが付いた黒のスカートを穿き始めた。と言うよりもさ、持ってるんなら最初から穿いてくんない?
「……何もしないんでスか?」
「しない。何にもしないからさっさと穿いて」
「ちょっとダケなら触っても良いでスよ?」
「お願いだから、さっさと穿いて!」
何か……泣きたくなって来た。シェスカがスカートを穿いてくれた事で、漸く落ち着いて話が出来そうだ。ここまで来るのにかなり手間を掛けたけどね。
「えっと、聞きたい事が沢山あるんだけど……聞いても大丈夫?」
「ええ、どウぞ」
「先ずここって何処?見た感じ、直ぐにここが《庭園》だって事は分かったんだけど」
「そうでス。ここはバビロンの《空中庭園》でス。《ニライカナイ》と言ウ人も居まス」
空中庭園?もしかしてこの庭園は、空を飛んでましたとか……そういうオチ?それに見た感じだと、最初は庭園を予想してたけど、よく見てみれば植物園の方が近い気がする。
この庭園の様子を見る為に、シェスカに此処の案内を頼む。そして歩き始めたシェスカに付いて行くと、庭園の終わりであるガラス張りの壁が現れた。その先には雲海が広がっていた。なるほど……空中庭園ってのは、こういう事か。
「ここは一体何の為の《庭園》なの?」
「ここは博士が趣味で造られた《庭園》でス」
「その博士が趣味で此処を作り、そしてそこを管理する為に、君を生み出したって所か……。とまぁ、こんな感じで合ってる?」
「その様に考えて貰えれバ」
シェスカから聞こえて来た肯定に、僕は一つ頷いてから次に移る。その過程で色々な事を聞く事が出来た。先ずシェスカが造られたのは、今から5092年前とかなり前である事。次にシェスカは魔法生命体と機械の融合体であると言う事だ。
前者の方は驚きを隠せずに唖然としたが、後者の方は何となく受け入れる事が出来た。まあ、この世界には妖精族とか亜人族とか居るから、今更そんな事を言われてもなぁ……。驚く方が難しいと言う物だ。
「……子供はできませンが、行為その物はできまスよ?」
「ねぇ、ちょっとその口黙ってて貰えないかなこっちとしてはイライラして仕方が無いんだけど。あとスカートを捲らない。君さ、羞恥心とかそういった恥じらいの感情とかは無いの?」
「新品デスのに」
「聞いてないから」
不満そうにスカートを下ろすシェスカ。羞恥心をプログラムして無かったり、セクハラ発言を平気でしたり……造った博士は実はバカの類では無いかな、と思えてしまう。
黒曜は頭を揺らしながら、シェスカの事を疑問視する。そりゃあね。僕もそう思うよ同意見。
「それにしても5000年以上もよく稼働してたよね〜……。シェスカもだけど、この空中庭園自体も劣化して壊れたりしなかったの?」
「この《庭園》は至るトコロを魔法で強化してますカラ。私も5000年と言われましてモ、メンテナンスの為のスリープモードに入り、非常時以外は待機状態でしタので。《庭園》の管理はオートにしたままでシタ」
……なぁるほど。そういう訳か。自動で管理されてるのなら、この綺麗な状態の空中庭園を5000年以上も保てるし、管理する端末が仮に待機状態だったとしても、隅から隅まで手が届くと言う事か。
……ん?チョイ待ち。今さっきシェスカは何て言った?「非常時以外は待機状態でした」……?って事は。その先を安易に予想できた僕は、シェスカにその事を尋ねる。それには首を縦に降って答えた。
「非常時と言えば非常時でスね。5070年ぶりのお客様でスかラ。そういえバお名前は?」
「あ、颯樹。盛谷颯樹だよ」
「颯樹様。あなたは適合者としテ相応しいと認められまシた。これヨり機体ナンバー23、個体名「フランシェスカ」は、あなたに譲渡されまス。末長クよろしくお願い致しまス」
「ふぇ?」
え?《適合者》って何ぞ?それに《譲渡》って、どういう事な訳よ。シェスカは僕が転送されて来た魔法陣の方に指を差して、説明を始めるのだった。
曰く『あの魔法陣は普通の人では起動しない』と言う事で。多人数で魔力を受け付けられない為、一人で尚且つ全属性持ちのみが転送陣を起動できるのだとか。ちなみに、これを造った博士も全属性持ちなのだと。……居たんだ、他にも全属性持ちが。自分の造った娘にぱんつ丸出しを強制する大アホだけど。
「そして博士は亡くなる前に残される私たちを、この転送陣を抜けてキた適合者に譲渡する事を決めましタ。それが5070年前のコトでス」
「適合者って言うのは、全属性持ちの事か……」
「?違いまスよ?」
「えっ?……あ、察した。嫌な方の予感が」
僕の考えていた事を、シェスカにあっさりと否定される。全属性持ちが《適合者》の条件じゃないとしたら、一体何が……。あ、察した。嫌な方の予感が。
その予感が的中したのか、シェスカが衝撃的な言葉を口にした!
