ポケモン世界に転生したと思ったらミカンちゃんだったのでジムリーダーになることにした。【完結】 作:木入香
疲れた脳みそを回転させても空回りするばかりで、全然噛み合いません。
そして本シリーズで最長……まぁそれでも1万文字にはいかないんですけどねw
ということで、第25話。どうぞ。
追記:誤字報告ありがとうございます。
「なぁ、ミカン」
「はい?」
「ミカンは、ここにいて、苦しくはないのか?」
「私ですか……? うーん、そうですね。特にそういうことはありません」
「オレは結構ヤバかったんだが……何でだ? もしかして、ミカンも虹色の羽と銀色の羽を持ってるとか?」
「いえ、それはないと思います」
「だよなぁ……」
この”
この空間の出入りは、ホウオウの羽である虹色の羽と、ルギアの羽である銀色の羽の2枚を所持していなければ出入りは出来ず、また空間内で無事でいられないというものです。何故か私は無事ですが。
割と
勝つにしろ、負けるにしろ、いずれにしてもまだもう1回チャンスがあることを考えれば、まだ気が楽です。それに、1人ならともかく、こうして話し相手がいますからね。まぁその話し相手のゴールドさんは、絵画の中に閉じ込められているような平面になっていますが。またピチューも同じ氷壁の中にいるらしいです。
「あれ?」
ふと気付くとゴールドさんの姿がありません。
「どこに……?」
辺りを見渡そうと、
『くっそあんにゃろぉぉぉおお!』
『ゴールド! 一体何があったの!』
『おぅ! クリスにシルバーじゃねぇか! それにその他にも大勢と……何で凍ってんだって、さっきのヤナギのじじいか! ちくしょうめ!』
『話は後だ! 掴まれ! ……っ!』
『気を付けろシルバー! こん中は色んな時間が不規則に流れているねじ曲がった空間だ! 何の用意もなく入ったら、たちまちオダブツだぜ!』
これは、ゴールドさんと
「待たせたな。ミカン」
「ヤナギさん……」
「今度こそ決着を付けよう」
「……分かりました。
「ウリムー」
そして、合図はなく互いに攻撃を始めました。
ゴールドさん達の会話は、ヤナギさんには聞こえていないのか、特に気にする様子もなく戦っていますが、私は頭の中に響いてくる声に気を取られてしまい、思うように攻撃出来ず、防戦一方となっています。それでも長年ずっと一緒に付き添ってきた
『あのボールの中には2枚の羽が仕込まれていて、ヤツはその羽に守られているからこの空間の中にいても無事なんだ! 今はミカンがヤナギと戦って時間を
『何ですって! ミカンさんもその中にいるの!』
『何だよクリス! 突然叫びやがって! おういるぞ!』
『あの時、セキエイから姿を消していたのは、2人で
『そうだ! だけど、2枚の羽がないことにはどうしようもなくてな。オレがここから出る為にも羽が必要みたいで……って、あ? あああああああああああああああ!』
『ど、どうしたのゴールド!』
『オイオイオイオイ! お前ら何ボーッとしてやがる! そこの麦わら帽子被った
『えぇ!』
ここでイエローさんが、少年じゃなくて少女であることが知られたんでしたね。仕掛け人のブルーさんは当然として、グリーンさんも確か知っているんでしたね。
無事にゴールドさんが助かる算段が出来たようで、私は一安心し、脳内に響く会話を無視してヤナギさんとの戦闘に集中します。
「【ラスターカノン】!」
「【フリーズドライ】!」
2つの攻撃がぶつかり、爆発します。
私達の戦いはこれまでと同じ、時間の狭間の
私はチラリと視線をやり、その映像の中に今は覚えていない私の前世についての映像がないか探しましたが、どうやらないようです。流れるのは、
するとそこに、また別の映像が割り込んできます。
これは、ゴールドさん、シルバーさん、クリスさんそれぞれの歴史? ということは……
「これが時間の狭間! オレ達の過去か!」
「オレらだけじゃねぇみてぇだぜ? シルバー。中にはミカンのやヤナギのまで混ざってる!」
「あの人達の過去の映像!」
自身の話していない過去を、他者に見られるのは恥ずかしいですね。
まだ姿は見えませんが、この声の感じからすると、3人とも祠に飛び込んだみたいですね。
「まだ向かってくるか。しつこい奴らだ」
「それが子供というものですよ?
