彼―――逢魔総悟は現在買い出しの真っ最中である。
今の服装はフードを被っている状態なので誰も彼の顔を見れない。
「(ふぅ~~ようやく買い物が終わった…やっぱり響に手伝ってもらったほうがよかったかな…?)」
彼はこの世界に来る際、神から大量の金銭を受け取っているので、一生お金に困ることはない。しかも、今後も増え続ける仕様だ。
「(お金が貯まることはいいことなんだけど…貯まりすぎて金庫をまた買わないといけないんだよな…)」
総悟は必要な分だけお金を持って外に出ている。
異次元の家に行くにはオーロラカーテンが必須である。
「(なかったらすぐに取りにいけるし、できない状況だったら響に持ってきてくれればいい。だけど……なんか最近響の様子がおかしくなってきているような…)」
「(例えば、膝枕とか、耳掃除、添い寝…響に聞いても『我が魔王のためになら』ってしか言わないし…)」
総悟はあまり考えずに人ごみの中を歩く。
「(そう言えば、俺が変身した姿でノイズって言うやつ倒し終えた後、なんかあの時見た赤と青の女の子がうざいんだよな…毎回毎回俺を連れて行こうとするし……。でも、オーマジオウの力を舐めすぎているようにも見えるんだよな…もしくはただの諦められない性格なのか)
「(テレビとかでも、俺の存在が早くも漏れてるし、それにつけられた名前がアポカリプスって…。なんで『終末もの』『破滅もの』って意味になるんだよ)」
そして、しばらく歩くと総悟は一つの店を目にする。
「あ、そう言えばそろそろお昼だし、食べていこ」
そうして総悟は【ふらわー】と言うお店に入って行った。
総悟が入ると、店はほとんど満席で、カウンター席一つしか開いていなかった。
そして、おばちゃんが総悟に話しかけて来た。
「いらっしゃい。お一人さま?」
「はい」
「それじゃあ、あのカウンター席でもいい?」
「構わないですよ」
そうして、総悟は四人の女子高校生が座っている場所の隣に座った。
「ここ、いいかな?」
「あ、はい。構いませんよ。ふらわー、混んでますからね」
総悟の隣に座っているのは黒髪ショートで大きな白いリボンをつけている少女だ。
「ヒナ、お好み焼きできたよ」
「冷めないうちに食べましょう」
「ほらほら、早く早く」
「あ、そうだね」
そうして食事をする四人。
対して総悟は…
「(さて…生地が来るまでなにしていようか…。取りあえず、響にメールでもしておくか)」
そうして、総悟はスマホを取り出した。
『響、今何している?』
『我が魔王……。今洗濯物を乾かしている最中です』
『そうか…。そうだ。今日の昼飯は食ってくるから、お前だけで食べててくれ』
『……響?』
『どうしましたか?』
『いや、飯食ってくるから』
『畏まりました』
「(今の間はなんだったのだろうか…?)」
そんな総悟を置いて、お好み焼きの具材と生地が置かれる
「さて、今日はたくさん食うか」
そうして、食した後に、総悟は異次元世界の家へと帰って行った。
~響side~
我が魔王が帰り、私が今度は出る番だ。
そして、現実の世界に出れば、私は周りから少々浮く。
それは何故か?それは、私はあの黒い服しか着ないからだ。
私は顔が見えないようにフードを被って町を歩く。
「さて、夕食前までに帰らないといけない……その間までなにをしているか…」
しばらく考え、ぶらぶらと散歩をすることにした。
…しばらく歩き、リディアン音楽院と言う場所の近くの公園まで来た。
そこのベンチに座ると、その隣の木の上で…
ニャァ~~ゴ…
猫の鳴き声が聞こえた。
上を見てみると、そこには猫が木の上から降りられなくなっていた。
…助けてあげよう。
私は、周りに誰もいないことを確認して、マフラーを猫に向けて飛ばす。
するとマフラーは猫に纏わりつき、その場から猫を私の手の中に移動させる。
ニャア~~
私は猫を地面に置いて、猫はその場から去って行った。
「……さて、次はどこへ行くか…」
もう帰るか?
