ポケモン世界に転生したと思ったらミカンちゃんだったのでジムリーダーになることにした。【完結】   作:木入香

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 以前5話にて、クチートに特殊技を使わせないのは、ガチっぽくてポケスペっぽくないからだと言いました……が、あれ、撤回します。
 つまり、特殊技を解禁します。
 組み合わせを見て、使用ポケモンを割り振った時に、あれ、これ特殊技入れた方が面白いんじゃね? と思ったのが理由です。
 ということで、主将vs主将ではクチート登場をネタバレします。まぁバレた所で何も問題ないですけどね。
 ちなみに、どんな技を使うのかはお楽しみにということで、お待ち下さい。

 今更ですが、あくまでポケスペっぽい技構成で考えていますので、ゲームのオンライン対戦のような技攻勢では一切ありません。ご了承下さい。
 ゲームでは技の紹介はほんの少ししかありませんので、その技の解釈やそれが及ぼす効果を妄想するのが楽しいです。

 では遅くなりましたが、第1回戦、マチスvsイブキです。どうぞ。


第14話 vs コモルー

≪第1試合! クチバジムのマチスさん対フスベジムのイブキさん!≫

 

 クルミさんのアナウンスで第1試合を行うメンバーだけがステージに残り、残りの私達はジョウト、カントーに別れてステージを(はさ)んで対面する形で、ステージ下の待機スペースに座ります。剣道や柔道の団体戦のようですね。

 この試合は通常のリーグ戦の6vs6とは異なり、手持ち6匹の中から2匹を選出して行う2vs2です。ポケスペ本編と違いますが、細かい所ですし、そもそも本編でもほとんどが2匹以下。3匹以上使用したのはシジマさんくらいですので、このルールでも全く問題ないと思います。

 そして、2匹の内、1匹でも戦闘不能になってしまったらその時点で負けとなってしまいますので、交換のタイミングを見極めることも重要です。

 

≪試合開始です!≫

 

 合図と共に、両者とも手に持ったモンスターボールを投げます。そこから飛び出して来たポケモンは……

 

≪マチスさんはエレキブル! イブキさんはコモルーを出しました!≫

 

 何でですか!

 何で4世代のエレキブルと3世代のコモルーがいるのですか! いや、エレキブルはエレブーの進化形ですので、持っていても不思議ではないといえばそうですが、それにしてもコモルーですか。ボーマンダの進化前のポケモンで、見た目の通り防御が高いです。

 

「フンッ、最初から全開だ! 【ばくれつパンチ】!」

「【まるくなる】!」

 

 思いっ切り殴りに掛かりましたね。それに対してイブキさんは守りを選択しました。直撃を食らうとあまりの衝撃に脳が揺れて混乱状態に(おちい)ってしまう【ばくれつパンチ】ですが、強力な分、大振りになることで見切りやすく、(はず)しやすいのが欠点です。それにゲームと違って当たれば100%混乱ですが、この世界ではまともなダメージがなければ混乱にまでは(いた)りません。無傷とは言えませんが。

 そこを出来るだけダメージを抑える為の選択が【まるくなる】ですか。身体を丸めることで受け流しやすくし、ダメージを最小限に(とど)めています。

 

「ちっ、まだまだ! 【ばくれつパンチ】!」

()けろ!」

 

 追撃が来ますが、身体を丸めていたことでそのまま転がって回避します。しかし、更に続けて【ばくれつパンチ】を放ってきます。

 

「きりがない。ならば【こわいかお】!」

 

 足の遅いコモルーにとって、動きが速くパワーもあるエレキブルの猛攻(もうこう)をいつまでも(かわ)せません。それを分かっているから早めに対処として素早さを奪う【こわいかお】ですか。

 対面していなければ意味がありませんが、マチスさんのエレキブルは何度も外れた【ばくれつパンチ】を今度こそ当てようと、しっかりと相手を見つめています。それによって目が合ってしまい、技を食らってしまいました。

 

「なっ! しっかりしろ!」

 

