ポケモン世界に転生したと思ったらミカンちゃんだったのでジムリーダーになることにした。【完結】 作:木入香
それに、他にも手を出してみたい二次創作がありますので、本当に片手間にちょいちょい書き足していく程度になると思います。
ということで、ジョウトのジムリーダーが一堂に会します。人数が多いとキャラの書き分けが難しいので大変です。
その中でアカネちゃんはとても動かしやすいキャラで助かります。流石ダイナマイトプリティギャル!
また、ポケスペではあくまで芸能人という表現に留めていますが、この作品ではアイドルということにしています。
今の時代、アイドルもタレントも似たようなものです。何でも出来なきゃ弱肉強食の芸能界で生きていけません。
この回を書くのに当たって、ポケスペを読み直しました。面白かったですが、女性キャラの腰付きとか、どこか妙に色気があるような気がします。まぁ電撃ピカチュウ程ではないですけどねw
追記:誤字報告ありがとうございます。
もうすぐ春です。
春は小学校を卒業してポケモントレーナーの資格を得た子供達がトレーナーデビューして旅立つ季節です。そして、その頃が最もジムが忙しくなる時期でもあります。よって、卒業シーズンを前に、多くのジムはこの1年で
私のいるアサギジムも例に漏れず、季節の変わり目の年4回、1週間休みをとって
そして、多くのジムが休みとなるこの頃、同時に行われるのが地方
ジョウト地方での連絡会の主な開催場所は、コガネシティで開かれることが多いです。交通の便であったり地方のほぼ中央に位置していたりと、比較的に集まりやすい場所にあるという理由もありますが、やはりポケモン協会ジョウト地方本部がある街というのが一番大きいですね。
そしてこの春、キキョウシティで新たにジムリーダーが就任するということで、そのお祝いも兼ねて連絡会が開かれました。
広い会議室のような場所で8人のジムリーダーと、数人のポケモン協会やポケモンリーグ理事会の職員が長机に、お互い向かい合うように座っています。その席に着いた人達の周りを、ポケモンのラッキーがコップではなく湯飲みを持って各自の前へお茶を配っています。あ、左隣のイブキさんの湯飲みのお茶、茶柱が立っています。
「それじゃあ、早速始めるで? 第……あぁ何回目や? まぁええや、ジムリーダー、連絡会始まりやー! わーパフパフドンドン!」
「え、えーと……わ、わー?」
「ミカン! あんただけやちゃんと反応してくれたんわ。ただ出来ればもうちょっと明るく元気良く頼むで?」
「え、えー……」
「そんなことよりも、まずやることがあるのではないか?」
「シジマさん、分かってますわ。それじゃあ、本日のメインイベント。キキョウジムに新しいジムリーダーが就任したってことで、はい、自己紹介!」
空手の胴衣を着た
紹介されて席を立ったのは、青い
「は、はい! 前任のジムリーダーだった父から引き継いで、新しくキキョウジムのジムリーダーとなりましたハヤトと申します。
今年のジムリーダー就任試験をパスして、念願の夢を叶えたハヤトさんへ向けて各自拍手を送るなどして歓迎しています。
私も皆さんと同じように手を叩いていますが、裏で別のことを考えています。ポケスペでは、彼がジムリーダーになるのは本編が始まってから。実際にカントー地方でロケット団が
まぁ、私が本編の中で関わる機会というのはほぼありませんが……一つあるとすれば、エンジュシティの人為的な震災に巻き込まれてしまい、そこを主人公達に助けられるというものがあります。ただ、それを知っていて巻き込まれるという訳にはいかないですし、何よりロケット団が関わってくる以上はジムリーダーとして無様な姿は見せられません。
こうして、私が一人で気合いを入れている中で連絡会は
「協会からですが、各地で3年前に壊滅したとされているロケット団が、このジョウト地方で活動していると報告があります。詳細はツクシさんから」
「はい。先日、アルフの遺跡で行方不明になってしまった調査隊の捜索中に、ロケット団の残党と思われる集団と
「いえ、全員が無事だったのならそれで良いのです。現在、報告は以上ですが、活動しているのがごく僅かとは考えられません。引き続き、各ジムリーダーは警戒をお願いします」
「「「「「「「「はい」」」」」」」」
悪の秘密結社ロケット団。3年前までカントー地方で活動していたポケモンを利用して悪事を働く組織。原作でもあったことですが、やはり流れはポケスペの方ですね。
そして、連絡会は最後の各自連絡事項を残すのみとなりました。
「うちからは、
原作などではラジオが主流でしたが、この世界では普通にテレビがあります。とはいえラジオ塔は
「私は逆に当分はジムに引きこもって創作活動を行いますので、ご用があれば手紙でお願いします」
「ヤナギのじいちゃんいい加減電話引いたら? 今はポケギアっちゅう便利なもんもいっぱいあるで?」
「私は電話が苦手でしてね。見えない相手との会話はどうも……手紙も手書きが良いですな。一文字一文字の暖かみというのがあって、氷使いの私が暖かさを求めるというのも変な話ですが」
ポケスペのようでポケスペではないこの世界。実際にこの目で見ますと実感します。
現にポケスペではラジオ番組の収録のロケで初めて
これを見ているからでしょうか。ポケスペでの事件の主犯格がヤナギさんだと知っていますが、実際にこの世界でもそうなのか自信がありません。ですが、原作と違って車椅子に座っていますから、そうなのかもしれないですし……うーん、今の時点では判断出来ません。
