この命、君に捧げよう   作:HIKUUU!!!

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―――ある日の出来事だった。俺は眠りから覚めて、今の指揮官に拾われた。スケベで頭は回る癖に、変に人情味のある・・・男の俺からしてもいい男の部類に入れたくなるそんな指揮官。俺は、人間らしい本当は、だが世界がそれを許さなかった。俺は戦術人形としてこの世界を生きながら俺の記憶の手掛かりになるものを探している・・・。

俺は一体何処の誰で、どうしてこんなカラダなんだ?誰か教えてくれ・・・

死人の手記より


戦術人形?デッドマン

「おー、デッドマンお帰りー。そいつは?」

 

「違法改造と横流しの容疑者。良かったなディーノ。臨時ボーナス確定だぞ」

 

「やりぃ!良くやった!出来る部下を持つのは違うなぁ」

 

「今回は此奴が底抜けのバカだっただけだ。俺は何もしてねぇよ」

 

「むぅ!ダーリンこっち見てくれないとやだぁ!」

 

「あー、ごめんよハニー」

 

「今日の副官はⅯk23か・・・サボりすぎてまた俺に書類押し付けるなよ?」

 

「「てへ・・?」」

 

「二人揃って舌出して笑うな・・・メンテ終わったら残りやっとくから上がって休んでろ」

 

「何時もゴメンね?デッドマン」

 

「暇だし構わんよ・・・そうだ、こいつの罪歴リストアップと罪証の書類だけ出しておいてくれ」

 

大馬鹿野郎を引き摺って司令室に行けば、指揮官がⅯk23を膝に乗せながら書類と向き合っていた。相変わらず手は出してないようだが・・・やるなら吹っ切ればいい物を・・・俺と違って人間として生殖器も正常なんだからお前に好意を寄せている人形達を抱いてやればいいのに・・・全く変な所で臆病な奴だな全く。

 

両手を合わせて、片眼をウィンクして謝ってきたⅯk23に気にするなと片手を振って、被りを振り、デスクに放置されていた携帯端末を起動して電源を入れる。

 

「あー、もしもし?これから独房に容疑者ぶち込むから一つだけ解放しておいてくれ。多分スムーズに終われば30分後だ」

 

【はいはい!また賞金首捕まえたんですかお兄さん?】

 

「そんな所だ。しょぼい金額だろうがな」

 

【じゃあまた、手作りコーラ飲めるの?!】

 

「ん、お前が望むならな。デッドマンアウト。ちゃんと支度だけはしとけよ?」

 

画面上に映るSAAがニコニコ笑いながら返事を返してくれ、元気な様子に思わず俺も破顔する。相変わらず元気な娘だ。見ててこっちも元気になる。早速準備に入った彼女の後姿を眺めつつ携帯端末の電源を落とし――――

 

「何見てんだ?さっさと仕事をしろ」

 

こっちを揃って見ていたディーノとⅯk23がニヤニヤと笑っていたのを文句を言い放ち、デスクの引き出しを勝手に開けて、包帯を取り出し、出血している容疑者のふくらはぎを包帯で乱雑に処置し、痛がる様子にわざと苦痛を感じるように乱暴に傷口を触ってやる。

 

「あがぁぁ・・・!」

 

「いてぇか?まぁそうだろうな。痛くしてやってるからな」

 

「き、君は慈悲という物はないのか?」

 

「慈悲?最大限配慮してんだろーが。じゃなきゃテメェ俺の前にいた時点で死体だぜ」

 

言外にテメェの首に賞金が掛ってて余罪を追及できるからそうしただけだと伝え、脂汗を流して歯を食い縛って耐えるこいつの頭をぺしりと叩く。生きてるだけ儲けもんだと思え。

 

「デッドマンこれー」

 

「ほいほい・・・何々?横流しに違法改造、違法娼館からの賄賂受け取りに野盗との癒着。殺人に詐称・・・おーおー極悪人だなコレ」

 

Ⅿk23が投げて寄越したプリントアウトした書類をざっと流し読みしてもかなりの罪状に思わずニヤリと笑いを浮かべる。コイツ懸賞金額跳ねあがってるなこりゃ。

 

「うわぁ・・悪い顔・・・ダーリンはあんな顔しちゃやーよ?」

 

「勿論しないさハニー」

 

「聞こえてるぞー貴様等ぁ」

 

イチャイチャするわりにはお互い線引きしてんだよなこいつ等。面退くせぇ・・・。早くくっつけよなぁ・・・。

 

「そんじゃ、指揮官殿。私目はこれより容疑者を独房に移送。その後に定期メンテナンスし、残った書類の片づけを行います。宜しいですかね?」

 

「そんなに気を使って業務しなくてもいいんだぞ?急ぎの書類は終わってるわけだし」

 

「良いって。どーせ、暇だしよ」

 

ディーノの此方を心配してくれる態度に苦笑を漏らしながら、早く休んでおけと一声掛け、カーター容疑者の髪を引き摺ってドアを開けて出て行く。邪魔者は退散しねぇと。

 

「痛い痛いいたぁいいいいい!!!!!」

 

「痛くしてるんだって。分かれよ」

 

あーうるせー。そこまで強く引っ張ってねぇよ。

 

「あ、やべ」

 

「私の髪がぁぁぁ!?」

 

引っ張る力に耐え切れなかった脆弱な髪の毛が結構ぶちぶち抜けた。やっべ。ま、いっかどうせ、こいつ死刑みたいなもんだろうし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まだ彼の記憶に関する資料や知ってそうな人物見つからないの?ダーリン」

 