いや、まだ早い。もう少し歩いていよう。
その場を去ろうとした―――
「ッ!!」
だが、私が振り向いたときに見てしまった。
そう、場所は公園から少し離れたところ…
そこには、四人の女子高生がいた。
だが、私はそのうちの一人に目が行った。
そう、そこに居たのは、私を置いて、どこかに引っ越して行った、あの【小日向未来】なのだから…
~未来side~
私は今、友達の【安藤創世】【寺島詩織】【坂場弓美】の三人と、さっきまでお好み焼き屋ふらわーでご飯を食べて、リディアンの寮に帰ろうとしていた…。
「ねぇ、あの人…こっち見ていない?」
そう、創世が言った。
よく見ると、公園のところで黒い服、黒いマフラー、黒い謎の本を持っている女の人がこちらを見ていた。……なんだろう。あの人を見ると、何故か懐かしい気がする…。
「あ、行っちゃった…」
そして、その場からあの人は去って行った。
「なんだったんだろうね」
「さぁ?でも、アニメみたいでいいんじゃない?」
「弓美さん…」
…なんだろう。この心の胸騒ぎ…?
~響side~
~ 夜 ~
「……もうこんな時間になってしまった…」
まさか、あいつをこんなところで見ることになるとは…。
今時間帯は夜。
そろそろ帰らなくてはならない。愛しの我が魔王が私のためにご飯を作って待っていてくれている。
そんな時…
ウゥ――――――――
「チッ…ノイズか…空気を読めクズども…」
せっかく今から家に帰ろうとしていたところだったのに、何故こんなときに…
仕方がない。
我が魔王には、メールで事の経緯を話しておこう。
………メールを終えた私はノイズが出現したと言う場所まで走る。
そして、たどり着いた場所が広い場所。
そこには大量のノイズがいた。
私は拳に黄金のエネルギーを纏わせてノイズに拳を振りかざす。
本来、人間がノイズに触れればその人間はそのノイズと共に炭化する。
だが、我が魔王の力を纏ったその一撃であれば…
バラバラ…
ノイズは、簡単に崩れ落ちる。
……何気に実戦で使うのは初めてだが、日々これでトレーニングをしているから問題はないだろう。
私は、懐から
そして、歌う。
「Balwisyall Nescell gungnir tron」
その瞬間、私は姿を変える…。
この鎧の名は、【ガングニール】。
我が魔王のためだけの力!!
この力は元々、私の心臓部分にあった【聖遺物】と言うものの欠片があり、それを我が魔王が摘出しただけではなくペンダントとしてくれたものだ。
「さぁ、雑音ども…我が魔王のために、死ぬがいい!!」
そうして、私は右手の逢魔降臨暦を持ち、歌を歌いながら、雑音どもに拳を向ける…。
~???~
ここは、とある場所。
「ノイズの出現ポイントを絞り込めました!!」
「よくやった!!よし、翼、出現ポイントに向かってくれ!!」
「分かりまし「ちょっと待ってください!!ノイズの出現ポイントに、アウフヴァッヘン波形が検出されました!!」「なんだとッ!?」」
「解析します!!」
そして、しばらくすると、ある英語が出た。
GUNGNIR と…
「ガングニール…だとォッ!?」
「どうして奏のガングニールが…ッ!?」
「奏ちゃんは今治療室で眠っているはずよッ!?」
「映像を映します!!」
そうして、映し出されたのは、マフラーで口元を隠し、右手に本を持った黄色いギアを纏った少女。
「あの子が…」
「司令、今すぐに行きます」
「あ、ああ…任せたぞ…」
そしして、青髪の少女はその場から立ち去って行った。
「(どうして喪失したはずのガングニールをあの子が…?)」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「消え失せろ」
そうして私は周りのノイズどもを蹴散らす。
雑音ごとき、私には容易い。だが、決してこれを私の力だとは思ってはいけない。すべて、我が魔王の力であり、すべてを我が魔王のために使わなければいけない。
だが、いかんせん数が多すぎる。
ここは仕方がない。
私は逢魔降臨暦のページを開く。
「
そうすると、逢魔降臨暦から一枚の紙が飛び出し、そこから紫の大蛇を模した戦士が現れた。
その名も【仮面ライダー王蛇】
『ここかぁ……祭りの場所はァッ!!』
そうして王蛇はべノサーベルを振り回してノイズを駆逐する。
(ここで、何故こんなに長ったらしい詠唱的なものをするのかの説明をしよう。
まず、響はオーマジオウの力の一部を受け取っている。
そのため、こんな詠唱をしないと、ライダーを長時間この世界の存在させることができないのだ。
だが、TVの攻撃シーンの一部を切り取るときはこんな詠唱しなくてもいいのである。)
「さて、後はこいつに任せ「Imyuteus amenohabakiri tron」?」
すると、急に歌が聞こえ、周りのノイズが炭となる。
そして、そこにいたのは私と同じギアを纏っている風鳴翼であった。
「なにそこで立ち止まっているの。死ぬわよ」
「あなたに言われる筋合いはない」
チッ、飛んだ邪魔者が来た…。しかもこいつは我が魔王を捕まえようとする不届きもの…。ここで一度完膚なきまでに心を折っておくか…?
