異世界はスマートフォンとともに。if   作:咲野 皐月

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第4章:治癒と、新加入。

《前回までのあらすじ!》

 

神様の手違いに寄って、異世界へと転生してしまった僕は、リフレットの街で出会ったエルゼ、リンゼと共に冒険者として活動していた。王都へ手紙を届ける依頼を受けている最中、アマネスクの街でチンピラ達に囲まれていた八重を、助っ人として助ける事で救出。

 

その後に聞いた彼女の目的が「王都へ武者修行をしに行く」であった為、偶然にも目的の場所が一致した僕たちは八重を一時的なパーティーメンバーに加入する。王都へ続く道を進んでいると、何者かからの襲撃を受けているスゥ達と遭遇。

 

スゥの執事さんであるレイムさんを【キュアヒール】と【アポーツ】の使用で救出し、言葉のみの御礼を受けると、先程の戦闘の腕を見込まれ、レイムさんから《王都までの護衛》を頼まれるのであった。

 

──────────────────────

 

僕たちはレイムさんからの依頼を受け、スゥ達の乗っている馬車を護衛している。依頼達成の為に王都へ向かっていた僕たちとしては、まさに『渡りに船』の提案であった為、その依頼を引き受けることにしたんだ。

 

……そしてしばらく進んだ後。

 

 

「……彼処が王都」

 

「はい。王都アレフィス、ベルファスト王国の首都で、滝が流れるパレント湖の畔に位置している事から『湖の都』とも呼ばれているんですよ」

 

「着いたんだね。…王都に」

 

 

僕が少し顔の向きを変えて見た街は、リフレットの街よりも広そうな場所だった。それを見たリンゼは、僕に近くにある街の情報を伝えた。……なるほど、彼処が王都なんだね。

 

そんな事を考えている間に、僕たちの乗った馬車とスゥ達の乗った馬車が、王都への城門を潜った。……ここまでは良いのだけどね。この後に訪れた所が、とんでもない所で…。

 

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スゥの実家に無事に到着した僕たちは、護衛の依頼を達成する為に一度中まで同行する事になった。スゥの先陣で中に入ったのだが……そこがかなり立派な所で。

 

……母の実家や僕の家も、ここまでは無いぞ!?『お嬢様』って言われたのを思い出して、世間一般の常識とはとんでもなく掛け離れているのだと実感した。

 

 

「おお!帰ったか、スゥ!」

 

「父上!」

 

「無事で良かった!報告を聞いた時は、生きた心地がしなかったよ」

 

 

そう言って奥から降りて来た男の人が、スゥを抱き留める。話を聞く限り、この人はスゥの父親みたいだ。国王陛下の弟だから……公爵殿下って事か。

 

そして抱き締めていた腕を解いて、その人は僕の手を握ってきた。……意外と手が大きいんですね!

 

 

「そして、君たちが娘たちを救ってくれた冒険者か!礼を言う」

 

「あ、頭を上げてください!僕たちは当然の事をしたまでです!」

 

「謙虚なんだな、君は」

 

 

そう言うと公爵殿下は、僕たちの目の前に立ち直した。先程の父親に抱かれていたスゥはと言うと、帰宅に合わせて更衣へと向かったみたいだ。

 

そして僕たち4人を見直した公爵殿下は、自己紹介を始めたのだった。……俺の父親もこういう所を見直して欲しいのだけどね。

 

 

「改めて自己紹介させて貰おう。アルフレッド・エルネス・オルトリンデだ」

 

 

そう言うとアルフレッドさんは高々と笑いだしてしまった。……何か、展開が早すぎて付いて行けないんですけど…。

 

その後僕たち4人は、1つ上のフロアにあるベランダにてアルフレッドさんと話をする事に。話に立ち会っているのは、僕一人だけで…他の3人は此方の様子を伺っていた。

 

 

「そうか……君たちは、手紙を届ける目的で王都に来たのか」

 

「はい」

 

「もし君たちが居なければ、今頃スゥは誘拐されていたか、殺されていたかもしれない。改めて礼を言わせて欲しい」

 

「大丈夫ですよ、そんな。やっぱり王族ともなると、その人が決めた政に反対!と言う人が居たりしますよね。その人から狙われたりは…」

 

「もちろん、それは日常茶飯事。立場上、私の事を良く思っていない連中も居る」

 

 

アルフレッドさんと話をしている中、ベランダに続く窓が開けられた。そこには薄桃色のドレスに身を包み、猫の髪飾りを付けたスゥが立っていた。

 

