異世界はスマートフォンとともに。if   作:咲野 皐月

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#9. 暴露、そしてふたつめ。

「怪しすぎる」

 

 

リーンは腕を組んで、そう結論を述べた。確かに僕やユミナもそう思うんだけどね……?《庭園》へと戻った直後、僕とユミナは先程のエンデとの会話を、他のみんなに余す所無くバラす。

 

 

「5000年前の通貨を持ち、私たちが全く歯が立たなかった怪物を一撃で倒した。さらにその怪物の事にも詳しく、この馬鹿みたいな暑さの中マフラーをしている。怪しさ大爆発でしょうが」

 

「(最後のは、関係ない気がするけどな……)」

 

 

最後のはあまり関係ないだろうと思ったのだが、怪しい人物である事に依然として変わりは無い。一体エンデは何者なんだろうか……。

 

それはユミナも同じ事を考えてたらしく、この場に居る全員が頭を抱えてしまう結果になってしまった。

 

 

「あの水晶の魔物…フレイズって言ったかしら。結局あれって何なの?」

 

 

根本的な疑問をエルゼが口にする。……確かに、ただの魔物と言う訳では無いだろう。何せ5000年前、世界を滅ぼしかけたヤツらなのだ。その事を知っているのは、僕とユミナとシェスカだけなのだが、皆にそれを伝えるべきか迷っていた。

 

みんなをやたら不安にさせるのもどうかと思い、言わずに黙っていたのだが……こうなってしまうと、逆に言い出しづらいな。

 

 

「うーん……どうした物か…」

 

「その事ナラ」

 

「うぉわぁ!シェスカ!」

 

 

僕がそう思慮に耽っていると、背後からシェスカがニュっと現れ出た。……い、何時の間に!?僕が挙げた大声で、全員の視線が僕とシェスカに集中する。

 

そしてユミナがシェスカへと質問をする。

 

 

「シェスカさん、いきなりどうしたんです?」

 

「博士カラのメッセージ、マスターとユミナ様二はお伝えシたはずでスが?」

 

「「「!?」」」

 

「「……あっ」」

 

 

……やべ。すっかり忘れてた。僕とユミナは詰め寄る皆を抑えながら、博士からのメッセージを全て白状する事にするのだった。

 

 

「何でそんな大事な事を黙ってたのよ!」

 

「いや、そのうち話そうとは思っていたんだよ?…けどね?皆を危険な目に合わせたく無かったってのが、本音かな」

 

「私も颯樹さんと同意見でした……すみません」

 

 

リーンに詰め寄られ、僕とユミナは言い訳がましい言葉を口にする。

 

 

「《幾万ものフレイズの侵攻》……それが古代文明滅亡の原因だったのね。でも、5000年前にはそんな沢山居たと言うのに、今は目撃情報が殆ど無い……。そして今になって現れ始めた。一体どう言う事なのかしら……」

 

「…生き残り、か、封印されたやつが出てきたのでは?」

 

 

僕とユミナの情報を聞いて悩み出したリーンに、リンゼが自分の考えを述べる。実際、僕らが初めて出会ったコオロギタイプは《仮死状態》の様だった。確かにその考えも無いとは言えないが……。

 

それにアイツの言っていた《結界》って言葉も、どこか引っかかるんだよな……。僕の考えすぎならそれで良いんだが。

 

 

「僕が一番気にしてるのは、アイツがマンタフレイズの事を《中級種》と言った事だ」

 

「そうですね……。颯樹さん達やリーンさんが見つけたフレイズは、恐らく《下級種》に当るのだと思います」

 

「僕たちはその《中級種》相手に、全く手も足も出なかった。……もしこのままの状態で、さらに上の《上級種》とかを迎え撃つともなれば……」

 

 

僕はそこまで続けて、そうなった時の光景がどうなるのかを軽く想像してみた。……辺りが紅蓮の焦土と化す中で、誰一人として助からない惨状。助けを呼ぼうにも呼ぶ事の許されぬ、生死の境すら見えぬ地獄。

 

……こりゃあ、かなり本腰を入れて《バビロン》を探さないといけないな(前々から決めてた事ではあるけれども)。

 

 

「シェスカ。5000年前には、フレイズと人類は戦ってはいなかったの?」

 

「いえ、戦ってはいまシた。かなり戦況は悪かったでスが。博士も対フレイズ用の決戦兵器を開発してはいたのでスが、完成した時には既にフレイズは一匹残らず居なくなっていまシた」

 

「?決戦兵器?……それって何なの?」

 

「博士が生み出した、搭乗用人型戦闘兵器でス。名をフレームギアと申しまス」

 

 

搭乗用人型戦闘兵器!?……それって巨大ロボットって事だよね?!そんな物まで造ってたのか、あの博士は!