「ふん、全て捨てたよ」
「あなたが捨てたとしても、相手が捨てているかどうかは分かりませんよ?」
「何?」
「あの子達は、オーキド博士から図鑑を
「貴様、何故それを? 映像を見る限り、貴様が私やロケット団を探っていた様子はみられないし、時間を支配することを調べていた様子もない。どういうことだ?」
「秘密です」
乙女には秘密が
ヤナギさんとオーキド博士、育て屋の夫婦にガンテツさん、そして、今は行方不明の元四天王のキクコさん。彼等は昔友人としてつるんで夢を語り合っていたことを、
「ふざけるな! 【こなゆき】!」
「避けて下さい!」
「くっ、何故、羽もないのに無事なのだ!」
「さぁ? 分かりません! ですが、今はそんなことどうでも良いじゃないですか!」
「見つけたぞ! ヤナギ!」
「
駆け付けたゴールドさんはライコウに、シルバーさんはエンテイ。そしてクリスさんはスイクンにそれぞれ
その時、1つの映像が私達の目の前で流れます。
「あれは!」
「若い頃のヤナギ老人!」
「2匹のラプラスが……!」
氷原で修業をしていたヤナギさんの手持ちの2匹のラプラスが、突然崩れた地面と
命あるものですから、いずれ、私も私のポケモン達と別れる時が来るのでしょうが、それは私が先になるか、ポケモン達が先になるか……いいえ、今、この
「そんな……」
「おい、アレ!」
若い頃のヤナギさんが
「ヤナギ、てめぇ……!」
「ふん。紹介しよう。
あの時に生まれたラプラスに”氷河”と名付けることで、
何とも業が深いことです。
私はまだ理解出来なくもないです。まぁ、戻りたい過去の為に犯罪を
「それだけの為に……
しかし、子供達には、まだ失った経験がありません。経験がなければ実感出来ず、本当に意味で理解することも出来ません。
「たった、それだけのこと? お前達には理解出来ないだろう! それだけのことであろう!」
「っ! ゴールドさん!」
ヤナギさんが氷の身体を操って伸ばし、ゴールドさんの持っていた2枚の羽を叩き落としてしまいました。
「だが、私にとっては生きていく全てだったのだ!」
この捻れた空間の中で無事でいられるのは、虹色の羽と銀色の羽の2枚によって守られているからです。それが手元から離れると……ゴールドさん達が危険です!
「おっと行かせんよ、ミカン! 貴様が何故自由に動けるのかは分からんが、邪魔はしないでいてもらおう!」
「くっ!」
ゴールドさんに気を取られた
2枚の羽の加護がなくなったことで3人の子供達が苦しみ始め、それに
「1つ、お前達には嘘を
「そんなもの……愛ではありません!」
「減らず口を! 他の3人はともかく、貴様はこの
「なっ……ぐっ……!」
私を掴む氷の手に力が加わり、
「何をするつもりか知らんが、この氷の身体は何度壊されてもすぐに直せる。それに、下手なことをすると主人まで傷付けるぞ!」
ですが、私はその言葉を無視して小さく
次の瞬間、氷の腕が粉々に
「何!」
「ヒュー……ヒュー……ハァ、くっ、ハァ……ハァ、ぐっ、残念、でした、ね!」
「何をした!」
「答える、ハァ、ハァ、ひつよ……必要は、ハァ、ありません。
私の呼び声にすぐに元のレアコイルの姿に戻った
私が
離脱したその先。目指すはゴールドさんが手放してしまった2枚の羽!
