英雄戦姫WWX二次創作「ブリテンのベーゴマ事情」   作:シベリア!

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書けば出るという迷信に縋り、英雄戦姫WWXのガチャにランスロットが出るのを祈りながら英雄戦姫二次創作を描いてみました。

どうか寛大な心で見てやってください。
※作者注・この小説を書いていた令和元年9月8日頃には、ジャンヌは未実装でした。



英雄戦姫WWX二次創作「ブリテンのベーゴマ事情」

これは、俺達が創世神をブチのめしてからしばらく時が経った後の話。

俺……ジパング王ことチハヤがフランスで国際会議に出席していた時の話だ。

 

「あ……あ……貴方様あああぁぁぁ~~~!!」

 

俺が宿で会議のための資料に目を通していると、突然バターンッとドアが開き、アーサーがぎゅうぅっと抱きついてきたのだ。

 

「アーサー? 急になんで?」

 

彼女の柔らかな肢体の感触と、かぐわしい髪の匂い……匂い、が……

 

「って、潮臭ぁっ! びしょ濡れじゃないか!? 海で泳いでたのか!?」

 

「ドーバー海峡を泳いで来ました!」

 

「君意外と体力あるな」

 

「それよりもです! あ、貴方様の、貴方様の……ううぅ……」

 

アーサーの目から涙がぼろぼろと溢れてくる。

強い強い自責の念が、見ているこっちまで辛くなってくる。

 

きっと何かただならぬ事が起きたに違いないと、俺は思わず息を呑む。

 

「……ベーゴマが!!」

 

ベーゴマの話だった。

 

 

 

 

 

英雄戦姫WWX二次創作「ブリテンのベーゴマ事情」

 

 

 

 

 

一瞬にしてがくーっと力が抜けた俺であったが、どうにかこうにか立ち直る。

 

考えてみれば、この娘が変な娘なのは知っていたし、突飛な事を言うのも毎回の事だ。

羽毛よりも引き金が軽いXXXとか、呼吸をするよりも気安く弟の身柄を売り飛ばす愛しき姉上や、珍しい物を見ると保護しますと言いながらゴミ箱……本人的には宝物殿に雑に叩き込むXXXXXXに比べれば軽いものだ、胃の痛さ的に

 

「ベーゴマがどうかしたのか?」

 

「奪われてしまいましたわ、ひとつ残らず……」

 

「奪われたって!? キャメロットに強盗でも入ったのか!? 他に被害は!?」

 

「はい、被害者は私だけではありません、円卓の騎士全員の……」

 

「ぜ、全員の……」

 

今度こそただならぬ事が起きたに違いないと、俺は思わず息を呑む。

 

「……ベーゴマが!!」

 

……やっぱりベーゴマの話だった。

 

「ベ、ベーゴマ専門の泥棒かなぁ……随分と変な奴だけど……」

 

「はい、皆のベーゴマは、ひとつ残らずランスロットの手に……」

 

「って犯人ランスロットなのか!?」

 

一瞬、キャメロットに忍び込み、タンスや押入れの奥からベーゴマを盗み出すランスロットを想像し……あまりにも彼女らしからぬ行動に、首を傾げた。

 

そこで俺は、以前姉さんから聞いたベーゴマのある恐ろしいルールを思い出す。

 

「……もしかして、勝負に負けて取られた?」

 

負けると取られる。

少なくとも奥州ルールではそういう事になっていた。

 

「はい」

 

「確か20個くらいあげたよね」

 

「20連敗しました」

 

瞬間、この娘は致命的なまでにギャンブルに向いていないと確信した。

普通は3連敗くらいで損切りを検討する。

 

あるいは、ランスロットの勝ち方が巧妙で、あたかも接戦だったかのように装ったのかもしれないが、それにしても20連敗は負けすぎだと思う。

 

「じゃあ他の円卓の騎士のベーゴマが取られたっていうのも……」

 

「はい、ガウェインが私の仇を討ち、

 貴方様から頂いたベーゴマを取り戻すとランスロットに挑み……見事に返り討ちに……」

 

ガウェインがクソ真面目な顔をしてランスロットにベーゴマ勝負を挑む姿を想像し、俺は思わず吹き出しそうになった。

 

「そこで国中の駄菓子屋からベーゴマを買い占め、

 騎士団全員でランスロットと戦ったのですが……全員纏めて返り討ちに……」

 

「駄菓子屋さんも儲かって仕方がなかっただろうな」

 

「隣国のフランスにベーゴマを買い求めるため、海を渡った騎士もいました。

 しかし、ベーゴマの海外流出を危惧したナポレオン様が、禁輸措置を取ったため、

 幾多の騎士達が税関で囚われの身に……」

 

「ベーゴマの密輸で捕まる騎士かぁ……」

 

理由は分からないがトリスタンの顔が真っ先に浮かんだ。

 

「やむなく私達は禁断の領域……ベーゴマの養殖にまで手を伸ばしました。

 しかし、所詮は人が創り出したベーゴマでは、天然自然の産物には敵わないのか、

 ランスロットの持つ天然ベーゴマの前に敗れ去っていきました」

 