 コモルーは、全身が分厚く(かた)(から)(おお)われています。その為に、顔が見えないのでどのような表情をしたのか分かりませんが、エレキブルの(ひる)み具合を見るに、中々の迫力があることが想像出来ます。

 

「意外やな」

「? 何がですか?」

 

 隣に座るアカネさんが話し掛けてきました。

 

「いやな、イブキさんは本来なら強力なドラゴンポケモンで力押しするタイプやったん?」

「まぁそうですね。ただ、同じ攻撃でも緩急(かんきゅう)を付けることで行動を読ませず、確実に疲弊(ひへい)させて最後に強力な一発を食らわせるというのが上手かったと思います」

「そうやねん。それがいつの間にか、あぁやって変化技を使(つこ)うて場を支配する戦い方を身に付けとる。一体誰の影響やろうな?」

 

 そう言ってこちらを見つめてきます。

 

「私だと言うのですか?」

「他に誰がいんねん。まぁ、1つの戦い方に(こだ)らず色々出来た方が、幅が出来るんは理解出来るんやけどな……やっぱ、自分本来の得意を生かした戦い方が1番慣れているからな。中々変えられんのや」

「それはそうですね」

 

 アカネさんの言う通り、自分のやり方よりもより良いやり方があったとしても、長いこと続けてきた慣れたやり方を捨てることは非常に難しいです。しかし、目の前で戦っているイブキさんは、本来の自身のスタイルを変え、変化技を(もち)いた戦い方を身に付けています。つまり、アカネさんの言葉を借りるなら幅が出来ているということです。

 

「強いですね」

「せやな」

 

 言葉を()わしつつ目の前で繰り広げられる戦いに目を向けます。

 

「これじゃあ(らち)が明かねぇ! おいこら! いつまでも引きこもってんじゃねぇ! 【ちょうはつ】!」

 

 素早さを下げられてからも何度か攻撃の機会を(うかが)っていたエレキブルでしたが、【こわいかお】を直視してしまったことで、それからも顔を見ていないにも関わらず、脳裏(のうり)に相手の顔が浮かぶのか、所々で動きが(にぶ)いように感じました。

 動きが遅くなったのならば、足の遅いコモルーでも大振りの【ばくれつパンチ】を躱すことは難しいこともなく、仮に当たったとしても身体を丸めたまま転がっての移動なので、そこまでダメージにはなっていません。

 しかし、その状況を打破すべくマチスさんはエレキブルに【ちょうはつ】の指示を出しました。これに怒ったコモルーは、身体を丸めるのを()めて攻撃態勢(たいせい)に入ってしまいました。

 

「仕方ないな。ならば【かえんほうしゃ】!」

迎撃(げいげき)だ! 【ほのおのパンチ】!」

 

 炎技に炎技をぶつけることで相殺(そうさい)を狙ったのでしょうか。どこまでダメージを抑えられたのかは分かりませんが、少なくとも炎の腕でコモルーの【かえんほうしゃ】を受け止めたことで火傷(やけど)()うことを避けているよう見えます。

 

「【りゅうのいぶき】!」

「はん! 気合いで押し切れ!」

 

 【りゅうのいぶき】は、副次(ふくじ)効果で麻痺(まひ)を与えます。しかし、電気タイプは麻痺になりません。それを熟知(じゅくち)しているであろうマチスさんは、気にせず攻撃の指示を出します。

 

「お返しだぜ! 【ほうでん】!」

「なっ!」

 

 至近(しきん)距離でまともに受けてしまったことで、コモルーが大きく後退します。そして(ひざ)を付いてしまいました。すぐに立ち上がろうとしますが、(しび)れているのかその動きは遅いです。

 やはり、あの【ばくれつパンチ】のラッシュは、コモルーにとって痛手だったようです。混乱こそ()けましたし、ダメージも最小限に留めていましたが、それでも確実に蓄積(ちくせき)されていたようで、それが今の【ほうでん】の直撃で体勢が崩されてしまいました。

