ポケモン世界に転生したと思ったらミカンちゃんだったのでジムリーダーになることにした。【完結】 作:木入香
ということで、第6試合。シジマvsタケシの試合をどうぞ。
≪それでは第6試合! ニビジムのタケシさん対、タンバジムのシジマさん! 試合、開始です!≫
「改めてニビジムのタケシだ。鉄にも負けない硬い岩が自慢だ」
「うむ! タンバジムのシジマだ。ならばその硬い岩をも我が拳は打ち
「「勝負!」」
どちらも熱い男ですから、年齢差はありますが結構気が合いそうですね。
「行け! ズガイドス!」
「オコリザル!」
タケシさんはズガイドスですか。ポケスペ本編では
「【からてチョップ】!」
「【アイアンヘッド】!」
急所に当たりやすい【からてチョップ】を
「
「こちらも鍛えているんでね! 言っただろ? 硬いのが自慢だ! 押し返せ!」
「む!
オコリザルとズガイドス。どちらも平均の体長は1m程度で、体重も31kg前後とサイズはほぼ同じです。まぁジムリーダーのポケモンですので、戦法に合わせて身体作りをさせ、体重を増減させているでしょうが。
恐らく、オコリザルは軽いフットワークを得る為に
「【みだれひっかき】!」
「まだ耐えろ! 【アイアンヘッド】!」
効果が抜群な格闘技を食らっても一歩も引かないズガイドスを相手に、今度は手数で攻めるオコリザルに対し、タケシさんの方は
頭こそ硬いですが、それ以外の部位は普通にダメージをもらってしまう上に、相手の方が素早いので、一見互角に見えて結構ジリ貧の様子です。ですが、タケシさんもズガイドスも焦っている様子はなく、ただ
「っ! 【きあいだめ】!」
4度目の衝突で、ついに【アイアンヘッド】によって
「【しねんのずつき】!」
「オコリザル!」
大きく飛ばされたオコリザルは、ステージから落ちるギリギリの所で止まりました。
「あ、もしかして、入っちゃった感じですか?」
「あー、そうやろうな」
「うむ」
シジマさんのオコリザルの特性は【いかりのつぼ】です。
瞬間、オコリザルは怒声というより
【いかりのつぼ】は、急所攻撃を食らうと攻撃力が跳ね上がる。ゲームでは最大まで一気に上昇する特性です。
そしてただの急所ではありません。ぶたざるポケモンとしての象徴である鼻を攻撃されたのです。その行為は
「【げきりん】!」
そして、
「【あばれる】!」
そこで相手が取った手段が、同じように本能のまま暴れ
互いに防御を捨てて、ひたすら
これは、ポケモンバトルというよりも、ただの生存競争にしか見えません。普通の一般トレーナーのポケモンであれば、この技を使った時点で完全にトレーナーの制御を離れて無差別に攻撃を始め、最悪トレーナーにも危害を加える恐れのある危険な技です。ですが、目の前で戦っているのはジムリーダーのポケモン。本能に身を任せているとはいえ、ギリギリの所で理性を保っていることで、見苦しい
というか、オコリザルは【インファイト】使えるのですから、それで良いのではないんですかね? あ、そういうツッコミは
互いの攻撃が終わりを見せたのはほぼ同時でした。2匹ともすっかり疲れ切ってしまい、ほとんど動けない様子です。しかし、スタミナはまだほんの
ただ、シジマさんもタケシさんもその状態での試合の続行は
「これ程の猛攻を
「それはこっちもだ」
「次はこうはいかんぞ?」
「それはこちらもだ。勝ってみせる!」
「ゴウカザル!」
「ルナトーン!」
タケシさんが彼の代名詞であるイワークを出さなかったことに私は1人、こっそりと
そこはイワークじゃないんですか!
そんな私の思いを
「【ロックカット】!」
「【マッハパンチ】!」
自身の身体の余分な部分を
「【コスモパワー】!」
すると、ルナトーンの周囲にキラキラと輝く光の粒子のようなものが浮かび上がります。神秘的な輝きによって物理防御と特殊防御を上昇させる技。素早さに加えて防御面もカバーしてきましたね。
「このまま好きにはさせん! 【ニトロチャージ】で追い掛けて【アクロバット】!」
「【チャージビーム】で迎え撃て!」
素早く逃げながら攻撃するルナトーンに対し、炎をまとって接近しつつも【チャージビーム】が直撃する寸前に【アクロバット】によって空中で身を
「まだだ!【チャージビーム】!」
「避けろ!」
しかし、接近していたことが
通常の【アクロバット】の動きでしたらギリギリ
「威力が上がっていますね」
【チャージビーム】は使用すると高い確率で特殊攻撃力が上昇する技です。それによって、1発目よりも2発目の方が威力もビームの太さも大きくなっていたということです。
ゴウカザルにサブウェポンで【だいもんじ】などを
相手は離れた位置から一方的に攻撃出来、こちらは接近しなければ攻撃が届かない。しかも相手は【ロックカット】で素早さを、【コスモパワー】で防御面をカバーしていますので接近も簡単なものではなく、また接近が出来たとしてもあの防御を抜くのは難しいものと思います。
そんな移動要塞が出来つつある相手にも、シジマさんは一切表情を変えることなく指示を飛ばします。
「とにかく相手に近付け! そうでなければ勝てんぞ! 【ニトロチャージ】!」
「【サイコショック】!」
「【アクロバット】で避けろ!」
「まだまだぁ! 【チャージビーム】!」
「地面に向かって【マッハパンチ】!」
「着地した所を狙え! 【サイコショック】!」
「【ニトロチャージ】で踏み込め!」
ルナトーンの激しい攻撃を
炎をまとって突撃することで素早さを上げる技ですが、体温を上げて血流を速くすることで各部の筋肉への酸素供給量を増やし、素早さの上昇を実現しているものと思われます。
そして、ついにルナトーンを
「くっ、だが、この防御はそう
「
超至近距離で放たれた技を、その軽い身のこなしで躱して
≪ルナトーン戦闘不能! 勝者、シジマさんです!≫
目前に迫る【サイコショック】をギリギリの所で避けつつも更に接近し、その右腕を伸ばしてルナトーンを殴り付けたことで相手は一気に体力を削られ、戦闘不能となりました。
相手の能力が上昇している程に技の威力が上がる【おしおき】ですが、最大威力を叩き込む為には相手の能力が出来るだけ多く上昇していることが求められます。それ
【ロックカット】や【コスモパワー】では足りない分の威力を【チャージビーム】によって
威力を最大にする必要があったのは【コスモパワー】によって上昇した防御補正はそのまま生きるからです。また、何度も派手に接近しようという動作をすることで、【コスモパワー】をさせる
試合中はそんな所まで冷静に見ることは出来ませんでしたからね。
相手の能力上昇によって最大威力となり、更に悪タイプの技である【おしおき】は岩に加えてエスパータイプであるルナトーンには効果抜群です。ですから、たった一撃とはいえ戦闘不能という結果になったということです。
「まだ向こうの体調は戻らないようですね。ということは、次はオレですかね?」
そう言ってハヤトさんが立ち上がります。
恐らくロケット団が来るまではカツラさんは戻ってこられないと思います。となりますと、このハヤトさんとエリカさんの試合が終わると、いよいよ私とグリーンさんの試合となりますね。
今からドキドキしてきました。
無駄技を上手く作品内で使って決めることが出来ると楽しいです。
ゲームでは基本採用されませんからね。
結果から見れば順当なのですが、その試合内容は結構激しいものです。
もしかしたら
楽しいですけど、戦闘描写は書くの大変ですね。本当に。