それを空いた左手で掴むと、急いで彼等の元へ向かいます。
「くそ、そういえば、お前には謝らねぇとな……あん時、オレのリュックを盗んだ犯人だと思い込んで……だが、それが全ての始まりだったんだ。悪かったな……いや、ゴメンよ」
「何を……?」
「いや、今言っておかねぇと、くっ、もう言えねぇ……かも、しんねぇからよ!」
「何故、ここまで……オレの為……か?」
「馬鹿言っちゃ、いけねぇよ……”何の為に戦うのか”……そんなん、誰かの為とか、何かの為とか、やっぱ……オレには似合わねぇよ……オレは、オレの為に戦う……オレだけの戦いだ! くっ……だがよ……こんなオレの自分勝手な行動で、誰かの為になって、救われるってんなら……悪くねぇって思ってよ……それに、まだ」
「まだ、諦めちゃ駄目ですよ?」
「ミカン!」
良かったです。間に合いました。
何か良い感じにバッドエンド入りそうな
私が到着したことで、彼等も苦しみから解放されて大きく呼吸しています。
「はい、落とし物ですよ」
そう言ってゴールドさんに2枚の羽を握らせます。
「ありがとよミカン。シルバー、クリス、おめぇらと出会って、色んなトコ行って、色んなヤツに会って、いっぱい戦って面白かった。あぁ、すっげぇ面白かったぜ! これを持って先に戻っていてくれ。オレはまだこの先にちょーっと用事があるんでな! ミカン、コイツらに付いててやってくれ!」
「お、おい! ゴールド!」
「ゴールド!」
「ゴールドさん……」
「ありがとよ!」
そう言って彼は、ヤナギさんの所まで向かいました。仕方ないですね。
「私も行きます。私はゴールドさんだけでなく、ヤナギさんも助けたいと思っています」
「え? ミカンさん? でも、羽がないと……」
「大丈夫です。すぐに終わらせてきますから。ゴールドさんもきっと、そのつもりですよ? だから、彼が帰ってくるのを待っていて下さい」
「おい! お前!」
「では、行ってきます!」
2人の引き留めるような声を振り払って、再び
「ヤナギ!」
「ちっ、セレビィ! 急げ! 私をあの時へ! あの時間へ! あの時代へ連れて行け!」
「ヤナギさん!」
「ミカン! 何でお前!」
「
「わぁったよ! じゃあ一緒にやるぞ!」
「元よりそのつもりです!」
「貴様ら! 何度も何度も邪魔しおって!」
「テメェみてぇな悪党に、良いように使われてちゃ可哀想だ! だからさっさと
「何とでも言え! 私のあの時の気持ち、お前らなぞに分かられてたまるか!」
声を荒げながら、ヤナギさんが氷の腕を振るいます。
「
「オレは分かるぜ! オレも”孵す者”だ!」
この孵す者というのは、ただの役割ではありません。恐らくオーキド博士は、図鑑を正式に託した時には
生まれたばかりの低いレベルにも関わらず、ワタルから借りたバンギラスを相討ちに持ち込む程の爆発的な力を発揮したその彼の
生まれてきたポケモンの潜在能力を最大限まで引き出し、
「行くぜ! 気合い十分! 【100まんボルト】ぉぉぉおおおおお!」
「ぐあああ!」
いやそれ、スオウ島での決戦で、そのピチューの親であるピカチュウの技ですよね。私の
いずれにせよ、その攻撃は確かにヤナギさんに届きました。
ゴールドさんがいつも持ち歩いているビリヤードのキューを氷の身体に突き刺すことで、避雷針の役割を持たせ、そこに集中して電撃が撃ち込まれて氷が崩壊していきます。
そこへ、更なる熱量が殺到します。
様々な攻撃エネルギー。ライコウに、エンテイに、スイクン。そして、祠の外にいる多くのトレーナー達のポケモンによる想いの力。
そしてそれは、ヤナギさんの手に持つ時を捕らえるボールを砕くことに成功し、中からセレビィが飛び出して来ました。
「そんなっ!」
「そのボールの中の羽に守られていなきゃ、この空間では無事ではいられねぇはずだぜ……そして、オレも……ぐっ……」
「ゴールドさん……あ、あれは……?」
私は気を失った彼を
「
その子の
その時、この時間の狭間の中で、1つの曲が流れます。
それは私も聴いたことのある有名な曲。昔1人の友人の為に作られ、そして贈られた1曲。今はクルミさんがカバーしていることで、多くのトレーナーが1度は耳にしたことがある曲。”ラプラスに乗った少年”です。
大切なポケモンを失ったヤナギさんを元気付けようと、友人であるオーキド博士、キクコさん、ガンテツさん、育て屋の夫婦がそれぞれ作詞作曲歌を担当して作り上げた曲。当時は受け入れられなかったそれは、それでも確かに彼の心に届いていたのです。忘れることもなく、心の奥底にそっとしまい込んでいたそれを、セレビィが過去の彼の心から引っ張り上げて、聴かせてくれています。
こんな優しい歌に、想いに
「暖かいな……私の心は知らずに凍り付き、そのまま明けない冬を過ごしていたのか。それが今、こうして春の暖かさに触れて、ようやく溶けていくようだ」
「ヤナギさん……」
「
「いいえ。私は、あなたも助けに来たのです」
「何?」
「このままでは、時間の狭間に飲み込まれて死んでしまいます。例え犯罪者であっても、それは許容出来ません。ジムリーダーとして、悪者を取り締まるのは当然ですが、かと言って死ぬのを許している訳ではありません。ちゃんとあなたには、正式に罪を
「フフフ、どこまでも真っ直ぐだな」
「諦めが悪いのが取り柄です」
「ほぅ、初めて知ったな」
「えぇ、初めて言いました。さぁ、手を……」
「すまないな……」
私は、右にゴールドさん、左手にヤナギさんを掴み。
「どうかしたんですか?」
目の前のその子は、何も答えずにジッと私を見つめます。そして、目が合った瞬間に、私の脳内にいくつもの映像が流れ込んできます。
この目に映る光景は何なのでしょうか……? これは、ジョウト地方? でも、この景色を私は知りません……そして、このポケモンって……一体どういうことですか?