 しかし驚きなのはマチスさんのエレキブルのスタミナです。あれだけ体力を使うであろう強力な【ばくれつパンチ】を何発も放ち、コモルーの【かえんほうしゃ】や【りゅうのいぶき】を食らいながらも反撃し、それでいてまだピンピンしています。

 

「戻れコモルー!」

≪ここでイブキさん、コモルーをボールに戻しました。次に出してくるポケモンは何でしょうか!≫

「行け! キングドラ!」

 

 イブキさんと言ったらやはりキングドラですよね。

 

「何が来ようと関係ねぇ! いくぞぉぉおおお! 【ほうでん】!」

「【たつまき】!」

 

 激しい風を起こして【ほうでん】を散らしてしまいます。そして、その風の勢いに、エレキブルは少し怯んでしまった様子。しかし、その目の闘志は消えていないようです。

 

「だったら【ばくれつパンチ】!」

「左へ()けろ!」

 

 迷うことなく次の技を叫びます。マチスさんは本当に思いきりが良いですね。元ロケット団の幹部というのは良くないですが、この豪快(ごうかい)な性格は組織の特攻隊長として、先頭に立って部下を引っ張るに良いですね。仲間想いですし、多くの部下に(した)われるのも分かる気がします。

 ただ、その【ばくれつパンチ】は散々使ったことでイブキさんにはタイミングが読めているはずです。それを証拠に、初見であるはずのキングドラですが余裕を持って()けることが出来ています。

 また、エレキブル自身のスタミナが切れてきたこともあると思います。あれだけ強力な技を連発してまだ元気に暴れているのも驚愕(きょうがく)ですが、それでも無尽蔵(むじんぞう)という訳ではないはずです。いずれ体力切れで膝を付くのは明白です。それを分かっているのか、マチスさんは1つ溜め息を()くような仕草をして、エレキブルをボールに戻しました。

 

「仕方ねぇ、だったら!」

 

 そう言って繰り出されたのはコイルでした。

 ポケスペ本編でも対抗戦(エキシビションマッチ)でマツバさんとの試合に()いてコイルを使い、最後は【でんじほう】を決めた場面は最高に格好良かったと記憶しています。結果はマツバさんのムウマによる【みちづれ】によって引き分けになってしまいましたが、あの戦いはまさにマチスさんらしい戦いだったと思います。

 

「とにかく動き回れ!」

 

 技を繰り出すでもなく、キングドラの周囲を素早く移動します。

 

「何をするつもりかは知らんが、無駄だ。【たつまき】!」

 

 コイルの進路を妨害する形で竜巻が発生します。しかし、先程のエレキブルで見せた豪快さとは打って変わって、マチスさんは至って冷静に様子を見ています。

 

「今度はこっちだ!」

「だから無駄だと!」

 

 またも【たつまき】を繰り出し、動きを防ぎます。するとステージ上にはいつの間にかいくつもの竜巻があり、それによって気流が荒れ放題です。

 

「こうもいくつも竜巻があれば、そちらは満足に動けまい? 何が狙いだ?」

「はん! んなこと言う訳ねぇだろ!」

「それもそうだな。【みずでっぽう】!」

「っ! 【ひかりのかべ】!」

 

 【たつまき】によって動きが制限された所に、すかさず【みずでっぽう】が放たれます。その水球は細く(するど)くそして速く、まるでスナイパーライフルの弾丸のようです。【ハイドロポンプ】の水量ではこのような繊細(せんさい)な攻撃は出来ません。そもそも【ハイドロポンプ】はその水量で相手を吹き飛ばす技ですので、的確に一点を狙うよりもそれよりも大きい面で攻撃する技ですから使い方が違いますね。それに、もっと広い面で押し流すのでしたら【なみのり】がありますね。

 そんな弾丸のような水球ですが、コイルの【ひかりのかべ】によって威力が弱められ、また角度を付けていたことで命中には至りませんでした。ただ、一瞬判断が遅ければ、あの鋭い水の弾によって(つらぬ)かれていたかもしれませんね。

 

「なるほどな。【たつまき】によって動きを封じたつもりだったが、こちらからの技の軌道(きどう)(しぼ)らせることが目的だったか」

 

 なるほど、設置型の補助技である【ひかりのかべ】を有効活用するには技のコースを少なくする必要があり、それをさせる為にあえて動き回って相手に【たつまき】を撃たせたということですか。ですが、竜巻によって動きを封じられているのはコイルだけです。キングドラは自身が生み出した技なので、悠々(ゆうゆう)と動き回ることが出来ます。このままではジリ貧ですが、何か突破の手段でもあるのでしょうか?

