ポケモン世界に転生したと思ったらミカンちゃんだったのでジムリーダーになることにした。【完結】   作:木入香

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 当初は5,000文字程度の気軽に読める短い小説で書いていたはずでした。
 それが何故か7,000文字を越えてしまい、自身で驚いています。
 読者の皆様の中に、文量がある方が良いという人がいらっしゃったら申し訳ないですが、私はコンパクトな小説が書きたいですw

 ということで、セキエイ高原を出た所からの2人です。どうぞ。


第23話 vs タマザラシ

 現在私は、ゴールドさんが(あやつ)るバクフーンの背に乗せてもらいながら移動をしています。

 

「クソッ、見失った! どっち行きゃ良いんだ!」

「大丈夫です。一旦ここで休憩(きゅうけい)しましょう」

「良いのか?」

「はい。場所は把握(はあく)しています」

 

 セキエイ高原のポケモンリーグ会場から走り続けて、バクフーンも疲れているでしょうから、ここでワンクッション置きましょう。それに、見失ったのなら丁度良いです。今度は私のムーちゃん(エアームド)に乗り換えて、一気に距離を詰めます。

 

「アイツ、一体どこへ行くつもりだ?」

「これを見て下さい」

「あ?」

 

 私はポケギアの画面を彼へ見せます。

 

「これは?」

「あの秘伝書には発信器(GPS)を取り付けてあります。これが現在の仮面さん(マスク・オブ・アイス)の現在地です。そして、その行き先が……」

「”ウバメの森”?」

「聞き覚えありますか?」

「あぁ、アイツと最初に会ったのもソコだった」

「そうですか。あそこには何かあるんですね」

「多分だけどな」

 

 あそこには(ほこら)があり、決まった日時に光ると言われています。その時のみ、とあるポケモンをゲット出来るとされています。もしくは、そのポケモンがどこか先(・・・・)()て、一緒にいるべきパートナーと判断した時はその限りではないかもしれません。

 

「では、行きましょうか。次は私のエアームドで行きます。空を飛んだ方が速いですからね」

「分かった。ありがとよバクたろう(バクフーン)

 

 交代で私がムーちゃん(エアームド)を出し、ゴールドさんがバクフーンをボールに入れました。

 私が首の付け根に跨がり、その後ろにゴールドさんが乗ります。

 

「速度を出しますので振り落とされないよう、私の腰に手を回して下さい」

「おう、分かった」

 

 しっかりゴールドさんが私の背中に密着して、自身の両手を(つか)んだのを確認した私は、ムーちゃんに方角を指示して空へ上がります。

 それにしても彼、女性の身体に触れることを躊躇(ちゅうちょ)しませんでしたね。まだ彼が子供だからなのか、緊急事態だからなのか。それとも、この若さで女好きであるからなのか……そして、これは1番想像したくないことですが、私が女として見られていないか……です。

 いやいやいやいや。これでも私、花の女子高生、JKですよ? 一般トレーナーで登場したらミニスカートって呼ばれる部類ですよ? 通信教育でかつ制服のない高校ですので、ミニスカートって言えないですが……

 ですが、確かにミカンちゃん(本人)には申し訳ないですが、スレンダーな身体付きは全く不満ないですし、むしろ綺麗なラインを維持出来ていることに私自身満足はしていますが、もう少し、ほんの少しだけでも、その、胸があったらな……と、アカネさんやイブキさんを見て思う時があります。特にアカネさんは小柄なのに大きくて、それで可愛くて愛嬌(あいきょう)があって……(うらや)ましいです。

 って、そんなこと考えている場合じゃないです! 今も仮面さんと戦う為に移動しているんですから、集中しなければなりません。

 ポケギアで対象の位置を確認しながら、更に速度を上げます。

 

「うお、はえぇ!」

「振り落とされないよう気を付けて下さい! それと、もう後数分で到着します! 心構えしておいて下さい!」

 

 風圧で声が聞き取りづらくなることを考慮(こうりょ)して、後ろへ向けて叫びます。すると、目が合ったゴールドさんは余裕そうな表情を見せて一言「もう出来てる!」と返しました。

 

「分かりました! 場所はウバメの森! ……いえ、その手前です!」

「手前っ?」

目的地(祠の前)でボールを作ると妨害されると踏んでいるのでしょう! 先に(キー)となるボールを作ってから乗り込むつもりだと思います!」

「だったら!」

「はい! それを()めます!」

 

 そしてしばらく飛ぶと……見つけました! ポケスペ本編通りに、ホウオウとルギアはウバメの森の防衛戦に回ったようですね。今は仮面さん1人。まぁその1人がとてつもなく高い壁なのですが……弱気になってはいけません。やってみせます!

