もしもACfAの世界が特異点だったら... 作:山猫さん
目の前に現れたのは3m強の大きさを誇る、黒い人型機械...いや、その脚は関節が逆になっている。
両腕に大型のアサルトライフルを持ち、左腕外側には二股に分かれた機械を着け、背中にはこれまた特異な形をした何かが装着されている。
そして頭部にある特徴的なカメラアイは、まるでこちらを見定めるかの様に発光部が細められている。
「機械だと...?」
「ナニモンだ、テメェ」
アーラシュの驚いた様な呟きに、モードレッドの警戒した声が荒野に響く。
だが、その機械はその問いかけに応えない。
こちらを見定めるかの様に頭部のカメラアイの光が細められる。
まるで意志を持っているみたいだと、立香は感じた。
『...君達が星見台の者たちか?』
「喋った⁉」
くぐもった声調からスピーカーからの音声と判断できるが、いきなり音声を出されると驚くものだ。
『あー...すまない。 これでいいかね?』
人型機械は両手に装備したアサルトライフルをどこかに仕舞うと光に包まれる。
眩んだ目が徐々に感覚を取り戻すと、そこには1人の青年が立っていた。
「こちら初見となる。 サーヴァント・
その青年は更にこちらの度肝を抜く事を言ってのけた。
「サーヴァントだと⁉」
「驚かせてすまないね。 私は君たちの言うところの『はぐれ』、と言うやつだ。 この世界に戻って来てから、その理由を探しているんだが...こんな汚染された場所じゃなんだ、安全なところへ案内しようか」
「汚染の事も知ってるんですか?」
「ああ。 ここにいるとそろそろコジマの雨雲がやってくる。 移動するなら早めの決断を頼むよ」
今ここにいても情報は集まらないだろう、立香はそう判断するとカルデアへと連絡を繋ぐ。
「ダウィンチちゃん」
『...あ、ああ。 なんだい?』
「僕は彼に着いて行っても良いと思うんだけど、どう?」
『そうだね...何しろ今までのレイシフトとは違って今回は情報が無いから、そういう物は1つでも欲しい。 私は良いと思うよ』
「わかった」
ダウィンチとの連絡を終えると、立香は待っているテルミドールへと相対する。
「僕達は貴方の言う通り、フィニス・カルデアの実働部隊です。 過去からこの時代の歪みを取り除くために来ました」
「なるほど、故に星見台か。 では改めて自己紹介といこう。 この時代における最大最悪の反動組織【ORCA旅団】の首魁にして、リンクス管理機構【カラード】のランク1、オッツダルヴァことマクシミリアン=テルミドールだ。 よろしく頼むよ」
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『やっぱりあんたが追撃に来たか...』
「...彼女を殺したのはお前なのか?」
衛星軌道掃射砲【エーレンベルク】からおよそ20km離れた海上。
【ストレイド】と名付けられた黒いネクストと、【ホワイト・グリント】と名付けられた白いネクストが一触即発の雰囲気の中、互いに向き合っていた。
『......』
「答えろ、首輪付き。 俺はお前が彼女を殺したとは思えんから、今こうして聞いているんだ」
『...別段答えようが答えまいが、俺を連れていくんだろう?』
「......」
『A・M・S、全接続。 出力全最大!』
「っ! A・M・S、全接続!」
ストレイドはその右手に持ったアサルトライフルをホワイト・グリントへ向ける。 セーフティは既に解除されている。
『あんたと敵対する事が悪手だとしても、こればっかりは譲れない。 犯した覚えの無い罪を被せられる事は特にな!』
「やはりか...くっ!」
ストレイドがホワイト・グリントから高速で離れつつアサルトライフルを発砲する。
ホワイト・グリントはそれをクイックブーストで躱し、ストレイドに足止めしようと背部に装備された分裂ミサイルを発射するが、ストレイドは海水面ギリギリへと降下し、吹き上がる水飛沫を利用してミサイルの信管を狂わせる。
「やるようになった! だがな...」
レイヴンはそれを先読みし、ホワイト・グリントを素早くストレイドの前に滑り込ませ、両腕のライフルを発射する。
するとストレイドは後ろ向きにクイックブーストをし、右背部に装備された大型ミサイルをホワイト・グリントへ撃ち込んだ。
大型ミサイルはホワイト・グリントへ到達する前に一度バラけると、内側から大量の小型ミサイルを吐き出す。
『喰らえっ!』
「甘い!」
レイヴンはホワイト・グリントをクイックブーストでミサイルの前に出す。
狙うは最短距離、小型ミサイル程度では機体を傷つける事はあっても、その前に展開されるプライマルアーマーを減衰させる程の威力はない。
彼我の距離を一気に詰める。
小型ミサイルはホワイト・グリントを傷つける事はできずに破壊されていく。
『それを待っていた!』
だがストレイドは左腕に装備された補助腕を動かし、新たな武器を装備する。
かつてレイレナード社によって研究された【補助腕】構想。
機構的には問題はないが、それ以前にA・M・Sによる直接操作感覚が狂うため出来損ないとして廃案となった代物を、寸分の狂いもなく首輪付きは使ってみせた。
そして左手に握られたのは、いつの時代でも、どんな場所でも、誰が持とうと、変態武器と呼ばれるゲテモノ。
そう、
テルミドールとかホワイトグリントとかのマテリアル
-
いる
-
いらない