ポケモン世界に転生したと思ったらミカンちゃんだったのでジムリーダーになることにした。【完結】 作:木入香
ポケスペ本編は時間の進みが早いですが、ポケモンの力を借りているとはいえ子供の足での冒険ですからそれなりに時間が掛かると思い、このようなのんびり時空で物語を進行させています。
まぁ、実際は本編ものんびりと時間が過ぎているのかもしれませんが……
そういえば、ポケスペの主人公の1人であるゴールドの手持ちにトゲピーがいますが、トゲピーの親のトゲチック夫婦はミカンちゃんが育て屋夫婦に預けていた所でタマゴが生まれて、それをゴールドに渡したという経緯があります。
しかし、本作ではそのような描写を入れるのを忘れていましたし、そもそもミカンちゃんには鋼タイプしか持たせる予定はありませんでしたので、ジムトレーナーのレミさんの手持ちということにしておきます。本編には関係ないのでどちらでも良い話です。
また本作のミカンちゃんは、エンジュシティの震災に巻き込まれるのを回避する予定ですので、ゴールドがホウオウの像を見ることも、ニョロモからニョロゾ、そして通信交換してのニョロトノへの進化の機会を奪ってしまいます。
そこを何とかカバーしようと現在構想中です。
追記:誤字報告ありがとうございます。
「ご来場ありがとうございます。こちらで受付を行っております。順番に、押さないようお並び下さい」
現在、アサギジムが整備作業によってジムリーダー業が休みの私は、アサギの灯台での案内人のシフトを増やして業務に当たっています。
「当アサギの灯台の歴史は古く、海流の変化が激しく、また季節によっては霧が発生する40番41番水道に
アサギの灯台は歴史的にも価値があり、また内部は資料館の役割も持っていることから、平日でもそれなりの観光客がいらっしゃいます。私の役割は、一応肩書きとしては
原作のゲームでは灯台の中はポケモントレーナーでいっぱいで、ポケモンバトルを繰り返して灯台を登る必要がありましたが、この決して広いとは言えない灯台の中で、しかもこの歴史的遺産の価値がある建造物の中でバトルをして、それで損傷したら大変です。それに、トレーナーさんやポケモンにも危険が及びますので、この世界では元々灯台の中でのポケモンバトルは禁止となっています。
「あ」
ふと窓から外を見ると、丁度ヨルノズクが飛んでいく姿が見えました。今日はカーネルさんがいる日みたいです。原作ではジェントルマンの肩書きを持つポケモントレーナーで、このアサギの灯台でポケモンバトルを仕掛けてくる身なりの良い高齢の男性ですが、この世界では、不定期にこの灯台の近くにふらっと現れては手持ちのヨルノズクと
さて、お仕事お仕事。
「通路はこちらになります。途中、整備の関係で照明が暗くなっている場所がございます。お足元にご注意し、お進み下さい。もし何かございましたら、お近くの係員までお申し付け下さい」
このアサギシティには、観光名所と呼ばれるものがあまりありません。元々は鉄鋼業、造船業、海運業によって
最近は、ジムに挑戦するポケモントレーナーさんやそれを見学する人達が、私がジムリーダーに就任したばかりの頃よりも増えていますので、飲食や宿泊、お
それに、夜の工場は写真映えがするとかで、ツアーを組んだりと頑張っている様子です。
また、現在アサギシティ郊外で建設が進められている複合施設、バトルフロンティアが完成すれば、ジョウト地方だけでなくカントー地方などの周囲の地方からも多くのトレーナーさんや、その集まる人達に向けて品を扱う商人さん達が多く来るでしょうから、より盛り上がること間違いなしですね。
別にアサギシティの経済が
「お疲れ様。ミカンちゃん、いつもありがとうね。こっちは私が代わるから休憩に入っちゃって」
「あ、はい。ありがとうございます」
一息
現在も灯台としての役割を果たすアサギの灯台ですが、数年前から資料館としてこの地域や海域の歴史を展示しており、整備員用の更衣室や準備室とは別に、受付や案内人を務める従業員用の更衣室や休憩所が増設されています。
「ふぅ」
休憩所と言っても、狭い給湯室にテーブルが2つと椅子がいくつか並べられている程度の部屋ですので、飲食をするならともかくそれ以外の時間はこうして更衣室にいた方が気楽に過ごせます。
確か、アカネさんの言っていたラジオの時間のはずです。私は早速ポケギアでラジオを起動し、周波数を合わせます。
『かかってこいや! お前が
『何すんやこのアホ!』
『アホだと! オレはゴールドっつー名前があるんだよ!』
あらら……真っ最中でしたか。これは運が良かったというべきでしょうか。アカネさんには災難でしたと言うしかないですが、私としては生の主人公の声が聞くことが出来てラッキーだったと思っています。
それからしばらくラジオを聞いていましたが、
「あらら……」
ウツギ博士も、彼は電話が繋がらなくても行動が筒抜けで分かりやすいみたいなニュアンスのことをポケスペで