何故”アルセウス”、”パルキア”、”ディアルガ”が……?
断片的過ぎて分かりませんが……あれ? この人は、ゴールドさん?
「もしこれがそうなのだとしたら、
しかし、問い掛けに答える様子はなく、ただひたすら未来に起こると思われる映像が途切れ途切れに、壊れたビデオテープを無理矢理再生するように流れていきます。まだ、未確定な未来。でも、起こる可能性が高いということでしょうか?
そしてそれを私に見せる理由。もしかして、私が鍵になるのですか? この……転生者な私が……?
確かに、私は本来ならこの世界にとって異物です。ミカンちゃんの身体を借りているとはいえ、中身はこの世界の人物ではありません。
世界を飛び越えてきた。それだけでなく、一部とはいえ原作を知っている。つまり未来を知っていることになります。
未来の出来事を知っているということは、どういった形であれ、時間も飛び越えてきたことになるのでしょうか?
時間を越えた存在。なるほど、世界と時間を超えてきた
転生者である私の存在そのものが、将来、何らかの事件での切り札になると、セレビィは言いたいのかもしれません。違うかもしれませんが、何の意味もなく未来を見せようとはしないはず。
「まだまだ、私は強くならなければいけませんね」
事件も解決したのですから、これからのんびりジムリーダーとして過ごして、通信教育の高校の卒業過程をパスしてタマムシ大学を受験、合格し、進学する夢があったのですが……まだまだ休めそうにありませんね。
ただ、今だけは、ゆっくりと休ませて頂きます。
気付けばセレビィは私の下から消えていました。私は気を失っている2人を離さないよう気を付けて、無事にウバメの森へと帰還することが出来たのでした。
次回最終回です。
色々とゴチャゴチャしていて読みづらく、分かりづらく、強引な話となっていますが、ポケスペ本編とほぼ同じ話にミカンちゃんを加えてヤナギを救って、そしてHGSS編ではヤナギのポジションにミカンちゃんを置くと考えれば分かりやすいかと思います(雑)。
まぁHGSS編書きませんが。
概ね皆様の予想通りの展開になったのではないかと思います。原作改変が小さなものですので、そこさえ抑えておけば大体そのままです。
ポケスペを読み返してみて、ゴールドが強力な電撃で一時的にヤナギの視力を奪ったというのがほんの1コマだけ描写されていましたが、これによってゴールドは助かったと言えると思いました。
イエローの麦わら帽子に2枚の羽が刺さっていることを知っていて刺客を差し向けたのだと思いますが、目が見えていたらトレーナー達を氷で捕縛した後に羽を回収もしくは破壊してしまった可能性がありますよね。
このことから、地味にゴールドは自分で自分を助けたと思いました。
仲間から名前で呼ばれていたので気付いていた可能性もありますが、目が見えていないのでどれがイエローなのか判断が出来ないもしくは、イエローの名前を知らなかったとも考えられると思います。
何せ、決戦の直前の襲撃ですからね。本当にギリギリまで隠し通せていたから、容姿は知っていても、カントー在住ということもあって名前まで情報を得ることが出来なかったと想像することが出来ます。
あくまで私の勝手な妄想ですので。真面目に取り合わないことを推奨します。まぁそういう考え方もあるかなって程度でお願いします。