ポケモン世界に転生したと思ったらミカンちゃんだったのでジムリーダーになることにした。【完結】   作:木入香

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 ようやく対抗戦(エキシビションマッチ)最終戦です(カツラさんの出番はなく、ポケスペ本編通りに進めております)。
 1試合で1話使っていますので、対抗戦だけで7話も稼ぎました。長かったですね。もう戦闘描写いらないですよね?w
 ポケスペ本編ではグリーンがシルバーと遭遇し、その後にエンテイに出会いますが、一応本作でもそのイベントをこなしております。
 ただシジマとの試合はありませんでしたが、シジマ(師匠)の試合を観戦するということで、本編通りのタイミングでグリーンの姉、ナナミさんに連れ戻されます。


第20話 vs ドサイドン

≪さぁいよいよ始まります、カントー地方対ジョウト地方のジムリーダー対抗戦! 主将戦です! ポケモン協会や各ジムリーダー達の推薦(すいせん)によって選ばれた、まさに実力者の中の実力者!≫

 

 実況のクルミさん、(あお)りますね……私は緊張が半端(はんぱ)ないんですけど。相手のグリーンさんは慣れているというよりも緊張とは無縁のようで、すごく落ち着いていますね。

 

≪それでは皆様ステージへご注目! トキワジムのグリーンさん対、アサギジムのミカンさん! 主将戦……開始です!≫

 

 すると、私もグリーンさんもモンスターボールを6個投げて、6匹の手持ちを(さら)します。

 

≪おおっと! これは! 両者ともいきなり手の内を見せに来ました! この中から2匹のポケモンが選ばれて戦うことになりますが、さて、最初に何を出してくるのか!≫

 

 私の方は技構成を一部変更していますが、いつものメンバーですね。

 レーちゃん(レアコイル)ルーちゃん(ハガネール)ムーちゃん(エアームド)クーちゃん(クチート)ラーちゃん(ココドラ)クラウン(エンペルト)です。

 そして、相手は……ギャラドス、ピジョット、ウィンディ、フーディン、ナッシー、ドサイドンですか。

 

「前回のポケモンリーグの時とは、随分(ずいぶん)とメンバーが違うみたいですね」

「あぁ、ジムリーダー就任後に、修練(しゅうれん)として1から育て直した」

「なるほど。では、お願いしますね。ジムリーダーの先輩として恥じないような戦いをしたいと思います」

「ふん、実力の高さは聞いている。こちらも油断なぞしないし遠慮(えんりょ)もしない」

「分かりました。クーちゃん(クチート)

「ドサイドン!」

 

 それぞれ1匹だけ残して残りのメンバーをボールに収めます。私は、クーちゃん(クチート)を可愛がり応援する仕草(・・)をする為にしゃがみ込みます。

 

「ちっ、【いかく】か」

「はい」

 

 クチートと言えば大きなアゴを相手に向けることによる【いかく】です。そしてその間は相手に背を向けた体勢という面白い特徴のポケモンです。

 

クーちゃん(クチート)今日も可愛いですね。終わったらお菓子買ってありますから、頑張りましょうね?」

 

 (あざむ)きポケモンであるので、私のこれが演技であることは理解しているはずです。実際に、目をキラキラとさせながらも、一瞬も相手から意識を逸らすことをしないという器用なことをしています。あ、お菓子は本当ですよ?

 

「……」

 

 警戒(けいかい)しているのか、今のやり取りを(あき)れて見ているのか、速攻では来ませんね。私の今の姿勢では、グリーンさんの姿を確認することが出来ません。ドサイドンとクーちゃん(クチート)によって私の姿がほとんど見えないようにしています。

 チラリと彼女の影から相手のドサイドンの様子を(うかが)うと、アゴをチラチラと見つつ目を逸らしたりしています。

 ふむ……

 (まばた)きの頻度(ひんど)間隔(かんかく)、目を逸らすタイミング、向き、時間。なるほど、ジムリーダー就任からの短い期間で育てたにしては、かなりの練度(れんど)ですね。ですが、穴はあります。そこですね。

 グリーンさんの立ち位置は、ドサイドンの真後ろということではありません。体長は2mを優に超え、胴回りもガッシリとした身体付きのドサイドンの真後ろに立っていたのでは、相手のポケモンの様子が分かりません。ですので、右後ろから、私から見て左側に位置しています。