「颯樹様は私のぱんつを見ても、逆に隠すよウに言われまシたかラ、適合者でス」
「んな条件あってたまるかぁ!」
「大事な事でスよ?モし颯樹様が欲情に任せ、私に襲いかかってキタとしたら地上に放り投げていまシた。また何もせず、ぱんつ姿のまま放置されてイたら、ソレも不適合者として丁重に地上へとお帰り願ったでしょウ」
……まじで?あのぱんつ丸出しに、そんな意味が込められていた訳?物凄く疑わしいし、イマイチ信じられないんだよなぁ……。
ま、考えている事がセクハラしか頭に無さそうな博士ならば、その様な事も考えられなくは無いが。
「他人を思いやる優しさ、それが無けレば私たちやバビロンを任せられナイと、博士はこのよウな方法を考えられたのでス」
「うん、絶対おかしいよねその博士」
「否定はしませン」
しないのかい……。やっぱおかしいよその博士。取り敢えずまあ、最終的な決定権は各々にあると言う事で、シェスカの場合はと言うと『女に慣れた妙に優しすぎるフェミニスト気取りよりも、理想はチラ見しながらも自制し、興味が無い様なフリをするムッツリが無難』だとか。
……おい。ムッツリってどう言う事だ。その条件が無難って何か引っかかるなぁ……。
「そウ言う訳で私はあなたの所有物になりまシタ。これカラよろしくお願いしまス、マスター」
「は、はあ……」
なんか……物凄い厄介事に巻き込まれた様な気がする。まだ会った事のない博士の、してやったりと言わんばかりの顔が、僕の脳裏に浮かんで来そうだ……。
取り敢えずみんなを此処へ連れて来るか。シェスカに事情を話して、僕は皆の待って居る地上へと【ゲート】を開いた。
今回はここまでです!如何でしたか?
何時もよりちょっと抑え目です。その理由はと言いますと……?その詳細はまた後で。次回はアニメ一期《第11章:ぱんつ、そして空中庭園。》の中盤Partをお届けしたいと思います!残すアニメ一期ストーリーも、あともう少しになって来ました……!終わるのが何時になるのか、私としては心配で仕方が無い……!取り敢えず、2nd season開始の目処はある程度立ってます。
次回の投稿は、いよいよ年内最後!12月30日(月)の午前0時の予定です!もしかしたら遅れて、大晦日の日に投稿するかもですので……そこら辺の把握をよろしくお願い致します。
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今回の後書きでは、ジャズさんの投稿小説である「ソードアート・オンライン 〜二人の黒の剣士〜」の新しいお話の大まかな内容と、オリキャラをご紹介したいと思います!
《あらすじ》
デスゲームと化した〈ソードアート・オンライン〉をプレイし、七十五層にてヒースクリフ(茅場晶彦)に勝利を収めたジェネシス達。勝利を収めたにも関わらず、ログアウトが成されない状況に、生存しているプレイヤー全員が困惑の表情を浮べる中で、次なる七十六層へと続く道が現れる。その道を進んだ先では、アイテムの文字化けやスキルのロスト化……更には下層へ転移できなくなってしまう!
突如〈ホロウエリア〉へと迷い込んだSAOプレイヤー達は、戸惑いを浮かべつつも、真のゲームクリアを目指して走り出した!過去の仲間との再会に、新しいプレイヤーとの出会いを繰り返しながら、ジェネシス達はデスゲームクリアの為に奔走する!
《オリキャラ》
〘一条 光実〙〈ミツザネ〉
【設定】雫(ティア)のお父さん。SAOで起きた不具合を調査する為にログインするが、実際の目的はと言うと娘に会いたかったからと言う超親バカ。年齢は40歳ほど。
〘盛谷 颯樹〙〈サツキ〉
【設定】五十九層に巣食うオレンジプレイヤー達を駆除し続ける《黒白の兄妹》の片割れ(兄)。リアルで薙刀を嗜んでいた事が幸いし、武器である双頭刃を手足の様に扱う。SAOに巻き込まれる前は、高校入試の準備をしていて、ゲーム好きの妹によって始めた。普段は温厚なのだが……怒らせると本当に怖い(ティアに引けを取らないほど)。その強さは対決した者がよく知っている。デスゲーム開始当初は、アスナと同じ15歳。
〘盛谷 葉月〙〈ハヅキ〉
【設定】五十九層に巣食うオレンジプレイヤー達を駆除し続ける《黒白の兄妹》の片割れ(妹)。リアルで弓道を嗜んでいた事が幸いし、武器である弓の精密な一射が彼女の十八番。兄である颯樹の事を好きであり、彼を見た目の善し悪しだけで寄って来る、悪い虫を撃退して居たりする。颯樹と同じ性格をしており、悪人に対しては慈悲も与えぬ冷徹な一射で仕留める。デスゲーム開始当初は、キリトと同じ14歳。
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こんな感じでしょうかね〜。すみません……、紹介が多少雑になってしまいました……。なにか指摘がありましたら、教えて貰えると嬉しいです。
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