 

「降下!」

 

 少し離れた位置へ降り立ち、それぞれ手持ちのポケモンを出して走り出します。

 場所はウバメの森が見渡せる少し高台になっている草原。多少岩肌が剥き出しになっていて荒れているように見えますが、すぐ近くに川が流れていますから、その周辺は草木で(いろど)られています。ここが今から戦いの地になるのですね……

 相手は、まだこちらには気付いていない様子です。というか、自身の世界に没入(ぼつにゅう)しているのか、ゴールを目前に気分が高揚(こうよう)しているのでしょう。大きな独り言が聞こえます。

 

『月の満ち欠けの周期に呼応(こおう)して、”祠”に光が帰ってくる。それは今日の夕刻……やれやれ、間に合った!』

「デッケー独り言(つぶや)いてんトコわりぃが、そうはいくかよ! 夢見んのは勝手だが、寝言は寝て言うもんだぜ!」

『貴様らは!』

「私達が先に間に合いましたね」

 

 こちらへ振り返り、一瞬の動揺(どうよう)を見せます。しかし、やはり何度も戦い、相手の(くせ)を知り、その上で勝ってきたからか、すぐに余裕な気配を感じます。

 それにしても、その姿はとても人間のものとは思えません。黒いマントで多くを隠されていますが、風でなびいてチラチラ見えるそれは、腰から下がなく、右腕がなく、そしてお腹に大きな穴が()いているようにも見えます。

 漫画で見た時より、実際に見るとやはりあれが人間の身体でないと知っていても気持ち悪いですね。

 

『タフな奴らだ』

 

 溜め息を()くように、いえ、実際に息を()き出しているのでしょう。呆れた様子を見せます。

 

『そこのガキは、かつてこのウバメの森で(やぶ)れ、いかりの湖でも敗れ、そしてセキエイ高原でも敗れた。そして小娘。貴様もエンジュでは世話になったな。そして、同じくセキエイでそこのガキと一緒に敗北した……』

 

 そこで一呼吸置いて、また話始めます。

 

『それでも(なお)、戦いを挑むか。その諦めのなさだけは評価する。小娘は、アサギのミカンだったな? で、ガキ。この偉業(いぎょう)(たた)えて、お前の名前を聞いてやる』

「だったら、耳の穴かっぽじって、よーく聞きやがれ! オレはワカバタウンのゴールド様だぜ!」

「あなたの悪行も、ここまでです!」

「その身体でどうして動けるのかは知らねぇし、どうでも良いが!」

「というか気持ち悪いです!」

「テメェを!」

「あなたを!」

「「ここで()める(ます)!」」

 

 ゴールドさんはまず2匹を選んで前に出します。まだ、ゴールドさんの実力では、多数戦は2匹までが限界のはずです。同時に複数のポケモンへ注意を向けつつ、的確に指示を出さなければなりません。そうなると、手数で負けてしまうかもしれませんが、そこを私がカバーします。

 

「気合いで行くぞ! エーたろう!(エイパム)、【こうそくいどう】! ウーたろう(ウソッキー)は後ろに続け!」

「援護します! ムーちゃん(エアームド)、【かげぶんしん】!」

『邪魔を! するな!』

 

 すると、ない右腕を(かか)げたと思えば、徐々に腕が構築(こうちく)されていき、それを振り回すことでエイパムを遠ざけます。大きく飛ばされましたが、無事にウソッキーがキャッチしたことで事なきを得ました。

 

「千切れた右腕が生えただと!」

「違います! よく見て下さい!」

「あれは……!」

 

 完成された右腕を見ると、文字通り透き通って反対側の景色が見える、ほぼ透明な腕となっていました。

 

「氷の身体か!」

『そうだ! 空気中から水分を取り出して凝固(ぎょうこ)させる! それによって、この私の身体は、何度でも修復出来るし、形を変えることも大きくすることも出来る!』

「その割には、お腹は空いたままなのですね」

『減らず口を!』

 

 怒りに任せてこちらへ腕を伸ばしてきます。

 

「ミカン!」

「大丈夫です!」

 

 来ると分かっているなら、この距離なら避けられます。

 

ムーちゃん(エアームド)、【フェイント】! クラウン(エンペルト)、【アクアジェット】!」

『デリバード、【こおりのいぶき】!』

 

 良し。デリバードの注意がこちらに逸れました!