 私からはグリーンさんの様子は分かりません。ですが、クーちゃん(クチート)がチラチラとアゴを前にしたまま後ろを振り返って、ドサイドンの様子を見る振りをしてグリーンさんを盗み見してくれています。それをアイコンタクトで伝えてもらいながら、タイミングを(はか)ります。

 私がドサイドン(ポケモン)を観察し、彼女がグリーン(トレーナー)さんを見るという不思議な状態ですね。

 

≪さぁ試合開始して10秒以上経過しましたが、お互いに動きがありません! これは両者とも警戒しているのでしょうか! しかし、ミカンさんの方は思いっ切りクチートを可愛がっていますね。その様子も可愛いと思います!≫

 

 実況は聞き流すとして、その数秒の間に情報は得ました。行きますよ?

 グリーンさんの瞬きとドサイドンがこちらから見て左へ目を逸らしたタイミングで、スッと音もなくクーちゃん(クチート)が右へ回り込むように動き出します。

 

「っ! 消えたっ? っく、左だ!」

 

 瞬きはほんの一瞬です。それなのに、その瞬間に相手のポケモンの姿がなく、しゃがんだ私だけがいる状況に、すぐに反応して指示を出します。

 

「【アームハンマー】!」

 

 そしてそれに反応して太い両腕を振り下ろし、接近していたクーちゃん(クチート)を叩き潰そうとします。そこまでの流れの中で、グリーンさんはクーちゃん(クチート)の位置を目視していませんが、トレーナーとしての経験か、勘か。いずれにせよ、感覚によって正確な指示を出しましたね。

 ガキンッ!

 これまたシジマさんとタケシさんの時のような、硬いものと硬いものが激しく衝突(しょうとつ)した音が響きます。ドサイドンの腕と彼女のアゴがぶつかったのです。しかし、上手(うま)いこと技を流したことで、音の割にはこちら側にダメージはあまりありません。HPで言えば3分の1程(けず)られた程度でしょうか。

 そして、一瞬離れた時に、すぐさまクーちゃん(クチート)がアゴを大きく開けて襲い掛かります。それを目視で確認したグリーンさんが「受け止めろ!」と叫びます。

 

「くっ、攻撃していない(・・・・・・・)のに【ふいうち】だと?」

「いいえ? 普通の移動ですよ? ただ、ちょっとした”()”を利用させて頂きましたが」

「……そういうことか」

 

 理解するの早過ぎじゃないですかね?

 

「だが、ここからどうする?」

「どうするとは?」

「自慢のアゴを封じられて、本体の攻撃も届かない状態だ。そこからどう仕掛けるつもりだ?」

「うーん、そうですねー」

 

 と、すっとぼけながら立ち上がり、目を上に向けます。

 

「まだ、暑いくらいに輝いていますね」

「何? っ! ドサイドン! すぐに投げ飛ばせ!」

「遅いですよ」

 

 投げ飛ばす前に咄嗟(とっさ)に手を離してしまったドサイドンの両手は、火傷(やけど)していました。

 

「【ほのおのキバ】……」

「エリカさんには感謝です。おかげで火力を(おぎな)うことが出来ました」

 

 そうです。何と(いま)だにステージの上ではエリカさんのロズレイドが使用した【にほんばれ】によって生み出された疑似(ぎじ)太陽が輝いていたのです。ポケモンの技量によって光量や時間が左右されるとは言いますが、それでも長すぎです。”あついいわ”でも持たせているんじゃないんですかねと思う程の長さと暑さです。肌が汗ばみワンピースの下の肌着やスパッツが皮膚(ひふ)に貼り付きます。

 そして、アゴを両手で(つか)み、噛み付かれないようにしていた所にキバに炎をまとわせたということです。熱したフライパンに触れるようなものです。いえ、それ以上に炎そのものですから、更に熱いはずです。岩タイプであっても、流石(さすが)(こら)えられなかったようで手を離してしまいました。しかしこちらも追撃をせずに距離を開けます。

 

「【メガホーン】!」

 

 【いかく】と火傷によって持ち前のパワーが十全に生かせない状態とはいえ、それでもやはり並み居るパワーファイターです。大きなツノを振り回して攻撃してきます。

 動揺(どうよう)を見せずにすぐに対応する辺り、本当に優秀なトレーナーさんで、それに(こた)えるドサイドンもよく育てられています。

 ただ、先程のやり取りの後に追撃させずに距離を取るようアイコンタクトで伝えてありましたので、ツノが届かない範囲にまで離脱することに成功しています。

 私が右腕を前へ突き出すと、クーちゃん(クチート)はその場で頭の大アゴを開き、相手へ向けます。そこに集束される光。それは本来ならもう少しチャージする必要があるもの。ですが、この天候がそのチャージ時間をなしにしてくれます。