スゥはアルフレッドさんと僕の間に座り、話を聞く態勢を取った。

 

 

「あれ?そう言えば、スゥのお母様って……先程まで見ませんでしたけど、何かあったんですか?」

 

「すまないね。妻は今目が見えなくてね。せっかく来てくれたと言うのに、こんな形ですまない」

 

「失明…それって、ご病気とかですか?」

 

「ああ」

 

 

そう言ってアルフレッドさんは、家内であるエレン様の病気の経緯と状態を僕に伝えるのだった。……知り合って間も無いですよ、僕。なんて思ったが、公爵殿下のお眼鏡に適っているのだから、心配要らないのだろうなと考えていた。

 

 

「ふぅ……お爺様が生きて居られたら…」

 

「スゥの祖父…私の義父は、数少ない特別な魔法の使い手でな。今回スゥを旅立たせた理由も、その魔法をなんとか解明し、習得できないかと考えていたのだが……」

 

「無属性魔法は『個人魔法』ですから、使い手も限られて来ますよね……似た様な効果を持つ人なんて、早々居るかどうか…」

 

 

僕はアルフレッドさんからの言葉に、少しその場から立ち上がって頭を抱え込んでしまう。その時、今まで黙っていた3人が勢い良く声を上げながら、僕をキラキラとした目で見ていた。

 

……え?ま、まさか…ね?一応、エレン様の所へ行って試して見ますか。

 

──────────────────────

 

アルフレッドさんに連れられて訪れたのは、エレン様の寝室だった。……と言う事は、彼処の布団に腰掛けている女性がスゥのお母様…。僕の母さんも「若い」ってよく言われるけど、マジもんの美人さんじゃないの……。

 

僕は少し隣を失礼して、エレン様の瞼の上に手を翳す。……なるべく成功する様に務めなきゃね。

 

 

「【リカバリー】」

 

 

僕が【リカバリー】の詠唱を済ませると、翳した掌から白い魔法陣が浮かび上がった。アルフレッドさんに聞いた話だが、この【リカバリー】と言う魔法は、やはり無属性魔法であり、身内ではスゥのお爺さんしか使えなかったと言うのだ。

 

そんな事を考えている間にも、僕が掛けた【リカバリー】の魔法がエレン様の目を治していく。…そしてしばらくした頃、僕はそこから手を離した。

 

 

「……ど、どうでしょうか……?」

 

『……』

 

 

僕たちは固唾を飲んで、結末を見届ける。エレン様は何とか目を開けようと頑張っていて、快復へ向けて努力している。少しした後に目は開き、瞳孔が光を映していなかったのだが……。

 

……あっ!成功だ!まさか、僕が失明を治す事になるなんて……人間、生きてりゃ何かするもんだね!

 

 

「見える…見えます……見えますわ」

 

「母上!」

 

「アナタ!スゥシィ!」

 

「エレン!」

 

 

エレン様は目が見える様になった途端、アルフレッド公爵殿下とスゥと抱擁を交わしていた。その後に僕は、エルゼとリンゼから抱き着かれていた……あれ?何でこんなに力が強いんですかね、リンゼさん?

 

隣に立っていた八重も、目から涙を流して居た。その割には顔が笑顔で、余程嬉しかったんだね……と思えてしまった。

 

 

「貴方が、私の目を?」

 

「はい、僕は盛谷 颯樹と言います。颯樹が名前で、盛谷は家名です。アルフレッド様から貴女様の事を聞き、ここに参った次第です」

 

「そうでしたか……ありがとうございます」

 

「颯樹殿には、娘のスゥまで助けて貰ったのだ」

 

「まあ!」

 

 

そう言いながらエレン様は口に両手を当てる。……実際にあんな行動をする人、初めて見たよ…。そんな事を考えていると、アルフレッドさんから応接間へと通された。

 

……聞けばスゥを助けてくれた事に対する礼と、道中の護衛に対する謝礼をしたいのだとか。僕たちはそれに快く応じ、応接間へと向かった。

 

 

「娘だけでは無く、妻まで……君たちにはキチンと礼をしたいのだ。…例の物を!」

 

 

そう言ってアルフレッドさんは、レイムさんにある物を渡す様に指示を出す。どうやら宝箱の中にある物と、何かを詰め込んだ袋がその内容みたいだ。

 

アルフレッドさんは袋を手に取ると、その袋の説明をしだした。

 

 

「先ずはこれを。娘を助けて貰った事と、道中の護衛に対する謝礼だ。受け取ってくれ」

 

