今日は4/10
俺も晴れて大学生生活を始めて一週間と少しが経った。
そして今日は、元我が家の家族の蘭の誕生日である。
しかしながら、今は非常に困惑する状況に立たされている。
「………蘭?」
「ミャ〜!」
何故か一度人間に戻った筈の蘭が、また猫になって家に来たのだ。
こんなの、困惑しない方がおかしいぞ? え? お前はもう慣れてるだろって? そこは否定できないのが悲しいね。
「冬夜様、それについては私が説明させていただきます」
「うおっ! 黒服か……って、玄関の鍵まだ開けてない気がするんだけど?」
そう言って背後に何事もなく立っている黒服に声を掛ける。
この黒服は確か、こころにいつも付いている三人の内の一人だったな。
「ただ今、美竹様は前回使用した猫になる薬の簡易版を飲んだ様です」
「いや、なんでちゃっかり簡易版とか作ってんの? あの後蘭の父親に睨まれて死にそうになったの分かる?」
それはさておきと、黒服に話を逸らされた。
解せぬ。
取り敢えず黒服の説明によると、一日もすれば元に戻るとの事。
いや、一日も待たんといけんのか。
とはいえ、そのまま野放しにするのもアレだし俺を頼って来てくれたんだ。
流石に追い出したりはできないしな。
……黒服にハメられてるきがしなくもないが、今回は目を瞑ろう。
まぁ、どうせ今後とも財力で目を瞑らないといけないと思うが。
「取り敢えず、蘭はうちに居るって事でいいんですよね?」
「はい」
そう言い残すと、黒服は玄関から出て行った。
「あれ? そういや鍵かけてたよな?」
「ミャ〜」
なんとなく不安を感じながらも、蘭の誕生日に猫の蘭と過ごす事が決定した。
****
取り敢えず今日は出かける用事は無く家でだらだらしようと思ったが蘭が居ればまた違う。
「ん〜、どうすっかなぁ」
蘭が猫になったとなれば行ける場所と行けない場所が出て来る。
準備がよすぎる黒服に頼めば元に戻れる薬が貰えそうだが、蘭本人がなぁ……
「ミャ〜」
「なんでこんなにくっついてるんですかね?」
見ての通り乗り気なのだ。
まぁ、プレゼントは前々から買ってたし大丈夫だが……
そうだ
「久しぶりに散歩にでも行くか?」
「ミャ!」
****
久しぶりの散歩と言えど、日課で続けていたのでそこまで疲れているわけではない。
ただ、足元に猫が居てトテトテと付いてきている。
やっぱ可愛いんだよな。
「よし、蘭よ。ここらで飯にするか」
「ミャ?」
俺は、家から出る前に予め用意していた弁当箱と猫缶を取り出した。
勿論、たまたま猫缶はあった。キャットフードは切らしてましたね、はい。
「にしてももう直春だなぁ」
「ミャ〜」
未だにすこし冷たい風が頬を撫でる。
少し前ならフードに居るモコモコ達で寒さが凌げていたが、もうそこまで寒がる必要はない。
それ程暖かくなってきた。
「そういや、蘭は誕生日だったな」
と、わざとらしく言いながら隣に座る蘭を撫でる。
「ミャ〜」
俺は、ポケットから一つのヘアピンを取り出す。
「本当はもうちょいと良いものをプレゼントしたかったんだがな」
「ミャ〜!ミャ〜!」
いきなり蘭が俺の手目掛けてピョンピョンと飛び始めた。
なんだろう? ヘアピンを付けろって事なのか? でも、そんな猫にヘアピンつける人なんていないだろ……
「はぁ……ま、誕生日だしな」
俺は蘭を膝に乗せて、毛のふさふさな所にヘアピンを付けた。まぁ、ヘアピンなのだから頭付近には付けたけど。
「よし、そろそろ帰るか」
「ミャ〜!」
さてと、今日は疲れたし早めに寝るとしますかね。
****
家に帰ると、夕食を食べて風呂に入る。
「蘭、痒い所ないか?」
「ミャ」
今まで言うのを忘れていたが、猫とは一緒に風呂に入っている。
元々入れる気はなかったんだが、いつの間にか一緒に入るようになっていた。
「よ〜し、流すぞ〜」
そう言って背中を軽く撫でながら泡を流す。
まぁ、これもいつもではないが時々やっていた事なので随分と懐かしく感じた。
その後暫く時間を過ごして、ベッドに入って就寝した。
****
ピピピピッと頭の上のタイマーを止めて俺は起き上がる。
「ん〜、よく寝た…………え?」
朝起きたら、美少女が俺の隣で裸で寝てました。なんて言っても誰も信じないだろ? そもそも猫になってるって事は毛で覆われているが実質元に戻れば全裸な訳で、それを完全に忘れていた俺は目覚めた蘭に思い切りビンタされる朝を迎えるのであった。
それじゃぁまた次回のボーカル組みの誕生日回でお会いしましょう
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