 

「ドサイドン!」

 

 集められた光は相手へ向けて、太い線となって襲い掛かります。

 

「【ソーラービーム】です……が、ギリギリ耐えられてしまったようですね」

 

 弱点技のダメージを軽減する【ハードロック】の特性のおかげで、何とか踏みとどまってこちらを(にら)み付けています。

 

「マジで四天王レベルの実力だな。実際に戦ったことがあるからよく分かる。トレーナーの指示がないのに的確な攻撃を仕掛けてくる。まるであの時のようだ」

「よく分かりませんが、ありがとうございます?」

 

 あの時とは、きっと、スオウ島での四天王のキクコさんとの戦いでしょう。音に反応して攻撃をするよう指示を受けたゲンガーを相手に、当時のセキチクジムのジムリーダーでありロケット団の幹部であり忍者であり現セキチクジム、ジムリーダーのアンズさんの父親であるキョウさんと共闘して倒したのでしたね。って、長すぎです。キョウさん。しかし、キョウもアンズも同じ”杏”の読み方ですね。では、奥さんはアプリコット……じゃなくてカラモモですかね?

 

「戻れ」

 

 と、グリーンさんはドサイドンを戻しました。不利と判断したのかもしれませんが、単純に流れを変える意味でもこの交換は当然だと思います。今流れは私に来ています。ですが、それはあくまで奇襲の勢いに乗っただけで、相手の意表を突くものばかりだったからです。

 グリーンさんは、ポケモンバトルを論理的に組み立てて実行するのが上手いと聞きます。ですから常に冷静なのでしょうけども、そこをまず崩すことで相手をペースに乗せずに、一方的にこちらの流れへ飲み込む方向で試合を進めました。

 ですが、これで同じような奇襲はもう出来ません。次は正攻法、つまり力押しで行くか、または別の(から)め手で翻弄(ほんろう)しなければ勝てません。

 

「ウィンディ」

 

 うーん。正攻法は難しいかもしれませんね。

 クーちゃん(クチート)が炎技、草技を使ったのでその対策でしょうね。そして、クーちゃん(クチート)(おび)えが見られませんので、恐らく特性は【もらいび】。後出しですので【いかく】もゲーム(原作)のように全く意味がない訳ではないですが、それでも効果はかなり薄くなっています。

 【ふいうち】を最初に疑ったように警戒はしているでしょう。ということは、当然【しんそく】、ありますよね? 【メロメロ】で動きを縛っても決定打がありません。

 うん。無理ですね。おまけに日差しが強いので炎技の威力が上がってしまいます。いつまであるんですかね? あの太陽。

 

「私も交換します。クーちゃん(クチート)お疲れ様でした。お願いしますね。ラーちゃん(ココドラ)

「エンペルトではないのだな」

「そうですね」

 

 絶対に対策しているでしょ。炎技が封じられてもウィンディでクラウン(エンペルト)を突破する手段……【ワイルドボルト】か【インファイト】でしょうね。相性は悪いですが、私のラーちゃん(ココドラ)の硬さでしたらウィンディの【インファイト】にも対抗出来ます。

 

「【しんそく】からの【フレアドライブ】!」

「速い!」

 

 ですが、こちらから向かっても相手の素早さに置いて行かれてしまいます。ならば、向こうから来るのを待つのが最も確実です。ダメージ覚悟ですけども、私のラーちゃん(ココドラ)ならば問題ありません。(きた)えていますから!

