―――――――――ババババババババ・・・
上空を飛ぶ一機のヘリコプター空を裂き、何処かへと進んでいく。
『分っているとは思うが、君の任務はI.O.Pの技術の粋を集めた戦術人形の奪還だ。当人形は【手違い】により、違法改造を施された状態だがデータを何としても取り出したい。君の仕事は、最悪でも彼女のメモリーを無傷で手に入れる事だ』
機内で男が独り、流れる音声をつまらなそうに聞きながら懐から煙草を取り出し、火を付け煙を吐き出す。
『良いか。何としてもだぞ。最悪ボディを廃棄してもかまわ―――――』
バギンッ!!!
傷だらけの顔面に、幽鬼の様に濁った光を灯す双眸が喧しくがなり立てる無線機を睨みつけると、そのまま右手で握り拳を作り、振り下ろして機材を壊す。煙草の灰を機内の床へと乱雑に払いながら、男は一仕事終えたと言わんばかりに満足気に煙を吐き出す。
「旦那ぁ!これ結構高かったんですぜ?!」
「後で俺の報酬額から抜いておけ。なんなら多少多めに抜いても文句は言わん」
「言質取りましたからね?!」
ヘリを操縦するパイロットの咎めるような視線と、大声にめんどくさそうに傷面の男はあしらい、フィルターギリギリまで喫い切った煙草を『鋼鉄製の右手』で握り潰して消火し、吸い殻を床へと捨てる。
「旦那、降下地点です。ご武運を!ってもあんたなら死なんでしょうがね」
「・・・いつも通りにやるだけだ。出撃する」
ヘリの後部ハッチが開かれ、突風が吹き荒れる中、至極めんどくさそうに左手に握りっぱなしだった鋼鉄製の髑髏面を男は被り直し、パイロットのゴーサインと同時に外へと飛び出して行った。
太陽に照らし出されて男の姿が露になる。金属製の手足に強固さが伺える堅牢な外骨格鎧。黒づくめの全身に、鎧の背中には笑顔を浮かべた髑髏のエンブレム。
髑髏面のデュアルアイカメラから真紅の光が煌めき、降下先を男は見据える。
「糞野郎の依頼に糞共の排除に目標物の奪還。糞だらけの依頼だな」
「んだありゃ!」
「ヘリから何か降りて来やがったぞ!撃ち落とせ!」
「オラテメェら!仕事の時間だ!」
「畜生。あいつらだけ味見かよ、ついてねぇな・・・」
降下する先に、荒野を走るトラック群が減速して停まり、わらわらと装備を身に着けた薄汚い髭面の男達が口々にぼやきながら展開されていく。
銃器が降下中の全身強化外骨格と機械義肢で身を固めた男を銃撃し始める。
銃撃は男の強固な装甲を貫く事なく、火花を散らしながら表面を撫でて虚空へと消え去っていく。
「あいつらわざわざ足を止めてくれるのか。まぁ、良い。ゴミムシの駆除からだな」
銃撃を物ともせず悠々と自由落下していき、じめんいまで50mを切った時点で髑髏面は足元と背中の開口部から、
燃焼材をジェット噴射しながら、重力の引力を無理矢理打ち消しやんわりと地面に降り立ち、右手に持った異形の大型銃器を構える。
「・・・死ぬ時間が来ただけだ。土へ還してやる」
降下して苛烈さを増した銃撃にビクともしないまま髑髏面はのそりと、野盗共に向かって威圧感を放ちながら歩き出して右手の銃器をこれ見よがしにぶっ放した。
「・・・」
無言で銃火を潜り抜けながら自分の中の感覚が鋭敏になって行き、野盗共の驚愕し脂汗を流して必死に抵抗する様が、鮮明にカメラアイ越しに自分の視界を移り行く。一発ぶっ放せば胴体から中心に花が咲いた様に血液と臓物を巻き散らせて蛆虫の命が潰えて行く。どれだけ撃たれようが義肢も、この強化外骨格も敵の弾丸は貫くことはない。肩にマウントした短めのランチャーでグレネード弾を放って、逃げ出そうとしたトラックの先頭車両を爆発四散させる。ガチャリとランチャーを肩から背中の方へとスライドさせて待機状態へ移行し、罵声や悲鳴に特に何も感じず作業の様に、爆発に巻き込まれてもんどりうって倒れている野盗達の命を丁寧に狩り取って行く。