「は、はい。……因みに、何が入っているのかは分かります?」

 

「中に白金貨で40枚入っている」

 

 

……聞いた僕がバカだった。…そうじゃん、こんなに良い所に住んでるのに、銀貨や金貨などの価値で収まるはずないじゃん!金貨1枚が銀貨10枚分で、大体10万円相当……その上だから大体100万円相当で、それが40枚となると…。

 

 

「よ、4000万円!?も、貰い過ぎですよ!それもこんなにポンと!」

 

「これから冒険者として活動して行くなら、そのお金は必要になる時が来る。その為の資金だと思ってくれれば良い」

 

「は、はあ……」

 

 

そう言って僕は白金貨40枚の入った袋を、テーブルの隅に移す。確実にこれは貴重な資金だからね、何かに役立てる方向性で使わないとね。

 

そして次に宝箱を開け始めた。その中には家の紋章だろうか、そのマークが刻印されたメダルが4枚入っていた。

 

 

「我が公爵家のメダルだ。これがあれば、検問場は素通り。貴族しか利用できない施設も使える。……何かあったら、公爵家が後ろ盾になるという証だ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

公爵家のメダルを受け取った僕たちは顔を見合わせ、代表で僕がお礼を言う。その後一階の玄関まで送って貰い、オルトリンデ公爵家を後にした。

 

そしてその後に訪れた所で手紙を届け、僕たちの依頼は完了された。

 

 

「手紙も渡せたし、これで依頼完了ね」

 

「大変な旅になっちゃいましたね」

 

「ホントだね。……そうだ。僕たちはリフレットの街へ帰るけど、八重はどうする?」

 

 

僕が近くに居た八重に質問すると、八重は真っ直ぐな目でこちらを見つめてきた。その際に風が吹き付け、髪を掻きあげていたのだが、その双眸は迷う事無く僕を見据えていた。

 

少し間を置いて八重が言葉を話し始めた。

 

 

「拙者、決めたでござる」

 

『ん?』

 

「颯樹殿に、この身を捧げるでござる」

 

 

八重が言い放った言葉に、エルゼとリンゼの顔が少し赤く染まった。……あのね君たち、一体ここから何を想像したのかな?このパターンは『仲間に加えて欲しい』って事でしょうよ。

 

 

「その真意は?」

 

「んんっ!短い道中ながら、その人となり見せてもらった。強大な力を持ちながらも決して驕らず、常に人を助ける道を選ぶ。拙者、その心意気に感服致した。修行の為、颯樹殿と行動を共にしたい」

 

「いいよ。折角出会えたんだ、ここでお別れも寂しいしね。……それはあの2人にとっても同じみたいだし」

 

 

そう言って僕は、エルゼとリンゼに目を向ける。2人も僕と同じ気持ちらしく、八重と行動を共にしたいみたいだ。少し一緒に居ただけなのに、3人の間に確かな友情が結ばれていた。

 

……僕の力で人の役に立てるなんて、今でも信じられないよ…。この世界でなら、僕も上手くやって行けそうな気がするよ。




今回はここまでです!如何でしたか?


今回でアニメ《第2章》の内容は終了!次は《第3章》の内容に入ろうかな〜と考えています。つい先程なんですが、Web版の原作を読んで来ました。……結構話としては長いので、描きごたえがありそうです。

Web版やアニメとの差異を出しながら、主人公やヒロインのキャラを崩壊させない様に務めて参りますので、これからも楽しみにしてて下さいね!


次回のお話は……デザート等の娯楽関係の話は、少し見送らせて頂き、地下遺跡のお話から始めます。アニメを見ていない人は、先にアニメの方を見て貰えると、話が追い付けるかと思います。

アニメやWeb版では、第3章が数ヶ月後の話になってたので、そこは合わせて行きたいと思います。主人公たちのギルドランクも緑色へと昇格した後にします。……一応、ギルドランクの内訳を説明して置くと……。


黒>初心者。
紫>冒険者見習い。
緑>三流冒険者。
青>二流冒険者。
赤>一流冒険者。
銀>超一流冒険者。
金>英雄。


と言った感じです。これは、後のお話で触れる機会がありますので、覚えて置いて貰えると嬉しいです。

私のお気に入りのイセスマ小説(もう一方)では、週一で投稿していらっしゃるので、若干此方よりも進み方は遅いです。……ですが、私が『ハーメルン』でイセスマ小説を作る切っ掛けとなった作品ですので、宜しければ其方も読んでみて下さいね!


それではまた次回です!
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