 一気に距離を詰め、その勢いのまま炎をまとった身体が彼にぶつかります。体長2m近くで体重150kg以上の身体がものすごい速さで突進してくるのですから、例え私のラーちゃん(ココドラ)が通常種よりも鍛えて重くしてあったとしても、40cm弱で70kgしかありませんので、普通ならば()ね飛ばされてしまいます。

 実際に、一度身体が浮きかけますが、すぐに踏ん張って踏み留まります。そして、次の瞬間、激しい爆発と共にウィンディが吹き飛ばされます。

 

「【メタルバースト】か!」

「ギリギリ間に合いましたけどね」

 

 ダメージを受けた時に身体を(おお)う金属部の表面を切り離して、戦車の爆発反応装甲のように爆発させて自身のダメージを軽減しつつ、相手に大ダメージを与える技です。ゲーム(原作)と大きく仕様が異なる技ですので当初は戸惑(とまど)ったのですが、結構使い勝手が良いのでこれはこれで良いかなと思います。特殊技に対しては、距離に応じて効果が落ちるという欠点がありますが、まぁそれはそれです。

 しかし、物理技に対してほぼダメージなく大ダメージを返せるとはいえ、ノーリスクという訳ではありません。自身の身体の表面を削って爆発させていますので、使える回数が非常に少なく、また使う(たび)に威力が落ちます。

 とりあえず、爆発によって距離が出来ましたので、この(すき)に行動しましょう。

 

「【ロックカット】です」

 

 足りない速さをこれで補います。それでも相手の方が素早く回り込んできます。

 

「【しんそく】!」

「【メタル……】避けて下さい!」

 

 しかし、先程の【メタルバースト】が頭を()ぎったのでしょう。一瞬だけですが足の出が遅かったです。秒数にするとほんの0.2秒程度ですが、その遅れは回避行動へ入るには容易な時間となります。

 

「ちっ、厄介だな」

 

 ちらつかせるだけで、本能的に(すく)んでしまった。正しいことです。過去の出来事を経て、自己を防衛する大事な反応です。それを克服し、トレーナーを完全に信じて飛び込めるようになるには、やはり練度の他に信頼関係を構築する時間が足りないようですね。

 

「そこだ! 【フレアドライブ】!」

「後ろへ! 危なかったです」

 

 今のはシビアでした。それでも、最初の攻撃と比べると踏み込みのタイミングがどうしてもほんの瞬き1回にも満たない時間ですが、遅れてしまっています。限りなく誤差に近いズレですが、そのおかげで今の攻撃を避けることが出来ました。そうでなければ側面から当てられてしまい、大きくダメージを負ってしまっていたでしょう。

 やはり、この天候は不利ですね。最初のドサイドンとの戦いでは良い方向へ作用したというか、利用出来ましたが、今は完全に困ったことになっています。

 

「逃がすな! 【ワイルドボルト】!」

「前転!」

 

 これもきわどいです。それでも、やはりズレがあります。技の指示を受けてから行動に移すまでの速さは一級品です。ですが、そこから1歩踏み込む時に【メタルバースト】のことが脳裏に浮かぶのか、躊躇(ちゅうちょ)する、相手の技への恐怖の感情が若干感じ取れます。

 厳しい修行の中でそういった場面はいくつもあって、それを乗り越えてきたのでしょうが、完全に克服するには、まだ少しだけ経験値が足りなかったみたいですね。

 本当ならもう少し観察して、確実に勝てる道筋を立てたい所でしたが、このまま時間を掛けてしまうとその経験値をこの戦いの中で埋められてしまう可能性があります。そうなると、先程まで避けられていた攻撃も当たるようになってしまいます。

 さて……もう1度、こちらに流れを引き寄せられますかね?

 

「このままの天気はちょっと良くないので、変えましょうか。ついでにちょっと姿を隠しますね。【すなあらし】」

 

 とりあえず、環境を変えます。

 すると、天井近くでずっと輝いていた疑似太陽は消え、今度はラーちゃん(ココドラ)を中心に砂が風に乗って舞い始め、激しい砂嵐となります。

 別に【すながくれ】の特性がある訳ではないですが、この砂と風の暴力を前に、相手の姿を捕捉(ほそく)することは難しいと思います。

 

「くっどこだ!」

「ただでさえも小さいココドラですのに、私のラーちゃん(ココドラ)は更に小さいので見つけにくいでしょうね」

 

 ただし、エリカさんのロズレイドの【にほんばれ】と違い、彼の【すなあらし】は練度を上げていませんので、すぐに消えると思います。あくまで一時的な目眩(めくら)ましです。ですので、しっかりと目を凝らせば見つけられてしまう程度のものです。ですが、その見つかるまでのほんの少しの時間を使って、こちらは準備を整えます。

 

「確かにあなたはすごいです。ジムリーダー就任からのこの短い期間の間でこれ程にまで育て上げるというのは、並外れた育成術です」

「見つけた! そこだ! 【ワイルドボルト】!」

 

 砂が舞う中でキラリと光る金属光沢を見つけられてしまいました。しかし、そこは蟻地獄(ありじごく)への入り口ですよ?