「ごめん、ツッコミ所が多すぎてどこから行けば良いのか全然分からない」

 

急募、ジェームズ・クック。

国際会議の準備で滅茶苦茶忙しくなかったなら、俺はたぶんクックに全てを委ねて思考停止していただろう。

 

「パーシヴァルは聖なるベーゴマを求めてPJ国へ赴き、そのまま音信不通に……」

 

「聖なるベーゴマって何!? いやそれより天然ベーゴマって海底で獲れるのか!?」

 

ベーゴマとは一体……うごごご……とばかりに頭を抱えたくなった。

俺が認識しているベーゴマとアーサー達が認識しているベーゴマは全くの別物である可能性すら見えてきた。

 

とりあえず、パーシヴァルには捜索隊を出す必要があるだろう。

自力で戻ってくるのを待っていたら何年かかるか分かったものじゃない。

 

「最早八方塞がりの状況で、貴方様が隣国にまで来ていると知り、

 私は居ても立ってもいられずに……

 気がついたら、ドーバー海峡に飛び込んでおりましたわ」

 

「せめて船で来てほしかった」

 

アーサーがよよよ……と泣き崩れる。

自分があげたベーゴマでこんなに真剣になってくれるのは純粋に嬉しい。

それに、ブリタニアはジパングの同盟国だ。

同盟国として、ブリタニアが困っているのであれば、何か手を考えなければと思う。

 

「ベーゴマなら、またあげるから泣き止んでくれないか。

 ほら、今日も一個だけだけど持って来てるから」

 

「いけませんわ! あのベーゴマは貴方様に手取り、足取り、腰取り、

 ベーゴマのイロハを叩き込んで頂いた思い出の品!

 私にとって大事な大事な愛の思い出の結晶、愛の証なのです!

 他の何物にも代えられませんわ!」

 

「うん、回し方を教えたのは事実だけど足も腰も取った覚えはない」

 

急募、ジェームズ・クック。

俺は切実に切実にツッコミ役の存在を欲した。

 

「そして今朝、キャメロットの廊下に貼ってあったコレを見て、

 私は居ても立ってもいられずに……」

 

アーサーが四次元クラウン(ブリテン驚異のメカニズム)から一枚のチラシを出し、俺に突き付ける。

ドーバー海峡を横断してきたというのに、その紙製のチラシは一切濡れた様子が無い。

 

「えっと何々……? 『ベーゴマ無料進呈します』だって。

 誰が書いたんだ……ランスロット!?」

 

「はい、聞けばベーゴマを集めすぎ、重みでて押入れが壊れそうになったので、

 ご近所の子供達を集めてベーゴマをバラ撒こうという、

 それはそれは身の毛もよだつような恐ろしい計画が練られているとか」

 

「うん、そうだな、恐ろしいな」

 

俺はツッコミを放棄した。

悔しいが俺はジェームズ・クックのようなツッコミ眼鏡はなれないし、別になりたくもないのだ。

 

「ベーゴマを配るのなら、好都合じゃないか。

 その時に取られたベーゴマを返してもらえば良いんじゃないか」

 

俺がそう提案すると、アーサーは無言でチラシの端っこにある小さな文字を指差した。

 

「20歳以上の方はお断り。 特に円卓の騎士とブリタニア王は断固拒否……

 ああ、そりゃそうか、

 円卓の騎士にベーゴマを返してまた挑んで来られちゃ意味が無いからな」

 

「私の~、私の貴方様との思い出が詰まったベーゴマがぁ~、どこか遠くにぃ~」

 

アーサーはまるでこの世の終わりでも来たかのように落ち込んでいる。

ついこの間、創世神にマーシャルアーツ・キックを叩き込んだ娘の台詞とは思えないが……半面、俺との思い出をそこまで大事にしてもらえるのかと思うと、嬉しさが胸に込み上げる。

 

「仕方ないな、じゃあ俺からランスロットに頼んで来るよ、

 思い出のベーゴマだけで良いから、アーサーに返してほしいって」

 

「だ、駄目です! それだけはいけませんわ!」

 

「駄目って……何故だい?」

 

「あのベーゴマは、正当な、正々堂々とした一対一の決闘の結果、

 戦利品としてランスロットの手に渡った物です。

 後から大事な物だから返してほしいと言ってしまっては、

 自らあの誇らしい決闘に、王の誇りと騎士の誇りに泥を塗ってしまいますわ」

 

「その結果が20連敗なんだけど」

 

「……かはっ!」

 

痛い所を突かれ、アーサーが机に倒れ込んだ。

 

「うぅ~、貴方様との思い出がぁ~……

 思い出のベーゴマがぁ~……でも、王の誇りがぁ~……」

 

笑ってしまいそうになる程に情けなく、女々しく、アーサーが泣きじゃくる。

こんな弱い所も見せてくれるようになったのは素直に嬉しいが……正直、あと数日で国際会議が始まるので早く話を完結させてほしい。

ジパング王ともなれば、色々と下準備もしなければいけないのだ。

 

俺は援軍の到来を心から祈った……

 

「カミサマは言いました! 話は聞いたと!」

 

そして再び扉がバターン! と勢い良く開き、廊下からジャンヌ・ダルクが飛び込んできた。

 

「カミサマは言いました、出番をよこせと!