 

「今だ!」

『何っ! いつの間に!』

 

 私が(すき)を作った間にゴールドさんの指示で、ウソッキーが仮面さんの後ろへ回り込んで拘束します。

 

「にっしっし、ウーたろう(ウソッキー)の素早さに驚いてんのか?」

『まさか!』

「そうだぜ! 仲間とタッチすることで、その仲間の技の効果を引き継ぐ【バトンタッチ】だ! 【こうそくいどう】で上がったエーたろう(エイパム)の素早さを、ウーたろう(ウソッキー)が引き継いだんだ!」

小癪(こしゃく)な! ムチュール、【ねんりき】!』

「そう何度もやらせるかよ! ニョたろう(ニョロトノ)! 【うずしお】!」

ラーちゃん(ココドラ)レーちゃん(レアコイル)で援護して下さい!」

『ならば! うぉぉおおおお!』

 

 仮面さんが後手に回り始めますが、まだ諦めていないのか、今度は下半身に空気中の水分を集めて凍らせ、脚を作っていきます。しかし、そこもゴールドさんの作戦内です。私は相手のデリバードとムチュールを(おさ)えながら、そちらの様子を(うかが)います。

 

「そう来るだろうと思ったぜ! マンたろう(マンタイン)! キマたろう(キマワリ)!」

『む! あれは、巨大な太陽! いや、違う!』

「オレだって、他人(ひと)の試合見て勉強するんだぜ! 【にほんばれ】! バクたろう(バクフーン)! 【オーバーヒート】!」

 

 すると【にほんばれ】によって更に上昇した炎の温度が、仮面さんの身体が出来上がるよりも先に溶かしていきます。

 

『なぁああ! 追い付かない! 我が身体を! 氷を補強するよりも速く! 身体が溶ける!』

「どうだぁ! ミカンがデリバードを翻弄(ほんろう)している間に、ウーたろう(ウソッキー)エーたろう(エイパム)から引き継いだ素早さでテメェを捕まえ! ニョたろう(ニョロトノ)とミカンが連携(れんけい)してムチュールを抑え! マンたろう(マンタイン)に乗ったキマたろう(キマワリ)が【にほんばれ】で照らして、それを受けてバクたろう(バクフーン)が強化された炎技でテメェを溶かす!」

 

 そして、ゴールドさんが常に持ち歩いていているビリヤードで使われる棒状の道具、キューを突き出します。

 

「これが、オレの、オレ達の! 全員攻撃だ! 1人1人、1匹1匹が大事な仲間で、相棒達だ! ポケモンを道具呼ばわりするテメェには、わかんねぇだろうがよ! さぁ、正体を(あらわ)しやがれ!」

 

 すると、ずっと顔を隠してきた仮面さんの仮面が破壊され、その素顔が(さら)されました。

 それを見て私は、知っていたとはいえ呆然(ぼうぜん)としてしまいました。

 

「やっぱり……」

「て、テメェは!」

 

 私の呟きが相手にも届いていたのか、その人物は私へ視線を投げます。

 

「ほぅ、気付いていたのか。流石(さすが)だな」

 

 仮面が破壊されたことで、ボイスチェンジャーも壊れてしまったのでしょう。歳を取った男性の声で返されます。

 

「そうであって欲しくないと、ずっと思っていました」

「だが、現実だ」

「テメェは! チョウジのジムリーダー……ヤナギ!」

 

 そう。ポケスペ本編にて、ロケット団残党を指揮していた首領(トップ)マスク・オブ・アイス(仮面さん)の正体は、小柄な高齢の男性……やはりヤナギさんでした。

 氷で出来た身体に自身の車椅子をはめ込み、そこに座っています。(ひざ)の上に()せているウリムーが、氷の身体の操作をしていたようですね。

 

「そうだ。改めて、初めましてかな?」

「ふざけんじゃネェ! それと動くなよ?」

 

 彼は油断せずに、正体を現したヤナギさんの眼前へキューを突き付けます。

 

「なるほどな……手足が伸び縮みして、身体付きが変わる。身体に穴が空いていても動き続けるカラクリ。そういうことだったのか……時間を支配して何をしようとしてんのかは知らねぇし興味もねぇが、どうせ碌でもねぇことに決まっている! だから好きにはさせねぇぜ、覚悟しやがれ!」

 

 ですが、ゴールドさんはヤナギさんへ注意を向け過ぎました。常に突破口を探っているヤナギさんが、氷を操って左腕を地面へと突き刺したと思ったら……

 