 

「ですが、今回は私の勝ちです。【もろはのずつき】」

 

 突如、砂の中から飛び出して来たラーちゃん(ココドラ)に、ウィンディは一瞬驚いた表情を見せるも勢い変わらず、全身に雷をまとって突撃してきます。その踏み込みは、これまでの0.2秒のズレのない、迷いのない1歩です。まさか、こうも早く順応、成長するとは……流石主人公の1人です!

 しかしこちらも負けていません。【ロックカット】で素早さを上げた今のラーちゃん(ココドラ)は、まるで砲弾です。

 相手と正面衝突。頭と頭でぶつかりそして……すぐに両者とも(はじ)き飛ばされ、大きく後退し倒れてしまいました。質量では相手が勝り、硬さではこちらが上です。その結果は……

 

≪ココドラが立ち上がりました! ウィンディは……立ち上がれません! 勝者、ミカンさんです!≫

 

 途端に、ワッと歓声が上がります。

 そして【すなあらし】も弱まり、すぐに消えてしまいます。

 

「ありがとうございました」

「……」

 

 相手は無言。うぅ……気まずいです。

 

「確かに強かった。だが、何が足りなかったと思う?」

「へ? え? あ、えぇと……」

 

 思わぬ質問に、テンパってしまいましたが、私の中で既に答えは出来ていますので息を整えて口にします。

 

「時間ですね」

「時間?」

「はい。ジムリーダー就任後に1から育て直した割には、確かにすごい練度と信頼感でした。ですが、こちらは2年間ずっと苦楽を共にして1日も休まず鍛錬を続けてきたのですよ? 当然、練度と信頼感では負けません」

「なるほど」

「それと」

「まだあるのか」

「実戦経験ですね」

「それは……」

「えぇ、鍛錬を繰り返す上で、当然ですがそこはちゃんとしているはずです。ですが、足りないのです。そのポケモンとの実戦を通したコミュニケーション、意思疎通(いしそつう)が。それを邪魔したのが、時間の短さですね」

「……」

「ですので、今回は私が勝ちましたが、同じメンバーでジックリと時間を掛けて育てられれば、軽く私を超えると思いますよ」

 

 主人公補正で、彼等のポケモンは急激な成長を()げます。特にマサラのトレーナーですからね。次に戦う時には勝てないかもしれません。今回は、グリーンさんとポケモンとの間の微妙な、本当に気付きにくい小さな針の穴のようなズレを突いて戦っただけですので、そこを埋められてしまったら、もしかしたら手も足も出ないかもしれません。

 それに、今回は私が勝ちましたが、最後の最後で、克服しましたからね。恐怖の1歩を……もし、決断がもう少し遅れていたら、負けていたのは私の方だったかもしれません。

 

「ふぅ」

 

 私は、無事に勝てたことに安堵(あんど)しつつ、ステージを降ります。さて、ここからが本番です。私は、私の信じるやり方で、この戦いを止めて見せます。




 以上をもちまして、対抗戦(エキシビションマッチ)終了です。
 皆様が納得のいく試合結果でしたでしょうか?
 今回はミカンちゃんを勝たせる為に、何とか絞り出した結果です。いやほんと強いです。

 以下雑感というか余談です。

 ポケスペ本編に()いて、後にシルバーとの交流の中でサイドンをドサイドンにしたエピソードがあるらしいですが、今回は既に進化させていることにします。
 本編のままのメンバーでも良かったですし、また第4世代に合わせたメンバーにしても良かったのですが、やはりグリーンには元は変えて欲しくありませんでしたので、サイドンだけ変更となっています。

 最初の駆け引きだけでどれだけ文章使ってんねん! って感じですねw

 アンズもアプリコットもカラモモも全部同じ杏です。

 4倍弱点とかあまり考えないで下さい。
 というかポケスペ本編のグリーンは、サイドン1匹で相性の悪いシジマの3匹の格闘タイプと戦って勝ちましたが、それはグリーンがすごいと捉えれば良いんですかね?

 所で、ココドラって【メタルクロー】や【アイアンテール】を覚えますが、実際のココドラを見たらどうやって技を当てるのかすごく疑問ですね。
 おまけにその小ささで当てて、果たして望んだダメージを与えることが出来るのかも不思議です。
 【アイアンテール】って……あれほぼヒップアタックですよね?

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