 カミサマは言いました、まさか真ルートですら1ミリも出番が無いとは思わなんだと!

 カミサマは言いました、クック以下とかナメとんのかと!

 そしてカミサマは言いました、

 プレイヤーの皆様がジャンヌ・ダルクの顔を忘れたらどうするつもりだと!」

 

「心配しなくても君みたいな濃いの、忘れたくても忘れられないよ……」

 

俺は思った……チクショウ、援軍どころかボケが増えやがった。

 

※作者注・この小説を書いていた令和元年9月8日頃には、ジャンヌは未実装でした。

 

……

 

…………

 

………………

 

「え? ランスロットですか?

 それなら今日はアイスホッケー部員の練習を見に行くって、訓練場に行っていますわ。

 それよりアーサー様どうしたんですかその恰好?

 え……はぁっ!? ドーバー海峡を泳いできた!?」

 

ほぼ唯一今回の騒動にノータッチで、黙々とアーサー不在の間の書類仕事を片付けていたモードレッドの冷ややかな視線を背中に感じつつ、俺達は訓練場に足を進める。

 

周囲からの視線を避けるように、そそくさと。

 

「カミサマは言いました。

 まさか本当にベーゴマ100個ポケットに詰めたまま泳ぎ切るとはと」

 

「貴方様の愛のおかげですわ」

 

愛って便利な言葉だなぁ……と、俺は思った。

口には出さないが。

 

「できれば船を使ってほしかった」

 

「カミサマは言いました、ジャンヌのお小遣いでは手漕ぎボートが限界だと」

 

「ベーゴマは100個も持ってるのに船便のチケット一つ買えないのか!?」

 

「カミサマは言いました、ベーゴマは実力で奪う物、買うものではないと」

 

ずいぶんと実力主義なカミサマだ。

 

「それより、本当に勝つつもり……いや、勝てるのか?」

 

連日の特訓と、何の意味も無いドーバー海峡横断遠泳により、ランスロットによるベーゴマプレゼント会の日は明日にまで迫っていた。

今日、ランスロットに勝てなければ、彼女曰く思い出のベーゴマは無関係な子供の手に渡り、二度と戻ってこなくなるだろう。

 

今日、この場で勝たなければならない、なんとしても。

アーサーの瞳は決意に満ちていた。

 

「はい! 必ず勝ちます! 勝って貴方様のベーゴマを取り戻します!」

 

「カミサマは言いました。 ジャンヌ・ダルクの全ての知識と技術を全て叩き込み、

 さらに実家の押入れで埃を被っていたベーゴマを与えた今のアーサーは前とは別人、

 言うなればアーサー2であると!」

 

「大丈夫なんだろうか……」

 

自信満々に胸を張るアーサーとジャンヌを見ると、無性に心配になってしまう。

 

「それよりアーサー、訓練場はどっちだ?」

 

「はい、あっちの方ですわ」

 

アーサーが指差した方に、十数人程度の人の集団、それと両足にローラースケートのようなものを履き、自分の身長と同じくらいの長さのスティックを持ったランスロットがいた。

ボールスとパラメデス、それにトリスタンの姿もあった。

 

「ん……? アイススケートの練習だったよな?」

 

「カミサマは言いました、夏場はローラースケートで練習しますと」

 

「ああ、成る程ね」

 

そのままおーいランスロットと声をかけようかとも思ったが、ちょうど何かを話している様子だったので、俺は少し離れた所から様子を見る事にした。

 

「それでは、まずは基本のテクニックから紹介しますね~」

 

「トリスタンは……ランスロットの隣へGO……」

 

「ふふふっ、今日はなんて良い日なんだ。

 まさかあのパラメデスが税関で捕まってたボクを助けにきてくれるなんて。

 ベーゴマは全部没収されたけど……

 とにかく、今日のボクにはツキがある。 もう何も怖くない」

 

「……トリスタン……早く行って」

 

「ああすまない、アイスホッケーなんてやった事ないけど精一杯務めるよ」

 

トリスタンがローラーつきのシューズを履き、ふらふらと左右に揺れながら、おっかなびっくりとした様子でのろのろとランスロットの元へ……

 

「おっと……おっとっとぉ……わわっ! ふぎゃあっ!?」

 

……思い切りコケて額を擦りむいた。

 

「ふ、ふふふ……このくらい、不幸の内には入らないとも……」

 

ホッケースティックを杖代わりに立ち上がると、やはりふらふらと揺れながらランスロットの隣にたどり着いた。

 

「じゃあ、ちょっと痛いけど我慢してくださいね~」

 

「変な遠慮は無用……トリスタン、ごーとぅーへる……」

 

「え? 痛い? な、何か嫌な予感が……」

 

「接近戦ではレフェリーにみられないように素早く足をはらう!」

 

ガッ! 「うわっ!?」

 