「頼む。ど・・か・・・助け・・・」
また一匹死んだ。
「俺達の積み荷はやるよ・・!ドスケベな人形なんだ!嘘じゃねぇ!お前も気にいっt」
赤の花がまた咲いた。せめて死に際ぐらいは美しくしてやるから黙って死ね。即死ね。
ちらりとトラック群を見れば先頭車両が爆発して横転し巨大な障害物になってるせいで、後続の車両はこの荒野の谷地を抜け出せないでいた。タイミングを見てここを通るのは分かり切っていたからこその強襲であったが、目論見通り奴等は右往左往している。疎らになった銃撃を未だに送ってくる馬鹿共を反撃で、ミンチへと変えてやり完全に、俺以外の銃火がなくなり黙ったのを見届け積み荷を確保するべく、俺は積み荷が入っているであろうトラックを探し当てるべくトラックの幌を右手の義肢で強引に破りながら探し出した。
「へへへ、ホワイティ。もっと厭らしく鳴けよ」
「たまんねぇなぁ!この淫乱人形が。搾り取る動きしてやがるぜ」
「うぇ・・・っ・・・んちゅぅ・・・」
―――耳障りな汚い欲望をぶつける声と、か弱く響く女の子の嫌そうな呻き声。水音、リップ音・・・つまりはこの大惨事にまだ『味見』と称して戦術人形を嬲っている馬鹿共が生き残っているのかと俺は当たりを付け、ずんずんと大股で横転もせず、停止しているだけのトラックの幌へと近づき、中を開ける。
「おせぇぞ。ようやく終わったのかよ・・・ってなんだテメ」
暗がりで良く見えないが銀色の髪が、一瞬見えたのを確認し、驚愕して俺に怒鳴り出した薄汚い下半身を露出した男の顔面を吹き飛ばす。間違いなくターゲットがここにいる。確信した俺はスラグ弾を詰めたショットガンが自動廃莢され、トラックのカーゴの床へとカラカラと音を立てて転がり落ちる音を聞く。
暗がりに目が慣れ、美しい銀髪をツインテールと言うのだったかな・・・二房に纏めた背が小さな女の子が衣服を剥ぎ取られ、胸部を曝け出されながら、股下に潜り込んで陰部をズボンから出していた男が俺を見て慌てた様にっ叫ぶ。
「おい待て!止めろ!俺は殺すな!本拠地の情報を知りたいんだろ!?俺を殺したら二度と手に入らねぇぞ!」
冷や汗を流しながら嘯く男を眺めながら、上に乗せていた女の子に平手打ちを食らわせて男は怒鳴る。
「降りろ雌豚!」
「う!はい・・・」
雪のような白い肌が叩かれて赤く腫れ、勢いで倒れた彼女が男から退いたのを見た瞬間、俺はすかさず男の首を片手で掴み、宙吊りの状態へとしてやる。ギシギシとトラックが揺れるが構わずにこの糞野郎を自らの顔面の位置へと顔を近づけさせてやる。
「テメェ!こんなことしてただで――――」
ズドン!!
宙吊りにした状態で左手に持ち替えていたショットガンで胴体をぶち抜き、幾分か軽くなった男の体をカーゴの床へと放り、マガジン内の弾が切れるまでその死体にスラグをぶち込みただのミンチへ変えてやる。地獄で懺悔しろ。
蹲り呆然とする彼女をやんわりと抱き上げ、マスク内の通信機を作動させて喋る。
「目標を確保した・・・」
はだけた胸を隠すべく、その辺に転がっていた・・・学校の制服か。フェチな趣味してやがる糞共だったな。それを、彼女に掛ける様に被せ、歯軋りをしながら唸る。
「うぅぅぅ・・・!!」
俺の様な者を人間と認めず、戦術人形だからとこのような小さな娘迄食い物にするこの世界の悪辣さに反吐が出る程の思いを抱えながら俺は、パイロットに速く迎えに来るように指示を出した。
彼女は涙をはらはらと流しながら、状況を理解したのか。安心したように眠り出したため、俺は一層起こさない様に迎えのヘリを待っていた。
こっちの方は基本気まぐれ更新の本編より戦闘描写削り目になります。それdえも良いならご覧ください。