 

…まあ、シェスカの様なロボ子を造れるのなら、戦闘兵器なんて造っててもおかしくないけどさ……。それを聞いたエルゼからの疑問には、シェスカは『《格納庫》に保管されている』と答えていた。

 

 

「(……と言う事は、今向かっている遺跡で転送された先が《格納庫》なら、そのフレームギアが手に入るって事か。なるほど)」

 

 

普通の男の子なら、そう言う『戦闘兵器』とかの物を聞いたら確実に喜ぶ所だろうが、僕は生憎とそこら辺は見た事が無い。強いて言うなら母が軽く見てたくらいだ。

 

暫くすると、目的地に着いたのか《庭園》は前進を止めた。

 

 

『主、目的地に着いた様ですが』

 

『何も無いみたいだけどねぇ?』

 

『砂の下に埋もれているみたいじゃな』

 

 

モノリスの画面を見ながら、琥珀達がそう告げて来る。座標は確かに間違いは無いのだが、そこには相変わらず砂漠が広がるだけで、全然何も見えない。

 

僕たちは確認の為に降りる事にし、黒曜と珊瑚の二匹を《庭園》に残して【ゲート】で地上へと転移する。

 

 

「……見渡す限り砂漠だな」

 

「何もありませんね……」

 

 

僕とユミナがそんな事を口にする。その後に僕はスマホで[遺跡]とマップアプリで検索をかける。すると、結果はこの下にその遺跡が有ると言う事になった。

 

さて……どうしようか。シャベルで思いっきり掘ってみようかな?いやいや、そんな事をしてたら何時までかかる事やら。……あ。

 

 

「これは使えないかな……」

 

「颯樹?どうかしたの?」

 

「あ、リーン。少し皆を待避させられる?」

 

 

僕は思った事をリーンへと伝える。そして右手を砂漠の一番適当な箇所へと向ける。これで何とかなれば良いけどね。

 

 

「【風よ渦巻け、嵐の旋風、サイクロンストーム】!」

 

 

僕がそう詠唱すると、巻き上がった竜巻に砂がどんどん吸い上げられ、やがて上空へと舞い上がる。僕らの居る方から風下の方へ砂が飛ばされ、どんどんと目の前の砂漠の一部がすり鉢状になって行く。

 

やがて半球状の遺跡が現れ始めた。家一軒ほどのドーム状の『それ』は、石なのかコンクリートなのかよく分からない物質で出来ていた。一部に入口の様な扉がある。観音扉では無く、普通に一枚扉である様だった。

 

 

「……よし。竜巻も収まったし、行ってみるか」

 

 

そう言って僕たちは、竜巻で生み出したすり鉢の中へと降りて行った。扉には取っ手らしき物は無いみたいだ。自動ドアなのかな?試しに扉の前に立つが、ピクリとも反応を示さない。

 

むむむ……。センサー的な物が、この世界にあるとも思えないし……一体どうやって開けるんだこれ?何気無く扉に触れて見ると、触れた手応えが感じられず、向こう側へと突き抜けてしまった。

 

 

「うお!?」

 

「颯樹さん!?」

 

 

そのまま転倒しそうになり、その場から一歩踏み込むと、遺跡の内部へと入り込んでしまった。薄ぼんやりとした明かりの中に、前と同じ様に六つの石柱と、転送陣があった。

 

もう一度扉に触れてみるものの、今度は壁特有の冷たい感覚が返ってきた。試しに【ゲート】を開いて外に出ようとしたが、魔法が発動しなかった。

 

 

「どうなってんの、これは……」

 

『主!?大丈夫ですか!?』

 

『琥珀?僕の方は何とも無いよ。遺跡の中に転送陣があったよ。少し行ってみるから、皆には《心配無い》って伝えておいてくれる?』

 

『わかりました。お気をつけて』

 

 

琥珀からの念話を聞き入れながら、僕は《庭園》を見つける時にもやった事をしていく。……恐らくさっきのは《転送陣が破壊されない様に》と言う用心の為だろう。どっちにしても、あの博士に『逃がさない』って言われてるみたいで、少し気分は下がるけど。

 

六つの魔石全てに魔力を流し、輝く転送陣の中央へと移動する。そこにある無属性の魔石に、無属性の魔力を流し込む。……さて《庭園》の次は何なのやら。

 

──────────────────────

 

めくるめく光彩陸離の渦が収まると、目の前には最初に見付けた《庭園》と、同じ様な風景が広がっていた。一つだけ違う所を挙げるなら、正面に大きな建物が見えるって事だ。真っ白いサイコロの様な、立方体の建築物が建っている。

 

その建物へ向かう道を歩きだそうとすると、突然道を遮られる様に女の子が飛び出して来た。

 

 

「そこで止まるでありまス!」

 

 

右手を勢い良く翳して、僕をその場に留めようとする。……なるほど。どうやらこの娘が、ここの管理端末らしい。その女の子はオレンジの髪を、両サイドでお団子状にして、リボンの付いたシニヨンカバーで纏めていた。白い肌と金色の瞳は、シェスカと同類である事を示している様だ。

 

歳はシェスカよりも下だろうか……。そう思えてしまうのは、身長が低いせいもあるのだろう。

 

 

「ようこそ、バビロンの《工房》へ。小生はここを管理する端末の[ハイロゼッタ]でありまス。ロゼッタとお呼び下さると有難くありまス」

 

 

女の子なのに《小生》って……。その言い方は男の子の呼び方だった様な気がするが。ロゼッタは正真正銘の女の子だよね?スカート履いてるし。

 

ん〜。……いや!あの博士の考える事だ!全然信用できるはずがない!