「そこへ転んだふりしてヒジで一撃かます」

 

ドウッ! 「ぐふっ!」

 

「三国無双でも北辰一刀流皆伝でもバランスを崩すと倒れますので~、

 思いっきりやっちゃいましょ~」

 

「起き上がる時は……何事もなかったごとく……笑顔で……」

 

パラメデスは今まで見たことが無いくらいの笑顔だった。

 

「さらに走りながらのシュートの時も……」

 

「ちょ、ちょっと待ってコレ何の練習!?」

 

「大振りして相手の脳天をぶったたきます~」

 

バンッ!! 「ぐわっ!」

 

「相手をとびこすふりをしてスティックで股間に打撃を与える」

 

ガッ! 「ぎゃっ!?」

 

「ふたたび転んだふりで頭つきで一発」

 

ゴキッ! 「ぐわっ!」

 

「さらに足げりを2~3発」

 

バキッ! ガッ! 「ぐえっ!」

 

トリスタンがあっという間にボコボコにされていく……

色々と言いたい事はあるが、とりあえずスポーツマンシップからはかけ離れた光景である。

 

「はい、じゃあちょっと実践してみよう。

 パラっちはのびちゃってるナルちゃんの手当てよろしくね」

 

「介錯しもす……」

 

「トドメ刺しちゃちゃ駄目だって」

 

流石に止めようかと思った所で、ボールスが治癒魔法をトリスタンにかける。

ホッとしたのの束の間……

 

「ああ、普通に殴るんじゃ駄目駄目、眼球に指を突っ込んで殴り抜けるくらいしないと。

 え? そんな事したら怪我するって? やだなぁ、何のために私が来てると思ってるの」

 

「腕力に自信が無い人は~、目潰し用に懐に胡椒を忍ばせておきましょ~」

 

目潰しに胡椒をばら撒き、その隙に点を取りまくるランスロット……

それは最早円卓の騎士と言うよりも、ミスター卑怯マンと呼んだ方が良いような気さえする。

ああ、ランスロットは女の子だからミス卑怯ウーマンか。

 

ごきっ!

 

ぐしゃっ!

 

どがっ!!

 

ざくっ!

 

何とも表現し難い物騒な音と、視界一杯に広がる血飛沫。

あれ、アイスホッケーってこういうスポーツだっけという表情でアーサーを見ると、彼女はドン引きしていた。

 

助けてくれジェームズ・クック……とツッコミ神に祈りを捧げても助けはどうせ来ないので、俺は意を決して止めに入る。

 

「ストップ! ストォ~ップ!! 何を物騒な事を教えているんだ!?」

 

「あ、ししょ~、お久しぶりです~」

 

「ああ、久しぶり……じゃなくて! 何を考えてるんだ!?」

 

「え? ダーティ・ファイトですけど」

 

キョトンとした表情で返答される。

もしかして俺が間違ってるのかと思い後ろを振り向く……アーサーが目を伏せながら首を真横に振った。

 

「いやさ、この前の一悶着で思い知ったんだけど。

 ガウェイン様もガラハド様もこういう戦術に向いてないって言うか、

 ぶっちゃけ教えられないじゃない」

 

「真っ当に……戦い過ぎる……」

 

「搦手に弱いと言うか、ハナッから思考から排除してるって言うか」

 

「どんな教育受けて育ったんでしょうね~、親の顔が見てみたいです~」

 

俺はむしろ君の親の顔に興味がある。

 

「カミサマは言いました、アーサー達がシバキ倒した自称創造神が親ではなかろうかと」

 

「あんなハラワタが腐ってそうなのからガラハド様が生まれるって奇跡みたいでですね~」

 

「カミサマは言いました! ジャンヌはずっとスタンバってましたと!

 ずっとオーストラリアの地でジパング王を待っていましたと!

 ずっと呼ばれるのを待っていましたと! 誰も来なかったけど!」

 

※作者注・この小説を書いていた令和元年9月8日頃には、ジャンヌは未実装でした。

 

「まあまあ、たぶんきっとその内実装されるかもですよ~」

 

「そして数多の王様達の財布を容赦なく毟ってくんじゃないかな」

 

「げに恐ろしき……ガシャよ……あーめん……」

 

「まあそんな訳で、比較的そういう手段に慣れてる私らが、新入り達に教えとこうって事。

 世の中お上品に戦ってくれる相手ばかりじゃないよってね。

 言いたかないけど、戦争なんてどんな理由で起きるか分からないしね」

 

「そんな事……そんな事はありませんわ! 決して!!」

 

アーサーが大きな声でボールスの言葉を遮った。

 

「うげっ! アーサー様!?

 ちょっと王様、アーサー様が来てるんだったら言ってよ!? 

 あのですねアーサー様、私達は決してアーサー様のお考えを否定するつもりは……」

 

「ボールス、貴女は間違っています。

 どんなに痛ましく、どんなに悲しい過去があっても、

 人はそれを乗り越え、手を取り合う事ができます! それが愛というものです!」

 

「いえ、それはもちろんそうなんですけどね……

 でもそれを言われると私ら騎士の存在理由が消し飛んじゃうんですけど……」

 

「そもそも! スポーツは戦争ではありません!

