我が家の五匹の小ちゃな家族   作:猫又侍

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最早寝起きから始まるのがこの物語


我が家に来た新たなギタリストⅡ

「ん〜……ねみぃ」

 

俺は、ピピピピと鳴るアラームを止めてゆっくりと起き上がる。

 

今日は日曜日、今日も今日とて楽園……とはいかず、明日が学校という絶望感を感じながら朝を迎えた。

 

「……ん? 紗夜とモカがいない……」

 

俺は、いつも感じるモフモフ感がないことに気づいて辺りを見回す。

 

すると、珍しくしっかり寝床に寝ている二匹の姿が視界に入った。

 

「珍しいこともあるんだな」

 

少し寂しいが、気持ちよさそうに寝ているところを見せられると起こす気も湧かない。

 

時計を見ると、タイマーのセットする時間がズレたのか、大分朝早くに目覚ましをかけてしまっていた様だ。

 

「はぁ……散歩にでも行くか」

 

俺は、紗夜とモカを起こさないように、そっと部屋を出てから外に行く格好に着替えて散歩に出掛けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そろそろ春になるのか……」

 

今は、二月の中旬。

 

俺も、そろそろ大学受験本番が近づいている。

 

そろそろ真面目に勉強しないとやばいな。

 

そんな事を考えながら、いつもの散歩コースを歩く。

 

勿論、あの公園にも行く。

 

今日は流石に猫は居ないだろう。

 

なにせ一昨日紗夜が増えたばかりだからな。

 

「どれどれ……」

 

俺は、例の段ボールの近くに行き、中身をのぞいた。

 

流石に猫は居ないだろう。

 

そう思っていた時期が、俺にはありました。

 

「……はぁ」

 

なんでいるんだか。

 

「ニャァ!」

 

「フラグなんて立てるもんじゃないな」

 

俺は、その猫に近づき抱き上げる。

 

見た目は紗夜と似ているが、髪? の様な部分が恐らく紗夜より短いと思われる。

 

そして、目も紗夜と同じエメラルドグリーンの綺麗な色をしている。

 

すると、毎度の如くLINEが来た。

 

アイツら俺の事見張ってんじゃねぇのか? なんて思える程に絶妙なタイミングでLINEを送ってくる。

 

そう考えると、うちの親とは最近連絡を取っていない。

 

まぁ、あっちはあっちで忙しいのだろう。

 

それはそうと、今回は誰なのだろうか?

 

何処かで見たような気がしなくもないが……色んなのに会いすぎて頭がこんがらがってる。

 

取り敢えずLINEを開いてみると、彩からのLINEだった。

 

『と、冬夜くん! わたしが居るバンドのギターの子がいなくなっちゃったんだけど……あの場所に居たりする?』

 

「はぁ、やっぱり」

 

俺は、スマホをカメラモードに切り替えその猫を撮って彩に送ってみた。

 

なんな嫌な予感がするが、まぁ気にしないでおこう。

 

なんてフラグを立てたりしたから嫌な予感が当たってしまった。

 

『あ、その子だ。日菜ちゃんにそっくり』

 

え? 日菜ちゃん?

 

俺は、何処かで聞いた事がある気が……あ

 

「もしかして、あの星を見てた? 氷川日菜?」

 

「ニャン♪」

 

やっぱり、しかも氷川日菜って言ったら紗夜と同じ苗字……って事は、前に友希那が言っていた妹か。

 

いや待てよ? 確か仲が悪いんじゃなかったか? いやでも、このまま外に置いていくのもアレだしなぁ……

 

「よし、面倒だから連れて帰るか」

 

「ニャァ!」

 

あぁ〜、今回の奴は面倒な気がするぞ。

 

なにせフードの中でめっちゃ暴れ回ってるからな。

 

取り敢えず、猫を連れてキャットフードを買って帰る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お邪魔しまーす」

 

「お邪魔だと思うならお引き取り願います」

 

「酷い!」

 

と、開口一番に俺に揶揄われるこのピンクの髪の色をしている少女の名は丸山彩。

 

今をトキメクピチピチアイドル。加えてバンドをしていると言うなんとも劇的アンビリーバブルなアイドルバンドPastel*palettes、通称パスパレのボーカル。

 

「それで……冬夜くんはなにをしてるの?」

 

「ん? なにか変な事でもしてるか?」

 

「してるよ!」

 

う〜ん、俺はなにもやってないんだけどなぁ。

 

今やってる事と言えば、俺の膝の上で紗夜と拾って来た新たなネコが戯れあってるのか喧嘩してるのか分からない状況になってる事くらいかな。

 

あ、またズボン買い換えなきゃいけねぇな。

 

「所で、こいつは本当に氷川日菜なのか?」

 

「うん、多分日菜ちゃんだよ。日菜ちゃんの口癖って『るん♪』なんだけど、この猫ちゃんも『ニャン♪』って文字で表せれてるから恐らく日菜ちゃんだね」

 

お、おう。

 

なんだかいきなりメタイ話をされた気が……いや、こんなバンドリssでメタ発言なんて日常茶飯事と考えなければやっていけない。

 

ん? そういや、バンドリssってなんだ? なんでこんな事知ってるんだ? まぁいいや。

 

こうして、俺は、考えるのを止めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は過ぎて、夜。

 

俺は三匹の猫にキャットフードを与えて自室に戻り、一人勉強に勤しんでいた。

 

「ニャァ〜」

 

「お? 日菜か。紗夜と遊ばなくてもいいのか?」

 

「ニャァ!」

 

因みに、この猫の名前は日菜になった。

 

まぁ、こいつらは自分の名前にしか反応しないからあれなんだけど。

 

それより、親が心配することを考えると流石になにも連絡なしではやばいと思い紗夜と日菜の家に連絡しようとしたが、彩が伝えておいてくれるそうだ。

 

てか、よくこんな奴に自分の子を預けれるよな。

 

今は猫だけど。

 

「……膝の上、乗るか?」

 

「ニャン♪」

 

今日一日過ごして、わかった事がいくつかある。

 

日菜は、薄味の物が嫌いらしい。

 

あまり濃くない味付けがされている猫缶を食べようとしなかった。

 

他には意外と紗夜と仲がいい事。

 

彩曰く、仲直りしているそうだ。

 

「まぁ、悪かったらあんなに仲良く遊ばないか」

 

先程まで、やはり姉妹かと思わされる程仲良く遊んでいた。勿論、モカもその中に入っている。

 

「……そろそろ寝るか」

 

「ニャァ!」

 

「よし、紗夜とモカも呼んできてくれ」

 

「ニャァ」

 

そう鳴いてスタコラサッサと下に降りて行ったと思ったら直ぐに紗夜とモカを呼んで上がって来た。

 

「本当、元気いいよなぁ」

 

これでは明日から忙しくなるな。

 

今まで以上に。

 

そんな事を考えながら、三匹のモフモフに囲まれて寝るのであった。

 

 

 

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