かといって、私から積極的に動くということはありません。事件そのものは主人公さん達が解決してくれるでしょうから。私はジムリーダーとして正しいことをただ
あ、私の番ですね。
「えぇと、アサギシティのミカンです。私からもいくつか報告があります。観光名所にもなっているアサギの灯台ですが、機械のメンテナンスの為に明日明後日の2日間定休日となります。それと、アサギ鉄鋼からアカネさんに企業宣伝用のプロモーションビデオを撮影したいとの依頼です。また詳しい話はマネージャーさんに話を通すそうですが、一応事務所からも承認を得ているそうですので、詳しい日取りが決まりましたら連絡するとのことです」
「あぁそれな。話は聞いとるよー。でも、アサギ鉄鋼の広告塔のミカンを差し置いてうちでええの?」
「構いませんよ。私はただの広報ですから。ここはやはり、全国的にも有名なアカネさんに是非やってもらいたいです」
私は現在、アサギジムのジムリーダーを務めると同時に、アサギの灯台の管理人または広告塔、あるいは案内人を務め、また父が務めるアサギ鉄鋼でも同じように広報の一員として、広告塔の役目を
アサギ鉄鋼は父の紹介で社長さんと知り合い、いつの間にか決まっていました。会社側としてはジムリーダーを広告塔にすることで、良い宣伝になるとか。私も鋼タイプのジムリーダーとして、それっぽい仕事もしてみたいと思っていましたので丁度良いですね。
そして、ジムリーダー就任と同時に行っていたアサギの灯台の管理ですが、あくまで私は責任者というだけで実際の管理は、管理会社が行っています。毎日出勤する訳でもないですからね。ただ、管理者に就任と同時に、デンリュウのアカリちゃんには、マスコットキャラクターとして灯台に変わらず住んでもらっています。原作と違って、灯台の光を担うこともなくまたそれによる過重労働での疲労からの
まぁ、仮に原作の世界だったとしても、私が何としても
「うーん、分かったわ。とりあえずまた事務所で相談してから答えを出すで、そん時でええかな?」
「はい、よろしくお願いします」
それからもいくつか話がありましたが、ロケット団関連の情報に進展はなく、今回の連絡会はこれにて終了となりました。いえ、なるはずでした。その理由が……
「よーし、終わった終わった。ちゅーことで、ハヤトやったな? どうや、新人ジムリーダーとして、ちょいと実力見せていかへんか?」
「え、じ、実力ですか?」
「そうや。勿論、厳しい試験を突破したんやから申し分ないやろうけど、ジムリーダーっちゅうのは、普通の一般トレーナーと
「はい、そこは学んでいます。経験不足なのは否めないですが、自分なりに正しい目を持って良きジムリーダーとなれるよう奮闘します」
「うんうん、それで最初に戻る訳や」
「実力……ですか」
「そ、
「はぁ、分かりました」
何やらアカネさんが強引に決めてしまいましたね。ですが、他の人のバトルを見るのは勉強になりますので、私も是非とも見学したいです。
「そんでな、場所は
「え、アカネさんが務めるのではないんですか?」
「うちがやっても良いんやけど、それ以上の適任がおるよ?」
「それは?」
「な、ミカン?」
「……へ?」
見学じゃなくて勝負する方ですか?
「まぁ、ミカンなら問題ないだろうな」
「え、シジマさん?」
うんうんと頷くシジマさん。その手には
タンバシティは薬の街として有名で、私も定期的に薬を買いに訪れるのですが、その際にジムに寄ってシジマさんと手合わせをすることがあります。ただ、その後に奥さんから
「そうだな。アサギを突破したトレーナーは皆とても強い。オレも随分と苦戦している」
「マツバさん……」
厚着をして、更に首元にはマフラー、頭にもバンダナを身に付けた男性のマツバさんもシジマさんの意見に賛同します。
「噂としては聞いている。私もアサギジムのバッジを持つトレーナーと早く手合わせしたいが、
「イブキさん」
キングドラを
アサギとフスベでは距離もあることから、直接話をする機会はほとんどないですが、イブキさんとは偶にポケギアでオシャレの話をしたりします。私も詳しい訳ではないので、無難なことしか言えていないのですが。そういうのはやはり、専門のアカネさんやジムトレーナーのレミさんが適任だと思います。
「ほう、そんな話があるのですか? それは興味深いですね」
「ヤナギのじいちゃんも、もう少し外の様子を見なあかんよ?」
「ははは、こりゃ手厳しいですな」
「ヤナギさんまで」
ヤナギさんは非常に小柄なおじいさんで、今も車椅子に座っていますが、
「ボクもまだまだ未熟者だからね。是非とも勉強されてもらいたいかな」
「ツクシさんも?」
一見少女に見えてしまう少年のツクシさん。男の娘というものでしょうか。このジムリーダーの中で一番若いですが、ジムリーダー歴は私よりも1年長く、またそれとは別に遺跡調査隊のメンバーでもあることから、その見た目とは裏腹に高い能力を持っています。可愛いですが。
「よっしゃ決まりやな。それじゃあ早速移動するで?」
「え? あの、まだオレやるとは……」
「わ、私もまだ、そんな……」
突然決まったことに、驚き慌てふためく私達を置いて、他のメンバーは全員会議室を出て行ってしまいました。いつの間にかポケモン協会やリーグ理事会の職員も一緒について行ってしまったようで、二人ポツンと取り残されてしまった形です。
「行きましょうか……」
「はい……」
諦めて私達は