 きちんとしたルールに則り、正々堂々と力と技を競い合い!

 互いを認め合い、友情という名の絆を深め合うのがスポーツでしょう!

 愛と努力がスポーツでしょうが!」

 

「お金とか利権とか名誉とか絡むと中々そういう訳にも行かないと言うか、

 盤外戦で来られた時の護身を教えてる面もあると言いますか……」

 

「ランスロット! 貴女も同じ考えなのですか!」

 

追及の矛先がボールスからランスロットに向く。

ランスロットは少しの間、んん~っと考えて……

 

「5つのパンと2匹の魚では、5000人の人をお腹いっぱいにはできませんよ~」

 

「しかし! 人はパンのみで生きているのではありません!

 私達には言葉があり! 心があるのです!」

 

アーサーがキッとランスロットを睨みつける。

まるで不倶戴天の敵を目の前にしているかのようだ。

 

一方ランスロットは……何と言うか、表情が読めない。

いつも通りのようだと思えばそう見える。

だけどどこか……どこか……気のせいかもしれないが、どこか悲しそうな眼をしているような気もした。

 

「ならばランスロット……決闘です! 私が正しいか、貴女が正しいかを決めましょう!」

 

「それでアーサー様の気が済むならやりますけどね……

 何で決めます? オーソドックスにジョスト(馬上試合)にしますか?

 それともフェンシング? ああ、ボクシングでも良いですよ~」

 

「いいえ、この勝負……この間の貴女に負けたあの方式で決めましょう!」

 

「アレですか~、良いですよ~、ちょうど持っていますし~」

 

ランスロットがにやりと笑い、背中の凶器入れに手を伸ばす。

ほぼ同時にアーサーは頭上の四次元クラウンに手を伸ばし……決闘のための武器を取り出す!

 

「チャージ3回! フリーエントリー! ノーオプションバトルッ!!」

 

「ちゃーじさん……え?」

 

ランスロットの凶器入れから何か予想と違ったモノが出てきてアーサーがベーゴマを握ったままキョトーンとしている。

 

アーサーは手にしているのは、ここ1週間で親の顔よりも見る羽目になった鉛製の駒であるが、ランスロットが握っているのは何か昆虫っぽい形の玩具である。

 

「カミサマは言いました、アレは人造昆虫カブトボーグ、

 昔ジャンヌの田舎で流行ってたクッソ地味な玩具であると」

 

「あの……すみません、私それ知らないのですけど……」

 

「ええ~? これじゃありませんでしたっけ~?」

 

「違います、全然」

 

「ランちゃん、ビーダマンの方じゃないの?」

 

「ああ、そっちでしたか~」

 

「カミサマは言いました、ボンバーマンの派生商品と思ったら

 いつの間にか鎧を着たり漫画になったり対戦競技になったり

 果ては金剛君になったりしたご長寿玩具であると」

 

「違います、全然」

 

「きっと……だーびーぼーる……」

 

「カミサマは言いました、ジャンヌにだって、分からないことぐらいあると。

 ああ、ですがカービィボウルなら分かります。

 カミサマは言いました、ゴールそっちのけで対戦相手をぺしゃんこにしたり

 氷漬けにしたり火だるまにしたりするリアルファイト誘発ゲームであると」

 

「あの、ベーゴマ……ベーゴマです……

 ベーゴマで勝負したいのですけど……よろしいでしょうか……?」

 

「ああ、ベーゴマでしたか~、それならそうと早く言って……言って……」

 

ランスロットがごそごそと凶器入れを探り、スカートのポケットを探り、胸ポケットも探し……

 

「すみませ~ん、部屋に置いてあるので取りに戻っても良いですか~」

 

どうやら見つからなかったらしい。

 

……

 

…………

 

………………

 

「はい、床の準備できましたよ~」

 

「カミサマは言いました、床の準備と聞くとやたらエロスを感じるが、

 ベーゴマの話であると」

 

一瞬頭をよぎった思考を読まれたのかと思い、俺は思わず目を逸らした。

 

「それじゃあ始めましょうか~。

 今度は負けても泣きながら海に飛び込まないでくださいね~、

 あの後捜索隊が出るわ~、ガラハド様から叱られるわ~、大変だったんですから~」

 

「ランスロット! 貴女を倒すために、地獄の底から這い戻ってきました!」

 

「カミサマは言いました、しれっとジャンヌの祖国を地獄呼ばわりするなと」

 

「ああ、すみません、そういうつもりでは……とにかく!

