我が家の五匹の小ちゃな家族   作:猫又侍

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我が家に来た新たなギタリストⅣ

 みんなに突然の質問で悪いが、猫なのか兎なのかよく分からない猫を見つけた時にどう対処すればいいのだろう。

 

 勿論、そんな猫は存在しない。

 

 そう、存在しないはずなのだ。

 

 それなのに、今俺の目の前にその猫がちょこんと座っている。

 

「えっと……どなた様で?」

 

「ミャァ〜ォ」

 

 アッハイ分かりました諦めます。

 

 どうせこの流れだとまだ連絡の来ていない香澄から連絡が来るんだろ?

 

 こちとら経験者なんだよ。

 

 え? 前回の突撃も予想できたのかって?

 

 ま、まぁ? よ、予想できてましたけど?……はい、全く予想してませんでした。

 

 俺は悪くないぞ。

 

「取り敢えず……このままはあれだし一回家に連れてくか」

 

「ミャァーォ」

 

 もうお決まりの展開みたいで慣れて来たんだよね。

 

 だけど今日は珍しく、家から少し離れた電信柱の側にダンボールが配置してあった。

 

 なんだろう、俺が来るのを見計らって置いたかのような……辞めよう、黒服に深入りすると俺が消されかねない。

 

 それだけで死んでも嫌だね。

 

 だってモフれないじゃん? 意外とあったかいし肌触りもいいんだぞ。

 

 一回自宅で猫飼ってる人は爪で皮膚やられる覚悟をしっかりして抱っこしてみるといい。

 

 包容力の化身とはまさにそれである。

 

 取り敢えず猫?兎?を抱っこして早々と帰宅せねば行けない。

 

 流石に帰りが遅いと紗夜に怒られそうだ。

 

 一度帰りが遅かった時には一日中猫パンチを喰らっていた。

 

 意外と痛いんだぜ? 猫パンチ。

 

 そんなこんなしている内に我が家に到着。

 

 さて、紗夜の判定やいかに。

 

 これで遅かったらシビア過ぎる。いや、俺が悪いんだけどね?

 

「ただいま〜」

 

「ニャ〜」

 

 玄関を開けるとそこには紗夜さんが仁王立ちならぬ四王立ちをしてるじゃありませんか。

 

 別に怒ってるわけじゃなさそうだが、その目からは「また猫を拾って来たのか」と言わんばかりの視線を俺に浴びせて来た。

 

 痛くもない視線が何故か痛く感じる、これいかに。

 

「ニャァ〜ォ」

 

「おぉ、すまんすまん。っと、香澄からも連絡来てるな……ん? なんで家の写真が送られて来てんだ?」

 

 え? なに? まさかもう家に来てるとか言うんじゃないよね? そうしたら行動力の化身になっちゃうよ? いや、困惑し過ぎて「?」が大量発生してるけど気にしたら負けだと思うから気にするのは辞めようか。

 

 取り敢えず抱きかかえている猫を床に下ろして、恐る恐るドアを開ける。

 

 するとそこには………

 

「やっほー! 冬夜くん、来ちゃった!」

 

「いや、俺が呼んだしいいんだけどさ。来るの早くない?」

 

 確か送ったのが家の中に入る前。

 

 つまり、まだ五分も経っていないのだ。

 

 香澄は行動力の化身なのか……あ、こころも行動力の化身だよな。

 

「って、そんな事はもういいか。ほら香澄、取り敢えず中入って」

 

「はーい! お邪魔します!」

 

 俺は香澄をリビングに案内して、話をする事にした。

 

 それにしても、この兎か猫か分かりづらい猫はよく懐くな。ずっと膝の上に陣取ってる。あ、紗夜が乱入してきた。

 

「それで? この猫はやっぱ香澄の所の人だったりするの?」

 

「うん! おたえ!」

 

「うん、おたえだけじゃよく分からないかな」

 

 まぁ念のため一通り全バンドの人に目は通しておいた。

 

 これ以上その情報を使う時がないと良いのだが……今はこいつの事に集中しなきゃな。

 

「なら、この猫はたえと呼んだほうがいいのか?」

 

「ニャァ〜ォ!」

 

「ん? なんだ甘噛みなんかして来て」

 

 なんだコイツ、なにが気に食わなかったんだ? いきなり甘噛みなんて。

 

「おたえはおたえだよ! 冬夜くん!」

 

「なに、たえじゃダメなの」

 

「おたえだよ!」

 

「お、おう。分かった」

 

 この呼び方には特別な意味があるのだろうか。

 

 この猫も、香澄もおたえと呼ばせたい様だ。

 

 試しに一回ずつ呼んでみよう。

 

「たえ」

 

「………」

 

「……おたえ」

 

「ニャァ〜ォ」

 

 あ、これおたえじゃなきゃ反応しないやつだ。

 

 俺はこの猫の要望の元、「たえ」ではなく「おたえ」と呼ぶ事にした。

 

 その後は、香澄としばらく話した後、香澄を見送ってから晩飯の用意をした。

 

「で、なんでニンジンを勝手に食べてらっしゃるんですかねおたえさん」

 

「ニャァォ?」

 

 うん、そんなに可愛い目で見られたら怒るにも怒れないよ?

 

 可愛い奴め。

 

「ちゃんとキャットフードも食うんだぞ? ……それと、なんでニンジンを睨みつけてるんですかね紗夜さん」

 

「フシャー!」

 

 おたえはニンジンが好き?で紗夜はニンジンが嫌いなのか。

 

 これはまたご飯を与える時に気をつけないといけない物が増えた様だ。

 

 え? 他に気を付けている事? 一度ポテトを食べようとしたときに紗夜と日菜が飛びついて来てそれ以降はポテトを控えてるよ。

 

 勿論、ポテトはあげてないけどね? 油で揚げたやつは猫にあげるもんじゃないだろ。

 

「ま、いっぱい食べるのはいい事だ。どんどん食べろよおたえ」

 

「ニャァ〜ォ」

 

「ミャ〜」

 

「お前は少し控える事を覚えようか」

 

 モカの食費だけ一度ありえない程あがった事があり、モカにあげる量も調節している。

 

 それでもみんなより少し多いんだけどな。

 

「まぁなにはともあれ、これからよろしくなおたえ」

 

「ニャァ〜ォ!」

 

 父さん、母さん……また猫が増えたよ。

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