ですが、エンジュの震災まで残りそう時間がないことがこれで分かりました。あれはあくまでロケット団による人災であることが分かっている以上、事前に止めることが出来るはずなのですが、私程度の情報網では彼等の動きを察知することが出来ず、また職務があってアサギを中々離れられないという事情から、震災を止められないかもしれないと焦りがあります。
「明後日からジム営業再開ですが、しばらく休業にして動き始めた方が良いかもしれませんね」
そう決意をし、休憩時間の終わりと共に更衣室を出ます。それからは勤務時間いっぱい業務に従事し、退勤時間となりましたのでそのままの足で近くの野外バトルフィールドへ向かいます。
理由は、現在ジムが整備点検で使用出来ませんので、手持ちのポケモン達へのご飯を食べさせる場所を確保する必要があったからです。家からですと海岸に向かうのが良いですが、灯台からだとバトルフィールドが近いので、帰り道に寄ることが出来ます。
「あれ?」
それで公園に
「こんにちは」
「おや、こんにちは。今お帰りかな?」
「はい。カーネルさんもお元気そうで。”今日の”その子はどんな感じですか?」
私の視線の先にはカーネルさんの手に乗るご飯を
「ふむ。そうだね。では、軽く手合わせしながら見てはどうかな?」
「分かりました」
そして、いつもの流れで手合わせをします。互いに本気ではありません。私もジムリーダーの時のような相手を試す動きではなく、軽くスパーリングをするような感覚ですので気楽です。
「では、
「
「ほぅ、
「はい、スピードでは負けませんよ?」
「ふむ、では、お手柔らかにお願いするよ? 【ふるいたてる】」
「【かげぶんしん】です」
先日のハヤトさんとの試合に於いて、【ボディパージ】を使用してしまったことでパージする部分がなくなってしまいましたので、その代わりとして【かげぶんしん】を覚えさせました。ただ、まだ訓練は不十分ですので、出せる分身の数も2体まで。完成度問わないのであれば4体まで出せますが、そのような出来の悪い技を出す訳にはいかないので分身は2体に留めます。とはいえ、今のムーちゃんは高い機動力を持っていますので、それを駆使して相手のヨルノズクに接近戦を仕掛けることが出来ます。
「流石の速さだ。【シンクロノイズ】」
「残念、ハズレです」
「うむ、確実に
しかし危なかったです。【ふるいたてる】で火力を上げつつ、飛行タイプを持つムーちゃんに対して、同じタイプにのみダメージが通る高火力な技【シンクロノイズ】ですか。使い道が難しい技ですが、それをあえて仕掛けてくるのがカーネルさんです。
彼
私も構想だけですが特殊型の
「では【みやぶる】」
「【フェイント】です」
【みやぶる】は、【かげぶんしん】などで回避率を上げてもそれを無効にしてしまうものです。ならば、見破られても追い付けない攻撃をすれば良いのです。目にも留まらない速さで側面から突撃を受けたヨルノズクはよろけてしまい、若干高度を下げました。
「うーむ、そう来たか。となると、詰みかな。ははは、今回も負けてしまったな」
「ちなみに最後の技は何だったのでしょうか?」
「【オウムがえし】だよ」
「それでしたら、まだ突破の見込みがあったと思いますよ」
「ほぅ」
「ムーちゃんが最初に【かげぶんしん】した時に使えばこちらから、そちらを見破る
「なるほどな。いやいや、この歳になってもまだまだ学ぶことが多いな。あなたの
「いえ、私もまだまだ勉強の身です。そもそも一生掛かってもポケモンのこと全てを知ることが出来るとは思っていませんので、人生全てを賭けても私の知りたいことを知れるように頑張ります」
「ははは、頑張りたまえ。夢に向かう若者を見るのはとても楽しいものだ」
別れの挨拶を告げ、カーネルさんはフィールドを去って行きました。私はポケモン達のご飯がありますので、皆を呼び出してご飯の時間です。
全てを終えた私は家に帰ります。その頃にはすっかり日が沈み、月が出ていました。
食事と入浴を終え、髪を乾かしながら明日以降の予定を確認します。
「明日は通常通りアサギの灯台での業務。明後日は早朝にジムの点検を行った後に通常営業再開ですが……やはり、一週間程休みを頂いてエンジュシティへ向かうべきでしょうね」
そうなりますと、アサギ鉄鋼、アサギの灯台それぞれに休暇申請。ポケモン協会にジムの臨時休業届けを送る必要がありますね。
「確か書類は……あ、ありました」
申請書類を積み上げられた紙の
「よし、書けました」
3つの書類を用意。1枚は明日朝にお父さんに渡し、1枚は明日灯台へ出勤の際に直接上司へ渡します。ポケモン協会への申請書は、ピジョン郵便で郵送してもらいましょう。
必要書類を書いた後は、就寝時間まで勉強です。単位は十分取得出来ていますが、高校卒業だけが目標ではなく、私はあくまでタマムシ大学へ進学することが夢ですので、まだまだ頑張らなければと思います。
「それではおやすみなさい」
そして、本日の勉強を終えた私はベッドへ潜り込むのでした。