 以前のアーサーとは思わないでください!」

 

「それは巻き方を見ればすぐに分かりますよ~。

 今日はまOこ巻きじゃないみたいですから~」

 

「カミサマは言いました、まOこ巻きとは糸のやや近い位置に二か所結び目をつけ、

 結び目をベーゴマに引っ掛けて糸を巻く、巻きやすい初心者向きの方式であると。

 やたらと卑猥な呼び方だが、信じがたい事にメジャーな呼び方であると」

 

アーサーとランスロットがちOこ巻き方式で糸を巻いていく。

後は、合図と同時に床(バケツと布で作るベーゴマの闘技場の事)にベーゴマを投げ入れれば試合開始だ。

 

「ランスロット、開始前に一つ、提案したい事があります」

 

「なんですか~?」

 

「この一戦、私はベーゴマ100個賭けます。 ですのでランスロット。

 貴女は私や円卓の騎士達から取り上げたベーゴマ全てを賭けてください」

 

「少なめに見積もっても1000個以上はあるのですが~」

 

悲報、円卓の騎士1000連敗。

高々ベーゴマにどれだけ命を賭けているのだろうか。

 

「まあ、元々手放そうと思っていた所ですし~、別に構いませんよ~。

 当然、勝てたらの話ですけど~」

 

ランスロットがキュッときつくきつく糸を引っ張る。

人間離れした、握力だけで人間の頭をスイカ割りの如く破裂させられる、古代英雄一歩手前のフィジカルのランスロットの腕力をもって全力で巻かれた糸がどんなパワーを発揮するか、想像すら及ばない。

それこそ、ベーゴマで人を殺せる……いや、ドラゴンすら屠れるのではと感じてしまう。

 

「練習……されたんですよね」

 

「無論、あの地獄の特訓の成果、今見せます」

 

『きゃあああぁぁぁーーーっ!!』 ゴロゴロゴロゴロ!

 

「アーサー回想シーンおかしいんだけど。

 どう見ても階段で転んで怪我しただけに見えるんだけど」

 

「なら、私も食林寺での修行の成果を見せる事にします~」

 

『この世の全ての食材に感謝を込めて……いただきます』

 

「ランスロットの回想シーンもおかしいんだけど、

 どう見ても頭の上にプリンを乗っけてお辞儀をしてるだけに見えるんだけど。

 2人共ベーゴマ要素が微塵も感じないんだけど。

 そもそも食林寺ってどこなんだっ!?」

 

「アーサー様、ししょーやナポレオンさんが信用できるお方だって事は、私も分かります。

 でも、世界中の全ての人が信用できるとも、

 ナポレオンさん達の次の世代、次の次の世代も信用できるとも思っていません。

 その時、私はブリタニアの人達に清く正しく美しく死ねと……言いたくありません」

 

「世の中はこんなものだ、戦争なんてこんなものだと最初から諦めて、

 どう頑張っても戦いや諍いは起きるのだと諦めて、

 いつまでもいつまでも武器を磨き、人殺しの技を競い合う、

 そんな世の中が正しいとは思いませんし……

 人がそれ程愚かとは思いません、思えません」

 

「汚くて、醜いですよ、人間はどこまでも」

 

「汚くて、醜くても、心の奥底で愛を抱き、平和を望んでいます」

 

「全力で叩き潰しますよ、アーサー様」

 

「全力で挑ませて頂きます、ランスロット。 私の魂を……魂魄を籠めたベーゴマで……」

 

「いざ、尋常に……」

「いざ、尋常に……」

 

 

 

 

 

「「……ちっちのちっ!!」」

 

 

 

 

 

ランスロットとアーサーが同時に……いや、アーサーのみが床にベーゴマを投げ、一瞬遅くランスロットがベーゴマを投げる。

 

「こ、これは……開幕ガッチャクリ!?」←超早口

 

「ガッチャクリ!? 何だそれは!?」←超早口

 

「ベーゴマの投入を一瞬遅らせ、床上の相手のべーゴマに自身のベーゴマに直接ぶつけ、

 一気に勝負を決めるテクニックです。 私の故郷では禁じ手になってます」←超早口

 

「ブリタニアではまだ禁じ手になってませんよ~」←超早口

 

「くっ……卑怯な!」←超早口

 

「しかし、ガッチャクリは正確に相手のベーゴマに当てなければ自爆する諸刃の剣、

 果たして……」←超早口

 

しかし、ランスロットのベーゴマはまるで吸い込まれるかのようにアーサーのベーゴマに突っ込んでいく。

 

そして……ガツーンと衝突、アーサーのベーゴマが勢い良く床の外へと吹っ飛んでいく。

 

「あの角度、あの速度、リリースのタイミングも天才的……

 これは勝負が決まった!?」←超早口

 

「そ、そんな……アーサーッ!!」←超早口

 

「いえ……まだ! まだです!」

 

直後……奇跡が起きる。

アーサーが放ったべーゴマが床の淵数mmの所で踏みとどまり、再び戦線に復帰したのだ。

 

「……かはっ」←超早口

 

「アーサー!?」←超早口

 

瞬間、アーサーが文字通り血反吐を吐いた。

 

「だ、大丈夫です……ジャンヌ様の幼き日々の思い出の詰まったベーゴマ、

 そう簡単に奪われる訳には……」←超早口

 

「カミサマは言いました、別に取られても構わないと」←超早口

 

「とにかく! まだ勝負は終わっていません!」←超早口

 

「へぇ……」←超早口

 