「ゴールドさん!」

「何!」

 

 川を移動していた2匹のピカチュウと、その内の1匹が抱えていたタマゴを、突如(とつじょ)地面から飛び出した腕が()らえてしまいました。

 知っていましたが、私はデリバードとムチュールの対処で手が回らず、そちらまで防ぐことが出来ませんでした。

 

「ヤロゥ! 関係ないポケモンにまで!」

卑怯(ひきょう)な!」

「フフフ、キューを捨てろ!」

 

 その要求に、逡巡(しゅんじゅん)する様子がみられましたが、私が「ゴールドさん」と声を掛けると「クソッ」と悪態を()いて投げ捨てました。

 

「それで良い!」

 

 そう言ってヤナギさんはピカチュウを離し、今度はゴールドさんへ腕を伸ばしました。

 

クーちゃん(クチート)!」

 

 クーちゃん(クチート)の名を呼び、それだけで察した彼女は走り出し、ゴールドさんへ氷の腕が届く前にツノが変形した巨大なアゴを振り回して(はじ)き返します。

 

「むぅ!」

「ゴールドさんは、その2匹とタマゴを守って下さい!」

「お、おぅ! 分かったぜ!」

「まだ邪魔をするか。仕方ない。ならば、こうだ!」

 

 するとヤナギさんは2つのモンスターボールを投げました。まだ手持ちがいるのですか。

 出て来たポケモンは、それぞれタマザラシと、そしてユキカブリでした。

 その瞬間、上空の天候がいきなり崩れ、急激に気温が低下します。そして、氷の(つぶ)が次々と落ちてきました。

 

「寒っ! 何だ突然!」

「ユキカブリの特性【ゆきふらし】です! 天候を(あられ)状態にします!」

 

 そして、あのタマザラシは恐らくですが【アイスボディ】ですね。霰の時にその氷を取り込むことで少しずつ体力を回復していくこの天候では厄介な特性です。

 ですが、天候を書き換えてしまえば意味がありません!

 

クラウン(エンペルト)、【あまごい】!」

 

 しかし、霰を降らす黒い雲が雨雲へと変わることはなく、そのまま冷やされた水滴(すいてき)だったもの(・・・・・)が地面へと叩き付けられます。

 

「そんな! いいえ、まだです! ラーちゃん(ココドラ)、【すなあらし】!」

「こっちもだ! キマたろう(キマワリ)! もっかい【にほんばれ】だ!」

 

 しかし、風が吹いて砂が舞えどもすぐに消え、キマワリの輝きと熱もすぐに暗雲に飲み込まれてしまいました。

 

「書き換えられない!」

「何だコレは!」

「ククク、天候操作の時間や強さ、そして、優先度はそのポケモンの練度に帰結(きけつ)する。キマワリは技そのものもあるが、そもそも全体的に能力が低い。エンペルトも付け焼き刃だな。ココドラは少し頑張ったようだが、元々あまり使わないのだろう。大した脅威(きょうい)ではない!」

「そんな……」

「終わりだ! タマザラシ、【ふぶき】!」

「「っ!」」

 

 霰の中での【ふぶき】は必中技です! しかも敵全体へダメージを与えると同時に相手を凍らせることが出来ます!

 あのヤナギさんのポケモンです。その威力は察するに余りあります。万事休(ばんじきゅう)す……そう思った時に。

 

マンたろう(マンタイン)! 【ワイドガード】!」

「ゴールドさん!」

 

 全体攻撃を1度だけ無効化する【ワイドガード】! しかし、練度の差で完全に防ぐことは(かな)いませんでしたが、それでも大幅にその威力を軽減してくれました。

 

「オレだって、ミカンに助けられてばかりじゃねぇ! オレにだって出来ることはある!」

「悪あがきだ! ムチュール、【うたう】! ユキカブリ、【くさぶえ】」

キマたろう(キマワリ)! 【さわぐ】!」

 

 相手を眠らせて戦力を()ぎ落とす【うたう】と【くさぶえ】を【さわぐ】によって対抗します。

 

コイツ(キマたろう)の練度は確かに低いかもしんねぇ。だがよ! このオレ様と一緒にずっと旅してきたんだ! 騒がしく! 騒ぎ立てることに関しては一級品だぜ!」

 

 その言葉通り、今度は完全に相殺(そうさい)しました。

 

「ちっ、デリバード、【オーロラベール】!」

 