「ああ、必死に探してるんだが・・・なんのヒットも無い。此処迄見つからないとはね・・・」

 

「早く、自分を取り戻せる様になれば良いのにね。可哀想なヒト・・・」

 

「それでもめげないで俺達を助けてくれてるんだから、頭が上がらないよなぁ」

 

「あら?彼も同じ事この前愚痴ってたわよ?記憶喪失のサイボーグなんかをよく助ける気になったものだーって」

 

「マジで?別に大した事はしてないんだがなぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかえりなさい!お兄さん!」

 

「おう、ただいま。こいつぶち込んでおいたわ」

 

「髪・・・私の・・・」

 

「うっせ、もう寝ておけ」

 

独房エリアに着いてから早速空いていた独房へとコイツをぶち込んでおく。あーめんどくさかった。賞金首はやっぱデッドオアアライブの方が楽だわ。基本殺す方が後腐れないし。

ぶち込んだ後に伸びをしていると、駆け足でやってきた元気印のカウガールに軽く手を振り、駆け寄ってきた彼女の頭を、ハット越しに撫でてやる。身長差からちょうど手の位置なんだよなこの娘。呆然とバーコード禿になった

頭部を何度も気が狂った様に撫で続ける容疑者に、サッサと寝ろと伝えぐりぐりと俺の義肢に頭を押し付けてくるカウガールの様子に苦笑を漏らす。

しっかし、偉くなついたよなぁこの娘。まぁ、きっと兄さんみたいな感情なのかね?俺が・・・か。フーム何か思い出しそうな・・・?

 

「どうしたのお兄さん」

 

「んー?なんか思い出せそうな気がしてな・・・まぁ別に大したことないだろ」

 

一瞬脳裏を過った薄幸そうな小さな女の子が俺に向かって笑いかけていたヴィジョンが浮かんでいたが、きっと気のせいだろう。俺のこのカラダの状況的に、そういう肉親がいたとは考えづらいからな。

薄暗くなった廊下を薄暗くなった自動でついた照明が照らし出し始め、もう夕方を過ぎたかと感じてSAAに声を掛ける。

 

「俺はまだ仕事あるから先に飯食って来いよ。遅くなるし」

 

「えー!デッドマンも一緒じゃなきゃやぁだぁ!」

 

「駄々こねるなよ。じゃないとこの基地の業務回らなくなって困るのは俺もそうだが皆もだぞ?わがまま言うなって。明日からは緊急の依頼ない限り基地に当分いるから安心しろって」

 

「朝食は絶対一緒に摂ってよ?」

 

「あー、じゃあ指切りげんまんな」

 

「嘘ついたら誓約指輪ね?」

 

「や、もっとイイ男探しなさい。ディーノとか」

 

「やー!!」

 

「俺にどうしろと?」

 

ぽかぽかと頬を膨らまさせて俺のアーマーを殴ってくるSAAに何とも言えない気持ちになり、冗談にしては笑えない言葉に思わず口元を引き攣らせながらやんわりと拒絶する。俺なんかよりイイ男なんて一杯いるから探しなさいってマジで。

何とか宥めつつ、夜食を食べて来るように言い包めてメンテナンスを受けるべくSAAと別れて薄暗い廊下を一人で歩いていく。

 

「おー、旦那来ましたね?目測終わり!解散!」

 

「おい、手ぇ抜きすぎだろ」

 

「だって傷ついて無いじゃないですか。装甲もブースターだって」

 

「いや、そりゃそうだが・・・」

 

「それに男の裸見る趣味はない!」

 

「そっちが本音だろ主任よぉ!俺だって晒したくて晒してるわけじゃねぇよ!?」

 

二人で狭いメンテナンスルームに閉じこもりながらギャイギャイと喚きあう。俺だって機能不全起こして死にたくねぇから任せてるんだがなぁ!?

 

「と、まぁ冗談はさておきスキャナーで見ても出撃前と大差ない状態だ。オーバーホールもこの前したばかりだから大丈夫だ」

 

「ん、サンキュ。何時も助かってるぜ」

 

「それが俺の仕事だからな。さて、イサカが待ってるから帰るぜ?」

 

「おーすまねぇな、業務終了してんのに」

 

「構わないさ。お前さん程働いてないからな」

 

「俺はあくまで間借りさせて貰ってる身だからな。これ位しないと釣り合わないだろ?」

 

「・・・お前さんがそれでいいならそれで良いんだが」

 

「性分だ許せよ」

 

スキャナーによる簡易診断を済ませて、機材を片付けた主任が何とも言えなさそうでこっちを見るのをこちらもしょんぼりした顔で見ながらしっしと手で追い払う。早くイサカと一緒に飯食ってイチャコラして来いって。俺のkとはもう良いから。

主任がチラチラとこっちを見ながら去っていくのを見送りつつ、溜息を吐いて司令室への道へと戻って行く。さぁてもうひと踏ん張りだ・・・。どうせディーノの事だ。ちょっとは減らしてくれてるんだろ。

 

二人がいなくなってガランとした司令室のデスクチェアにどっかりと座り込んで積み上がった薄い書類の山と、ディーノが残した書置きを左手に持ち読む。

 

『この書類の山だけ。指揮官が必要なサインは先に署名した。悪いけどまた頼むな』

 

「分かってるって。指揮官様ッと・・・」

 

デスクに転がっていた万年筆を拾い上げ、カリカリと必要な文面と結果などを記し、サッサと終わらせるべく無言で書き上げて行く。今日も残った夜食だけ、スプリングフィールドに貰うか・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ほんへより明らか楽天的で明るい奴になってはいますが、他人からの好意は基本受け取れないスタンスは変わらない定期。
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