床の上ではアーサーとランスロットのベーゴマが2回、3回、4回と衝突する。

その度にアーサーのベーゴマが床の淵ギリギリまで後退し、ギリギリの所で立ち直る。

 

「うぐっ……あうっ……くっうぅ……」←超早口

 

そしてベーゴマ同士が衝突する度に、アーサーが苦悶の表情を浮かべていた。

 

「あ、あれは改造王様ベー!?」←超早口

 

「知っているのか、ジャンヌ!?」←超早口

 

「王様ベーゴマと呼ばれる大型で肉厚のベーゴマをヤスリで削り、

 見た目だけ普通のベーゴマっぽく見えるように改造したものです。

 見た目は普通でも、重さは段違いに重く……当然、衝撃も安定性も段違いです」←超早口

 

「そ。それじゃあアーサーは……」←超早口

 

「何の変哲も無い普通のベーゴマ……

 つまりこの勝負、ハナっからアーサーが圧倒的に不利です」←超早口

 

「それでも……それでも!」←超早口

 

しかし、アーサーのベーゴマはしつこくしつこくランスロットのベーゴマに食い下がる。

まるでアーサーの信念、アーサーの根性がベーゴマに乗り移ったかのように……

 

「成程、アーサー様も改造ベーゴマでしたか~」←超早口

 

「か、改造ベーゴマだって!?」←超早口

 

目を凝らしてアーサーのベーゴマを見ると、ベーゴマの上に見た事も無いルーン文字に似た紋様が浮かんでいるのが分かった。

それが何を意味するのかは分からないが……

 

「ベーゴマに魂魄の一部を封じ込め、魔法力による操作を可能にする……

 ベーゴマが受けた衝撃が、本人も襲うのですが……」←超早口

 

「それ、ハッキリ言ってイカサマですよ、アーサー様」←超早口

 

「ブリタニアではまだ禁止されていません!」←超早口

 

ある意味凄い開き直りだとも思ったが、それはそれとしてベーゴマ勝負は全くの互角になっていた。

重量の差と、回転の勢いの差を、アーサーは文字通り魂を削るような気迫で耐え抜き、何度も何度も食い下がる。

 

「やりますね~、でも、いつまで保ちますか~?」←超早口

 

「無論、長くは保ちません。 だから……勝負を決めます」←超早口

 

アーサーのベーゴマが再度床の淵ギリギリのところまで後退する。

 

ただしランスロットのベーゴマに弾かれたのではない。

それはプロレスラーがロープの反動を利用して技をかけるかのように。

それは助走をつけて体当たりをする猪やサイのように。

あくまでも敵に渾身の一撃を叩き込むための後退だ。

 

「ランスロット、覚悟ぉっ!!」←超早口

 

そしてアーサーのベーゴマが凄まじい勢いで床の中央、ランスロットのベーゴマ目がけて突撃を開始する。

それは例え重量のある改造ベーゴマといえどひとたまりも無いと確信できる程の速度、勢いの突撃だった。

 

「これで勝負が決まるか!?」←超早口

 

「ランちゃんがベーゴマで負ける!?」←超早口

 

「盛者必衰……諸行無常……」←超早口

 

「カミサマは言いました、あの速度、あの角度、

 奇跡でも起きない限り回避は不可能だと」←超早口

 

「ええ、確かに……勝負あり、ですね……」←超早口

 

「人は……人類はそれ程愚かではない……私は信じます!」

 

アーサーのベーゴマがランスロットのベーゴマ目がけ、さらにさらに加速して突撃する。

 

「驚きましたよ、アーサー様」←超早口

 

「これが私の……アーサーの愛だあああぁぁぁーーーっ!!」←超早口

 

 

 

 

 

「まさかアーサー様が私と同じイカサマを使ってるなんて」←超早口

 

瞬間、ランスロットのベーゴマが不自然な動きをしてアーサーのベーゴマをひょいっと避けた。

 

 

 

 

 

「……え?」

 

アーサーが呆然とした表情で口をあんぐりと開ける。

直後、アーサーのベーゴマがその勢いのまま床からポーンと飛び出した。

 

「勝負あり、勝者ランスロット!」

 

何が起きたのかと呆然とするアーサーの目の前で、ジャンヌがランスロットの右腕を高々と上げる。

 

「あ。あのう……今のは、イカサマでは……」

 

「ブリタニアではまだ禁止されていませんよ~、アーサー様~」

 

それはついさっきアーサーが言った台詞だ。

ぐうの音も出ない完全敗北に、アーサーががっくりと膝をついた。

 

「あ、貴方様……ジャンヌ様……ごめんなさい、勝てませんでした……」

 

「まあ、勝敗は兵家の常って言うし、気にし過ぎない方が良いと思うぞ」

 

「カミサマは言いました、ドンマイと」

 

「はい、このように~、こっちがどんなにお上品に戦っても~、

 相手はお上品に戦ってくれるとは限りませんので~、

 備えは常にしておきましょ~」

 

「汚い、流石ランちゃん汚い」

 

「汚いは誉め言葉です~」

 