 また厄介な技を使ってきましたね。【オーロラベール】、天候が霰の時にのみ使える技で、その代わりに味方を薄い虹色の光の(まく)(おお)うことで、物理技と特殊技の両面の被ダメージを大幅に軽減するものです。

 防御を固めたということは、次は攻撃。それもかなりの威力のある技で難攻不落(なんこうふらく)にするつもりですね。

 

「タマザラシ、【ぜったいれいど】! 【じわれ】!」

「っ! ルーちゃん(ハガネール)!」

 

 それはマズいです! 急いでルーちゃん(ハガネール)を突っ込ませます。

 

「【アイアンテール】!」

「何っ!」

 

 触れるもの全てを凍らせ眠らせる空気を放つ【ぜったいれいど】と、地を割り地に足を付けるもの全てを引きずり込む【じわれ】。しかし、私のルーちゃん(ハガネール)の特性は【がんじょう】です。一撃必殺の技の一切を受け付けません!

 質量と硬さ、そして速さを持つ彼の突撃は、それらの障害をものともせず、そのまま2つの攻撃を突き破ってヤナギさんの眼前へと(せま)ります。

 

「タマザラシ、【なきごえ】! ユキカブリ、【ウッドハンマー】!」

 

 ですが、相手もすぐに立て直してきました。

 相手を一瞬だけ(ひる)ませることで、攻撃のタイミングをずらす【なきごえ】によってルーちゃん(ハガネール)の勢いに隙間を作ることで、そこにユキカブリが両腕を振り上げて叩き付けました。

 確かに威力はあります。しかし完全に軌道(きどう)を逸らすことは出来ず、逆にユキカブリを弾き飛ばしました。それでも、ヤナギさんの氷の身体へと向けられていた鋼の尻尾をギリギリの所で防がれてしまいました。

 

「今のは危なかったな。ものすごい威力だ。まるで【オーロラベール】が意味を成していない。やはり、私の1番の障害は貴様のようだな。ボール作成に集中出来ない」

「させないようにしていますからね」

 

 戦闘不能には出来ませんでしたが、何とかユキカブリを【アイアンテール】で大きくダメージを与えて、戦列から外すことに成功しました。

 また、戦っているのは私だけではありません。ゴールドさんもタマゴを守りながら偶々巻き込まれた2匹のピカチュウと連携して、ムチュールと戦っています。2匹の内、1匹はレッドさんの、もう1匹もイエローさんのピカチュウですから、そのポテンシャルの高さで指示されずとも(みずか)ら判断し、ゴールドさんの穴をカバーしています。

 

「生意気な……だが、終わりだ。ボールは今、完成した!」

「くっ!」

 

 相手がボール作りに集中出来ないように、常にこちらに注意を向けさせることで妨害してきましたが、それでも、戦闘をこなしつつ完成まで()ぎ着けてしまったようです。

 すると、ボールの完成と同時にヤナギさんの頭上の空間に(ひず)みが出来、それは(ひび)となって広がり、そして最終的に大きな穴となりました。

 

「フハハハハ! 成功だ! 私は! 私はこれから別の時間で生きる! さらばだ!」

 

 そう言い残した彼は、膝に置いたウリムーを除いた他のポケモン達を置いて、時空(とき)狭間(はざま)へと吸い込まれるように消えていきました。

 私とゴールドさんは、その様子をただ呆然と(なが)めているしかありませんでした。




 エンディングはある程度決まっていますので、それに向かわせる為に、ほぼ原作に近い流れで進行しています。
 ミカンちゃんという存在によって原作ブレイクが起こりうるので、それに合わせて敵を更に強化することで対応。もうどうするのですかコレ。
 ヤナギは3匹でミカンちゃんの6匹のポケモンと戦っていますよ。まぁゴールドは、6匹+αで1匹と戦っていますが……

 あくまでミカンちゃんの視点で物語が進行していますので、その他の場面はありません。ですので他者がどのような状態なのかは分かりません。
 一人称視点で物語を書く場合は、あくまでその物語の主人公のみの視点で書くのがポリシーです。
 多数の視点を取り入れるなら、三人称がありますからね。

 そういえば、ポケモントレーナーの手持ちは6匹が原則ですが、それに則るならばポケスペ本編のヤナギの手持ちは……ウリムー、デリバード、ホウオウ、ルギア、ゴース、ラプラスの6匹ということになるんですかね? ちょっとバランス悪すぎませんかね?
 本作は、ホウオウ、ルギア、ゴースは別枠で、それとは別で6匹編成組みましたので、数が合わないのは仕様です。
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