 

 

「少し確認したいんだけど……ロゼッタ。君は正真正銘、女の子なんだよね?」

 

「?質問の意図がわかりませんが、そうでありまスよ?」

 

 

だよね〜……。そうだよな。僕は余計な事を聞いてしまった事を、ロゼッタに頭を下げて詫びる。それをロゼッタは、少し焦った様な表情で見ていたのだが。

 

しかし《工房》か。リーンの望む《図書館》では無かったと言う事か。……ま、何が見付かっても、僕的にはそこまで気にしないんだけどさ。

 

 

「ここから先は《工房》の中枢でありまス。現在《適合者》以外は、立ち入る事を固く禁じられているのでありまス!」

 

「一応、シェスカからは……《適合者》だと認めて貰ったんだけどね」

 

「シェスカ…[フランシェスカ]でありまスか?なるほど、既に《空中庭園》を手に入れてるのでありまスね。それならば話が早い。小生も《適合者》の資格が有るか否か、試させてもらうでありまスよ」

 

 

恐らく姉妹であるであろう、ウチのロボ子メイドさんの名前を出してみる。そうしたら大当たり。シェスカの名前だけで、何かを察したみたいだ。

 

……シェスカの場合は《ぱんつ丸出しの状態を如何するか》と言う物だったが、ロゼッタは一体何をさせるつもりなのやら。

 

 

「そこから一歩も動かずに、小生のぱんつの色を当てるでありまス!」

 

「アホ来たァァァァァァ!!!」

 

 

やっぱダメだわコイツら!揃いも揃って、考える事がおかしすぎる!《スカート捲り》が試験の内容って……、傍から見れば常軌を逸する行動だわダァホ!

 

しかもコイツら……同じ博士に造られてるから、考えも自然と似てくるわなぁ!

 

 

「答えるのは一回のみ。制限時間は五分。さあ、何色でありまスか!?」

 

 

くっ!……な、なんでノリノリなの…この子?!シェスカもそうだけど、羞恥心って物は無い訳ぇ!?どうするべきか悩んでいる間にも、刻々と制限時間が迫って来ている。

 

……本来はしたくない事だが、確実にするならこれしか無い!もう、どうにでもなれ!

 

 

「【ロングセンス】」

 

 

視覚をスカートの中に飛ばす。そしてその後に、ゆっくりと目を開く。薄暗いがハッキリと見える。見えは……するの、だが……。

 

…………………………………………ブッ。

 

僕はその場に蹲って、鼻から流れ出て来る血を、鼻の穴を塞ぐ事で防いでいた。あんなの、って……アリな訳?

 

 

「さあ、何色でありまスか!?」

 

「……………………無色、透明……………」

 

「正解でありまス!あなたを《適合者》と認め、今現在より機体ナンバー27、個体名[ハイロゼッタ]は、あなたに譲渡されたでありまス!末永くよろしくお願いするでありまス!」

 

 

ロゼッタがそう言って、ビシッと敬礼のポーズを取っていたが、そんな事はどうでも良かった。シースルーとかそんなちゃちな物じゃない、食品用ラップで出来た様なぱんつが……目の前に……。

 

い、今ここで気を緩めたら……絶対に出て来る!確り抑えてなきゃ……。あれ?運が悪けりゃ、失血死なんて有り得るよね。んな間抜けな方法で死にたかないわダァホ!




今回はここまでです!如何でしたか?


いや〜、バビロンナンバーズ(ストーリー前半で加わる姉妹達)が出す試練って、なかなかハードですよね?!こんなのがあと一回……。耐えきれるかな、颯樹くん(三回目はだいぶ抑え切れるかな。だって色々と間に合ってるし)。

今回のお話の中に、原作とは違う要素を入れています!それが何処に当たるのか、よく探してみて下さいね?


次回の投稿は2月21日(金)午前0時を予定しています!次回はいよいよ、颯樹くんの新武器が加わります!これは《ソードアート・オンライン》を知っている人なら、誰でも知ってるお馴染みの武器です!

今回も感想を是非!高評価やお気に入り登録も、何時もの様にお待ちしております!……そう言えば今回で50話なんですよねこの小説って(関係無い事を喋ってすみません)。
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