しかも新米騎士向けの戦訓に使われ、アーサーの威厳が見事に崩壊した。

 

こうして、アーサーは見事に21連敗を喫し、ランスロットに手持ちのベーゴマを1つ残らず奪われ……たかに思われた。

 

「ほぅ、つまり今までずっとイカサマを使って連勝し続けてたという事か」

 

「随分と面白い事をしているのねぇ、ランスロット」

 

……直後、アーサーの腹心の部下にして、ランスロット達の上司であるガラハドとガウェインの声がした。

 

瞬間、ランスロット達3人の両肩が硬直し、冷や汗が止めどなく溢れてくる。

 

「それじゃあランスロット、

 今度はなんでもアリのバーリトゥードルールでやりましょうか。

 まさか逃げ隠れしようとは思わないわよねえ?」

 

「我等だけならばともかく、アーサー様をイカサマで謀り、

 泣かせた罪は重いぞ、ランスロット」

 

「そうね、ブン殴って10カウント以内に立ち上がれなければ負けというのはどうかしら?」

 

「面白い、乗った。 丁度目の前の性悪娘共を全力で殴ってやりたくなっていた所だ。

 先に言っておくが、タンコブの2~3個ですむとは思うなよ」

 

「えっと確か……親指を目の中につっこんで殴り抜けるんでしたっけ?」

 

「ああ。そう言っていたな。

 お上品とはとても言えないが……まさか卑怯とは言うまいな?」

 

ガラハドとガウェインが指をぽきぽきと鳴らしながらランスロット達に近づいてくる。

その様子はとても友好的には思えないし、およそお上品に戦ってくれそうにもない。

 

「ああ、あのその……イカサマはランちゃんが勝手にやった事で……

 私は全然知らなかったという事にはしてくれませんでしょうか……」

 

「ああ、ずるいですよ~! ボールスさんが一番ノリノリだったじゃないですか~!」

 

「記憶にございません」

 

ボールスはしれっと言い放つも、頬を伝う冷や汗で内心の動揺を隠しきれていない。

 

「あの~、最初は普通に戦ってたのですが~」

 

「途中からだんだん面倒臭くなって、王様ベー削ったり、床に細工したり、

 ガッチャクリしたり、テレキネシスのちょっとした応用でベーゴマを操作したり……

 ムキになって100回も200回も勝負を挑んだ

 ガウェイン様達にも責任の一端はあるって事で、少しくらいは情状酌量の余地は……」

 

「無いな」

 

ガラハドがバッサリと切り捨てた。

 

「勝負の直前に酷い腹痛になったのも貴女達の差し金だったのかしら?」

 

「急に用事を……思い出し……」

 

パラメデスは逃げ出した。

 

「あっ、こら! パラっちだけ逃げようとしないでよ!

 死ぬ時は一緒って約束したっしょ!!」

 

「そ~ですよ~!

 我等生まれた日は別々でも、死ぬ時は同じって言ったじゃないですか~!?」

 

しかし、回り込まれてしまった。

 

「うぐっ! お、おかしい……こういう不幸な目に遭うのはトリスタンの役割のはず……」

 

「つまり3人共犯か、どうやら纏めて氷柱になりたいようだな」

 

「い、良いんですかガラハド様ぁ~!

 この件を追求したら、ベットの下に隠してたえっちな本の内容、

 ししぉーにバラしちゃいますよ~!」

 

「遠征から戻ったら机の上に置かれてるのは貴様の仕業かぁっ!!」

 

「ランちゃん逆効果! それ逆効果だよっ!!」

 

「でも興味ありません~? ガラハド様がどういうえっちな本を買ってるのかとか~」

 

「それは……王様はどう思う? やっぱ気になる?」

 

「え。そ。それは……気にならないと言えば嘘に……」

 

「話を逸らすな貴様らぁっ!!」

 

「覚悟しなさいランスロットッ!」

 

「きゃあああぁぁぁ~~~っ!!」

「わーっ! やっぱ誤魔化せなかったぁっ!!」

「おかしい……これはトリスタンの役目の筈……」

 

直後、ガラハドとガウェインが全力でランスロット達3人に詰め寄り、まるでトムとジェリーのような追いかけっこが始まった。

 

「ランスロット!! 待ちなさ~い!!」

 

「敵に背中を見せるとは、騎士道不覚悟だぞ貴様ら!」

 

「パラっち、今のトコ一番ヘイト買ってるのはランちゃんっぽい。

 ランちゃんパージして逃げよう!」

 

「……えっ?」

 

「らじゃー……ぐっばいランスロット、あとで骨くらいは拾っておく……」

 

「え? えっ?」

 

「ランちゃんなら自力でどうにかするって信じてるから!」

 

次の瞬間、パラメデスはパルクールで城壁を飛び越え、ボールスは川に飛び込んで離脱した。

1人取り残されたランスロットを取り押さえようと、ガウェインとガラハドが一直線に向かってくる。

 

「べ、ベ……ベーゴマはもう懲り懲りです~~~っ!!」

 

雲一つ無い澄み切った青空に、ランスロットの悲しい叫びが響き渡った。

 

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