 立場的にジョウト側であるイブキさんを応援すべきなのですが、マチスさんの真意が知りたいと思い、ついつい考えてしまいます。

 

「だが、そちらは自由に動けないのに対し、こちらは制限がない」

「はんっ、それは勘違いだぜ! 周りをよく見な!」

「っ! これはっ」

 

 いつの間にか、キングドラの周囲には無数の金属の欠片(かけら)が浮遊していました。これは一体……いえ、もしかして……

 

「遅いぜ! 【マグネットボム】!」

「くっ、キングドラ!」

 

 すぐに反応したイブキさんは、キングドラに()けるよう指示を出しますが、無数の金属片(きんぞくへん)殺到(さっとう)されたことで逃げ道を失い、一部を食らってしまいました。

 しかし、通常の【マグネットボム】よりも明らかに小さく、また金属片が多いです。そもそも技名にボムが付くように、相手に吸い付く小型爆弾のような技です。にも関わらず爆発したのはほんの一部で、その他多数の金属はキングドラに貼り付いた状態のままです。

 それと、いつ技を出したのでしょうか。しかも不発がほとんどだったとはいえ、あれだけの数の金属片を周囲に設置……あ、あの時ですか!

 私が答えに辿(たど)り着いたとほぼ同時に、イブキさんも気付いたようです。

 

「あの時、動き回っていた時か!」

Exactly(正解だぜ)! あの時、地面にあらかじめばらまいておいたのさ! それをご丁寧にお前のキングドラが【たつまき】で拡散してくれたおかげで、こっちも包囲網(ほういもう)が出来たぜ」

「この程度で舐めるな。実際、ほとんど不発ではないか。コソコソとやったつもりだろうが、結果としてこちらにはほとんどダメージがない」

「いーや、そのくっついている不発弾のおかげで、キングドラの機動力が落ちた。これで技が当てられる(・・・・・・・)ぜ」

「ならば、追撃を受ける前に片を付けないとな」

「あん?」

「【とぎすます】」

 

 その言葉の直後、キングドラは動きを()め、ジッと相手のコイルを見つめます。その行動にマチスさんは笑みを浮かべます。

 

面白(おもしれ)ぇ、その技こっちにも使わせろよ」

「何だと?」

「【じこあんじ】」

「なっ!」

 

 【とぎすます】はジッと相手を見つめて集中し、次の攻撃を確実に急所に当てる技です。それをマチスさんは【じこあんじ】を使うことで、コイルにも【とぎすます】状態を作り出します。

 キングドラ側は体表に貼り付く大量の金属片によって動きが制限され、コイル側も周囲の竜巻によって身動きが出来ない状態です。その中での両者【とぎすます】による急所狙い。

 これはつまり、次の攻撃で勝負が決します!

 

「ここは西部劇のGunman(ガンマン)らしく、一撃で決めようじゃねぇか」

「フンッ、負けんぞ」

「こちとら本場だ。負ける道理がねぇ!」

「時代が違うだろ?」

「うるせぇ!」

 

 辺りは竜巻によって発生した暴風がけたたましい程に音を()き散らしているはずですが、不思議と音の中心点である2者の間には無音の状態のように見えます。それ程にまで緊張し、集中しているということでしょう。

 

「行くぞぉぉおお! 【でんじほう】!」

「【オーロラビーム】!」

 

 2つの異なる光の線がぶつかり、盛大に爆発しました。




 あえてここで切ることでポケスペ風を演出。
 結果は次回へ続きます!
 そして第2試合のアンズvsアカネが始まります。こうご期待。
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