そして、しばらくしてすべてのノイズを駆逐し終えた。
『まだ…まだヤり足りない…』
「お前はすぐに帰れ」
そうして王蛇を紙に戻して逢魔降臨暦のページに戻す。
そして、自衛隊やらの人たちがなにやらやっている。
「………さて、そろそろ帰「らせませんよ。あなたには私たちに着いてきてもらいます」……」
面倒くさい……。
そう思っていると、車から一人出て来た。
あの女は…ッ!!
「奏ッ!?どうしてここにいるの!?ちゃんと治療してなきゃダメでしょ!?」
「ああ、悪い翼…ちょっとおっさんに無理行ってここまで連れてきてもらったんだ…」
「どうして…?」
「なぁ……お前、もしかしてあの時の女の子なのか?」
天羽奏……!!どうしてこの女がここに…!!
「奏……どういうこと?」
「あの二年前のアタシたちのライブの事件…。お前、その生き残りじゃないのか?」
「っ!!」
「悪いな……こんなこと急にいっちまって。でも、分かってくれ。アタシはただ、お前に謝りたいだけなんだ。だから、アタシたちと一緒に来てくれないか…?」
「よくも……よくも……」
「え…?」
「よくもノコノコと顔を出せたな!!私に呪いの言葉をかけた癖に!!!」
「っ!!」
「なにもしなかった癖になにも分からない癖に、そんなことを言うなぁ!!」
そうして、私はこのギアを纏ったまま天羽奏に殴りかかった。
だが…
『響よ……そこまでだ』
―チッチッチッ―
―ジ、ジジジ、ジ……-
その瞬間、私以外の周りの時が止まった。それにより拳を止める。
これは…
『響よ……。帰りが遅いと思えば、まさかこんなところで油を売っていたとはな…』
「も、申し訳ありません…我が魔王…」
『では、帰るぞ』
「畏まりました」
そうして、我が魔王は金色のオーロラカーテンを出現させる。
入ろうとした、その瞬間…。
『そうだ……これは、プレゼントだ』
そうして、我が魔王がそう言うと、我が魔王は金色の球体を出現させ、それを天羽奏の体内に入れた。
「…なにをしたのですか?」
『あとで、分かる』
我が魔王がそう言うのだから深くは聞かないでおこう。
そうして、私と我が魔王がその場から消えた瞬間、時間も動き出した。
~三人称side~
「っ!!」
風鳴翼と天羽奏。そしてその大勢。
全員が、今なにが起こったのかを、すべて聞き、すべて見た。
「今のは…アポカリプスッ!?」
「まさか、あの子と、アポカリプスにはなにかつながりが…?」
「……」
「奏…?」
「呪いの…言葉……アタシは…そんなつもりで言ったんじゃ…」
「………っ!!それより奏!!アポカリプスになにかされたでしょ!!」
「そう言えば、奏さんの体に謎の球体を…」
「あ、ああ…アタシにも、まだわからない…」
「とにかく、桜井女史にメディカルチェックを受けてもらいましょう」
そうして、この組織の者たちも帰還した……。
響「祝え!!我が魔王がノイズを殲滅した瞬間を…!」
総悟「それ祝うことか?」
響「私にとっては祝うことなのです」
総悟「そうか…(よくわからん)」